【試合詳細】11・17 DEEP&PANCRASE大阪大会 前田吉朗vsペイヨングサック 川原波輝vs潤鎮魂歌 赤尾 セイジvs城田和秀 

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『DEEP & PANCRASE 大阪大会』
日程:2019年11月17日(日)
開始:14:00
会場:大阪国際交流センター大ホール
観衆:1056人(満員)

[DEEPプレリミナリ―ファイト]
▼フライ級5分2R
○金森功祐(総合格闘技道場コブラ会)
1R 2分27秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●杉岡 永輝亜(ブラザーフッドteamKZT)

▼第1試合 パンクラス公式戦 フライ級3分3R
●井上暉也(パラエストラ加古川)
1R 0分21秒、チョークスリーパー
○長屋正悟(パンクラス大阪稲垣組)

▼第2試合 DEEP公式戦 ストロー級5分2R
●いちょう“Snufkin”ともなが(総合格闘技道場コブラ会)
判定0-3
○ふじい☆ペリー(総合格闘技道場BURST)

▼第3試合 パンクラス公式戦 バンタム級3分3R
●中村公彦(総合格闘技闇愚羅)
判定0-3
○修我(総合格闘技スタジオSTYLE)

▼第4試合 DEEP公式戦 ライト級5分2R
○木村俊也(BLOWS)
1R 2分18秒、TKO(右フック→レフェリーストップ)
●網藤雄太(スパーク)

▼第5試合 パンクラス公式戦 バンタム級3分3R
○増田拓真(総合格闘技道場reliable)
3R 2分21秒、チョークスリーパー
●田中ハヤトスネ夫(ASH)

▼第6試合 DEEP公式戦 フライ級5分2R
●藤田健吾(総合格闘技道場reliable)
判定0-3
○西村大地(BLOWS)

▼第7試合 パンクラス公式戦 フェザー級3分3R
●キャプテン禎(修斗GYMS直心会)
3R 2分29秒、TKO(パウンド→レフェリーストップ)
○堂園 悠(修和館)

▼第8試合 DEEP公式戦 フェザー級5分2R
●ハンセン玲雄(総合格闘技道場reliable)
判定0-3
○井上雄斗(パラエストラ加古川)

▼第9試合 パンクラス公式戦 フェザー級3分3R
○中村晃司(パンクラス大阪稲垣組)
判定3-0
●冨田翔市(パラエストラ東大阪)

▼第10試合 DEEP公式戦 ライト級5分2R
●泉 彰洋(BLOWS)
判定0-3
○小川道的(柔術兄弟/ALIVE伊勢支部)

▼第11試合 パンクラス公式戦 バンタム級3分3R
○平田丈二(総合格闘技闇愚羅)
判定3-0
●瀧口脩生(総合格闘技スタジオSTYLE)

▼第12試合 DEEP公式戦 ウェルター級5分2R
●中尾 受太郎(中尾受太郎総合格闘技スクール)
2R 3分20秒、TKO(左目下負傷→ドクターストップ)
○嶋田伊吹(Fight-Holic)

▼第13試合 パンクラス公式戦 バンタム級5分3R
●土肥 潤(総合格闘技道場MIBURO)
判定1-2
○三村 亘(パンクラス大阪稲垣組)

▼第14試合 セミファイナル DEEP公式戦 バンタム級5分3R
○赤尾 セイジ(パラエストラ東大阪)
判定3-0
●城田和秀(NEXUSENSE)

▼第15試合 ダブルメインイベント DEEP公式戦 ストロー級5分3R
○川原波輝(フリー)
1R 1分54秒、TKO(パウンド→レフェリーストップ)
●潤 鎮魂歌(HARVEST)

▼第16試合 ダブルメインイベント パンクラス公式戦 フライ級5分3R
○前田吉朗(パンクラス大阪稲垣組)
1R 3分18秒、チョークスリーパー
●ペイヨングサック(Tarnthong Gym)

PANCRASE&DEEPが大阪で2度目の合同大会を開催!前田吉朗が12年ぶりのパンクラス参戦で一本勝ちの快勝!

