【インタビュー】NEW ERAリーダーの稲葉が児玉の裏切りについて胸中を語る!「僕が本当に怒ったらどうなるか、何をするか僕もわからないから怖い」
7月12日の後楽園ホール大会で異変が起きた。かねてよりNEW ERA解体を宣言し、自分に同調する人間がいることを匂わせていた芦野祥太郎に、メンバーの一人であった児玉裕輔が合流したのだ。
これまで児玉につきまとわれ、頭を悩ませていた稲葉大樹はこの裏切り劇に何を思うのか? その思いを聞いてみた。
──稲葉選手は7月はW-1の興行にも出つつ、ZERO1の『火祭り』に出ていましたね。
「はい。だいたい20日間ぐらいシリーズに行っていたんですけど、みんな凄かったですね。打撃も強くて、一発一発重いし、身体がいつ壊れるかわかんないっていう状況でやってました」
──当然W-1の興行も出なければいけないので、移動が大変そうでしたよね。
「青森に行って試合をして、東京に戻って、バスに乗って大阪行って、W-1で試合をして、また東京に戻って、朝の新幹線で青森にまた戻って試合をする、みたいな。そんなことをやってましたね。でも、プロレスしてんなあっていう感じで良かったですけどね」
──大変だったけど、いい経験になったということですね。
「そうですね。ZERO1さんのチャリティーの大会とかにも出たんですけど、そこでやったちびっ子プロレスとかにも出させてもらったんですよ。子どもたちがいっぱいいる会場でプロレスができたのは僕にとって収穫でしたね。子どもたちの応援って凄い力になるんですよね。ちびっ子プロレスで触れ合った子どもがそのあとで僕の試合を見てくれて、僕が負けたら泣いてたって聞いたんですよ。そういうのを聞くとプロレスの力って凄いんだなって思って。『火祭り』もいい経験になったんですけど、もっと根本的なプロレスの持っている力を改めて教えられたような気がします」
──ほんの一瞬触れ合っただけの子どもにそこまで感情移入させられるプロレスは凄いと。
「全力で応援してくれるし、全力で悪い人たちにブーって言ってくれるし、勝ったら全力で喜んでくれるし、負けたら全力で悲しんでくれる。プロレスって凄いなと思って。そういうところを学べたことが自分の中では一番大きかったですね」
──それがW-1に持って帰ってこれた一番の成果になりますかね。
「そうですね。『火祭り』の結果も大事なんですけど、もしかしたらプロレスの力を実感して帰ってこれたことが一番の成果かもしれないですね」
──なるほど。ちなみにリング上の結果は4勝4敗1分けでしたけど、納得のいくものでしたか?
「出るからには優勝を目指していたので、結果は納得できるものではないですね。でも、シリーズ全体を通してやってきたことに関しては納得できるというか、やり終えた充実感は凄くあります。それだけの試合はやってきたっていう部分では納得していますね」
──一方でW-1でも大一番の『W-1 GP』があったじゃないですか? リーグ戦をやっている中でワンナイトトーナメントに挑むのも結構大変だったと思うんですけど、いかがですか?
「その前日に新木場で『火祭り』の公式戦で30分ドローをやってたんですよ。正直、あの時は身体的にはボロボロだったんですけど、自分が所属している団体だし、ベルトを獲りたいという気持ちも強かったですからね。気持ちは折れてなかったし、つらいとかキツいとかは思っていませんでしたけど」
──それだけ強い思いで臨んだ『W-1 GP』だったのに、1回戦となった河野戦でセコンドについていた児玉選手の影響で負けてしまいましたね。
「負けた自分が悪いっていうのはありましたね。もちろん邪魔だったんですけど、負けちゃった自分が悪いです」
──負けは負けだと。でも、その後の試合で児玉選手がついに裏切って、NEW ERAを出て芦野選手たちと合体してしまいました。
「元々NEW ERAはW-1をおもしろくしようという志のある若い選手が集まった集団なんで、児玉さんがあっちに行ったほうがW-1をおもしろくできると思ったんなら、それはいいことだと思います。形はどうであれ」
──ええッ!? 裏切られたことを許しちゃうんですか?
「僕にとっては嫌なやり方でしたけどね。ただ、芦野は最初から僕たちとは考え方が違って、個人でおもしろくしたいってやってきたわけじゃないですか? 児玉さんがその考えに同調するなら、それでいいと思います。そういう状態なら好きにやってもらえればっていう感じですね」
──非常に大人というか、冷静過ぎるぐらい冷静ですね(笑)。
「煽りV用の撮影ではちょっとテンションが上がって、『何だあいつ!』みたいなことを言っちゃったんですけど、冷静に考えればそれもいいのかなと」
──NEW ERAの対抗馬として、芦野選手を中心にした若い選手たちのチームができあがれば、W-1のリングも活性化するっていう感じですか?
