7・31 PANCRASE大阪大会 北方大地vs早坂優瑠 福島秀和vsCORO 後藤琢也vs武井徳之
『PANCRASE 大阪大会』
日程:2016年7月31日
会場:大阪市 阿倍野区民センター大ホール
開始:14:30
観衆:666人・満員
【パンクラスゲート】
▼第1試合 フライ級 3分2R(延長1R)
●杉原光世(チームプログレス)
延長戦 判定0−3
○大崎勝海(総合格闘技道場reliable)
▼第2試合 フライ級 3分2R(延長1R)
○上野暢彦(INFINITY)
判定3−0
●上荷大夢(フリー)
▼第3試合 バンタム級 3分2R(延長1R)
●宇賀洋起(修和館)
判定0−3
○三村 亘(ピーズラボ大阪)
▼第4試合 フェザー級 3分2R(延長1R)
○北崎拓実(創道塾)
判定3−0
●ハンセン玲雄(総合格闘技道場reliable)
▼第5試合 フェザー級 3分2R(延長1R)
●上山雄大(ソフトコンタクト)
判定0−3
○名田英平(総合格闘技道場コブラ会)
【本戦】
▼第1試合 ストロー級 3分3R
●後藤琢也(パンクラス大阪稲垣組)
2R 2分00秒、ヒールホールド
○武井徳之(讃州四心會)
▼第2試合 バンタム級 3分3R
●辻川力也(創道塾)
2R 2分47秒、アームロック
○小椋雄輝(Shooto jam Water)
▼第3試合 フェザー級 3分3R
●上野藤士(INFINITY)
判定0−3
○楳原 嵩(アブソリュート岡山)
▼第4試合 ライト級 3分3R
●小川道的(柔術兄弟)
3R 1分59秒、TKO(負傷によりレフェリーストップ)
○太田裕稀(格闘技吉田道場)
▼第5試合 フェザー級 3分3R
●室川和登(総合格闘技ゴンズジム)
2R 2分27秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○藤崎航汰(パンクラス大阪稲垣組)
▼第6試合 ストロー級 3分3R
●三谷敏生(総合格闘技道場コブラ会)
判定0−3
○吉本少彦名(和術慧舟會 兵庫支部)
▼第7試合 バンタム級 3分3R
○白川“Dark”陸斗(志道場)
判定3−0
●國頭 武(総合格闘技道場BURST)
▼第8試合 フライ級 3分3R
●秋葉太樹(総合格闘技道場reliable)
判定1−2
○加マーク納
▼第9試合 バンタム級 5分3R
●鍵山雄介(総合格闘技道場コブラ会)
1R 3分59秒、チョークスリーパー
○竹本啓哉(ALIVE)
▼第10試合 セミファイナル バンタム級 5分3R
○福島秀和(BLOWS)
判定3−0
●CORO(和術慧舟會TLIVE)
▼第11試合 メインイベント ストロー級 5分3R
○北方大地(パンクラス大阪稲垣組)
3R 4分05秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●早坂優瑠(CORE QUEST KUSIRO)
ケージが導入されたPANCRASE大阪大会で北方大地が早坂優瑠に勝利し「パンクラス王にオレはなる!」
第1試合
ネオブラッド・トーナメントでは勝てなかったものの、パンクラス2戦目の昨年7月にはアンクルホールドで1本勝ちを収めた後藤。その後、負傷療養を経て1年ぶりのパンクラスマットだ。連勝して再スタートに勢いをつけられるか。
武井はアマ修斗のあと、2009年プロ修斗デビュー。10戦2勝し、今回がパンクラス初参戦だ。
1R。後藤がローキックから組んで金網へ押す。ヒザ、ボディブローで攻める。武井が入れ替え。後藤は踏ん張るが、崩されて下になってしまう。殴る武井。しかし後藤は立って金網へ押し付ける、武井に尻餅をつかせたところでゴング。
2R。前蹴り、パンチで前に出る後藤。武井もパンチを返すが、後藤はパンチ連打し金網へ押し込む。武井が引っこ抜き、ヒールホールド! なんとか脱出しようとする後藤だが、ガッチリ極まりタップ。
