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佐藤光留ロングインタビュー【第1回】

佐藤光留ロングインタビュー【第1回】

佐藤光留ロングインタビュー

パンクラスで総合格闘家として活躍していた佐藤光留が、DDTプロレスリングに参戦するようになったのが2008年のこと。2010年には中澤マイケルと“変態團”を結成し、何かと物議を醸したが、DDTがプロレス業界初の試みとして2010年に開催した第1回DDT48総選挙では、何と498票を集めて2位となった。
同年10月には飯伏幸太とシングルマッチで対戦して勝利。その勢いにのって11月にはHARASHIMAの持つKO−D無差別級王座に挑戦して王座を奪取。もう佐藤光留はDDTにとって欠かせない選手であり、光留自身もDDTがホームリングであることを明言していた。
ところが、DDTの2014年度の契約更改が終了した1月17日、DDTから「佐藤光留はレギュラー参戦継続せず」という発表があった。「旅に出ることにした」という光留に一体何があったのか……一応のDDTラストマッチとなった1.26後楽園大会直前に、急遽光留をキャッチ! なぜ旅に出ることにしたのか、その理由(わけ)を約15000字に及ぶロングインタビューで語ってもらった。【取材・文/佐瀬順一】

光留 4団体所属の佐藤光留です。

ーー(※無視して)一部のファンには佐藤光留がDDTのレギュラー参戦を継続しないというニュースは結構衝撃的だったと思うので、急遽インタビューをすることになりました。有料サイト用なので、思い切ってバーンと語ってもらいますよ!

光留 自分で言うのも何ですけど、僕、自分から発信するものは非常に多いんです。で、何かあってコメントを求められても、「文章で書いて送ります」ってことが多いんです。インタビュー形式って基本されない人間なんです(苦笑)。

ーー言われてみると、あまり佐藤光留インタビューって読んだことないですね。

光留 週プロ(週刊プロレス)で年1回くらい順番が回ってきて話すことはあるけど、基本的に自分発信にしているので。「佐藤は話を聞かなくても勝手にしゃべるだろう」って(思われている)。

ーーまぁ個人的にはそういう選手にこそ敢えて聞いてみたいというか……

光留 僕は自分で言いたいことばかり言っているから、人に聞かれて答えることがあまりないんです。だからこういうインタビューは、普段僕がしゃべらないことを言う機会ではあると思います。4団体所属を機に……

ーー(※無視して)確かに佐藤光留というレスラーは自分発信のイメージが強いけど、叩けば響くというか、投げたボールが悪球でもとりえず打ち返してくるみたいなイメージもありますね。

光留 響かないって、もうダメなんですよ。響かせ方にこだわりと音を操作する技量……ありがたいことに僕は(叩かれて響かせる)量が多かったので、人よりは身についていると思います。それがバトル・ニュースの有料サイトにどれくらいの貢献が出来るかは分からないですけど……

ーーじゃあ、ひとつ読んだ人がひっくり返るような爆弾発言を……

光留 まぁ払ったお金分は佐瀬さんがいやらしいお店に……

ーーなんでだよ!(笑)とりあえずDDTのレギュラー参戦をやめる話を聞きたいんですが……

光留 あのリリース文(ニュース記事参照)、読みました? 我ながら、さすが佐藤光留だなって思いましたよ。ああいう文章が書けるプロレスラーって自分しかいないっていう自負がありますね。もちんん、ほかの文章は書けないっすよ(苦笑)。ああいう文章を書かせたら、さすが『必殺仕事人』を日に2回見ているなって思いますよ。

ーーいっけん、ふざけているような文章だけど、いろいろなメッセージが込められているのは分かりますね。佐藤光留を……とくにDDTでの佐藤光留をよく知るファンなら何か感じるものがあったんじゃないですかね?

光留 逆に言えば一般向けではないんですよ。あれを読んでちょっと興味を持った人が、中澤マイケルを調べて「何でこの人はこの人に向けて、必死になって『頑張れ、お前』みたいなことを言っているんだろうってなってしまうわけで。でも書きたいことが書けましたね。

ーーいい意味でDDTへの“未練”を感じました。

光留 はい。未練のない旅立ちはただの夜逃げですよ。本当にそう思いますよ。何かから逃げるんじゃなくて、居たいなと思うところから離れるのが旅だと思うので。あれから旅っていうものをテーマに置いて、いろいろなものを見るようにしているんですけど、また違うものが見えてきて。同じ『必殺仕事人』のDVDを見ても、旅をするって視点で見るとまた違う趣がある。もうその時点で自分にとってプラスだと思いますね。

ーーなるほど。いくら居心地がよくても様々な事情により、その場から離れなくてならないことってありますよね。

光留 結局ね、人生は旅なんすよ。……って、『ワイルド・スピード×3』でハン(・ルー=サン・カン)が渋谷のビルの上で言ってました。

ーー引用かよ! どんだけ『ワイルド・スピード』好きなんだ!(笑)

