左ヒザ十字靱帯断裂&半月板損傷から4か月…松本浩代のいま[前編]
取材・文/佐瀬順一
12月4日、OZアカデミーの東京・後楽園ホール大会で、女子プロレスラーの中川ともかが国内引退試合を行った。中川は小柄ながら「唸れ豪腕」と名付けたスライディング・ラリアットと、スクールボーイからさらに自身が半回転加える丸め込み技「120%スクールボーイ」を武器にバイプレイヤーとして活躍した。
中川は2007年にKAIENAI DOJOを退団したあと、事実上フリーとして様々な団体に参戦していたが、選手のマネジメントと興行のプロモートを行う「エスオベーション」に所属していた。
このエスオベーションに所属しているもう一人の選手が松本浩代だ。小柄で職人肌、バイプレイヤー向きな中川に比べ、松本は身体も大きいし、パワーや突進力もある選手。そういう点で中川とはバランスの取れたタッグチームだが、普段はお互い別々の団体に参戦することが多かった。
しかし2人とも主戦場にしていたOZアカデミーではタッグを組む機会も多く、松本&中川組は三回もタッグチャンピオンになっている。また、OZアカデミーではアジャ・コングが“親方”を務める「ジャングル・ジャック21」に2人とも所属。中川が国内引退試合を行うリングにOZアカデミーを選んだ時点では、当然松本も試合に出て華を添えるものだと思っていた……
2014年を勝負の年と考えて…
松本のことを今年の6月に取材をした際、今年2014年は勝負の年だと語っていた。シングルの大きな勲章を獲るため、これまでのZERO1道場でのプロレスの練習に加えてパンクラス道場で“強くなるため”の練習をするようになった。
しかも松本が道場で練習をしていることを耳にした鈴木みのるが、休憩も手加減も一切なしでみっちり1時間、スパーリングをしてくれたという。鈴木みのるを“体感”した松本は「鈴木さんは絶対に裏切らない人ですよね。ついていきたいって思う人だし、その背中を見て育っている人たちもすごく信頼できるし、私もレスラーとしてはもちろん、人としてそうなりたいって思える人」と語った。
「この人を信じて練習すれば、きっと強くなれるはずだ」という確信を持った松本だけに、絶対的な強さを手に入れて、女子プロレス界のトップに立つのは時間の問題と思われた。しかし今年8月7日、練習中に左ヒザをケガしてしまう。
3日後、スターダム後楽園ホール大会で、当時保持していたアーティスト・オブ・スターダムの防衛戦と、負けたら「たわしーず」(=松本が脇澤美穂、岩谷麻優と結成したユニット)の解散がかかった大事な一戦を控えていた松本は、ケガのことを隠して試合に強行出場。しかし、結果的には試合に敗れ、王座から陥落。ユニットも解散となった。
左ヒザ十字靱帯断裂&半月板損傷
さらにケガした箇所を検査した結果、左ヒザ十字靱帯断裂&半月板損傷という予想以上に重傷だったことが判明。前十字靱帯断裂はスポーツ選手にとって致命傷になりかねないケガ。手術をしても元の状態に戻るという保証はなく、復帰するにも最低でも半年はかかると言われている。
約4か月後の12月には盟友・中川の国内引退試合が控えている。中川と保持しているOZのタッグのベルトの防衛戦もある。まさに「これから!」というタイミングでケガをしてしまった松本だが、この時点ではハッキリ言って他人のことを考えている場合ではなく、自分自身が引退も含めて今後どうしたらいいのかを考えなければいけない状況だった。【後編につづく】
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1985年11月6日、神奈川県平塚市出身。2006年7月、新宿FACEでの小林華子戦でデビュー。息吹、プロレスリングWAVE、アイスリボン、NEO、センダイガールズなどに参戦。
2008年1月にOZアカデミーでアジャ・コング、AKINO、輝優優と「ジャングル・ジャック21」を結成。のちに同じエスオベーションの中川ともかも加入。
2011年からはスターダム、2012年から我闘雲舞にも参戦するようになる一方、SHIMMERなど海外の団体にも積極的に参戦。
主なタイトル歴はJWP認定ジュニア王座&POP王座、OZアカデミー認定タッグ王座、NEO認定タッグ王座、SHIMMERタッグ王座、アーティスト・オブ・スターダム王座、アイアンマンヘビーメタル級王座など