足関は得意な後藤だが、久しぶりの試合でカンが戻らなかったか。しかし、打撃などの動きは休養前より良くなっていた。武井は5戦全てをKO、1本で勝っており、記録を6に伸ばした。
第5試合
稲垣組の若手・藤崎は、昨年12月の北九州大会でパンクラスデビュー。今年はネオブラッド・トーナメントにエントリーしたが、残念ながらまだ勝ち星を挙げられていない。ここで勝ち、今後へ勢いをつけたいところだ。
対する室川は総合戦績2勝1敗1分だが、この1敗がパンクラス。2敗目は避けたい。お互い譲れない1戦だ。
1R。パンチと見せかけて、いきなりタックルに入る藤崎。テイクダウン! 室川はガードポジションだが、藤崎は左足をパス。ボディを殴られているのも意に介さずマウントへ移行。サイドポジション、ハーフマウントとポジションを変えながらも、藤崎が上をキープしたまま終了。
2R。藤崎がローキックからタックル、テイクダウン! サイドポジションを奪い、殴る。さらにバックマウントからマウントとなりパウンドを落とす。首を狙うもこれは極まらなかったが、パウンドを落とし続ける。室川の右目まぶたが腫れて血がにじみ、レフェリーが止めた。
パンクラス初勝利を挙げた藤崎は、思わず溢れた涙を拭いながら退場。会場は温かい拍手を送った。
第6試合
三谷は2012年よりパンクラスに参戦。大阪、沖縄、東京とコンスタントに試合をおこない、パンクラスではおなじみの選手となっている。しかし、ここ2戦は判定負けが続いており、挽回を狙う。
吉本は昨年プロ修斗で2戦しており1勝1分。パンクラスには初参戦となる。
1R、いきなり打ち合う両者。吉本が素早く組み、バックを取って首を狙うが、三谷は外して立つ。パンチ、ヒジを振るっていく吉本。三谷はタックルを狙うもタイミングをつかめない。両者とも最後まで攻め合い、激しいラウンドとなる。
2Rも最初から打ち合う両者。三谷が金網へ押し込むが、展開なく離れる。三谷の右パンチがヒット! 吉本が金網へ押すも、三谷は振り切って付き合わない。再び吉本が金網へ押して殴るが、すぐに離れる。三谷にやや疲れは見え始める。
3Rもパンチで前に出る吉本。三谷がタックルからテイクダウン! ハーフマウントからヒジ、ボディブローを打ち込む。吉本は首を抱えている。三谷はヒジを連打し打開。上をキープしヒジを打ち込むも、表情は苦しい。吉本は三谷を振りのけて立ち、再び打撃戦に。両者激しく打ち合って終了。判定は三者29-28で吉本が勝利した。
第9試合
鍵山は単身アメリカに渡航、ローカル大会で6戦4勝2敗の成績を残したあと帰国。2009年よりDEEPで20戦を重ねているベテラン。
竹本は2013年にパンクラス初参戦。しばらく間をおき、2015年から再び参戦。高野敦大に判定勝ちするが、そのあと神田T800周一、土肥潤に連敗している。パンクラス以外ではGRANDSLAM3にて、第2代修斗世界フェザー級王者・大石真丈に判定勝ち、今年はHEAT 37で辻川力也にチョークスリーパーで1本勝ちしている。パンクラスでの連敗を止められるか。
1R、竹本がタックルからテイクダウン。鍵山は反転するが、竹本はすぐにバックを取る。竹本はヒジ、パンチ、首を狙い、隙間なく攻める。鍵山は脱出したいが竹本は放さない。鍵山はバックを取られたまま立とうとするが、竹本はこれを阻止。バックマウントに移行し、そのままチョークスリーパー。これが極まった。竹本が素晴らしいキープ力とパワーを見せ、鍵山を完封。パンクラス連敗を止めた。
第10試合
福島は2014年よりパンクラスに参戦。昨年は強豪ビクター・ヘンリーに敗れたものの、今年3月には合島大樹に判定勝ちをおさめ、現在バンタム級6位につけている。
COROは2011年よりパンクラスに参戦。多い年は年間5試合し、精力的に闘ってきている。昨年後半は瀧澤謙太、上田将勝、EDWARD THOMMESと連敗を喫したが、今年1月、神田T800周一に判定勝ち。勝って9位から上げたいところだ。
