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朱里ロングインタビュー【第2回】

朱里ロングインタビュー【第2回】

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ハッスルからSMASH、SMASHからWrestling New Classic(WNC)と所属団体が変わってきた朱里。現在はWNCとREINA女子プロレスの二団体に所属しているが、芸能活動の延長として「KG(カラテガール)」の名でデビューした朱里は、明るく一生懸命ファイトするのが特徴だった。ところが、ある時期からその細身の身体から放つオーラが“強さ”に変わったような気がする。
強さを感じさせる女子プロレスラーは何人かいるし、強さの基準もいろいろある。だが、朱里の「プロレスでもチャンピオン(6月10日現在は二冠)」「キックボクシングでも10戦負けなしでチャンピオン(6月10日現在)」というのは、「強い朱里」と言えるだけの説得力が充分にある。
そんな朱里は最近入場テーマ曲を、かつて高田延彦が使用していた『トレーニング・モンタージュ』に変えたのだが、これは単に『ハッスル』出身というだけではない。
いつから朱里は“強さ”を身にまとうようになったのか? そしてプロレスでチャンピオン、キックボクシングでもチャンピオンとなったこのタイミングで、なぜ『トレーニング・モンタージュ』を“引き継いだ”のか? その理由を聞いてみた。
【取材・文/佐瀬順一】

ーーSMASHは既存の団体と比べると特殊な団体で、確かに朱里選手が女子レスラーと対戦する機会は増えたんですけど、その一方で男子レスラーとも普通に組んだり対戦したりもするし、ときにはハードコアルールの試合をやったりもする。その辺に戸惑いというか、女子プロレスに集中したいみたいな思いとかはなかったんですか?

朱里 女子と男子ってまったく違うなって思ったんですよ。自分はやっぱりTAJIRIさんに教わっていて、男子のプロレス出身なので女子のプロレスに「ん?」って思うことも多々あったりして……女子プロレスにだけ染まりたくはないなって気持ちはありましたね。女子選手と対戦するときも自分の雰囲気というかオーラというか、そういうものは絶対女子レスラーとは違うものを出そうとはしてました。

ーー確かに朱里選手がほかの女子プロレスラーの中に入ると、とくに違和感というか、独特の雰囲気を出しているのは感じますね。そういうのは自分で意識して出すようにしていたんですね。そこが個性というか、朱里選手の魅力の1つだと思っている人もいると思います。では、どこかの女子プロレスに移籍するとかそういう考えをしたことはなかった?

朱里 ないですね。

ーー2012年2月にSMASHディーバ王座を奪取しましたが、これが朱里選手にとって初めてのベルトとなります。キャリア4年ちょっとでようやく1つの結果を残したわけですが、ベルトを巻いたってときの印象というか思いはどうでしたか?

朱里 やっぱり嬉しかったですよ。SMASHを最初からずっとやってきたので、ベルトに対する思いは強かったと思いますね。でもその直後にSMASHが終わっちゃったので(苦笑)、でもベルトを巻いてSMASHのストーリーが幕を閉じたのは、それはそれで良かったかなと思いますね。

ーーなぜか朱里選手がさぁこれからってときに団体が休止するという運命ですが(苦笑)。

朱里 アハハハ、そうですね!(笑)

ーーその後のWrestling New Classic(以下WNC)にそのまま移籍したのは、やはりTAJIRIさんがいるから?

朱里 そうですね。やっぱりTAJIRIさんに付いていこうっていう気持ちが強いので。でもSMASHのときの何ていうかキラキラ感じって、いまでもいいなって思うんですよ。

ーー何かSMASHは新しいプロレスのカタチというか、いろいろな部分で既存のプロレス団体とは違う要素がありましたね。

朱里 はい。WNCでもそういうキラキラした部分が出せたらいいなって思いますね。

ーー目指す方向性というか、朱里選手にとって理想の団体に近づけていきたいという感じですか?

朱里 そうですね……う〜ん、でも理想はもっと大きいです(笑)。

積極的に他団体に出た経験とSYNAPSEが成長につながる

ーーWNCに来てからはプロレスリングWAVEのシングルリーグ戦『CATCH THE WAVE 2012』にも出場しているんですよね。これまで他団体の女子選手との絡みが少なかった朱里選手にとって、シングルのリーグ戦に出場するっていうのはなかなかリスキーだと思うんですけど……

朱里 自分の中でも新鮮でしたし、新たな化学反応というかやったことがない選手がたくさんいたので、WAVEのリーグ戦に出させていただいたのはすごく有り難かったですし、勉強になりましたね。

