K-1スーパー・フェザー級トーナメントで起きた男の大事なものを守るファウルカップ問題は今後協議されるべき問題だ

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 9月19日(月・祝)、東京・国立代々木競技場第二体育館でおこなわれた『K-1 WORLD GP 2016 IN JAPAN~スーパー・フェザー級世界最強決定トーナメント~』。

 2014年11月に新生K-1が旗揚げして以降、-55キロ、-60キロ、-65キロ、-70キロ、ヘビー級の5階級に区切られてきたが、今大会から-57.5キロ、-62.5キロ、-67.5キロの3階級を新設。
 階級名は、-55キロがスーパー・バンタム級、-57.5キロがフェザー級、-60キロがスーパー・フェザー級、-62.5キロがライト級、-65キロがスーパー・ライト級、-67.5キロがウェルター級、-70キロがスーパー・ウェルター級、ヘビー級は表記変更なしに決まった。

 各階級王者は、初代スーパー・バンタム級王者が武尊、第2代スーパー・フェザー級王者が卜部弘嵩、初代スーパー・ライト級王者がゲーオ・ウィラサクレック、初代スーパー・ウェルター級王者がマラット・グレゴリアンとなっている。
 階級が細分化されたことで、各選手は自分の適正体重で闘うことが、より可能となるわけで、年齢に応じた階級変更、複数階級制覇といった、これまでのK-1になかった見所も出てくるかもしれない。

 今回はかつて-60キロ級と呼ばれていたスーパー・フェザー級の世界トーナメント。結果は既報どおり、卜部功也の優勝だったわけだが、1回戦、準決勝はとにかく大雅が爆走。特に準決勝の卜部弘嵩戦では1Rに右フックでダウンを奪い、弘嵩は手を振ってダウンを否定したものの、その後の大雅の闘いぶりも自信がみなぎっていて、判定では完全に差をつけての完勝だった。
 優勝した卜部功也は、1回戦から優勝を意識した慎重なファイトで、絶対に自分の足に大きなダメージを残さぬよう勝ち上がってきた。今年4月、日本代表決定トーナメントの決勝で、大雅に判定負けした教訓は、しっかり活きていた。

 1回戦、卜部弘嵩とヨハネス・ウルフ(ドイツ)の試合で、問題が起こる。1R、弘嵩の左ローがウルフの下腹部の急所に入り、悶絶。審判団の声によると、どうもウルフは規定の金属製のファウルカップをしていなかったようだ。
 5分ほど休んで再開したが、弘嵩の左ローが入るとウルフは下腹部を押さえ、弘嵩には警告(注意2回相当)が与えられた。ビデオを見る限り、急所には当たっていないように見えたが、これは響いたとも考えられる。
 3R、残り5秒のところで弘嵩の左ローが、またしても急所に入り、苦しむウルフ。弘嵩にはイエローカードが出され、減点1が与えられた。
 それでも判定は弘嵩の3-0勝利だったが、判定を聞いてウルフは明らかに不満げな表情。コメントブースでは、「普通、一度やったら気をつけるものなの。だから2度目の時は意外だった。3回やって謝罪の言葉もない。アンフェアな試合だった。最初に入れられて、腰まで痛くなり、本来の素早い動きができなかった」と、ウルフは不満を隠さなかった。それにしても弘嵩が、狙ってわざとするはずはない。

 かつてのK-1では、大阪城ホールのメインでピーター・アーツとマイク・ベルナルドが対戦したとき、ベルナルドがファウルカップを母国に忘れて来て、日本人から借用して使用したのだが、本人のサイズと合わず、睾丸がファウルカップの外にはみでたまま試合をしたことがあった。そこにアーツの蹴りが入り、軽く入っただけなのにベルナルドが悶絶。あっという間に試合が終わってしまい、観客が怒り心頭に達したということがあった。

 このときベルナルドの片方の睾丸は、ソフトボール大に腫れあがってしまっていたという。

 格闘技をするうえで、男にはまったくやっかいなものが股間についているが、これだけはどうにもならない。痛さは、男なら誰でも知っている。

 ウルフがどんなファウルカップをしていたのか、原稿を書いている時点ではわからないのだが、選手サイドの責任なのか、審判団が試合出場前にチェックすべきだったのか、今後協議されるべき問題だろう。

(写真&文/ルポライター・安西伸一)

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