永島勝司 ゴマシオ親父のつぶやきR[第18回]

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あのキラー・カーン(小澤正志)が新宿のど真ん中、歌舞伎町に帰ってきた。
昔からの仲間だった小澤。先日、彼が再オープンした歌謡居酒屋カンちゃんに寄せてもらった。その瞬間に俺は色んな事を思い出した。東京スポーツで色んな事があって、いち取材記者になった俺に長田”先輩“が紹介してくれたのが蔵前国技館の控室だった。彼が紹介してくれた一番最初の男小澤だった。
ふっと、色んな事が頭に蘇った。まさかこいつがニューヨークでアンドレ・ザ・ジャイアントの首(編集部註:実際は首ではなくアンドレの右足)を折った小澤だったとは…。

その時に俺は色んな事を思い出した。俺が記者時代に鹿児島で当時敵対する藤波辰爾と、小澤があるスポンサーの関係で行ったクラブで呉越同舟の時が来た。小澤と藤波は凄く仲が良かった。
その当時二人は反目にいた間柄で言葉を交わせる状態ではなかった。そのクラブで小澤がマイクを取って遥か彼方先にいる藤波に対して歌い始めた。岡晴夫の『逢いたかったぜ』、この歌を熱唱した時、向こうにいる藤波が泣いた。小沢も泣いた。俺はその時、プロレスって凄いなあ。翌日の東京スポーツに大きな記事で書いたのを覚えている。

そんな小澤の、いや、キラー・カーンの色んな事を思い出しながら人間と人間の繋がりを改めて感じた一瞬だった。
キラー・カーンも年とったなあ。藤波と二人でその時代を振り返る時が来ればいいなあ。

今のプロレス界の人にこういうストーリーがあるかい? 俺は何とも言えない哀愁を感じたし、これがなければいけない。今のプロレス界に足りないのはそこだと思う。
これは、俺が感傷的になっているんではなくてプロレスの素晴らしさなんだ。切った張ったの世界ではない、プロレスの凄さと素晴らしさ。これは全て猪木が求めていたものなんだ。単に、一つのドラマではなく、プロレスというとんでもないドラマの裏側にある真実なんだよ。
今のプロレスのファンの人達もそういうものを追及する。或いは探り出すものを求めてもらいたいなあ。プロレスというのは、一つのドラマが作られたものではない事を知って欲しい。まあ、これは俺しか言えない言葉であろうが、プロレスって凄いものなんだよ!

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