【インタビュー】ウルティモ・ドラゴンが後楽園、千葉、名古屋、大阪と全国4大会を開催する『Lucha Fiesta Tour 2018』の魅力を語る!「『Lucha Fiesta』は『Dragomania』の延長戦」

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――昨年8月19日、東京・後楽園ホールでウルティモ・ドラゴン選手のデビュー30周年記念大会が全日本プロレスの協力でおこなわれました。あれから1年以上が経過しましたが、31年目はどんな1年でしたか。
「日本では昨年に引き続き全日本プロレスさんに出させていただいて、この1年はそれにプラスしてアメリカの試合を増やしましたね。メキシコ、アメリカ、そして日本の3カ国が中心になっています。ちょうどアメリカのWCWでやってたときみたいな感じですね」

――前年はワンマッチ興行でした。今年は4大会での『Lucha Fiesta Tour 2018(ルチャ・フィエスタ ツアー)』となりますが、ワンマッチからシリーズに拡大ということになりますか。
「そうですね。ミニシリーズですけども、全日本プロレスさんの方から、メキシコからせっかく何人も選手がくるのだからということで、なるべく多くの場所で見てもらいたいと。そういう話しから決まりました。ですから、前年から発展したような形になりますね。昨年の大会がおかげさまで好評でしたし、一年に一回くらいお祭り的なイベントがあってもいいんじゃないかと。こういうチャンスをいただいて非常に感謝していますね」

――11・3後楽園、11・4千葉、11・5名古屋、11・6大阪の4大会が4連戦で開催されます。シリーズはウルティモ選手の全面プロデュースということになりますか。
「そうですね。アメリカやメキシコから何人も来日するので、なるべく多く試合をさせてあげたいですしね。ただ今回はあまり大きな会場ではなく、中小規模な会場でやりたいと思います。メキシコの地方巡業だと小さな会場がたくさんあるじゃないですか。コンパクトにして、イメージとしては、むしろそっちの雰囲気を出したいなと思っています」

――今回、5選手が特別に参戦しますよね。スペル・クレイジー、エル・ディアマンテ、サム・アドニス、ウルティモ・パンダ、スペル・シウダダーノ。この5人を選んだのは?
「昨年もそうですけど、基本的に『Lucha Fiesta』はメキシコでやっている闘龍門MEXICO『Dragomania』の延長戦だと考えているんですよね、自分は。ローカルの雰囲気でありながら、ビッグマッチの延長として考えているんです」

――『Dragomania』は毎年5月にメキシコシティーの大会場、アレナ・メヒコで開催される闘龍門の年間最大ビッグショー(17,000名規模)ですね。今年は5月27日に『Dragomania Ⅷ』として開催されました。
「そうです。人選に関しては、スペル・クレイジーはちょっと別ですけど、他は『Dragomania』で頑張ってくれた選手たちです。そういったレスラーから選びました。クレイジーに関してはTAJIRIがいま全日本に出ているので、個人的にもTAJIRIvsクレイジーを見たいというのもあって、参戦してもらえることになりました」

――このカードといえば、アメリカのECW。2000年あたりにECW世界TV王座を争った2人ですよね。
「そうですよね。その復刻版というわけではないですけど、また見てみたいカードですよ。いま、全日本プロレスさんも全日本プロレスTVという動画配信を始めて、もっともっと、いろんな国の人に見てもらいたいということなんですね。そのためにも一番伝わりやすいんじゃないですかね、このかつての名物カードは。それをいま全日本でできるというのが、ボクとしても非常に楽しみなんですよ」

――2人ともバリバリの現役ですし。
「そうなんです。かつてのECW世界TV王座戦がGAORA TV王座に形を変えて実現する。どんな進化を見せるのかもまた、楽しみですね」

――エル・ディアマンテは昨年の30周年大会で、初来日しました。
「彼はインディーの選手ですけども、テクニコもルードもできる万能選手です。両方こなせるってなかなかいませんからね、珍しいタイプじゃないですかね。ボクとしては、凄く楽しみにしている選手です」

