あれ見てこれ読んであそこ行ってきた #1

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『WWEネットワークの散歩道』の連載再開となりましたが、こちらはプロレス関連のDVD、書籍、イベントチケットを自腹で購入し、それぞれの雑感を書いていくコラムを。イベントも取材ではなく、あくまでチケットを購入してお客さんの立場で行ったものだけなので、偏りもあるでしょうがそこはご容赦を。イベントの場合は主催者さまに掲載のお断りをしていますが、そこでの内容を書いていくイベントレポとは違うものを書いていければと思っております。

まずは輸入プロレスDVD店 フリーバーズさんで購入したPWG(プロレスリング・ゲリラ)の『プリンス』での”あれ見た編”。2016年5月20日の大会の模様で、大会タイトルは同年4月21日亡くなられたミュージシャン、プリンスを追悼してのものです。ただし著作権の問題もあるため、会場で実際にプリンスの楽曲が流れていたかはこのDVDからはまるで不明です。大会タイトルに亡くなられたミュージシャンの名前が使われるのは『レミー』、『ボウイ』と3回目となります。レミーはHHHの入場曲を作曲したことでプロレスファンにも知られていますね。

PWGはロサンジェルスにあるインディー団体ですが、コンスタントに大会を行っているわけではなく、所属選手という契約形態を取っている選手もいません。数か月に1度、単発イベントとして300人程度のキャパシティーの常打ち会場で開催されるのですが、日本のファンにも届くような好カードが並ぶことで、マニアからも熱狂的な支持を集めています。
プロレスはよく「点ではなく線」と、連続ドラマとして見ていく楽しみが提供されるのがいい興行デザインとされていますが、PWGは数か月に一度ということもあり、どうしても点となりがちです。ただし他団体で活躍しているその時の旬の選手たちが集まっているので、他団体での戦いがPWGとリンクしていくようなマッチメークがされています。つまり俯瞰して見ると「点ではなく線」となるということです。お客さんもアメリカはおろか、日本での活躍もチェック済というマニアが多いですしね(笑)。

この大会ではカマイタチこと高橋ヒロム選手とマイケル・エルガンのシングルマッチが読者の方には注目でしょうが、昨年のPWGの年間最大のイベントである『バトル・オブ・ロサンジェルス』トーナメントで優勝したマーティ・スカール(NJPWワールドには中邑真輔選手戦が収録されています:http://njpwworld.com/p/s_series_00354_1_04 )、昨年WWEと契約したロデリック・ストロングと一昨年にWWEを離脱したサミ・キャラハンのシングルマッチがラインアップされています。
そして個人的に今、一番日本に呼んでもらいたいニュー・カマー、"ミスター・アスレティック"、ジェフ・コブにも注目してもらいたいです。アテネ五輪でのレスリングのグアム代表選手で、入場式では旗手も務めたスポーツエリート。ゲーリー・オブライト、タズに続く新世代のヒューマン・スープレックス・マシーン。アマレスで培った技術をプロレスにうまくフィットさせるセンスもあり是非新日本プロレスさんに呼んでいただきたいところです。

PWG DVD
「PRINCE プリンス」(2016年5月20日カリフォルニア州リシーダ アメリカン・リージョン・ポスト#308)

1. “パーティー・ピーコック”ダルトン・キャッスル vs. アダム・コール
2. マイケル・エルガン vs. カマイタチ
3. マーティー・スカール vs. マーク・アンドリュース
4. トレバー・リー vs. アンドリュー・エベレット
5. クリス・ヒーロー vs. “ミスター・アスレティック“ジェフ・コブ
6. ドリュー・ギャロウェイ vs. マイケル・エルガン
7. ロドリック・ストロング vs. サミ・キャラハン

http://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds/pwg-dvd-prince.html

次は2月12日にロフト9で行われた、柳澤健さんの『1984年のUWF』出版記念イベントでの”あそこ行ってきた”編。『1984年のUWF』についての“これ読んだ”はじっくりと書いておきたいのでまた別の回で。アメリカのオールドファンにとってNWAやECWが特別な思い入れがあるように、日本の40代以上のファンにとってはUWFやFMWがそれに匹敵するものかと思います。
この日もチケットを売り切れにさせるだけの「俺のUWF」についてを語りたいであろう、40代以上のファンが会場を埋め尽くしました。
自分ももちろん連載時から読んでおり、これだけたくさんの「俺のUWF」があったんだなぁと改めて驚きましたね。自分のことを言うのなら、やはり山本隆司編集長がリーダーシップを発揮していた週刊プロレスの影響が大きく、後年長州選手が山本さんに言ったという「Uはお前なんだよ」という言葉がそのものズバリという感じでした。山本さんが創ったUWF幻想がそのままUWFの理念なのだと信じていたというか。

さて今回のイベントはこの本にも協力者として名前を連ねている正道会館宗師・石井和義さん(以後呼び親しんでいる石井館長と表記させていただきます)と柔術道場ストライプル代表の平直行さんのおふたりがゲストとして登壇してくれました。おふたりに共通するのは抜群の愛嬌というか、人たらしとも表現したくなるほどの人間的魅力ですね。これまでお話しをする機会はありませんでしたが、平さんとは初期シュート・ボクシングでの高野真澄選手との名勝負を観戦していたことが自慢のひとつです。石井館長については、以前マーク・ハントが優勝した時のK-1GP東京ドーム大会を取材したことがあり、たまたま石井館長のすぐ後ろを歩いていた時に、通路にいた人が全員ざーっと道を開けていったことが印象的でした。

平さん、石井館長の話はUWFの話だけにはとどまらず、おふたりの格闘技人生についても語られ、また違うテーマやそれこそ単独ででも聞かせてもらいたくなるエピソードの数々でした。石井館長が自虐的に脱税の話にも明るく触れるシーンもあったということで、このイベントの雰囲気の一端も感じられるのではないでしょうか。

これだけたくさんの「俺のUWF」がある以上、賛否両論となるのも不思議ではありません。著者の柳澤さんによれば、前田日明を貶(おとし)めて佐山サトルを持ち上げようといった意図ではなく、1984年にUWFマットで行われた佐山サトルによる試行錯誤のスタートがこれだけ大きいムーブメントになったということや、前田日明の視点でしか語られないでいたUWFの総括についてを再考するという意味での本である・・・と自分は解釈しています(違っていたらすいません)。
この本を読み、当時を思い出し、たくさんの書評やこういったイベントで話を聞き、友人と久しぶりにUWFについて語り合うことで、またそれぞれの「俺のUWF」が鮮明になっていけばいいのでは。そう思わせてくれるすばらしいイベントでした。

https://www.amazon.co.jp/dp/4163905944/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_rT.0ybJCZPTTD

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