【試合詳細】6・30 PANCRASE306スタジオコースト大会 【ウェルター級暫定KOP】手塚裕之vs髙木健太 ミノワマンvs石川英司 東陽子vsキム・ヨンギ 神酒龍一vs井上学

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『PANCRASE 306』
日程:2019年6月30日(日)
会場:東京・江東区 スタジオコースト
開始:16:00
観衆:2022人(超満員)

[第25回ネオブラッド・トーナメント]
▼第1試合 ストロー級 3分3R
○尾﨑龍紀(総合格闘技道場コブラ会)
1R 1分08秒、フロントチョーク
●アラヤ(チームアラヤ)

▼第2試合 フェザー級 3分3R
○名田英平(総合格闘技道場コブラ会)
1R 2分13秒、フロントチョーク
●立成洋太(FIGHT FARM)

▼第3試合 ウェルター級 3分3R
○渡邊雅祥(パラエストラ八王子)
判定2-1
●真王DATE(Team DATE)

[プレリミナリーファイト]
▼第4試合 フライ級 3分3R
○有川直毅(K-PLACE)
判定3-0
●水谷健人(AACC)

▼第5試合 バンタム級 3分3R
○田代悠生(パラエストラ千葉)
1R 1分13秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●藤井 徹(RBアカデミー)

▼第6試合 バンタム級 3分3R
○井関 遼(GRABAKA)
判定3-0
●髙瀬一平(マーシャルアーツクラブ中津川)

▼第7試合 バンタム級STEEL ATHLETIXS) 3分3R
●髙城光弘(リバーサルジム横浜 グランドスラム)
判定1-2
○ワン・リザマ(STEEL ATHLETICS)

[本戦]
▼第1試合 ウェルター級 3分3R
●KAZZ(GRABAKA)
判定0-3
○脇本恭平(T-Rex Jiu-Jitsu Academy)

▼第2試合 ライト級 3分3R
○林 源平(和術慧舟會IGGY HAND’S GYM)
1R 2分39秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●阿部右京(OOTA DOJO)

▼第3試合 フライ級 3分3R
○杉山廣平(SPLASH)
判定2-1
●加マーク納(走行格闘技道場コブラ会)

▼第4試合 ストロー級 5分3R
●早坂優瑠(CORE QUEST KUSHIRO)
判定0-3
○髙島俊哉(リバーサルジム新宿Me,We)

▼第5試合 ストロー級 5分3R
●前山哲兵(フリー)
3R 4分05秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○アダム・アントリン(AMERICAN KICKBOXING ACADEMY)

▼第6試合 ウェルター級 5分3R
●村山暁洋(GUTSMAN)
判定0-3
○J.J.アンブローズ(STEEL ATHLETICS)

▼第7試合 フライ級 5分3R
○神酒龍一(CAVE)
2R 4分55秒、KO(スタンドの膝蹴り)
●井上 学(C.A.C.C.スネークピットジャパン)

▼第8試合 バンタム級 5分3R
○東 陽子(和術慧舟會AKZA)
判定3-0
●キム・ヨンギ(TEAM J)

▼第9試合 ミドル級 3分3R
●ミノワマン(フリー)
判定0-3
○石川英司(GRABAKA)

▼第10試合 セミファイナル バンタム級 5分3R
−瀧澤謙太(リバーサルジム東京スタンドアウト)
※メディカルチェックにより試合中止
−ダスタン・オムルザコフ(サルブラク)

▼第11試合 メインイベント ウェルター級暫定キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分5R
○手塚裕之(山田道場/TGFC)
1R 3分36秒、チョークスリーパー
●髙木健太(リバーサルジム川口REDIPS)

手塚が高木を1Rで沈めウェルター級暫定KOP戴冠!瀧澤の試合は相手事情で実施されず!ミノワマンが久々のPANCRASE参戦も石川が完勝!