光留 しかも『×3』限定っていう(苦笑)。もっともB級と言われた『×3』が好きなんです。ほかの作品はちゃんとし過ぎてて面白くなかった。

光留にとって存在が大きかった飯伏幸太

ーーで、肝心ななぜ旅に出ようと思ったのかってところなんですが、昨年夏の両国大会でタッグ王座を落とした辺りから、DDT内で佐藤光留がこれといったテーマが持てなかったようには見えたのですが……

光留 まぁ、その……タイトルを落としてテーマがないっていうのもテーマなんですよ。それをテーマに出来るかどうかは自分次第だったんです。僕は結構プロレスに対してライブ主義っていうのがあるんです。観に来たお客さんが「面白い」と思って、「いい興行だったな」と思ってもらって帰さないといけない。じゃあ自分がしなければいけないことは、もしかしたら佐藤光留っていうネームバリュー以上に目立たないことかもしれないし、メインイベントに期待の新人がいるんだったら、そいつ以上に僕が引くことも必要だし。引くっていうのは負けていいとは違うんです! じゃあどうするかって言ったら、もっとシンプルに勝利を追い求めていくスタイルにしなければいけない。そういうことをしていた自負はあるんです。

ーーなるほど。バイプレイヤーとしての役割であったりとか、パフォーマンスの部分を封印して愚直に勝利を求めて積み重ねていく作業とか、いわゆる“溜め”の時期っていうにもプロレスでは必要なことですよね。

光留 それを発信はしていないかって言ったら、自己発信の場っていうのは非常に多くあるので、それを最大限に利用してやっていたんですけど、いざ自分がやっと好きに暴れていいぜっていう時期になったときに、何かちょっと成果というものをあげられなかったなとは思います。そうなったら新ユニットってことになるんですけど、やっぱり飯伏(幸太)さんの存在が大きくて。飯伏さんとやったとき(2013年10月20日、後楽園ホール。飯伏&ケニー・オメガvs.光留&彰人)、もう見境がつかなくなったんですね。あまりに(自分が)出来なくて。飯伏さんと向かい合った瞬間に爆発しちゃって……で、結局試合では負けてしまい。で、帰ったときに「何かちげーな」って思ったんです。あれは思いましたね。何かが違うって……

ーー具体的にどの辺が違うと?

光留 う〜ん、単純に言えば自分が格好悪かったです。その格好悪いのを言わなくてもいいんだけど、言って認めるってことが成長だと思うので。飯伏さんは他の形……2団体所属っていう形で成長ってものを見せたけど、俺がやらないといけないことは飯伏さんと同じ土俵じゃないんだ。じゃあ何かなって思ったときに、これは自分で旅に出ないといけないって思ったところはありますね。

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佐藤光留にとって飯伏幸太は常に意識する存在。両者のインタビューを読み比べるのも面白い

ーー佐藤光留がDDTに上がる理由として、飯伏幸太へのジェラシーっていうのは大きなテーマですよね。その飯伏幸太が新日本プロレスとの二団体所属という形で大きく羽ばたいた。じゃあ佐藤光留もDDTと全日本プロレスの両方で活躍すればいいかっていうと、それも何かが違う。そこで考えたのがDDTを飛び出すという選択肢。確かにこれは飯伏選手には出来ないことですね。

光留 そうですね。飯伏さんだから二団体所属って出来たって思うんですけど、佐藤光留だからパンクラスっていう看板を背負って、いろんなところに行って喚き散らして、人を蹴りまくるってことが出来ると思うんですよ。やっぱり違いを明確に出すためには、単純に(飯伏と)違うことをすればいいんです。……っていうのを『ワイルド・スピード』を見てて思いました。

ーー出た!(笑)

光留 ハンは最初あまりよろしくない一味の一員だったんですけど、ちょっと追われているから日本に行くって言って日本に来たんです。その日本で半分仲間で半分利用しているような連中の中にいたんですね。そこに押し掛けてきたショーン(ボズウェル=ルーカス・ブラック)っていう主人公に対して言うわけです。「なんであんたは日本に来たんだよ?」って。「カウボーイは追われて街を出るもんだ。ここは俺のメキシコだ。人生は簡単だ。そうと決めたら過去を振り返らないことだよ」って言ったときに、いま俺が憧れなくてはいけないのはスーパーマンでも、ウルトラマンでも、X-MENでも、アイアンマンでもなくハンだと思ったんです。