第1試合


 1R。井上のタックルを切り、組み付いた長屋。素早くバックに回り、スリーパーへ。そのまま極まり、秒殺勝利。

第2試合


 1R。お互い距離を取る。ふじいのパンチを潜り、片足を取ったいちょう。胴を抱えて引き込、ボディを殴る。ふじいが鉄槌から返してハーフマウント。腕を狙ういちょう。ふじいが腕を抜いて終了。

 2R。ふじいが組みついてテイクダウン。しかし、いちょうは首を取っている。頭を抜いたふじいは一旦立ちかぶさる。いちょうは三角を狙う。上体を起こし、極めさせないふじい。諦めず頭を惹きつけるいちょう。
 頭を抜いたふじい。バックに回り殴って終了。
 ジャッジは19-19マスト判定ふじい、二者が20-18でふじい。3-0でふじいが勝利。

第3試合


 1R。パンチ、ローで積極的に攻める修我。なかなか手が出せない中村。飛び込むが、修我が受け止めてケージへ押し込む。入れ替えたい中村をがぶった修我。中村はケージへ押していき、投げて尻もちをつかせるが、修我はすぐに立つ。再びケージへ押す中村。逃げた修我を追ってパンチ。

 2R。お互いパンチ。中村が飛び込もうとするが、修我は蹴りで中に入れない。
中村は片足を取り、ケージへ押し込む。残り1分で立った修我。中村は正対してケージへ押し込むが、振りほどいた修我はパンチ、蹴りを入れる。しかし、粘り強く組みつき、ケージへ押し込む中村。修我が殴って終了。

 3R。修我が左パンチ。フェイントからロー。笑って「来い!」のジェスチャーで中村を挑発する。中村がタックルに入るが、これを切った修我はパンチで攻め込む。組みつく中村。ケージへ押し込む。
 修我が離れると、中村はパンチからタックル。切られたが、諦めずケージへ押していく中村。修我は投げつけて殴る。中村が立ってケージへ押し込んだところで終了。
 ジャッジは二者29-28、1人が30-27、3-0で修我が勝利。

第4試合


 お互いハイキックを見せプレッシャーをかける。ローからパンチで出た網藤だが、木村が力強いパンチで圧をかけていき、右フックがヒット! 網藤が倒れ、レフェリーが止めた。

第5試合


 1R。増田のローをもらい、よろける田中。さらにローをもらい、効いている。しかし、田中は崩れつつも組みつき、ケージへ押し込む。ヒザを入れ合うがブレイク。
 離れて増田が飛び膝を見せるが、これは不発。田中が片足を取りケージへ押すが、増田は殴って入れ替え、ヒザを連打して終了。

 2R。田中がタックル。切られそうになるが、片足を捉える。増田がバックに回るが、これ以上攻めない。一旦立ってかぶさり、殴る。田中は蹴り上げ、側頭部に掌底。増田は立ち、再びかぶさって殴る。ボディを殴る増田。田中が頭を引きつけるが、残り30秒で田中が外して終了。

 3R。前に出る田中。増田がパンチから上に。しかし、殴って立つ。田中も立ち、タックルへ。がぶる増田。さらにバックに回り、チョーク! ガッチリ決まり、レフェリーが止めた。

第6試合


 1R。藤田が飛び膝。西村は受け止めてケージへ。入れ替えて逃げる藤田だが、西村がテイクダウン! 藤田が立つと、西村も離れてパンチ。再びケージへ。逃げる藤田を投げ、尻餅をつかせる。しかし、藤田はたち、逆にケージへ押し込む。引っこ抜いてテイクダウン。サイドポジションからバックに回り、首を狙うが、西村が返して上に。ケージへ押したところで終了。

 2R。ローが相打ちに。前にでる西村。藤田は距離を詰めてパンチを出すが、西村がケージへ。西村がサイドから押さえ込み、立たせない。なんとか立ちたい藤田は殴り、ヒジを打つが、脱出できない。藤田が立ちそうになったところを西村が後ろへ投げ、上になって終了。
 ジャッジは1人が19-19、マスト判定西村、二者が18-20、3-0で西村が勝利。

