【インタビュー】村田諒太がメイウェザーvsマクレガー戦についての見解を語る!「メイウェザーが中盤ノックアウト勝ちかTKO勝ち。しなきゃダメでしょ」
スポーツのライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」は、2017年8月27日(日)に開かれる、無敵の元ボクシング5階級王者フロイド・メイウェザーとUFC(Ultimate Fighting Championship)の2階級王座コナー・マクレガーによる世紀の一戦を、LIVEにて独占放送する。放送開始は8月27日午前10時(日本時間)を予定。
このビッグカードを前に、ロンドンオリンピックミドル級金メダリストでプロボクサーの村田諒太がこの一戦についての見解を語った。
――メイウェザー選手VSマクレガー選手の試合が決まった感想について教えてください
「間違いなく格闘技界全体が盛り上がる試合になると思いますので、個人的には非常にウェルカムというか、嬉しいニュースですよね」
――村田選手の勝敗予測は
「メイウェザーが中盤ノックアウト勝ち。もしくはTKO勝ち。しなきゃダメでしょ」
――どんな試合展開が予測できますか
「序盤マクレガーがラフなパンチで攻めに行って、そこはメイウェザーが受けに回って、そのあたり1ラウンド、2ラウンドで『オオーッ!』という感じがあるものの、パンチを見切ったメイウェザーがパンチを次々と当て始め、中盤ノックアウトかなぁと。そうなって欲しいなと。逆に、マクレガーが変にボクシングとか始めて技術的になって、二人共つまらん試合をするようなことは止めてほしいですね」
――村田選手から見たメイウェザーに対する評価を教えて下さい
「49戦無敗のディフェンスマスターですよ。非常にボクシング界とここまで引っ張ってきてくれた選手ですし、ボクシングの価値というものを金額的なところで見ても一回りも二回りも上げてくれた選手だと思います。かつ、”マニー”メイウェザーのイメージが強いですけど、その前は”プリティー・ボーイ”だったわけですよ。その辺りの彼のファイトだったりとか、努力だったりとか、そういうのは忘れちゃいけない選手なんじゃないかなと思いますね」
――メイウェザー(ボクサー側)の目線からどうマクレガーを攻略しますか
「僕も同じように序盤はラフなパンチで来て、中々ボクサーのパンチと違って、総合の選手のパンチなんで意外と違った角度から来るかもしれないんで、そのあたりを見極めてから攻めに出ますね。だから1ラウンド、2ラウンド目は様子を見て、角度とかが分かってきたら打ちに行く。それで中盤KO狙いで行くと思います」
――この試合の見所に関して、どんなところをおすすめしたいですか
「特に序盤の攻防っていうのは見てほしいですね。マクレガーが前に出ていってくれると思いますので。そこが一つ勝負の分かれ目だと思います。もしマクレガーが勝つチャンスが有るとすれば、序盤にメイウェザーが二年間のブランクがありますので、そのあたりの試合勘が戻っていなければチャンスも有ると思いますし、そこをいかに付け込んで自分のパンチが読まれない内にいかに勝負をかけられるかっていうところが一つのキーポイントかなと思いますね」
――ボクシングルールで闘うことのメリットの大きさは計り知れないと思いますが、どれだけのアドバンテージになると思いますか
「それはもう、すごいですよ。ものすごいアドバンテージです。ラグビーの選手にバルセロナでサッカーの試合をしろと言っているようなものですよ」
――ご自身ならマクレガー選手と戦う選択をしますか
「僕はまだ、ボクシングで証明しなきゃいけないものがいっぱいあるんで、それを証明出来た後だったら良いと思うんです。フロイドだから許される、メイウェザーだから許される勝負なんじゃないですかね」
――村田選手が将来メイウェザー選手と試合をするとしたらどう戦いますか
「どう戦いましょう……(笑)とりあえず前に出て、殴るしか無いですね。前に出て殴ってカウンターぽこぽこ食らって、また殴るっていうしか出来ないと思います。……ウェルター級落ちないかな(笑)」
――今後の試合を控える村田選手にとって、今回のメイウェザーVSマクレガー戦から学べることは有ると思いますか?あるとしたらそれは何でしょうか