第1試合


 2013年よりパンクラスに参戦しているKAZZは、同年NBT優勝。しかし、長期欠場も含み、その後5連敗と危機的状況だ。
 対する脇本は昨年よりパンクラスに参戦。しかし2連敗中。お互いにどうしても勝ち星が欲しいところだ。

 1R。右ハイキックを放ったKAZZに、脇本がタックルからケージへ押し込む。しかしKAZZはパンチを入れて離れる。脇本が再びタックル、しかしこれは切られる。KAZZが短い距離のパンチ。
 脇本が前に出て行き、放った左パンチがヒット。KAZZが膝をつきダウン! すぐに立ったが、脇本がケージへ詰めて行く。KAZZは鼻から出血している。脇本がケージに押し込んだまま終了。

 2Rも脇本が組みにいく。ケージ際で倒し、上に。KAZZが回ると、脇本がバックマウントから鉄槌を落とす。なんとか立ったKAZZだが、脇本を振りほどけない。残り30秒。KAZZが正対したところで終了。

 3R。お互いにパンチを打ち合うが、KAZZが脇本のパンチでダウン! 脇本はそのまま上になる。KAZZガードポジション。パンチを落とす脇本。苦しそうなKAZZ。しのぐだけで精一杯になっている。そのまま脇本がパンチを落とし続けて終了。
 判定は3-0で脇本が勝利した。

第2試合


 パンクラス参戦も6年目を迎える林。ライト級で闘っていたが、DEEPで水野竜也(2017年9月)、長谷川賢(昨年2月)、パンクラスでは前回の新村優貴(昨年8月)とミドル級に挑戦していた。しかし、3連敗を喫し、今回はライト級に戻しての試合となる。再び豪快なファイトが見られるか。

 対する阿部は、今年3月にパンクラス初参戦。小林裕に判定勝ちしている。今回も勝って次戦につなげたいところ。

 1R。林が先制のパンチ。阿部はタックルから潰し、ケージへ押していく。林は立つが、阿部は持ち上げ、投げて倒す。阿部がバックを取り、さらにバックマウントへ。
 しかし、林は殴りながら正対し、上を取った。パウンド連打! さらにヒジ!殴り続ける林。動けない阿部。阿部がなんとか打開しようと腕を狙うも、林はさせない。さらに殴り続けると、阿部に動きがなくなりレフェリーが止めた。

第3試合


 2016年より参戦している杉山は、ここまでのところ5戦4勝の戦績。昨年はNBTにエントリーし準優勝。前戦(昨年12月)では、初代バンタム級KOP井上学と対戦し、負けたもののスプリット判定まで迫っている。今回は他団体もと王者との一戦。ハッキリした形で勝ちたいところだ。

 対する加マーク納は、柔道がバックボーン。地元・兵庫県チャンピオンとなり、国際武道大学に進んでいる。HEAT、GLADIATORなどに参戦し、GLADIATORではフライ級王座に就いている。パンクラス大阪大会にも2度出場しており、東京には初参戦となる。

 1R。軽いローから入る杉山に対し、加納は大きく蹴っていく。杉山がパンチからタックル、ケージへ押し込む。加納は離れるが、杉山は打撃でプレッシャーをかけていく。
 飛びついてテイクダウンした加納だが、杉山は立ち、入れ替えたところで終了。

 2R。プレッシャーをかけていく加納。ロー、前蹴り。タックルに入った杉山は、粘りに粘ってバックを取った! 殴る! 脱出できない加納。杉山はチョークに入るが、これは入っていない。極まらないまま終了。

 3R。加納がパンチからテイクダウン! 立った杉山だが、左目の下が黒く腫れておりドクターチェックが入る。
 続行可能と診断され再開。杉山が右ハイ! 加納は左ジャブ。杉山が前蹴り、左右パンチからタックルに入り、ケージへ押し込む。立った加納だが、杉山がしっかりバックを取っている。殴る加納。しかし杉山はバックマウント。可能は正対して首を狙うが終了間際。杉山がパンチを落として終了。
 判定は二者29-28で杉山、 一人が29-28で加納。2-1で杉山が勝利した。