第7試合


 1R。堂園がバックスピンキック。プレッシャーをかけながらパンチで前に出て行く。キャプテンもパンチ、ロー。堂園がパンチを振って行くが、鼻から出血している。さらにバックスピン。最後は見合って終了。

 2R。開始すぐに飛び込んで行く堂園。組もうとしたキャプテンを潰してパンチ連打。さらにケージへ押し込む。キャプテンは座った状態で入れ替え、ケージへ押すが、堂園がさらに入れ替える。お互い立つと、堂園は距離を取り、飛び込んでパンチ。キャプテンもパンチを返すが、堂園が押し込む。キャプテンは立ち、パンチを振る。疲れの見える堂園だが、パンチを出して終了。

 3R。プレッシャーをかける堂園。ハイキック。キャプテンはローで攻める。堂園がバックハンド。キャプテンは左右ジャブ、ローで押していく。やや動きの止まった堂園に、キャプテンがパンチ。効いた! 追い詰められ、堂園から余裕の表情が消える。しかし、堂園のパンチでキャプテンがダウン! 堂園がカバーに入ると、レフェリーが止めた。

第8試合


 1R。お互いにロー、ミドルで様子を見る。井上が右ハイキック。ハンセンは前に出てパンチを打ち込む。井上は、プレッシャーをかけ一気に出てケージへ押し込み、ヒザ連打! ハンセンは返したいが、井上はケージに押し付けて動かせない。
 ブレイクがかかり、パンチで出たハンセンを捉えた井上がケージへ。投げるが、ハンセンは立ってケージへ押し込む。井上が入れ替えてヒザを打ち込み終了。

 2R。パンチで出たハンセンを井上が受け止めてテイクダウン。ケージ際でハーフマウントに。ハンセンは立つが、井上は離さず、投げて上に。下から殴り、ヒジを入れるハンセン。立ってケージへ押し込むが、井上が入れ替えた。残り1分。井上が投げてテイクダウン。鉄槌を落とす。お互い殴って終了。
 ジャッジは三者20-18で井上が勝利。

第9試合


 「稲垣組のホームラン王」こと中村は、2009年パンクラスデビュー。柔道をバックボーンとしながら、得意技はハイキックという型破りなファイターだ。海外でも闘い、ROAD FC13(2013年10月)では、DEEPやHEATでも活躍した韓国の英雄クォン・アソルを左ハイキックでマットに沈めている。

 対する冨田は、地元・三重県で格闘技を始め、現在は大阪を拠点に活動。2018年よりパンクラスに参戦し、2戦目で東京にスピード進出を果たした。今年7月には、大阪でDARANI DATEに勝利している。
 一緒に練習をしたこともあるという両者。手の内を知り尽くしている者同士、どう闘うのか。

 1R、組みたい冨田だが、中村は付き合わず、ハイキック、ミドルなど足を使っていく。

 2Rでは蹴り足を取られ、ケージに押し込まれた中村だが、逆にテイクダウン。ハーフマウントを取って終了。

 3R、組みつく冨田をパンチで振り切った中村。ハイキックからなんと首を取りに行く。なんとかしのぎ、組みつく冨田だが、ケージへ押したところでヒザがローブローとなってしまう。
 再開後、冨田は最後の力を振り絞りパンチで出るが、中村がしのいで終了。
 ジャッジは30-27、29-28、30-27と大差をつけて中村が勝利。4連敗を止めた。

 以前は得意のハイキックにこだわり、取りこぼすようなことも見られた中村が、この試合では、1つのことにこだわらず、勝つために必要なことをその場に応じて出し、ヤンチャな暴れん坊から大人の試合運びを見せた。
 仕事の出張先でも出稽古できる道場を探すほど、練習熱心な中村。また、海外でも試合をし、様々な経験をしてきた。もともと引き出しは沢山あるのだ。今回は、これまでの良いところが出たのではないだろうか。
 2009年にデビューした中村は、今年でプロ10年目を迎えた。10年経った今でも、何かやってくれそうな、華のあるオーラは変わっていない。今後がますます楽しみになる一戦だった。