「そうですね。芦野は結果を残していますからね。チャンピオンの芦野と組んだほうがおいしいっていう見方もできるし、児玉さんが楽しくできるならそっちで(笑)」
──そっちで存分に楽しんでくれと(笑)。
「もう存分に楽しんでください(笑)。僕はNEW ERAどうこうじゃなくて、W-1がおもしろくなればそれでいいんで」
──なるほど(笑)。あれだけ気持ち悪くつきまとわれていたわけですから、いなくなってせいせいしたってところですか?
「いや、せいせいしたとかじゃないです。方向性が違っちゃったわけですから。前の児玉さんなら一緒にやりたいなと思いますけど、今の児玉さんならいらないです。組んだってお互いに嫌じゃないですか?」
──そうでしょうねえ。でも、児玉選手は抜けたことに関して、「NEW ERAがおもしろくないから」っていう理由を言っていたじゃないですか? それについて怒りはないんですか?
「これもなんか考え方が変わってきまして(笑)」
──どういうことですか?
「怒りはもちろんありました。凄いムカついたんですけど、今は好きにやってくれっていう感じですね。怒りを抑えているというか、冷静になろうと。自分を見失わないようにね。怒ってどうこうなるものじゃないし、考え方が違うから言っても無駄じゃないですか? だから、怒りがどうこうっていうよりは、どちらの考えが正しいのかっていう闘いだと思っているんで。まあ、それで向こうのほうが人気が出たら、芦野たちにがんばってもらいますよ」
──随分投げやりですね(笑)。
「もちろんそうならないようにがんばりますけどね(笑)。だから、いろんな考えがあっていいと思うんですよ。この間は熱くなって『潰してやる!』とか言っちゃったんですけど、芦野たちも根底にW-1をおもしろくしたいという考えがあるとは思っているんです。だから、ここで怒るよりは試合で熱く燃えられればいいんじゃないかなと思っています」
──8.11後楽園ホール大会では稲葉選手とイケメン選手が組んで、芦野&児玉組と対戦します。文体で行なわれるW-1チャンピオンシップの前哨戦でもありますけど、当然稲葉選手と児玉選手の激突も注目されます。熱い試合ができそうですか?
「普通にやってくれればいい試合になりそうな気がします。変なことをしなければ」
──変なことをしそうですけどね。
「変なことをしたらもったいないと思うんですよ。あんなにいいチームなのに。強い芦野、頭が切れる児玉、そして従順でなんでも従いそうな立花と、うまくコントロールしたら勢いを止められそにないですからね。あの人たちのことは認めてるし、普通にやってくれれば僕らといい試合ができると思います」
──W-1の未来のためにも正々堂々とやってくれっていうことですね。
「そうですね。じゃないと、お客さんだって、『いつなの?』ってなりますよ。W-1は早く未来が見える状況にしないといけないんです。だから、僕らの力でいい試合をしなくちゃいけないんですよ」
──ちゃんとした試合をやってくれることを願うばかりですね。
「もし、この間の後楽園みたいなことをされたら、僕も試合中に爆発しちゃうかもしれません。歯止めが利かなくなるかもしれない。僕、人生で本当に怒りが爆発したことってないんで。怒ったらどうなるかわからないし、何をするかもわからない。僕もわからないので怖いです。それが11日の後楽園で出ちゃうかもしれないし、冷静に試合をするかもしれないし……。僕は自分が怖いです……」
『WRESTLE-1 TOUR 2017 FLASHING SUMMER』
日時:2017年8月6日(日)
開始:15:00
会場:山梨・ホテル石庭(笛吹市)大会
▼エキシビジョンマッチ 3分
タナカ岩石(ACE)
vs
佐藤嗣崇(WRESTLE-1練習生)
▼第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負
河野真幸/近藤修司
vs
一(ACE)/皇壮馬(ACE)
▼第2試合 UWA世界6人タッグ選手権試合 前哨戦タッグマッチ 30分1本勝負
征矢学/NOSAWA論外(東京愚連隊)
vs
カズ・ハヤシ/頓所隼(ACE)
▼第3試合 WRESTLE-1クルーザーディビジョンチャンピオンシップ前哨戦 タッグマッチ 30分1本勝負
アンディ・ウー/三富政行(愛媛)
vs
吉岡世起/進祐哉(FREEDOMS)
▼第4試合 WRESTLE-1チャンピオンシップ前哨戦 6人タッグマッチ 30分1本勝負
芦野祥太郎/児玉裕輔/立花誠吾(ACE)
vs
黒潮“イケメン”二郎/稲葉大樹/土肥孝司
▼メインイベント WRESTLE-1リザルトチャンピオンシップ 60分1本勝負
【第2代王者】伊藤貴則(ACE)
vs
【挑戦者】熊ゴロー
※第2代王者、初の防衛戦。