第4試合

 早坂は2012年よりパンクラスに参戦。 2015年からは地元・北海道を中心に闘い、大阪、東京にも上がっている。しかし、昨年は曹竜也(4月)、三谷敏生(7月)に連敗しており、ここで止めたい。

 髙島は2017年NBT同級優勝。NBT後の昨年は、リトル(2月)に勝利したが、前山哲兵(8月)、野田遼介(12月)と連敗中。同じく勝ちたいところだ。

 1R。積極的にパンチで出る早坂。髙島はタックルに入るタイミングを掴めない。足をかけて乗ろうとした髙島に、早坂がその足をキャッチし、ケージへ押して行く。髙島は投げて上になり、殴る。早坂は足を狙うが、これは極まらず。しかし上になった。
 髙島はガードポジションから立つが、早坂がバックを取っている。髙島は早坂を背負ったまま立つ。早坂は背中に乗ったまま殴る。髙島が前かがみになり早坂を下ろすが、早坂はバックをキープ。首を狙うが、髙島が防いで終了。
 ジャッジは10-9で二者が髙島、一人が早坂を支持。

 2R。早坂が片足タックルに入るが、髙島が切る。髙島が右のパンチ。早坂は髙島の蹴り足を掴んでテイクダウン。髙島はフロントチョークを狙うが、早坂抜いた。ヒジを落とす。早坂はバックに回るが、髙島が殴りながら上に乗っていき、ハーフマウントに。下から三角を狙う早坂。髙島がパンチを連打、さらにバックを奪って終了。
 ジャッジは三者10-9で髙島。

 3R。パンチを振り、前に出ていく早坂。髙島は潰して上に。顔面を、こするようにヒジで攻める早坂。しかし、髙島がハーフマウント。パウンドを落としていく。あがく早坂。しかし、髙島が最後までパンチを落とし続けて終了。
 判定は二者30-27、一人が29-28の3-0で髙島が勝利を挙げた。

第5試合


 前山は2016年よりパンクラスに参戦。ここまで4勝3敗という戦績を残している。2018年にはフリーとなり心機一転。髙島俊哉に勝利した(8月)が、その後、宮澤雄大に判定負けを喫している(12月)。今回は半年ぶり、今年最初の試合。

 初参戦のアントリンは、高校でレスリングを経験、その後キックボクシングを経て、AKAに入門。2008年にMMAファイターとしてプロデビューしている。UFC出場を目標としている。TUFの挑戦者決定トーナメントに出場したが、扇久保博正に判定負けを喫し、本戦出場を逃している。しかし、本来はストロー級が適正階級。KOPならびにONE出場を目論む。

 1R。アントリンの左パンチがヒット。前山もパンチを返していく。しかし、アントリンは速いパンチで攻める。前山も返しているが、かわされている。アントリンがロー。前山はケージ際へ詰めようとするが逃げられてしまう。アントリンの攻撃が次第に激しくなっていく。左ハイ、右パンチ、ロー。さらに前蹴りで前山が吹っ飛ばされる。前山はすぐに立つが、さらにたたみかけていく。前山も返してはいるが、もらってしまった印象が否めない。アントリンが組もうとしたところで終了。
 ジャッジは三者10-9でアントリン。

 2R。アントリンはペースを落とさず、左ミドル、バックキックと攻めていく。前山のミドルの蹴り足を取るが、前山はすぐに立つ。そしてアントリンがタックル。これは切られる。しかしハイキック! 前山がパンチで出るが、アントリンは交わしてバックに回った。腕を狙うが、逃れた前山。
 しかし、またもバックを取ったアントリンは潰して鉄槌連打、強引に乗って行き、マウントへ。苦しい前山。アントリンは殴りながらバック、再びマウントと動きながら肩固め、腕などを次々と狙っていく。脱出できない前山に焦りの色が浮かぶ。しかしアントリンが殴り続けて終了。なんとか最悪の状態だけは逃れた前山だが……。
 ジャッジは一人が10-9アントリン、二者が10-8アントリン。

