【コラム】後楽園ホールに翔べ!全日本プロレスの火の鳥!絶望を乗り越えた2年目の青柳亮生が世界ジュニア王座奪取に向け気合全開!

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10月24日(土)後楽園ホールにて行われる全日本プロレス『2020旗揚げ記念シリーズ』において、青柳亮生(あつき)が岩本煌史の持つ世界ジュニアヘビー級王座に挑戦する。
亮生は9月21日後楽園ホール大会にて行われた『勝者・世界ジュニアヘビー級選手権試合挑戦権獲得10人タッグマッチ』で大技・ファイヤーバード・スプラッシュを初公開し、元・世界ジュニアヘビー級王者でもある佐藤光留を撃破し、見事挑戦権を勝ち取った。
亮生にとっては、今までのすべてを一挙にひっくり返す千載一遇の大チャンスを掴んだことになる。

青柳亮生は、1999年12月生まれの20歳だ。
全日本プロレスには、高校卒業直後の2018年4月に入門した。
きっかけは同団体に所属する兄の青柳優馬だ。
亮生にとって優馬は、『プロレスラーになりたいと思ったきっかけの選手であり、プロレスのコーチで頼れる兄』と語るほど全幅の信頼を寄せる。

それから約九ヶ月後、2019年1月2日後楽園ホール大会にてデビューを果たす。
同期入門には大森北斗と田村男児がいて、三人の中では一番運動神経が優れていた。
プロレスの練習に欠かせない要素であるマット運動では一番きれいなフォームでこなしていたし、受け身の習得も早かった。
しかし、いざ試合となるとどうしてもその運動神経を生かしきれない。
先輩レスラーはおろか、大森北斗や田村男児という同期入門選手との対戦成績でも黒星が先行してしまう。

ついには今年1月、試合中に左手中手骨骨折の重傷で欠場となる。
3月に一度は復帰が予定されるも、同じ箇所を再骨折しまい延期となった。
本人にとってはどん底の時期に思われた。

そして、ようやく決まった復帰は6月になる。
それは20年ぶりの復活が決まった若手の登竜門となる伝統の『あすなろ杯争奪リーグ戦』開幕直前だった。
大森北斗、田村男児、ライジングHAYATOらと共にエントリーされるも、5か月のブランクも重なり結果は最下位。

「初めの頃は明らかな差というのは感じていなかったので、いつかやってやるぞと思っていました。でも欠場期間で開いた圧倒的な差があすなろ杯で明らかになり、心は折れかけてました」

亮生の苦悩のトンネルに、中々終わりは見えなかった。
その頃、優馬はどのような思いだったのか?

「先輩として…というより、兄として弟がかわいそうだなと思っていました。特にこれと言ってアドバイスはしていませんが、『試合映像を観て勉強しろ』、『欠場中でも怪我をしづらい身体づくりをしろ』と伝えました。」

亮生本人の努力と優馬のアドバイスの甲斐もあってか、トンネルの向こうから次第と明るい光が差し始める。

あすなろ杯以降、試合中に繰り出す亮生の技のレパートリーは見る見るうちに多彩さを増していく。
そのきっかけは一体なんだったのか?

「あすなろ杯での全敗です。同期と同じことをしていても差は埋まらない。ましてや、全日本プロレスなんて体のでかい選手しかいない中でどう這い上がるか考えた時に、飛び技しかないと思って動きました。」


初公開の後楽園ホールでどよめきを生んだムーンサルト・プレスは、試合毎に完成度を高め、遂にはファイヤーバード・スプラッシュまで繰り出して見せた。
これに関して、優馬はこう語る。

「他の選手にはない亮生自身の魅力に気づいたのかもしれません。全日本プロレスでは特に飛び技は珍しいので、お客さんの反応を肌で感じて、なおかつ自分に合った技を見つけて活かせるようになったんだと思います。」

亮生は自身のファイヤーバード・スプラッシュに対し、絶対の自信を持つ。
10月17日大阪大会ではこの技を岩本煌史に炸裂させてKO状態に追い込み、試合後にはこう言い放った。

「世界ジュニア、あれが決まったら勝ちです。あとはそこにどう繋げていくか。その攻略法も頭の中に出来上がっているんで、後楽園、楽しみにしておいてください。」

絶望の中の青柳亮生を不死鳥のごとく舞い上がらせたのは、ファイヤーバード・スプラッシュだった。

10月24日、果たして岩本煌史に決められるか?

文:鈴木みたらし

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