「お前は何に怒ってるんだ!」「道はどんなに険しくとも笑いながら歩こうぜ」映画『アントニオ猪木をさがして』を創った監督たちに継承される“猪木イズム”

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 20日、有楽町朝日ホールにて映画『アントニオ猪木をさがして』完成披露試写会が開催。試写の後には映画に出演した藤波辰爾、藤原喜明、講談師・神田伯山、和田圭介監督、三原光尋監督をゲストに迎え、MC清野茂樹の進行で舞台挨拶が行われた。

 10月6日全国で公開の本作は、新日本プロレス創立50周年を記念して制作された映画。昨年10月1日に亡くなったアントニオ猪木さんについて、和田圭介氏が監督したプロレス界内外の人々が語る証言を元にしたドキュメンタリーや、アントニオ猪木さんの迫力あふれる試合映像やスチール、三原光尋氏が監督したアントニオ猪木さんの”言葉の力”に動かされた人々の物語で綴る3本のドラマを通して体感できる作品となっている。

 舞台挨拶の中では、作中の巌流島での伯山氏による講談シーンの撮影時に起きた奇跡についての話や、生前から猪木さんをよく知る藤波&藤原による猪木さんの破天荒エピソードが披露されていき大いに盛り上がりを見せる。


 和田総監督は、1試合、1エピソードだけで数時間語れる猪木さんの壮絶な人生について触れ、「100分で猪木さん生涯を、人生を描くのは難しい」という産みの苦しみ語る。
 そんな中で和田総監督が取った手段は、敢えて背景の情報を絞り、猪木さんが闘う姿そのものや言葉の力強さに焦点を当てて観客1人1人の中に眠る“闘魂”に呼びかけるというもの。
 棚橋弘至から託された『猪木さんを知らない世代でもすごいプロレスラーがいたんだってことが伝わるような映画にしてください』という言葉がそのままテーマになったという。
 猪木さんの人生を描くということのプレッシャーに悩む和田総監督を支えたのは、猪木さんの『道はどんなに険しくとも笑いながら歩こうぜ』という言葉。最後に笑うためにこの作品を最後まで創り上げた和田総監督もまた闘魂継承者の1人になったと言える。

 また、ドラマパートを担当した三原監督は金曜8時に一家でテレビにかじりついてプロレスを見ていたという、猪木さん世代への特別な想いを持つ人間の1人。
 猪木さんの映画に監督として参加することについて「やってはいけないこと。本当に恐れ多い」と一時は悩んだものの、「他の監督がやったら絶対に嫉妬する」と熱い気持ちを持って臨んだという。
 映画制作の産みの苦しみから生じた怒りに猪木さんの『お前は何に怒ってるんだ!』という言葉が刺さってモノづくりの礎を再確認したというエピソードを語り、猪木さんが持つ言葉の力の強さをその身を以て証明した。

 映画『アントニオ猪木をさがして』は、107分に込められた『アントニオ猪木』、棚橋やオカダやファンの中にいる『アントニオ猪木』が映し出され、それぞれの心にいるアントニオ猪木が思い浮かばれる名作となっている。
 プロレスへの思いがある人は、映画館に足を運び是非もう一度アントニオ猪木を生で感じてほしい。

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