中村 試合後コメント
「稲垣組が全勝できたことが一番嬉しいです。なかなかできないことなんで。後輩たちも、しっかり吉朗さんに繋いでくれました。
 試合前にミーティングをしていて、闘うだけだったら稲垣組のスタイルじゃない、とりあえずゴツゴツ勝つこと、ガンガン行こうと話しました。自分の出来ることをしっかり出そうと思って臨んだ試合でした。

 もっと行きたかったですけど、取りきれなかったところもありました。冨田選手とは一緒に練習したこともあるので、(試合を)受けてくれるかなと思ったら、是非と言ってくれました。まだちょっと世代交代はできないですね(笑)。
 今回はグラップラー相手に、しっかり取りたいと思っていました。ダース(チョーク)は得意なんです。練習して取ったことがありましたし、うまいこと行きましたね。
 お互い、手の内が分かっているので、対策はしてありました。でも、わかっていても(一本)取れるくらいにせんとあかんのですけど。
 仲間同士で試合をするのは嫌ですけど、同じ階級だったら、いつかあたるのは仕方ないです。お互いノリノリでやりたいというわけではなかったと思います。

 稲垣組の中でも古株になってきて、年齢的にも上なので、しっかりビシッとしないといけない。吉朗さんが締めてくれるからと、吉朗さんばかり頼ったらあかんと分かっているけど、吉朗さんはやっぱり大きな存在。しっかり引っ張ってくれるアニキですね。
 吉朗さんと同じ大会に出られる機会はなかなかない。今後もないかも、そういう意識はありました。自分も先輩として、吉朗さんにしっかりバトンを渡したいと思っていました。

第10試合


 泉は2009年からアマチュア修斗にチャレンジし続け、2014年修斗ウェルター級新人王を獲得。修斗を主戦場としてきたが、今回はDEEPに初参戦。

 一方、小川は柔術をバックボーンとし、キックの経験も持つ。HEAT、パンクラスにも参戦し、今年4月のDEEP大阪大会では網藤雄太を腕十字で破っている。

 1R、お互いに距離を測り合う。パンチで出る小川に対し、泉が残り1分でテイクダウン。小川もケージへ押し込むが、お互い決め手なく終了。

 2Rでは泉もパンチを振ってくるが、小川が組みつき、テイクダウンぎりぎりの攻防。残り1分で小川がテイクダウンし、鉄槌で立たせず終了。
 ジャッジは三者ともに19-19、マスト判定で小川を支持。小川が紙一重の攻防を制した。

第11試合


 平田は2015年よりパンクラスに参戦。3連敗を喫していたが、昨年12月の大阪大会でメインに抜擢。河村泰博を判定で破り、連敗を止めるとともに、地元の期待に応えた。

 瀧口は昨年12月にパンクラス初参戦。ここまでの戦績は1勝1敗だ。最激戦区・バンタム級で頭ひとつ抜け出すのはどちらか。

 1R、フェイントをかけながら打撃を仕掛ける瀧口に対し、平田は静かに相手を見据える。中盤、瀧口にパンチを効かされるが、投げて上に。瀧口は、立って前に出てくるが、平田は付き合わない。

 2R。瀧口は平田の蹴り足を取るがテイクダウン出来ず。残り1分で平田がテイクダウン、パンチを落としてマウントへ。残り30秒でリバースした瀧口だが、がぶった体勢から平田の頭部にヒザを入れてしまう。瀧口にイエローカード。

 3R。一本取るかKOしかない瀧口。組まれても立ち上がるが、平田は引き込んで立たせない。残り20秒で立った瀧口だが、ケージへ押し込まれて終了。
 ジャッジは三者29-27、一人が30-26で平田を支持。平田が苦しい闘いを制した。