1R。福島はローキックで様子を見る。COROはプレッシャーをかけながらロー。パンチをくぐり、福島がタックルに入るが、COROは付き合わない。COROのローの蹴り足を取る福島。素早くバックに回るが、COROは離れる。お互い距離を保ちながらパンチを打ち合う。すると、COROが一気にテイクダウン! 福島はガードポジションから殴り、上体を引き付ける。殴りながら三角絞めを狙う福島。苦しいCOROだが、何とか逃れる。しかし
福島は再び三角。COROが頭を抜いたところで終了。
2R。COROは両腕を大きく回したり、シュッと声を出したりしてフェイントをかける。探り合う両者。お互いタックルを仕掛け合うが、グラウンドの展開には至らずゴング。
3R。COROはローキック、ジャブ、前蹴りで攻める。そしてタックル! 金網へ押し込むが、福島はすぐに離れる。打撃を出し合うが、大きいパンチは出ず、お互いタックルを切り合う。2Rと同じくグラウンドにはならない。COROは打てとばかりに顔を前に突き出し挑発するが、福島は乗らない。両者ともに決定的な攻撃は出ないものの、手数とグラウンドで福島が上回るか。
判定は29-28、29-28、30-27で福島が勝利。
第11試合
稲垣組のニューリーダーとして、大阪ではここ6大会メインを務める北方。昨年は2試合がアクシデントによるノーコンテストと不運だったが、12月には大阪で勝利、今年3月には第4代修斗世界フライ級王者・室伏シンヤにも勝利している。現在ストロー級2位につけ、ここで勝って一気にタイトル戦へ名乗りを上げたい。
早坂は2012年よりパンクラスに参戦。2014年には第20回ネオブラッド・トーナメントでフライ級準優勝。昨年と今年はパンクラス北海道大会で3連勝と活躍中だ。ここで2位の北方を倒せば、大きなステップアップとなる。どちらも負けられない、サバイバルな1戦だ。
1R、早坂は動いて翻弄する。ハイキックを放つと、北方はそのままテイクダウン。早坂は三角絞めを狙うが、北方は落ち着いて外し殴る。早坂は再び上体を引き付けるが、北方は殴ってハーフマウント。ヒジを落とす! なんとか脱出したい早坂だが北方は逃がさず、肩パンチ、鉄槌、ヒジを打ち、攻めて終了。
2R。早坂はハイキックを出すが、スリップしてしまう。北方はすかさずかぶさり、金網際へ持っていく。ボディを連打。早坂は三角を狙うが、北方はさせずパンチ、ヒジを討つ。さらに、立たせないよう大きくヒジ! 早坂は下からパンチを返すが、北方は激しくヒジ連打! 早坂が蹴り上げ、北方が立ったところでゴング。早坂は右目まぶたをカットし出血している。
最終ラウンド。開始すぐにタイムストップがかかり、早坂のドクターチェックが入る。再開。
早坂がジャンプして蹴るが、北方はその蹴り足を取りテイクダウン。すぐにハーフマウントになると、パンチを落としまくる。脱出できない早坂。北方はボディ、ヒジ、鉄槌。そして、ヒジ連打! 早坂の傷が再び開き、かなり出血している。北方は構わずヒジとパンチを連打。レフェリーが試合を止めた。
これまで、きれいに闘おうとしているように見えた北方だが、今回は荒々しく、しかしスキなく闘った。格好なんて良くなくてもいい。相手を容赦なく叩き潰す北方を待っていた! まさに、若武者から荒武者へ変貌した1戦。今後に向け、さらなる可能性を感じさせた。
北方「ノーコンテストを除けば4連勝。今日はしんどかったけど、仕留めました。だから……砂辺(光久=同級王者)! オレとやれ! パンクラスのチャンピオンは大阪の方がええでしょう! パンクラス王に俺はなる!」
<試合後コメント>
北方大地
「試合はイメージ通りでした。あれをしようと思っていました。相手に何もさせない、そういう試合をしないといけないレベルに来ている。でも、仕留めるのは大変でした。そこが現実との違いですね。今回の課題は、完全決着で勝つことでした。だから、今回の課題はクリアしましたけど、強くなる、チャンピオンになる、世界へ行くという課題はまだまだあります。これからもやることが沢山です。
