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夕陽ロングインタビュー【第2回】

夕陽ロングインタビュー【第2回】

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3.31『YUHI FINAL 卒業 SUNRISE』で行われる夕陽の引退試合の対戦相手が夏樹☆たいように決まった。2人とも日高郁人(プロレスリングZERO1)に指導を受けた日高門下生。
打撃も関節技も出来る上にスピーディーな動きや空中殺法も出来るオールラウンドプレイヤーだ。初対決は2013年4月29日に東京・両国国技館大会でのハイスピード選手権。この試合はハイスピード史上でも屈指の名勝負と言われ、この試合をキッカケに夕陽の快進撃がはじまったといっても過言ではない。
プロレスのことを何も知らずにプロレス界に入り、プロレスラーとなった夕陽だが、夏樹との一戦がターニングポイントになったのは間違いない。そこで夏樹をはじめ、夕陽の約2年間のプロレス人生の中で印象的なことを約13000字及ぶロングインタビューの中で語ってもらった。【取材・文/佐瀬順一】

ーー愛川ゆず季さんが引退した2013年4月29日のスターダム両国国技館大会で、夕陽選手は夏樹☆たいよう選手のハイスピード王座に挑戦しました。あの試合を両国大会のベストバウトに挙げる人も多いですが、同じ日高門下生でありながら夕陽選手とも奈苗選手ともちょっと違う、夏樹☆たいようのハイスピードプロレスを体感してみてどうでしたか?

夕陽 私はずっと日高さんが練習を見てくださったんですけど、やっぱりコーチが一緒の選手だと試合をしていてすごく噛み合った感じがしましたね。初めてのタイトルマッチだったし、両国ってことで緊張もしていたんですけど、いままでプロレスをやってきて一番楽しいなって思える試合でしたね。

ーーほー、楽しかったと思えたのはすごいですね。両国国技館っていう大きな会場で、たくさんのお客さんが見ている中でタイトルマッチですから、楽しむ余裕がないくらい緊張していてもおかしくないのに!

夕陽 両国国技館はデビュー前にZERO1の大会を一度だけ観に行ったことがあったんですけど、その前はまったく知らなかったんで。ZERO1の試合を見たときに大きな会場なのに、お客さんが一体になっているのがすごいなって思ったんですけど、夏樹さんと両国でシングルをやるって聞いたときにその記憶をバーッと思い出して、自分にあんなお客さんを一体にさせるようなことが出来るのかって不安になったりもしたんですけど、試合前に日高さんと一緒に2階席の上のほうまで行って「ここのお客さんにも見えるくらいの試合を落ち着いてやりなさい」っていうアドバイスを頂いたこともあって、リングに上がるまではあまり緊張しなかったですね。

ーー全女時代に両国大会に出られなくて、両国のリングにすごい思い入れのある奈苗選手とは逆に、両国でプロレスをやることさえ知らずにプロレス入りした夕陽選手にしてみれば、自分がその会場で試合をするっていうイメージが沸かないというか、想像もしていなかったことかもしれないですね。

夕陽 私、レジェンドと呼ばれる選手の方と試合をする機会も多いんですけど、失礼な話なんですけど、情報としてすごい選手だってことは分かっていても、リアルタイムで試合も見ていないし、当時の映像とか雑誌を見る機会もあまりないので、実際に対戦するまではどの辺がどれくらいすごいのかが分からないんです。失礼な話なんですけど(苦笑)。

ーーいやいや、18歳じゃそうでしょう!

夕陽 まぁだからこそ実際に対戦したらボロボロにやられるんですけど(苦笑)。

ーーでも何も知らずにやってきたプロレスで、両国という大舞台でタイトルマッチをやって、負けたとはいえ楽しかったと思えるような試合が出来たことで、ある種達成感というか、夕陽選手が求めていたものの答えみたいなものが分かった気はしましたか?

夕陽 そうですね。自分が目指す方向とか、お客さんが私に何を求めているのか、分からなくなることもあったんですけど、夏樹さんとの試合で分かった気がしました。試合には負けたので悔しいって思いも当然あったんですけど、それまでは負けて悔しいと思うことはあっても、勝っても負けても楽しいと思ったことはなかったので、夏樹さんとの試合は特別なものだと思いましたね。

ーー蹴りや関節技にハイスピードスタイルが加わることで、夕陽スタイルの完成型が見えてきた感じですか?

夕陽 そういうのを意識するようになりました。

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プロレスのことを知らなかった夕陽だが、夏樹との対戦で“プロレスをやる楽しさ”を知ったという

ちょっとずつ集めてきた星屑が1つの星になった

ーー両国での夏樹戦を経て、6月(23日、スターダム新木場大会)には初めてのタイトルとなる6人タッグ王座(アーティスト・オブ・スターダム)を奪取しましたが、ベルトというのはプロレスの中で、やってきたことに対する分かりやすい結果というか勲章だと思いますが、ベルトを初めて巻いてみてどうでしたか?

