ビアンカ・ベレアが世界王座挑戦権を獲得!レッスルマニアで王座挑戦の可能性を残すイヨ・スカイも存在感を発揮

WWEの年間最大イベントである『レッスルマニア41』前の最後のPLEである『イリミネーション・チェンバー』がカナダのオンタリオ州・トロントにあるロジャーズ・センターで38493人の観衆を集めて開催された。今回のPLEはAbemaではプライム会員でなくても無料で見られるので、これを機会に”世界最高のプロレス”に触れてみるのはいかがだろう。
今回のPLEのタイトルであるイリミネーション・チェンバーマッチは3.2キロメートルのチェーンに総重量10トンの鋼鉄を編み込んだ直径11メートル、高さ5メートルの金網の中に4つの透明なパネルを壁とする小部屋によって構成された”悪魔の檻”とも呼ばれる建造物をリングと組み合わせた舞台で行われる。これは2002年当時のRAWのGMであったエリック・ビショフにより考案された試合形式だ。
基本的なルールは6人で行われる場合は最初にふたりがリングで戦い、ほかの4人は小部屋の中で待機。試合開始5分経過後はランダムで小部屋から選手が5分間隔で解放されて試合に加わっていく。フォール、ギブアップのみで退場となり、最後まで残った選手が勝者となるもの。
2002年の『サバイバー・シリーズ』から採用されたこの試合形式は2023年まではタイトルマッチとして行われていたが、2024年からはその年のレッスルマニアで、その前に行われた『ロイヤル・ランブル』の優勝者が挑戦しない方の王座への挑戦権をかけての試合として位置づけられた。今年で言えば男子ランブルの優勝者であるジェイ・ウーソが選んだグンターが保持する世界王座ではなく、コーディー・ローデスのWWE王座への挑戦権、女子ランブルの優勝者であるシャーロット・フレアーが選んだティファニー・ストラットンが保持するWWE王座ではなく、リア・リプリーの保持する世界王座への挑戦権を勝者は獲得することになる。
ちなみに女子世界王座は大会翌日のRAWでイヨ・スカイの挑戦が決まっているため、レッスルマニアではリアではなくイヨ・スカイに挑戦することになる可能性もある。
また女子選手によるチェンバー戦は2018年から行われるようになるが、Abemaプライムで見られる中ではチェンバー戦の歴史上唯一、ひとりで他の5選手を直接排除したシェイナー・ベイズラーが勝利した2020年大会、アスカが勝利した2022年大会がおすすめだ。
大会のオープニングを飾った女子チェンバー戦はリヴ・モーガンとナオミの対戦からスタートした。
しかしゴングが鳴った直後に昨年11月に謎の襲撃を受けて長期欠場に入っていたジェイド・カーギルのテーマが鳴り響き、怒りの表情でチェンバーの中に入っていく。突然のカーギルの登場に動揺するリヴだが、カーギルが襲い掛かったのはナオミ。一方的にナオミをたたき伏せ、這って逃げようとするところをチェンバー入り口のスライド式のドアを使ってさらに大きなダメージを与えると、ひとまず気が済んだのか無言のままその場を立ち去った。
つまりカーギル襲撃事件の犯人がナオミであったということなのだろうが、それでも圧倒的な体格差のあるナオミがあれほど一方的にダメージを与えられるものかと考えると、ナオミの単独犯ではない可能性もあり、今後の展開も気になるところだ。
カーギルの襲撃により当然ナオミは失格となるが、次に登場したのはカーギルとのコンビでタッグ王者になっていたビアンカ・ベレア。小部屋の中から元パートナーが現パートナーに襲われる場面をただ見続けるしかない状況だっただけに、試合どころではないメンタルのままでリヴに立ち向かっていく。自身の動揺を紛らわすかのようにチェーンでできた壁に叩きつけるなどビアンカはリヴを激しく攻め立てていく。