 3R。前山がパンチ、蹴り。アントリンは前蹴り、ミドルで前山を突き放す。削られて苦しそうな表情の前山。アントリンはロー、パンチ、左ハイと上下に攻めてくる。前山もパンチを出したいが、距離を取られてしまっている。
 確実に打撃を当てているアントリン。なんとか片足をつかんだ前山だが、振り切られてしまう。仕掛けられない。ヒザで倒れた前山に、アントリンがパンチを落とし続ける。手が出ない前山。アントリンはさらにマウント。ヒジ、パウンドを落とし続け、残り1分を切ったところでレフェリーが止めた。

第6試合


 2012年から参戦している村山は第9代同級王者。2016年3月、鈴木槙吾からベルトを奪取したが、同年10月の防衛戦で三浦広光に破れベルトを失った。その後、1年2ヶ月の戦線離脱を経て復帰するも、1勝2敗と足踏み状態だ。久しぶりの国際戦で、元王者の貫禄をガツンと見せたいところ。

 対するアンブローズは4年ぶり2度目のパンクラス参戦。前回は2015年5月、ライト級で徳留一樹に判定負けしている。その後、PXCでライト級王者となるが、Bellatorでは判定負けしている。今回はウェルター級に上げての試合となる。

 1R。村山がアンブローズのパンチをくぐって組み、ケージへ押し込む。ボディ。強引に離れるアンブローズ。再び組みにいく村山だが、アンブローズはこれを切ってパンチ。村山ジャブ。アンブローズはパンチ、重そうなローキックを次々に繰り出してくる。
 村山がタックル。アンブローズが首投げ。村山は立って離れるが、アンブローズのパンチがヒット、ダウン! 尻もちをついてしまう。アンブローズはさらにパンチをたたみかけていき、村山がダウン! 会場が息を飲む。しかし、なんとか立つ村山。ケージまで下がると、アンブローズがパンチ、首相撲からヒザ! かなり効いている。しかし残り20秒! アンブローズはパンチを打っていくが、終了。村山は残り20秒に救われた形。
 ジャッジは10-9、10-8、10-7で三者ともアンブローズ。

 2Rもロー、パンチと攻め続けるアンブローズ。しかし、ここで村山のオーバーハンドの右パンチがヒット! アンブローズがダウン! 会場は一気にヒートアップ! アンブローズはすぐに立ち、組んでくるが、村山は投げて首を抱える。が、これは外れる。しかし、アンブローズは効いている様子だ。
 村山は組んでケージに押し込むが、アンブローズは離れる。“ドスッ”という音がする重いローを打ち込む。アンブローズが組んでケージへ押すと、村山は入れ替えてロー、ヒザを打ち込み入れ替えさせない。
 離れたアンブローズが蹴り。村山はジャブから組んで倒すが、アンブローズはすぐに立つ。再び村山が組むと、アンブローズは殴って上に乗り、パウンドを打ち込んで終了。
 ジャッジは三者10-9で村山。ダウンを取って以降の巻き返しが素晴らしく、会場の温度が一気に上がった。

 3R。村山が片足タックルに入るが、これは切られ、アンブローズがバックに回る。村山はヒジ。正対したアンブローズは大量の汗をかき、消耗している。村山が入れ替え、ヒザ、パンチ。離れて右のオーバーハンドを打ち込む!
 パンチは出すものの、疲労の色が濃いアンブローズ。村山がタックルに入ると、アンブローズが首を抱える。残り1分。
 バックに回るアンブローズ。村山はカメになるが、ひっくり返して村山がマウント! 会場から大拍手が沸き起こる。残り30秒、村山が電光石火の腕十時を仕掛けるが、惜しくも極まらず終了。
 判定は29-27、29-28、28-27の3-0でアンブローズ。負けはしたものの、最後までどうなるかわからないスリルと、村山の強い気持ちが見えた一戦だった。