――通常、メキシコの選手はテクニコ、ルードがハッキリしています。
「ハイ。でも彼の場合はどちらでもこなせるというのがすごいなと思ってるんですよ。ちなみにボクはルードできないですから。ボクにやれと言われても、ルードは無理です。ディアマンテはそれを瞬時に切り替えができる選手なんですよ」

――サム・アドニスは、こちらも昨年の30周年で初来日した選手です。メキシコでブレイクしたアメリカ人レスラーですよね。こういった選手もなかなか珍しい。トランプ大統領の顔写真が入ったアメリカ国旗を振りかざす。反米感情を煽ったことで一躍大ルードになりました。
「相変わらずトランプ大統領を崇拝しているみたいですけど、今年もまだそれが続くのかなって。どんな感じでくるのか、いまから楽しみにしているんですよ。彼とは5月の『Dragomania』で対戦して以来、会っていない。今年もトランプ派で来るのか、楽しみです」

――ウルティモ・パンダは?
「リングネームは似てますけど、ドラゴンではなくパンダ。ウルティモといってもボクの弟ではないんですけどね(笑)」

――『Dragomania Ⅷ』でのドラゴンスクランブル(時間差バトルロイヤル)に出場したパンダだそうですね。
「このパンダは、今年の『Dragomania』で一番お客さんのハートを掴んだ選手でした。お客さんにとって一番のビッグサプライズだったと思いますよ。べつに何かあるわけじゃないんですけど、とにかく良いオーラをもった選手なんです」

――とはいえ、体重が272キロって…。
「いや、それはたぶん、ちょっと、あれじゃいですか(笑)」

――盛ってる?
「かなり盛ってるでしょうね(笑)。さすがに272キロはないと思いますよ(笑)。」

――日本ではちょうどアンドレザ・ジャイアントパンダが話題なので。
「ああ、そうですね。でも、こちらはそういう“人”ではないですよ。(アンドレザと比べると)普通のサイズです(笑)」

――スペル・シウダダーノ。こちらも初来日の選手ですが。
「シウダダーノは、メキシコのすごい有名な選手、すごいレジェンドの息子さんです。彼は今年の『Dragomania』で実質の主役でした。メインでマスクとマスクを懸けて闘った。そして最後に勝った。ボクはいい意味でも悪い意味でもこれから若手にバトンタッチしていきたいんですよ。なので、シウダダーノは今後に期待の選手です」

――期待の若手、ということですか。
「まだ若いです、ハイ」

――闘龍門メヒコの常連選手ですよね。
「そうです。『Lucha Fiesta』はさっきも言ったように『Dragomania』からの流れにしたいんですよね。それで『Dragomania』の主役を呼ぶことにしたんです」

――今年の『Dragomania』のメインは、最初にウルティモ・ドラゴンとアドニスが組んでシウダダーノ&パタン組と対戦しました。あの試合の経緯は?
「要するに、ふたつの抗争をひとつにまとめたんですね。ボクとサム・アドニスの抗争、シウダダーノとパタンの抗争。ふたつの抗争をひとつの大会で終わらせなければならなかったので、敵対する者同士を組ませたんです。それをタッグマッチにして、負けた方のチームでシングルマッチをおこなう。そこで負けた選手が最終的にマスクを脱ぐなり、坊主にされる。ふたつの抗争に決着をつけるには、それが手っ取り早いかなと」

――メキシコでおこなわれる決着戦のひとつですね。
「そうです。それで今回、最後に勝ったのがシウダダーノだった。それで『Dragomania』の主役になったんですよ」

――それ以前にシウダダーノ選手は、15年から17年の『Dragomania』で、ドラゴンスクランブルに3年連続優勝しているんですよね。
「そうです。だからようやく熟したという感じですよ。闘龍門メヒコ一押しの選手と言っていいと思います。ですから満を持しての初来日ですね。彼も、ルードもテクニコもできるオールラウンドな選手です」