第12試合


 柔道をバックボーンに持つ中尾は、1996年修斗でプロデビュー。UFCにも参戦経験を持ち、2004年よりDEEPを主戦場に移し、初代ウェルター級王座を獲得した。49歳にして闘い続け、DEEPの顔ともなっている。

 元谷友貴のスパーリングパートナーを務める嶋田は、RIZIN FF アマチュアMMAウェルター級で2016年・2017年と連続優勝、WARDOGでも2勝を収める。DEEPには2018年10月に初参戦し、現在2勝1敗。生けるレジェンドにどう挑むか。

 1R、ロー、ミドルで攻める嶋田。中尾はじわじわと前に出ながらプレッシャーをかけていく。右パンチからケージへ追い詰めるが、嶋田は距離を取る。残り1分で一気にパンチ、ハイキック、ローと攻め込む嶋田。中尾はデイフェンスして終了。
 2R。左頰のあたりが腫れている中尾。嶋田のパンチが効いているようだが、パンチで仕掛けていき、組む。嶋田はヒザを入れて離れ、ジャブがヒット! 中尾がダウン。パウンドを落とす嶋田。残り2分でタイムストップがかかり、中尾がドクターチェックを受ける。
 左目が青黒く腫れている中尾。チェックの結果、続行不可能としてドクターストップに。嶋田が大ベテランから勝利をもぎ取った。

第13試合


 「聖帝」「大阪の壁」と呼ばれ、若手選手の前に立ちはだかる土肥。東京大会にも出場経験があり、無表情と独特の雰囲気でインパクトを残した。

 「お祭り男」こと三村は、若手の斬り込み隊長として大阪大会を盛り上げる。
両者は、ともに今年7月のパンクラス大阪大会に出場しており、セミファイナルで土肥が瀧口脩生を、メインイベントで三村が獅庵を破っている。

 1R。いきなり走った三村がケージへ押し込む。土肥はこらえ、ギロチンを狙う。絞めていくが、三村は外してパンチ。土肥が引き込み、返して上に。しかし三村がひっくり返した! さらに土肥が返し、会場から拍手が起こる。
 三村は下から頭を惹きつける。ヒジを落とす土肥は逃さない。残り30秒で三村が立ち、ケージへ押し込む。
 ジャッジは三者10-9で三村。

 2R。三村はパンチで出てそのままタックル、テイクダウン。しかし、土肥がバックを取りチョークを狙う。三村が反転して上になるが、土肥は下から足を取る。三村が殴り、ハーフからマウントへ。さらにバックに回る。しかし、土肥が上を取り返し、パウンドを落として終了。
 ジャッジは二者10-9で三村、1人が10-9土肥。

 3R。三村が左右パンチ。土肥はタックルからテイクダウン、ハーフマウント。さらにサイドに移行すると、擦るようなヒジ。土肥はガッチリ固め、最後までヒジとパウンドを打ち続けた。
 ジャッジは二者29-28三村、1人が29-28土肥。三村が「大阪の壁」の牙城を崩した。

三村 ケージ上コメント
「稲垣組の三村亘です。今日はありがとうございました。自分も大阪でキャリアを重ねてきました。大阪では壁と言われる土肥選手を追い込みました。ヤベェところもありましたが、素晴らしい仲間のおかげで持ち直しました。ヤベェをスゲェに変えないと、格闘家なんてやってられない。なんとか凌げたので、次のステージ、東京でもやりたいです。何か伝えられる試合が出来ると思います。これからも応援お願いします」

第14試合


 DEEP、HEATで活躍し、HEATでは第3代バンタム級王者となった赤尾。今年4月のDEEP大阪大会では、瀧口脩生に判定勝ちを収めたが、続く7月のHEATでは春日井たけしにチョークスリーパーで敗れ、ベルトを失っている。