ーー先ほど「女子プロレスにだけ染まりたくない」と言ってましたが、朱里選手の場合、別にほかの女子プロレスと絡むのを避けるわけではなく、がっちり女子プロレスに浸かった期間もあるんですよね。

朱里 そうですね。その頃は他団体に上がるのがすごく多い時期で、1か月に12〜13試合くらいやってましたね。でも本当に勉強になりました。

ーー2012年の夏頃からはスターバック選手、AKIRA選手と組んでSYNAPSE(シナプス)を結成しましたが、この辺からいまのキックボクシングもやる“強い朱里”っていうスタイルが形づくられた気がするんですけど。

朱里 SYNAPSEをやった期間があったのは良かったと思いますね。まあ、あんまりしゃべる感じではなかったんですけど(苦笑)。

ーーSMASHからリングネームを朱里にしてからも、さくらえみ選手とダンスしたりとか、サブゥーと同じ格好したりとか、KG時代からの明るいキャラクターは残していましたが、SYNAPSE時代はコスチュームも黒にして、あまりしゃべらないし、笑顔も見せないキャラでしたよね。ヒールってわけでもないけど……

朱里 一応ヒールっていうか反体制だったんですよ。でも、ヒールっていうかルード? ずっとそういうのをやりたかったんですよ! 自分に合ってる気がするんですよ。やりやすいっていうか。

ーーあぁ、確かに明るさが前面に出ているキャラクターではなかなか強いイメージが出しにくいっていうのはありますね。SYNAPSE時代に反体制のルードを経験した上で、朱里選手が本来もっている明るさやスター性が加わったことで、いまの朱里選手のイメージが出来上がった気はします。

朱里 他団体に積極的に出て勉強できた時期と、SYNAPSE時代の経験できたことで、プロレスラーとして成長できたなっていう実感はありますね。

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SYNAPSEを結成していからの朱里は雰囲気や表情などが明らかに変わり、この頃から徐々に“強さ”をまといはじめた

ーー2012年の1月からはキックボクシングの『Krush』に参戦するようになりました。キックの舞台もいろいろありますが、Krushを選んだ理由ってなんだったんですか?

朱里 キックの練習するからには試合はやってみたいっていうのがあったときに、関係者の方からKrushを紹介していただいて。(Krush代表の)宮田(充)さんにいろいろお世話になって、そこから参戦するようになったんですね。それからコンスタントに試合させていただいて、今年に入ってKrush女子のベルトを作っていただいて、3月に初代チャンピオンになったので良かったなぁと(笑)。あと、これからが戦いだなと思いますね。追うほうがラクですけど、追われる立場なのでプレッシャーもあります。でもいまのKrushのベルトを防衛していって、男子よりも面白い試合をしてKrushを盛り上げたいっていう気持ちもあります。女子は2分3ラウンドだったんですけど、私のほうから宮田さんに「3分3ラウンドでやりたい」っていうのを言って、これからは男子と同じ3分3ラウンドでいくので、ちょっと頑張っていきたいですね。

トレーニング・モンタージュを使うようになった理由

ーー総合格闘技とプロレスは比較的両方出たことがある選手も多いですけど、そもそもプロレスと格闘技は違う競技ですし、キックは男子でも一時期K-1に挑戦するレスラーはいましたが、なかなか結果が残せない部分がある中で、朱里選手は定期的にキックの試合に出ている上にいまだ負けなしっていうのは驚異的ですね。

朱里 確かにプロレスと格闘技は別物だし、男子でもまだプロレスでも格闘技でもチャンピオンになるって達成していないと思うんですよ。それを自分が達成したいって思っていたし、いま私、高田延彦さんの曲を使わせてもらっているんですね。

ーーあぁ、最近『トレーニング・モンタージュ』で入場していますね。

朱里 はい。高田さんはプロレスの看板を背負いながら格闘技の試合に出て、(ヒクソン・グレイシーに)敗れてしまったじゃないですか。その曲で自分がそういうプロレスでもチャンピオン、格闘技でもチャンピオンっていうのを達成していったら、すごいカッコイイんじゃないかって思ったんです。

ーーハッスル出身の朱里選手が高田延彦さんの曲を受け継ぐっていうのは、確かにカッコイイですね。

朱里 いま10戦なのかな? 10戦10勝1KOなんですけど、今後たぶん負けることもあると思うんです。それは格闘技なので。でも負けることによってすごい成長出来ると思うんですよね。だからどんどん強い人とやっていきたいし、外国の選手ともやっていきたいし。

ーーキック初参戦から5年で10戦やって、いまだ負けなしって、プロレスとの二足のわらじを履いている選手とは思えないすごい戦績ですね。

朱里 初めて負けるときって、すごく心にダメージを負うと思うんですね。でもそこから挽回出来るか、自分がどこまでやれるかを追求するのが楽しみですね。負けてからのし上がるところにまたストーリーが生まれると思うので。