[村山暁洋 試合後コメント]
 1R、(相手のパンチが)効いたとは思いましたけど、自分の中ではなんとかなったと思っていました。2Rで戻れて、セコンドの声もよく聞こえましたし、組みと右のパンチが当たると思いました。
 なんとか組んで投げて、上を取りたいと思っていました。パンチをもらっていたので、こちらも当ててやりたいという気持ちもありました。
 これで、最後に勝てていたら劇的でしたね。僕は、腕十字に入れたのは修斗時代が多くて、最近はあまり出来ていなかったんです。なので、あそこで出せたので良かったです。
 打撃はもらいましたけど、相手はフロントチョークが得意だということを知っていました。セコンドの声があって、早めに対応できたのが良かったです。
 今回、見ている人に気持ちを伝えられるような試合をしたいと思っていたので、今日は(気持ちを)出せて良かったです。でも、やっぱり(腕十字を)極めたかったですね。
 今後は、もう少し出来るんじゃないかなと思います。今回、組みでやっていこうと思っていて、そこにいいとろがありました。全部高めて行って、また闘いたいです。

 長期欠場後、やや精彩を欠いていた印象のある村山だったが、今回は気持ちの見える素晴らしい闘いを見せてくれた。最後まで諦めない姿勢には、「男」でなく「漢」という文字がふさわしい。
 試合は、勝敗が大切だ。でも、それが全てではない。見る人の心をどのくらい動かせるか、どれだけ揺さぶることができるか――人の心をつかむことが出来るのが「プロ」だ。負けはしたものの、村山自身も恐らく何かをつかんだのではないか。もしかしたらそれは、生きているという実感のようなものだったかも知れない。
 早くも次戦が待ち遠しくなってきた。

第7試合

 2015年よりパンクラスに参戦している神酒は、2016年7月、安永有希を破り第3代フライ級KOPに。しかし翌年3月、マモルに敗れてタイトルを失っている。
 その後、2年の長期欠場。引退かと思われたが、今年3月に沈黙を破り復帰を果たした。復帰戦(秋葉太樹戦)は判定負けに終わったものの、久しぶりに感じる会場や試合の空気に、新たなスタートを感じさせた。

 井上は2005年よりパンクラスに上がり、2010年9月、バンタム級初代KOPとなった。2011年に初防衛に成功したあと、同年12月、石渡伸太郎に敗れタイトルを失う。その後、修斗に戦いの場を移していたが、昨年12月、実に7年ぶりにパンクラス復帰。杉山廣平に判定勝ちしている。
 元KOP同士、プライドをぶつけ合う一戦。
 1R。神酒がジャブ、左フックを振る。距離を縮めた井上の足をすくってテイクダウン! しかし、井上はパンチを入れて離れる。井上が蹴りを放つと、その足を引き、転がしてサイドを取った神酒。神酒はスピードが乗っている。しかし井上が立つ。
 再び、井上の蹴り足を取り倒す神酒だが、井上が立ち、パンチからの片足タックル。ケージへ押して行く。しかし、神酒は倒れない。井上は引き込むが、神酒が引き剥がして倒し、ハーフマウント。これを蹴飛ばすように立ち上がる井上。井上がパンチから再び組み、バックを取ってヒザを打ち込んだところで終了。
 ジャッジは三者10-9で神酒を支持。

 2R。開始すぐ、神酒がタックル。井上は首を抱えるが、神酒は離れる。井上が片足タックル。神酒はバランスを崩すが立ち、足を抜く。
 井上は組んでケージへ押し込み、殴る。ヒザを入れ、脇をくぐってバックに付きパンチを入れる。神酒は正対し、ケージへ押すが、井上が入れ替えてヒザ。
 ここで、神酒にドクターチェック。右まぶたをカットしているが、続行可能で再開。
 井上がパンチで出る。さらにタックからケージへ。離れた神酒。井上が再びパンチで前に出ると、神酒が入ってヒザ、さらにタックルからテイクダウン!
 残り60秒。井上が下から仕掛けようとすると、神酒離れた。井上はパンチで出る。残り20秒。井上が組むが、蹴って離れる。ここで神酒が飛び膝! 井上が倒れ、劇的なKO勝利! 神酒が完全復活を果たした。