 対する城田は2015年よりDEEPに参戦中。今年5月、KENにフロントチョークで一本勝ちを収め3連勝したが、9月大会では遠藤大賀に判定負け。ともに再起戦となる。

 1R。赤尾が右パンチからタックル、テイクダウン。ケージ際で尻もちをつかせる。さらに背中をつかせ、ヒジ、パウンド。ハーフマウントになり、パウンド連打。返せない城田。残り2分。赤尾はどんどん削っていくが、ここで城田が仰向けから起き上がり突き放した! しかし、残りは30秒。パンチから組んだ赤尾がケージへ押し込んで終了。

 2R。城田がパンチからタックル、テイクダウン。赤尾は立つが、城田はバックをとっている。赤尾は殴りながらケージを利用し立つと、投げてテイクダウン。サイドになりヒジ。しかし、城田がバックを取る。赤尾は立ち、組んでケージへ押し込むと、城田がゆっくり入れ替える。さらに赤尾が入れ替えたところで終了。

 3R。パンチから赤尾が組み、ケージ際でテイクダウン。ヒジ、鉄槌を落とす。動けない城田。赤尾が肩固めを狙いながらマウント! さらにサイドから素早くバックへ。赤尾はバックマウントから殴っていく、城田は亀に。赤尾が殴り続けて終了。
 ジャッジは三者ともに30-27で赤尾が判定勝利。

赤尾 ケージ上コメント
「10月に35歳になりましたが、DEEPのベルトを獲ることもRIZINに出ることも諦めていません。このオッサンがどこまでやれるか見てください。来年3月でお世話になったパラエストラ東大阪を離れて、ジムを始めます。教えて欲しい人は入会してください」

第15試合


 空手をバックボーンとし、22歳でMMAを始めた川原。DEEPには2016年3月大阪大会に初参戦、いちょう"Snufkin"ともながを、わずか16秒でKO。鮮烈なデビューを果たした。ここ2年はチーム・アルファメールでトレーニングを積み、自信と実力をつけている。

 潤鎮魂歌は、2015年12月、パンクラス参戦。2016年10月にはジャレッド・“スパイダー・モンキー”ブルックスと対戦しKO負け。その後、2年半の欠場期間を経て、今年4月、大阪でDEEPに初参戦。永井美自戒に勝利している。

 1R。潤がジャブ。川原はうまく入ってボディブロー。潤がスリップすると、川原は「立て」のジェスチャー。
 潤が長い距離のタックルから尻もちをつかせる。ゆっくり寝かせるが、川原はケージを蹴り、飛び上がるように立つ。スタンドに戻り、川原が蹴りをたたき込むと、潤がダウン! 川原がパウンドに入るとレフェリーが止めた。

川原 ケージ上コメント
「闘ってくれた潤鎮魂歌選手、ありがとうございました。一所懸命、練習してきました。どっちが勝ってもおかしくない試合だったと思いますが、僕は結果でしか恩返しができません。勝ててよかったです、ありがとうございました。
 大晦日、諦めていません。あるんじゃないかと思っています。今から体重を落として待っています。僕は世界を目指しています」

川原 試合後コメント
「ここに来るまで、しっかり仕上げてきました。試合が決まってから作るんじゃなくて、普段から作っています。今日は倒す自信がありました。1Rで倒すvs の目標にやってきました。

 世界を目指せる選手になってきているんじゃないかと思います。この階級では、自分が世界一打撃が強いと思っています。なので、自分に必要なのは寝技とレスリング。勝手な思いかも知れませんが、自分は世界でも闘えると思っています。
 相手は寝技が強いので、対策して練習してきました。お互いのウィークポイントを見て、自分は引き込みの寝技を柴田モンキー有哉と毎朝やりました。全て対策はやってきたと思います。
 倒し切るのが自分のスタイルです。お客さんが求めているのはKO。そこを意識して闘いました。

 海外での練習は、レスリングと寝技が中心です。今年3月、DEEP88では、越智さんにパンチを当てましたが、寝技やレスリングでは制されていました。そこで勝負できる選手になれば、立っても寝ても負けません。打撃は海外でも通用しているので、あとは寝技とレスリング、そして身体作りですね。来年からはアルファメールに拠点を置いて練習します。