2人目の登場はロクサーヌ・ペレス。ビアンカには鮮やかなコルバタを決め、対角線攻撃の連続でリヴとビアンカのふたり相手に先制し、その後も初めてのチェンバー戦とは思えない多彩な攻撃を見せていく。
3人目にリングインしたのはベイリー。前日のスマックダウンでは6人タッグでピンフォールを奪われたこともあってか、ロクサーヌには小部屋内で激しく攻め立てていく。またリヴにはエプロンサイドのスペースを有効活用しての攻撃で主導権を奪おうとしていく。しかしコーナートップからのビアンカへの攻撃を、ロクサーヌがパワーボムでエプロンサイドのフロアに叩きつけ大きなダメージを負ってしまう。ロクサーヌは続けてリングに戻したベイリーにフロッグスプラッシュ。しかしリヴはそこをめざとくロクサーヌにバックスタバーを決める。
ここで4人目となるアレクサ・ブリスが登場。妖しい笑みを浮かべながら独特の間でまずはリヴに襲いかかっていく。これでナオミを除く全員がリングに出揃ったところでますます試合は乱激戦の様相を呈していく。ベイリーがリヴにエプロンサイドでのローズ・プラント。ロクサーヌがベイリーにラ・ミスティカ式のクロスフェイス。
続けてのロクサーヌのコーナーを利用したライオンサルトはベイリーのヒザで迎撃され、そのヒザが顔面にあたってしまうがそれでも臆せず攻撃を続けていく。しかしここでリヴがベイリーにオブリビオンを炸裂させてベイリーを排除した。
いつもの小悪魔的な笑顔を見せたリヴだが、ビアンカと目が合うと脱兎のごとく小部屋の天井に逃げていく。追いかけてきたビアンカと狭いスペースで争うも、髪の毛を使ったムチ攻撃で落とされ、続けてビアンカはエプロンサイドにいた三人に向かって天井からのクロスボディを成功させた。
ビアンカはリングに戻るとアレクサにスーパープレックスを決めようとするが、ロクサーヌとリヴはアレクサ共々ビアンカをパワーボムで投げ捨てる。ロクサーヌがポップ・ロックスでビアンカを仕留めようとするも、これをビアンカがはねのけたところをリヴがコードブレイカーをカウンターで決め、ダウンしたロクサーヌにアレクサがツイステッド・ブリスを決めて3カウントを奪った。
これで残り3人となったところでリヴはスリー・アミーゴスをビアンカ相手に成功させると619をも続けて狙おうとする。しかしこれを止めたアレクサが新技であるアビゲイルDDTを狙うがこれはリヴがうまくかわしていく。続けてビアンカがリヴ相手にKODを狙うが、これもまたリヴはエスケープに成功。アレクサはビアンカにアビゲイルDDTを決めるが、そこにリヴがジャックナイフ固めでアレクサを排除することに成功する。
リヴとビアンカでの最終局面になるが、リヴはビアンカの髪をうまく使ってエプロンサイドをチェーンでできた壁と激突させるように強制的に走らせるという攻撃を見せていく。
その後もリヴがセカンドロープから飛びついてのコードブレイカーを見せれば、ビアンカはスピアーからエプロンサイドに出て小部屋の壁パネルとチェーンでできた壁に交互に叩きつける荒技に続けて、とどめとばかりに450スプラッシュを決めようとする。
しかしリヴはこれをヒザで迎撃し、続けてのKODを着地して逃れるとコードブレイカーを成功させる。リヴもとどめとばかりにオブリビオンを狙うが、これをパワーで食い止めたビアンカはKODを完璧に決めて『レッスルマニア』での世界王座挑戦権を獲得した。
リングを降りて入場ゲートで改めてこの日の勝利の余韻に浸っているビアンカの背後から、静かに現王者であるリア・リプリーがベルトを持って登場する。ふたりが向かい合うとほどなくして次回のRAWでリアへの挑戦が決まっているイヨも登場し、まだまだ『レッスルマニア』のカードが確定したわけではないことを無言でアピールした。