ーー負けてから再び這い上がるっていうのはプロレスラーのいいところですよね。負けるのを恐れないというか……

朱里 負けるのはすごい嫌ですよ!(笑)

ーーそれは分かりますよ(笑)。でも格闘家の選手で「負けたら何もない。すべて終わり」という考えの選手もいますし、いいか悪いかは別にしてリスクの少ない対戦相手を選んで試合をする選手もいるじゃないですか。朱里選手は負けることを恐れるくらいなら、誰が見ても強いっていう選手とやりたいし、そうすることで盛り上げたいっていう気持ちが強そうですよね。

朱里 そうですね。そういう人とやってほうが……例えばオランダとかアメリカのすごい身体の強い人とやったら、自分はどれぐらいいけるんだろうって思うし、絶対にやってみたいですよね。そこで負けてバッシングを受けたとしても、次の試合、またその次の次の試合で自分が成長できればいいんじゃないかって思いますし。

ーーでも負けたときに恐らく言われると思うのが「プロレスと両方やっているからだ」的なことだと思います。

朱里 そうですよね。それは予想しているんですけど、二つともやることが自分の使命と思っているんですね。二つやって二つとも上げていきたいですね。プラス芸能のほうも。

ーー貪欲ですね(笑)。でも本当にすごいことですよね。プロレスでも朱里選手がチャンピオンであることを誰もおかしいと思わないほど強いイメージがある一方で、キックでもいまだ負けなし。ジワジワとプロレスファンの間でも「朱里って強いらしいぞ」って言われてきたと思うんですけど、ようやく注目度が上がってきたっていう実感はありますか?

朱里 う〜ん……某専門誌さんとか(苦笑)、全然取り上げてくれなくて、もう何なんだ!って思って〜。記者さんとかにも「何で取り上げてくれないんですか!」って言っちゃいましたもん(笑)。

ーーダハハハハ! とはいえ、2013年末にWNCがREINAと契約を結んで、朱里選手は当時話題の二団体契約の選手となりました。今までは男女混合団体だったこともあって、朱里選手の活躍が見えにくい部分もあったと思いますが、新生REINA女子は朱里選手がエースとなって、新たな女子プロレス団体が誕生したようなものですよね。

朱里 う〜ん……まぁ頑張りたいっていうか、自分がその団体を引っ張っていく……ような気持ちはありますね。ほかの女子プロレスとは違う色は出したいです!

ーーもういきなり朱里選手が三冠王者になり、さらにKrushの初代女子王者にもなって四冠王! 話題性としては充分あると思うんですけどね……

朱里 その割には取り上げてもらってないような気が……(苦笑)。

ーーまぁタレントがプロレスに挑戦するとか、大物選手が電撃移籍するとか、そういう派手で食い付きやすい話題こそないですけど、「ほかの団体とは違う色を出したい」とおっしゃっていた朱里選手の中で「こういうふうにしていきたい」という展望みたいなものはありますか?

朱里 やっぱり若い子たちがイキイキしている団体ってすごくいいなっていう部分がありますし、世界の強豪と試合が出来るっていうのがいいなって思いますし、そういう部分は伸ばしていきたいですね。

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『トレーニング・モンタージュ』を使用するようになってから朱里はコスチュームやガウンを白に統一。大物オーラが漂う

第3回につづく

朱里(しゅり)
神奈川県出身。2008年10月にファイティング・オペラ『ハッスル』で「KG(カラテ・ガール)」としてデビュー。ハッスル活動休止後はSMASHに移籍し、リングネームを「朱里」に改名。2009年12月にはJEWELSに参戦し、シュートボクシングルールの試合に出場。
2012年1月からは立ち技格闘技イベント『Krush』に参戦。同年4月にSMASHからWrestling New Classicに移籍。2013年11月にWNCがREINAと提携したため、WNCとREINA女子プロレスの二団体所属に(キックボクシングの際はボスジム所属)。

朱里がコラムを期間限定連載!
2013年7月23日に東京・後楽園ホールで行われる『Krush.43』で、Krush女子王座の初防衛戦を行うことが決定した朱里。
そこで今回のインタビューであまり詳しく聞くことが出来なかったキックについて、タイトルマッチを前にしての心境などを、急遽、朱里自身がコラムで執筆することになった。
タイトルマッチ前までの期間限定連載となるが、試合後の感想を綴った“ボーナストラック”も一応予定している。コラムは毎週金曜日更新、大好評連載中!

朱里の『トレーニング・モンタージュ〜K−1への道〜』

【期間限定掲載】

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