今回、坊主頭にしたのは、いろいろ変えてきて、自分の中でもプライドも含めて、勝つということに徹したからです。身体の作り方も変えてきました。炭水化物を摂しないで、これ、僕は「原始人食」って言ってるんですけど、原始人は肉、野菜、木の実ばっかり食べてたわけじゃないですか。いま僕もナチュラルなものだけを摂っています。自炊はもともと好きなので、いろいろ工夫しています。仕事もスポーツジムでしていて、趣味と実益を兼ねるというか、パーソナルトレーナーにもついてもらえて、身体の使い方から見直しました。去年の4月から始めたんですけど、結果は出ていると思います。この環境に変わったことで、理解してくれる人、応援してくれる人が増えたこともありがたいですね。
今後も、スピード、パワー、技術、全部レベルアップせんといかんと思ってます。もっとパワーアップして、パンクラスの強い王者になりたいです。
今のフライ級チャンピオンですけど、14連勝で(前田)吉朗さんと並んだとか言ってますけど、モノが違うんじゃ! という感じですね。あいつがいつまでも王座に居座ってたらいかん、サッサとどけよと。新陳代謝せなアカンでしょう。あいつが14連勝もしてること自体ダメだと思ってます。
年内には(タイトルマッチを)やるつもりです。とっとと試合しろよという感じ。調整? そんなもんないでしょ。いつでも試合をするのがプロですから。僕は、吉朗さんが巻いたベルトを巻きたい。吉朗さんが修斗のベルトを獲ったら(パンクラス、DEEPに次いで)3本目。僕も吉朗さんと一緒にベルトを巻きたい。そして、稲垣組みんなでもっともっと強くなって、全員がランカーになりたい。強い稲垣組になりたいです。そして、パンクラス王にオレはなるんじゃ!!」
尚、これまで大阪大会はリングで行なわれていたが、今回より正式にケージが導入されることになった。会場の広さやケージの重さ、運搬の問題で今回はデカゴンではなくオクタゴンとなったが、ケージでの試合を望む選手が増えていることを考えると自然な流れだろう。
小松憲吾・パンクラス大阪代表は「パンクラスのナンバーシリーズがケージで行なわれている以上、大阪でもケージを導入しなければと考えていました。これまで大阪主催興行なども開いてきましたが、関西での格闘技の状況を考えると、ケージでの大会が必要」と、ケージ導入の理由を話した。
北方のように、最初から世界を目指す選手もいるが、大阪ではまだまだ、そこまでの目標を持つ選手は多くない。
「とりあえず試合がしたい、勝って友だちや家族に喜んでもらいたいという選手は多いんです。みんな格闘技が大好きな選手たちばかりですけど、それ以上は考えていない子の方が多い。でも、東京の大会は、テレビ放送があったり、ファイトパスやLINEでの配信もありますよね。注目度も違います。けれど、僕はいつか東京に追いつきたいと思っているんです。ケージにしたのは、その第一歩です」
東京と同じようにケージを導入することで、なるべく試合条件が近くしていく。そうすれば、ゆくゆくは大阪でタイトルマッチを見ることができるかも知れない。そういった意識改革も考えての導入だという。
「もっと大阪の選手に強くなってもらいたいし、東京にひけをとらないカードを組めるようにもなりたい。大きな夢ですけど、1年の半分は大阪でナンバーシリーズが組めるレベルに持っていきたいんです。今後も、少しでも選手が闘いやすい環境を整えていきます」
東京から参戦する選手が、リングでの試合ということで、出場を考えてしまうケースもあった。しかし、ケージでの試合となれば、そういったこともなくなっていくだろう。リングでなくなることに一抹の寂しさもあるが、今後の関西の格闘技界のことを考えれば、ケージ導入は大英断と言える。東京とはまた違った熱さのある大阪大会が、ますます活況となっていくことを願ってやまない。
(写真・文/佐佐木 澪)