――シリーズの対戦カードを見てみると、11・3後楽園のメインでウルティモ選手は、シウダダーノと組みますが、もうひとりのパートナーがXです。相手がディラン・ジェイムス&エル・ディアマンテ&サム・アドニス組の6人タッグマッチ。Xは11・6大阪のメインにも参戦し、11・6大阪も同一カードが組まれています。このXというのは?
「いろんな人から誰かと聞かれるんですけど、Xはメキシコの選手ではないです。ディラン・ジェイムスとかサム・アドニスって体が大きいじゃないですか。ですから、その対策ですよね。ボクを守るためのパートナー。日本人ですよ。当日発表になります」

――なるほど。また、11・5名古屋は地元凱旋になりますが。
「そうですね。サム・アドニスとシングルで闘います」

――この試合はPWR世界ヘビー級選手権試合。ウルティモ選手が保持するベルトが懸けられますが、このタイトルについて教えてください。
「PWR(プロレスリングレボリューション)は、カリフォルニア州サンノゼを拠点とするアメリカのインディー団体です。そこのベルトで、ラスベガスでの大会で取りました。今年の9月1日だったかな。相手は、イホ・デ・トランプというヤツです」

――イホ・デ・トランプ!? トランプの息子で、しかもスペイン語のイホ(息子)?
「ハイ。その通り、トランプはトランプ大統領のトランプだと思いますよ。そんなの大丈夫なのかなって思いましたけどね(笑)。その彼がチャンピオンだったんですよ」

――トランプからベルトを奪ったときの反応はどうだったんですか。
「いやあ、正直、ビミョーでした(笑)。ただ、イホ・デ・トランプって実はアメリカ人で、インディー系のルチャ団体に上がるときだけのキャラみたいです。ホントはすごいちゃんとした選手のようですよ。実際やってみたら、いい選手ではありました。ふだんはインパクトレスリング(旧TNA)に別名で上がってるみたいで、そこそこ有名な選手みたいです」

――こんどのサム・アドニス戦は、何度目の防衛戦になりますか。
「2度目の防衛戦になりますね。こないだメキシコで初防衛をしましたので」

――サム・アドニス戦は、またトランプつながりですね。
「そうですね(笑)。サムとはメキシコでも何回も闘ってますからね。まあ、相手は誰にしてもベルトを持ったからには広めたいという気持ちがありますから。小さい会場であろうと、そのベルトを露出してあげるのが向こうのプロモーターに対してしてあげられることなんで」

――PWRという団体を知らしめると。
「そうですね。その団体のベルトの価値を上げていきたいですよね」

――ツアー全体の見どころは?
「100%ルチャリブレの興行というわけではなく、あくまでも全日本プロレスさんとのコラボなので、全日本の明るく楽しく激しいプロレスというキャッチフレーズに少しルチャのテイストを加えると。そういう大会にしたいと思います。ですから、各大会で全日本プロレスさんが現在行っている激しい闘いも見られます。セミ前まではいつもの全日本です。そしてセミとメインが『Lucha Fiesta (ルチャ・フィエスタ)』。ですから全日本プロレスさんの素晴らしさも見てもらいたいし、そちらも同時に伝われば、ボクとしてもうれしいですからね」

――今年の『Lucha Fiesta(ルチャ・フィエスタ)』は、全日本の年末の風物詩『世界最強タッグ決定リーグ戦』を前にしてのシリーズになります。本来の全日本プロレスにプラスしてルチャ。2倍堪能できることにもなりますね。
「そうですね。自分のいままで培ってきた経験とか、こういうプロレスもあるんだよというのをファンの人に見てもらいたいし、同じ業界の人たちにもこういうスタイルもあるんだなというのを見てもらいたい。プロレスのそういうところも知ってもらえたら嬉しいですね」

(取材・文:新井宏)

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