[神酒龍一ケージ上コメント]
「あんまり当たるとは思ってなかったです。流れで出した感じですね。
ずっと応援してくれていた人に、よかったと思ってもらえるような試合をしたいです」

[試合後コメント]
「相手あってのものですが、今回は前回より動けたかなと思います。1Rはスピードが出て入ることもできたんですけど、2R中盤あたりは、けっこう疲れていて、相手も盛り返して来ていました。
 井上選手には、テイクダウンしたあと何もさせてもらえませんでした。テイクダウンしたのに自分が追い込まれる感じでした。なので、立ったら腹をくくって打撃をやろうと。(パンチは)当たってましたけど、相手に対して全部、後手に回ってしまいました。2Rのヒザは当たってラッキーだったと思います。

 「神酒の試合は、どうせこういう試合だろう、いつも通り、やられないけどやれもしないんだろう、みたいな、そういう風に思われているところが結構あるんじゃないかと思います。あまり結果も出ていませんでしたし。じゃあ、変えるとしたら何を変えるのか。『根性』とか『気持ち』みたいなところを変えようとするとロクなことがない。そういう曖昧なものじゃなくて、具体的な行動を変えるべきだと思いました。
 1Rから攻めよう、それも、ただ攻めるんじゃなくて、井上選手が組んでくるからどうこうでもなくて、自分が先に組むこと。これはロジックの上でも理にかなっています。単なる『根性』ではない、実体のあるものが必要なんです。そのことに納得しましたし、チームとも連携をとってやれました。でも、井上選手の持つ『目に見えないもの』にも苦しめられました。そういうものの存在も否定せず、自分も作って行こうと思います。
 スマートな闘いでしたか? 井上選手の裏をいくというか、逆をつくということは考えていました。でも、内心はメチャクチャ必死でしたよ。本当に、井上選手という相手あっての試合だったと思います。

 そもそも、自分が格闘技を始めたのは、知名度を上げたいからでも、チヤホヤされたいからでもありません。2年休んで、敢えて戻って来たのは、自分の中の壁を突破していきたいからです。
 まだ辞められないですよ、だって弱いじゃないですか。それは、ランキングとかとはまた違うものです。ただ勝てばいいというだけなら、成長は止まってしまう部分があります。僕は、成長するために試合をしていきたいと思います。
 一番強くなること、そして、見る人の記憶に残るような選手になりたいと思っています」

 前回の復帰戦では、再びケージに立てる喜びを溢れさせた神酒。なぜ闘うのか、なぜ苦しい練習に耐えてケージに立とうとするのか……格闘家としての原点に立ち返った姿勢を見せた。
 苦しい練習、試合であっても、同じように続けば、人はそれに慣れ、当たり前になってしまう。しかし、今回の神酒は、以前とは違っていた。
 ケージに入り、試合場や、会場の全てを愛おしむように両腕を広げ、ケージ内を回る−−そこには、雌伏の2年を超えて、生まれ変わった神酒が立っていた。
 もしかしたら、今回が本当の復帰戦だったのかもしれない。改めて、お帰りなさい。今後、神酒が見せてくれるものが、ますます楽しみになって来た。

第8試合


 2017年よりパンクラスに参戦している東は、元柔道強化選手。しかし、このところ打撃に目覚ましい進化を見せ3連勝中。今回は対戦相手だったブラジル人選手が負傷欠場、韓国人ファイター・キム・ヨンジとの対戦となった。
 キムはDEEP、修斗、JEWELSなど日本のマットを経験。またRoadFCではプロレスラー・世志琥と無差別級戦を行い、勝利している。
 今回は両者とも本来の階級ではないフェザー級での試合となる。