 僕は世界一が獲りたいし、獲れると思っています。大晦日は、越智(晴雄)選手とジャレッド(・ブルックス)選手が世界一を決める感じですけど、自分も負けないです。レスリングで対抗できたら、あの2人は打撃では僕に勝てません。
 僕はMMAで食って行きます。そして、MMAで食って行けるんだと少年たちに示して行きたい。今日は、その覚悟が出た試合だと思っています。
 このレベルの選手との差は明白だと思いますが、また越智選手ともやりたいし、UFCにはストロー級がないのでONE(Championship)にも行きたい。自分はこれで死ぬという覚悟でやっています。誰が僕を使ってくれるのか分かりませんが、使ってくれたら、しっかり仕事をして後悔させません」

第16試合


 2003年NBTフェザー級優勝、初代フェザー級KOP、第3代DEEPバンタム級王者と、輝かしい戦績を誇るサムライ・前田吉朗が、古巣のパンクラスに帰ってきた!
 パンクラスでの公式戦は、なんと12年ぶりとなる。パンクラス、PRIDE、DREAM、WEC、戦極と名だたる団体を渡り歩いた強者は、まさに格闘技界の現役レジェンドだ。2014年以降は修斗に闘いの場を移し、トップランカーとして活躍中。今年1月、修斗で清水清隆にKO負けを喫したが、6月の大阪大会では内藤頌貴にスプリット判定勝ちを収めた。

 対するペイヨングサックは、MMA1勝1敗。2015年、WARDOGで松浪孝芳に腕十字で一本勝ちを収めている。その後、ローカル団体で腕を磨き成長しているという。

 1R、プレッシャーをかける前田。入ってボディを狙う。さらに、前に出てパンチを打ち込む前田。ペイヨングサックもパンチを返し、さらにハイキック。距離を取り、ボディを狙う前田。前田もハイキック。しかし、ペイヨングサックのパンチがやや効いたか。
 だが、前田がタックルからテイクダウン! 鉄槌を落とし、サイドに移行。ヒジ連打! 亀の状態から立とうとするペイヨングサックだが、前田はそのまま背中に乗り、殴る。ヒジを入れ、そのままチョークスリーパーへ。ガッチリ極まり、ペイヨングサックがタップ!

 前田 ケージ上コメント
「12年と何ヶ月ぶりかですか。ただいまー! ありがとう! 12年ぶりに帰ってきて、稲垣組が全員勝ちました。皆さんの応援のおかげです。
とにかく、稲垣組はムチャクチャして頑張ります! 次は金太郎が勝ちます!」

前田 試合後コメント
「本当は、すんなり勝っちゃうのは好きじゃないんですよ。こっちも1回くらいダウンして、血ぐらい流してドキドキさせて。その方が盛り上がる。ウルトラマンだってそうでしょ。ちょっと負けてるところがあって、ハラハラさせて最後に勝つ。自分が見たいのは圧倒劇じゃないんです。試合がちゃんと物語になっているのが好きなんですよ。
 試合前に(お互いに)なんかあったりしながら、相手の力を引き出して、その上の力で勝つ。『7の相手に9の力を出させて10の力で勝つ』というやつですね。格闘技は潰し合いですけど、痛みも分け合って勝つ、そういうのがいい。昨日映画の『ターミネーター』を観たんですけど、いつ見ても好きですね。

 相手の情報はなさ過ぎで、僕からしたら、すごいイヤな試合でした。『前田を勝たせるための咬ませ犬だろう』、そういうのもイヤでしたし。
 僕のタックルを防げないという時点でトップ選手ではないけど、僕も長いことやっているので引き出しはありますから。でも、相手のことが分からな過ぎるから余裕はなかったです。すぐタックルに行った時点で、ゆとりはなかったですね。バックにつくまでは、自分(に有利な)の試合という意識はなかったです。サイドについて少し安心しましたけど、立たれるかなと思いました。でも、あそこで立つのが今の格闘技なんですよね。

