プロレスラーの妻から見たノンフィクション本『妻たちのプロレス』は令和の“活字プロレス”!力道山、ジャイアント馬場、藤波辰爾、葛西純らの妻だけが知る真実とは...
プロレスラーも人であり男である。
テレビドラマ『3年B組金八先生』の中で、「人という字はねぇ、ひとと、ひととが支えあっているから人なんですよ」という名言があるが、一人の男を一人の女がどのように支えて『プロレスラー』が立ち続けられていたのかが、この本『妻たちのプロレス』には書かれている。
著者であり報知新聞記者の福留崇広氏は「力道山、ジャイアント馬場、藤波辰爾、高山善廣、葛西純、剛竜馬…その妻たちの視線は、夫を通じて感じたリングであり闘いだった。
今回取材した中でも、“日本プロレス界の父”力道山の妻・田中敬子さんは、力道山との出会い、プロポーズ、ファーストキス、敬子さんの前で流した涙の秘密など、戦後最大のヒーローの妻だけが知る人間力道山の実像を明かしてくれました。
藤波辰爾の妻・伽織さんは、『名勝負数え唄』と評された長州力との抗争に隠された妻としての葛藤を初めて告白し、“帝王”高山善廣の妻・奈津子さんは、リング上の事故からリハビリに励む高山の希望と未来を明かし、デスマッチのカリスマと呼ばれる葛西純の妻・三知代さんは、画鋲や蛍光灯などで極限まで肉体を傷つける夫を支える血塗られた胸中を赤裸々に語っています」と、取材の中で触れた生々しい思いを語る。
さらに共同著者であり、元週刊プロレス編集長のターザン山本氏はこの本の中で、2018年に亡くなった馬場元子さんと1999年に亡くなったジャイアント馬場さんへ独自の方法で行った取材原稿を寄稿した。
ターザン山本氏の感情を揺さぶる“活字プロレス”と、福留氏の新聞記者として綿密な取材をもとに構成された誰も知り得なかったプロレス界の真実。
223Pほどの本に込められた昭和から平成、令和へと続いてきた日本プロレスの歴史が、ノンフィクションのドラマとして強烈に描かれていた。
河出書房新社から出版された『妻たちのプロレス』は、新型コロナウイルスの影響で発売までに時間を要したという。しかし、妻たちが語った「とにかく生きなくちゃ。生きてさえいればなんとかなる」という言葉、その言葉に込められた思いが出版への後押しとなった。
新型コロナの影響もあり、通常の本屋だけでなくAmazonなどのネットショップでも購入できる本書。プロレスに支えられた、勇気づけられた事がある人には“この思いを受け取って欲しい”と思わせる一冊だ。