ーーそうきたか(笑)。

光留 僕、実はスーパーマン的なことも出来るんですよ! 何なら唯一週刊プロレスの表紙取ったやつだって、あれは言わばX-MENですもん! やっていることは。旅に出ていたミュータントっていう部分で。でも僕に一番足らないのはハンだったんですよ。大岡越前は意外と出来るんです。遠山の金さんも意外と出来るんです。だけど、人知れず恨みを晴らす渡辺小五郎(=必殺仕事人で東山紀之が演じる同心)にはなれないんです! だから憧れているっていうのがあったんですけど。それを自分に置き換えたとき、本当は国境を越えたほうがいいと思っている。一度荷物を放り出して旅に出たほうがいいと思っているのに出ていない自分に気付いたんです。

ーーうんうん。パンクラスMISSION所属とはいえ、事実上フリーみたいな立場でいるのに、ホームリングに居続けるっていうのはどこか勿体ないというか、出られるうちにどんどん外にも出ていくべきでは?って思う部分もありますね。

光留 いまのフリーの生き方っていうのがあるので、それはそれでいいし、そういう話をDDT側にしたときに「別にいままで通りでもいいよ。佐藤光留が選んでくれ。全然いままで通りでもいけるけど、どうする?」っていう言われ方をされたんですけど、「すみません。ここは1回距離を置きます」って言ったんですね。選択が正しいのか、間違っているかはこれからの自分次第だと思うんですけど、選んだ道の方向は正しいと思うので。

ここでしか言わない(!?)DDTの選手へのメッセージ

ーーDDTのレギュラー参戦をやめるって発表は、DDTファン、とくに佐藤光留ファンは結構驚いたと思いますが。

光留 すげー反響があったんですよ。すごかったです。

ーーいまDDTはすごい勢いに乗っているじゃないですか。さいたまスーパーアリーナに進出するぞとか、東京ドームも夢じゃないくらいの勢いですよ。そんなドラマティック・ドリーム・チームの一員に佐藤光留も確実に入っていると思っていた。なぜこのタイミングで外に出るのか?って思う人はいっぱいいると思います。

光留 大変なときこそ、そういうことをしたくなるんですよ(ニヤリ)。準備万端、いま暇だからやるしかないなってことじゃなくて、なぜその混乱期にやるんだって。まぁ、プロレスに対してちょっとマゾというか、いまでこそ無差別級、無差別級ってみんな言ってますけど、総合時代から無差別級って言っている人間としては「10年遅い!」。それでいて(ジュニアがヘビーに)勝つっていったら、大体丸め込みじゃないですか。「お前ら、198cm、146kgと殴り合ったことあるか?」とずっと思っていたんです。やっと階級が整備された頃に、そういうのがやりたくなるんです。天の邪鬼ではあるけど、本当に大事なものって違うんじゃないかなって。もちろん、DDTが大きくなるのは正しいんだけども、大きくなったDDTにぶら下がっているのか、それとも一緒にDDTを大きくしていったのか……っていうところはすごく大きいと思います。これをもしDDTの選手が読んでいたら……バトル・ニュースの有料サイトでしか言わない、DDTの選手へのメッセージです!

ーー独占激白いただきました!

光留 これは本当です。DDTが大きくなったのか、お前が大きくしたのか……それは違うものですよ。竹下(幸之介)が(プロレス大賞の)新人賞を獲りました。もちろん竹下じゃないと獲れなかったと思いますけど、Club atom時代のDDTに竹下が入って、いまの活躍をしても獲れたかって言ったら、たぶん獲れなかったと思うんです。

ーー確かにいまのDDTでも竹下選手のことをよく知らない審査員の方がいたという話ですから、団体の規模がもっともっと小さかったら、きっとほとんどの審査員が竹下選手のことを知らない可能性は高いですね。

光留 あれは高木三四郎という人間の力があったからこそだと僕は思いますね。高木さんにしてみれば、自分のところの選手、竹下が新人賞獲ってことは嬉しいと思うんですよ。けど、もし竹下自身が自分の才能だけで獲ったと思っているんだったら、それはもう間違えですよ、と。近藤有己にはなれませんよ。

ーーん?

光留 プロレス大賞新人賞と言えば近藤有己なんです! このあいだの深夜、パンクラス道場にサンドバック蹴りに行ったら、近藤さんが偶然来ていて、そのことを言ったら「もっと言って」って言われました。

ーーダハハハハハ!

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近藤有己のことをよく知らないプロレスファンはぜひ調べてみてほしい

第2回につづく

佐藤光留(さとうひかる)
1980年7月8日、岡山県出身。172cm、92kg。2000年にパンクラスでデビューし、ジョシュ・バーネットや中村大介、長南亮らと対戦。メイド服とネコ耳がトレードマークの“変態”として話題になりはじめ、2008年からは鈴木みのるが所属するパンクラスMISSION所属となり、主戦場をDDTにする。そのDDTとは2014年、レギュラー参戦継続の契約をせず、旅に出ることを発表した。

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