夕陽 デビュー前に日高さんから「リングにはたくさんの星屑が落ちているから、それを少しずつ集めていきなさい」っていう話をしていただいたんですけど、あのベルトはまさしく星のカタチをしているので、ちょっとずつ集めてきた星屑が1つの星になった感じがしましたね。しかも6人タッグのベルトは1人では獲れないんで。最初の頃にあった壁みたいなものを取っ払うことで、ちびーず(宝城カイリ、米山香織)の3人で獲れたのも嬉しかったですね。

ーーちびーずの3人で小林さとし(聡)さんに指導されながら合同特訓をしたことがあったけど、チームを組んでいても普段一緒に練習する機会がないせいか、あのときすごく夕陽選手が嬉しそうだったのが印象的でした。

夕陽 はい、その通りです(笑)。王座決定トーナメントをやるときに初めて3人で組んだんですけど、ベルトを獲ってから。そうやって一緒に練習したりして絆が深まってきたチームなんですけど、ベルトを落としてからもチームとしての絆を感じますね。

ーー夕陽選手は基本的にはシングルプレイヤーというか、決まったタッグパートナーもいないですけど、ちびーずは初めてチームとして機能したというか、夕陽選手のプロレス人生の中でもチームでやるプロレスの面白さを知ったものになりましたか?

夕陽 そうですね。コーナーで待っているときとかも、パートナーがやられているのを見ると「痛い!」とか、やられた分はやり返してやらないと、みたいに感情移入してしまうようになりましたね。いい意味で仲間意識が持てたチームというか……。ちびーずの試合の映像を見たときに気付いたんですけど、コーナーから身を乗り出してタッチしようとしたりしてるんですよ。前までの自分では考えられなかったですね。

ーー愛川さんとのYダッシュとか、全力女子として宝城選手と組んだ頃は、まだチームというよりはシングルプレイヤーとしての思いのほうが強かったですね。

夕陽 タッグでもどこかで自分が(勝ち星を)獲ってやるって思ってましたね。やっぱり最後は自分が獲りたいし、ガツガツとした気持ちはみんな持っているじゃないですか。でもちびーずのときは自分が、自分がっていう思いよりは、誰が獲ってもいいからチームとして勝てるように、時にはサポートに徹するとか、そういう部分を学びました。

一番傍にいてくれた先輩が松本さんで良かった

ーー夕陽選手にとってもう1人欠かせない選手として、松本浩代選手がいると思います。一緒に練習する機会も多かったと思うし、タッグを組む機会も多かったと思うし、松本選手は「夕陽ははじめての後輩らしい後輩」と言っていました。引退しようか悩んでいるとき、例えば松本選手に相談しようとか思わなかったんですか?

夕陽 相談は……しなかったですね。松本さんに相談したらきっと止めてくれるんだろうなって。でも止められても自分の思いは変わらないのは分かっていたので。相談して相手に考えさせるくらいだったら、最初から相談しないほうがいいかなと思ったので。だから松本さんに言ったのも本当に直前でしたね。松本さんが一番下のときに息吹がなくなってしまったので後輩って呼べる子がいないって話は松本さんからもよく聞いていたので。私にとってはすごく優しいお姉さんで、本当にいつも気遣ってくれるんです。松本さんはいろんな方と知り合いだし、すごく信頼されているじゃないですか。だから松本さんからアドバイスしていただいたお陰もあって、すごく先輩の選手にご挨拶するときとか、初めていく団体でもスムーズにいけましたね。

ーー本来、ZERO1野良犬道場所属の女子レスラーは夕陽選手1人ですから、1人でいろいろな団体や大会に出なくてはいけない。そうなるといろいろ気を付けなきゃいけないこととか、試合以外に考えないといけないこともたくさんあるけど、松本選手が一緒だと安心感というか良き先輩として引っ張っていってくれる感じですかね。

夕陽 そうですね。ありきたりの言葉になっちゃいますけど、一番傍にいてくれた先輩が松本さんで良かったなと思います。野良犬の練習にも積極的に来てくれて、一緒に練習もしたし。私が言うのも何ですけど、松本さんはもっともっと上のほうで活躍してもおかしくない選手だと本当に思います。

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所属選手が1人だけの夕陽にとって、松本浩代の存在やちびーずという仲間が出来たことは本当に大きかったようだ

ーーデビュー1周年となった両国での夏樹戦を経て、2年目に突入した夕陽選手ですが、スターダム内でも新人王とか6人タッグ王座を獲ったりして、確固たるポジションを築きつつある中で迎えた『5☆STAR GP2013』。この開幕戦で夏樹選手からいきなりハニートラップでピンフォールを奪いましたね! 総当たりリーグ戦ですから、何よりも勝ち星が欲しい開幕戦で、見事作戦がハマった試合でした。

夕陽 まさにハニートラップ(笑)。試合時間も限られているし、夏樹さんっていうのは強敵なので、「開幕戦から夏樹さんかぁ……」って。どう闘おうか迷っていたんですけど、日高さんから伝授していただいたハニートラップは密かに狙っていました。

ーー2013年の『5☆STAR GP』は2勝2敗1分で優勝戦線にこそ絡めなかったけど、前年よりも結果を出したという手応えはありましたか?

夕陽 ハイ、ありましたね。前の年は安川(惡斗)選手には勝ったけど、(紫雷)イオさんと引き分けであとは全部負けたので。去年は夏樹さんと安川選手に勝って、木村響子選手と引き分けだったので。普段の大会では月に3回試合をしたとしても対戦する相手もバラバラだし状況もあるけど、1年に1回あるシングルの総当たり戦っていうのは、自分がどの辺の位置にいるのかが分かりやすいですね。

第3回につづく

夕陽(ゆうひ)
1995年7月30日、埼玉県朝霞市出身出身。156cm、53kg。小林聡と日高郁人の指導を受け、2012年4月24日のZERO1後楽園ホール大会での愛川ゆず季戦でデビュー。その後は日高が過去に指導したことのある高橋奈苗や夏樹☆たいようが所属するスターダムを主戦場にして活躍。同年12月には「ROOKIE OF STARDOM2012」で優勝して新人王となった。

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