K-1の新カリスマ、武尊が有言実行の2階級制覇!「K-1を全国に広めたい。大みそかも出ます!」

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 11月3日、東京・代々木第二体育館で「K-1WORLDGP2016 JAPAN~初代フェザー級トーナメント」が開催された。注目の新階級、フェザー級(57・5㎏)の世界トーナメントを勝ち抜き、頂点に立ったのはスーパー・バンタム級王座を返上して臨んだ武尊だった。下馬評通りのK-1史上初の2階級制覇を達成だったが、3戦を終えた時、体はボロボロ。表彰式を終えてバックステージに戻ってきた時は、所属するKRESTの渡辺雅和代表の肩を借りなければ歩けないほどのダメージを負っていた。
「想像以上にきつかったです。試合が終わって、控え室でアイシングしながら『次、いけるのかな? 立ち上がれるかな?』って。何度も心が折れそうになりました」
 1回戦は、前評判の高かったジェイミー・ウィーラン。ローキックで相手を削りながら自分のペースに持っていくタイプで「前蹴りを使ってなるべくローを貰わないようにしたけど結構貰ってしまった」(武尊)。ダウンを奪って完勝したものの、この時点で足と拳を痛めていた。
 準決勝は、60kgで小宮山工介を破ったユン・チー。武尊はヒザ蹴りでボディを効かせて、パンチで倒したものの「パワーの差を感じて、結構効いたのもありました。何かは言わないですけど(笑)」と武尊。ウィーランもユン・チーも普段は60㎏の選手。55㎏から階級を上げた武尊にとっては実質的に2階級上の相手との連戦で、この時点で体力の消耗は激しく、体のあちこちに痛みを抱えていた。
 反対ブロックから上がってきたのは小澤海斗。1回戦を跳びヒザ蹴りによるわずか57秒でのKO勝利で飾ると、準決勝もエリアス・マムーディをローとボディでダウンを奪って勝利。ほぼノーダメージで勝ち上がった。
 決勝は武尊対小澤。6月はワンマッチで武尊が勝利したが、以来、小澤は「武尊ともう1度やらせろ」と挑発を続けてきた。待望の再戦に超満員の会場が興奮に包まれる中、武尊は初回から強烈なプレッシャーを掛け、パンチとヒザ蹴りで小澤を追い込むと、パンチで立て続けにダウンを奪う。2回も武尊がプレッシャーを掛けて下がらせてヒザとパンチで追い込む。最終回は小澤も意地を見せてパンチで飛び込み、前に出る武尊に前蹴りを突きさすがポイントを奪い返すまでには至らず、判定3-0で武尊が勝利した。
 リング上でバンテージを外しながら、武尊は泣いた。
「トーナメントが決まってからの2か月間、挑戦、挑戦と言ってたけど、正直プレッシャーしかなくて。でも(渡辺)雅和さんが『気持ちで負けるな』とずっと言ってくれて、心でサポートしてくれた。『雅和さんを勝たせてあげたい』と思って戦って、リングで目が合ったら泣いちゃいました」
 また、リング上では小澤と初めて言葉を交わした。
「前日会見で『決勝に上がってこいよ』と言ったら上がってきてくれたし、KO出来なかったけど気持ちでバチバチやれたし。男同士、拳で会話して。(リング上では)『ありがとう』と。ただ、嫌いなのは変わらないんであの時だけです(笑)」
一方、敗れた小澤は「今、頭が真っ白なんで。(武尊と何を話した?)覚えてないです。ノーコメント。またゼロからやり直します」と言葉少なだった。
 有言実行の二階級制覇達成にも武尊は満足していない。ベルトを巻くと、リング上で「大みそか出陣」を宣言したのだ。
「昔のブームと言われた時代よりもK-1を盛り上げたいし、K-1を日本全国、そして世界に広めていきたい。こんな最高な大会はないし、僕はK-1に救って貰ったし、僕が先頭に立ってK-1を広めていきます」
 自分のためだけに戦うのは限界がある、誰かのために戦うともっと力が出る、と言ったのは初代カリスマ、魔裟斗。「新カリスマ」武尊はその精神を受け継ぎ、さらに超えていく覚悟だ。
(スポーツライター茂田浩司)

試合結果
第1試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・リザーブファイト 3分3R・延長1R
○朝久裕貴
(判定3-0)※三者30-27
●大滝裕太

第2試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・一回戦(1) 3分3R・延長1R
○小澤海斗
(KO 1R 57秒)※左飛びヒザ蹴り
●ジョシュ・トナー

第3試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・一回戦(2) 3分3R・延長1R
○エリアス・マムーディ
(判定3-0)※三者29-27
●戸邊隆馬

第4試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・一回戦(3) 3分3R・延長1R
○ユン・チー
(TKO 3R 1分32秒)※飛びヒザ蹴り
●神戸翔太

第5試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・一回戦(4) 3分3R・延長1R
○武尊
(判定3-0)※三者30-26
●ジェイミー・ウィーラン

第6試合 K-1 甲子園 2016 ~高校生日本一決定トーナメント~ -55kg決勝戦 2分3R・延長1R
○軍司泰斗
(判定3-0)※29-28、29-28、30-28
●椿原龍矢

第7試合 K-1 甲子園 2016 ~高校生日本一決定トーナメント~ -60kg決勝戦 2分3R・延長1R
○西京佑馬
(判定3-0)※30-28、29-28、30-28
●横山巧

第8試合 K-1 甲子園 2016 ~高校生日本一決定トーナメント~ -65kg決勝戦 2分3R・延長1R
○近藤拳成
(判定3-0)※三者30-26
●本間海

第9試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・準決勝(1) 3分3R・延長1R
○小澤海斗
(判定3-0)※29-28、30-27、30-28
●エリアス・マムーディ

第10試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・準決勝(2) 3分3R・延長1R
○武尊
(TKO 2R 2分31秒)※右フック
●ユン・チー

第11試合 スーパーファイト K-1スーパー・ライト級 3分3R・延長1R
○左右田泰臣
(判定2-0)※29-29、30-29、30-28
●ファワド・セディッキ

第12試合 スーパーファイト K-1ウェルター級 3分3R・延長1R
○久保優太
(判定3-0)※29-28、30-29、29-27
●牧平圭太

第13試合 スーパーファイト K-1スーパー・ウェルター級 3分3R・延長1R
○サニー・ダルベック
(KO 1R 2分09秒)※左ストレート
●城戸康裕

第14試合 K-1 WORLD GP 2016初代フェザー級王座決定トーナメント・決勝戦 3分3R・延長1R
○武尊
(判定3-0)※三者30-25
●小澤海斗

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