「そりゃあ、有ると思いますよ。まずメイウェザーはどれくらい動ける状況にあるのかっていうのが僕の中では注目ですし、40歳で、しかも二年近くのブランクがある状態の中で動くってことは、ボクサーとして規則正しい生活だったりトレーニングを欠かしていないから出来ることだと思うんで。メイウェザーはそういった指標になってくれると思います。また、これはどう考えても世界最大の舞台ですけど、そこに立ちたいというような、マクレガーの総合の選手と試合をする云々は置いておいたとして、世界成功の舞台に立ちたいという気持ちにさせてくれると思うし、非常に刺激をくれる試合だと思います」
――ファイトマネーが双方一億ドルと言われていますが、これについてはどう思いますか
「……どうしますかね(笑)PPVの売り上げ次第では5億ドル近いものが行くんじゃないかと噂もありますけど、メイウェザーvsパッキャオ戦を超える試合になるんじゃないかと思いますけど、その辺りも踏まえて注目したいですね」
――村田選手だったら1億ドルをどう使われますか
「どう使いますかね。とりあえず、税金払えるくらいには残しておきますね(笑)」
――村田選手の次の試合に向けての意気込み、トレーニングの内容について教えてください
「走り込みのキャンプも終わったんで、いい状態で出来ています。少し疲れは残っていますけど、また一回疲れを抜いて、次のステップに持っていければいいなと思っています」
――高校、ジムの先輩である山中選手が敗れて進退を保留したことに関して思う所があれば、教えてください
「もちろん、13回目の防衛戦、14回目の世界戦で。先輩自身考えることが多いと思うんで、進退を保留というのはむしろ普通というか、『はい、やります』『はい、辞めます』って言える世界じゃないので。そこは、そんなもんじゃないかなと思いますね。先輩自身、大学4年のときに国体まで頑張ったけど結果が出なくて、『このまま中途半端で終わっていいのか』ってプロに来たと仰ってる人なんで、コメントとか聞いていると、まだやりきってないところはあるということは言っていたので、そのあたりの揺れ動く感情というのは有ると思いますよ。それはあって当然だと思います。『ゆっくり考えて下さい、先輩』って感じですね」
――UFCとかは見たりしますか?
「たまには見たりしますけど、ハイライトくらいしか見ないですね。派手なものを見るというか、一つのショーを見るというイメージですね」
――その中で、ボクシングを意識することは?
「ボクシングを意識することはまず無いですね」
――パンチの打ち方は、ボクシングの選手と総合の選手とではそんなに違う?
「違いますね、やっぱり。特にマクレガーは見てるとオープンですね。打ち方がワイルドだし、ボクシングで12ラウンド持つとは思えないような打ち方をするんで。それこそ序盤に仕掛けないと、マクレガーに勝ち目は僕はないと思ってるから。1ラウンドから3ラウンド目っていうのは見所かなって思いますね」(角度の違いをジェスチャーで表しながら)
――グローブが10オンスから8オンスに変更になりましたね
「ただ、メイウェザーはスーパーフェザー級でも試合をしていたんで、8オンスに対しては別に慣れてると思いますよ。だから10オンスしかやったことなければ8オンスで入ってくるパンチの角度とかは見づらいかもしれないですけど、それは無いと思うんで。メイウェザーに関しては。メイウェザーはチキンに思われるのが嫌だったのかな(笑)言ってましたよね。そう相手が挑発しているんでしたよね」
――マクレガーが勝てる確率というのは何%くらい?
「数字で表わせって言われたら難しいですけど、勝てるチャンスがあるとしたら、序盤にバーッと出ていって、かつ、メイウェザーのディフェンスの勘というものが鈍っていたとしたら、そこでボクサーにない種類のパンチが飛んできたときに対応出来ずに『ドカン!』というのはあり得る」
――マクレガーが勝つ可能性はゼロではない?
「ゼロではないです、もちろん。格闘技で勝つ可能性が100対0というのはありえない話なので。そのあたりも含めて、やっぱり序盤は見ものですよ。そこで変にマクレガーが変にボクシングを覚えちゃって、ジャブの突き合いとか始めちゃったら、メイウェザーは楽勝ですよ。下手なボクサー相手してるだけになっちゃったら、そんな楽なことはない。だから勝つとしたら、マクレガーは本当に序盤から勝負しなきゃいけない。かつ、ボクサーではない、UFCらしいワイルドなパンチで行くしか僕はないと思ってますよ」
――心情的にはメイウェザーに勝って欲しい?
「まあ、そうですね。やっぱり『ここで負けてくれるなよ』とは思いますね。パッキャオに勝って、デ・ラ・ホーヤに勝って、色んな選手に勝って来て、UFCの選手に負けたら『なにやってんですかメイウェザーさん』ってなりますよね」