 1R。いきなり激しく打ち合う両者。ディフェンスを考えるよりも攻めまくる。東がパンチからケージへ押し込むが、キムは離れる。再度組んだ東。キムはヒザを入れて離れる。
 攻撃の手を緩めない東。かなり当てている。もらいながらも打ち返していくキム。残り20秒。東が大きく右パンチをヒットさせて終了。
 ジャッジは三者10-9で東。

 2Rもお互いに打ち合っていく。圧力の強い東のラッシュ! キムはやや下がり始める。ロー。東のパンチをもらい出血している。
 東がパンチから組んでケージへ押し込む。キムはヒザで応戦。東は離れてパンチ。やや東の手数が少なくなって来たか。しかし、キムも応戦しているものの決定的な攻撃なく終了。
 ジャッジは三者10-9で東。

 3Rもパンチを出していく東。キムはロー。東はローを嫌が理、距離を取ってパンチ。ややキムが優勢になっているが、ポイントで大きく離されているため、キムはKOか一本を取るしかない。東がキムのパンチをもらう。キムが左ハイキック。東もパンチを出している。
 残り30秒。東がパンチから組み、ケージに押し込んだところで終了。
 判定は二者29-28、一人が30-27の3-0で東が勝利。しかし、倒せなかった東は、苦い顔で勝ち名乗りを受けた。

[東陽子ケージ上コメント]
「柔道家は打撃が苦手というのがあるので、打撃をけっこう練習してきました。でも、まだまだできていないところがあります。MMAは全てできなくてはいけないので、精進します。
 今日はちょっといいお肉を買って帰ります。思った勝ち方ではなかったですけど、とりあえずまた練習します。
 今日勝てたのは、皆さんのおかげです。これからもよろしくお願いします。ありがとうございました!」

第9試合


 ミノワマンは1996年にプロデビューし、1997年よりパンクラスに所属。1999年には全て一本勝ちでNBT優勝を果たしている。パンクラスのほか、DEEP、PRIDE、HERO’S、DREAM、IGF、ROAD FCなど数多くの大会に参戦し、キャリアは100戦を超える。
 パンクラスには2017年7月、近藤有己戦で14年ぶりのパンクラス参戦。それからさらに2年を経て、再びパンクラスに帰ってきた。

 対する石川は2000年よりパンクラスに参戦。「パンクラスGRABAKA」の一員として、当時のパンクラスを盛り上げた。
 石川も、プロ55戦のキャリアを持つベテランだ。来年でデビュー20周年を迎えるが、現在もコンスタントに試合を行っており、テレビドラマ『西部警察』の、渡哲也演じる大門圭介のコスチュームでの入場もおなじみだ。
 同じ時代を生き抜いてきた二人の初対戦!

 1R。ジャブを出すミノワマン。セコンドにはかつての盟友、伊藤崇文と渡辺大介がつく。石川は入ってボディ。さらにハイキック。石川の蹴り足をつかんだミノワマンだが、石川は外し、タックルからテイクダウン! ハーフマウントから大きくパンチを振り下ろす。ミノワマンは腕を狙うが、これはかからない。石川がパンチ、ヒジを落として終了。

 2R。細かく動く石川。素早く中に入ってパンチ。さらに組んでテイクダウン。ハーフマウントからヒジとパンチを落とす。ミノワマンもパンチを返すが、石川が上をキープ。ミノワマンがガードに戻したところで終了。

 3R。プレッシャーをかけながら回るミノワマン。石川がタックルに入ると、ミノワマンが首を狙う。頭を抜いた石川はハーフマウントに。そこから殴り、石川が上をキープして終了。
 判定は二者30-27、一人が30-26の3-0で石川が勝利。
 勝ち名乗りを受けた石川は、サングラスをかけライフルを持ち、「1、2、3で行くぞ!」と観客を鼓舞。「1、2、3、大門ショット!」と勝どきをあげた。