 12年ぶりの『I’ll be back!』ですよ。今回はパンクラス大阪が仕切ってますけど、とにかく自分が盛り上げないと、と。ただ勝つだけでは物足りない。『12年ぶりでランカーでもないのに、なんでメインなんだ』と言われるだろうと思ったら、誰も言わない。中にはそう思ってる人もいるかも知れんけど。
 でも、エースはいるけど、“役者”はいないんですよ。今回、稲垣組が全員勝って嬉しいですけど、欲を言うと、もっと稲垣組の可能性というか爆発力を見せて欲しかったです。勝ったら100点がもらえるとしたら、僕は50点でいい。点数よりも、語り草になるような試合がしたい。『あの時、あいつのあの試合は良かったな』と、ずっと言われるような試合がしたいんです。でも、それは、僕がここに立っている以上無理。別のベクトルじゃないと無理でしょうね。

 稲垣組も、もう4期生、5期生の時代になっています。そういう子たちに生き様を見せつけたいです。
 特別なことは何もしていない。誰にも頼まれていない。自分がやりたい、自分が格闘技が好きなだけ。この環境も、ここに携わる人たちも好き過ぎて、ここにずっといます。次の場所に行けないんです(笑)。

 来年の主戦場ですか? うーん。
(でも、現在、修斗の世界ランキング1位ですね)そうですね。ベルトを獲りたいのもありますけど、チャンピオン(扇久保博正)は忙しいみたいですし。自分は日常的に闘いたい。闘うことでしか見せられない背中があるし、闘うことでしか行けない未来があると思っています」

 大阪で初めてDEEPとパンクラスの合同大会が行われたのは、2017年12月24日だった。「PANCRASE VS DEEP」と題され、パンクラス公式戦、DEEP公式戦のほか、4対4の対抗戦が盛り込まれ、対抗という図式を打ち出したものだった。
 あれから約2年。2度目の合同大会は、対抗戦ではなく、それぞれの公式戦を行う形に。しかし、よく見ると、参戦選手は大阪のDEEP、パンクラス両方でおなじみの選手が多い。
 そう、大阪の若手選手たちは、“二つのふるさと”を持っているのだ。
 20年前、別の団体に上がるには相当な覚悟が必要だった。「ここには二度と戻れない」、それくらいの気持ちがなければ考えられなかったし、実際に移れなかった。
 現在の格闘技界はそこまでの状況ではなく、別の団体への参戦のハードルはかなり低くなっている。とはいえ、自由に行き来できるわけではないので、それを考えれば、大阪の若手選手はかなり恵まれた状況にいると言ってもいいのではないだろうか。今後、東京を目指し、さらに世界を目指すのであれば、1試合でも多くやりたいのは当然だし、団体ごとに違うルールにフィットして闘える能力も必要だからだ。また、両団体で闘う中で、何が自分に向いているのか、どう闘って行きたいのかを見極めることもできるだろう。
 近年、大阪から東京へ進出する選手が増えている。さらに多くの選手が続き、世界レベルの選手となってふるさとに凱旋してくれることを期待したい。

 また、今大会では、前田吉朗の12年ぶりのパンクラスでの試合が大きな話題となった。地元、古巣、ベテラン、二冠王、ランカー、稲垣組のトップ……数えきれないほどのプレッシャーを背負い、絶対に負けられない中、前田は見事な一本勝ちを見せた。
 稲垣組所属の選手全勝という結果だったが、めでたしめでたしとは言っていられない。試合に勝っただけでは「勝ち」ではないからだ。そして、それが稲垣組スピリットだからだ。
 周りの人に感謝することはもちろん大切だ。応援してくれる人を喜ばせるのも、当たり前のこと。でも、それだけでは足りない。
 格闘技を知らない人をも興奮させ、自分のことを知らない人も引き込むのが真のプロだ。そのやり方は人それぞれだけれど、それが出来る者こそ、ケージの中で輝けるのだ。前田の見せた後ろ姿を心に刻み、さらに強くて「濃い」チームに成長して欲しい。

(写真・文/佐佐木 澪)

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