第10試合


 第9試合終了後、会場に試合中止のアナウンスが流れ、斎藤直人リングドクター、瀧澤、酒井正和パンクラス代表がケージイン。この試合が中止になることを発表、ならびにファンに謝罪した。
 中止の理由は、ダスタン・オムルザコフが試合前の血液検査をパスできないため。
 斎藤リングドクターは、「パンクラスはスポーツMMAです。選手の安全を守るためには、試合前のメディカルチェックをパスすることが必要です。でも、オムルザコフはメディカルチェックをパスできなかったため、安全が確保できないとの判断を示し、中止とせざるを得ませんでした」と説明。

 続いて酒井代表が「ファンの皆さまを裏切る形になり申し訳ございません」と謝罪。「瀧澤選手の意思も尊重したかったですが、パンクラスを続けなければいけない、選手を守らなければいけない義務があります」と涙声で語った。

 最後にマイクを執った瀧澤は「今回、僕のために応援に来てくれた皆さん、本当に申し訳ありませんでした」とファンへ謝罪した。
 計量前日の夕方5時半に、当初予定されていたリッキー・キャンプが来日して来ないため、急虚、バンタム級よりも10kg重い71kgになるが、ダスタンとの試合を用意できると提示された。瀧澤は、試合を中止にするわけにいかないという思いから試合を受けることにしたが、試合当日、ダスタンが血液検査を通過できないことを、つい2試合前に聞いたという。
「バンテージも巻いて、準備万端だったので悔しいです」と肩を落とした。
 さらに、『PANCRASE 307』(7月21日)に予定されているバンタム級タイトルマッチ/王者ハファエル・シウバ(ASTRA FIGHT TEAM)と金太郎(パンクラス大阪 稲垣組)の勝者に挑戦させて欲しいと酒井代表に直訴した。
 なお、酒井代表は、瀧澤の試合チケットを購入した観客に対し、次回の瀧澤出場興行に無料招待すると発表した。

第11試合


 この階級の現王者はグライコ・フランサ(第12代)だが、現在PFLに参戦中。今年は防衛戦が行えないため、暫定王者決定戦を行うこととなった。当初は手塚と、元同級王者・三浦広光の対戦が発表されていたが、三浦の靭帯損傷により4位の髙木がタイトルマッチへの切符を手にした。
 手塚は2015年よりパンクラスに参戦。KO率83%を誇り、勝った試合は昨年12月の村山暁洋戦以外、全てKOしている。高木とはキャリア4戦目でも対戦し、足関を狙ったところにパウンド連打で鼻を折られ、ドクターストップ負け危機に。猛攻を仕掛けるも結局レフェリーストップ負け。

 対する髙木は2011年より参戦。DEEP、修斗、CAGE FORCE、 GRACHAN、HEATなどでも闘っている。髙木も打撃に定評があり、KO率は88%と非常に高い。HEATではベルトも巻いているベテランだ。
 両者は2016年7月に闘っており、このときは髙木がTKO勝ちを収めている。念願のパンクラスタイトルマッチを迎え「長年の願いが届いた」と言う髙木、リベンジを狙う手塚。ベルトを手にするのはどちらなのか。

 1R。髙木はローを打って行く。手塚は右パンチ。髙木もパンチを返し、さらにロー。手塚が左パンチ。効いた髙木。さらに手塚はパンチを打って行くが、髙木はローを返す。
 高木のローに合わせ、手塚がタックルからテイクダウン! ハーフマウント。ボディ、肩パンチ。髙木は上体を抱える。髙木は立とうとするが、カメになった髙木の背中に乗った手塚がバックマウントに。さらにチョークに入る。耐えた髙木だが、たまらずタップ。手塚がリベンジを果たすとともに、ベルトを獲得した。

[手塚裕之 ケージ上コメント]
「今までいろんな人に迷惑をかけてきたので、感謝しています。道場のみんなや、家族や、本当にありがとうございます。
 僕は打撃のイメージがあると思いますが、これは総合なので。山田道場には、寝技が強い選手がたくさんいます。もちろん僕も出来ますし、狙っていました。

 今後ですか。ONEに出していただけたらなと思っています。常にトップを目指して痛いですし、求められればどこでもやる気持ちです」

(写真・文/佐佐木 澪)

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