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飯伏幸太ロングインタビュー【第2回】

飯伏幸太ロングインタビュー【第2回】

飯伏幸太ロングインタビュー

飯伏は中邑真輔戦で、東京スポーツ制定プロレス大賞2013の年間最高試合賞(ベストバウト)を受賞したが、2年連続で最優秀選手賞(MVP)を受賞した新日本プロレスのオカダ・カズチカとのシングル初対決も昨年実現した。
まだオカダが“レインメーカー”になる前、メキシコで一緒になったことがあるという飯伏は、プロレス界にレインメーカー旋風を起こしたオカダに対して「いまどれだけ凄くなっているか興味があります」と口にしていた。
IWGPヘビー級王者が…いや、そもそもオカダが他団体のリングに参戦することが稀。だからこそ、その対戦相手である飯伏に「本当のところはどうなんだ」と、レインメーカー評を聞いてみたかった。約15000字に及ぶロングインタビューの2回目は、その辺の話を中心に掲載する。【取材・文/佐瀬順一】

ーー『G1』を完走して自信をつけたところで、すぐに今度はホームのDDTで両国2連戦! なかなか過酷な連戦でしたけど(笑)、2連戦の初日はメインで男色ディーノ選手とシングルマッチ。いかにもDDTらしいカードでしたが(笑)。

飯伏 そうですね。真逆というか……でも、何かホッとしましたね。家に帰ってきた感はかなりありました! 相手がディーノさんだったっていうのも大きいですね。やっぱりデビューの頃からよくやってる人ですからね。

ーーまた、試合後にディーノさんから「なんでプロレスやってんの?」って聞かれて「楽しいからです」って答えたら、「DDTにいるのは?」って聞かれて。「好きだから。大好きだから」って答えてましたけど(苦笑)。

飯伏 いや〜、アレも突然言われて、本当に思ったことを言おうと思って言っただけ、みたいな(苦笑)。

最高のシチュエーションで実現したレインメーカーとの初対決

ーー翌日は新日本プロレスのIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカを迎え撃ったわけですが、2年くらい前に飯伏選手にインタビューしたとき、「いま興味ある選手はレインメーカーですね。以前メキシコで会ったことがあるんですけど、いまどれだけ凄くなっているか興味があります」みたいなことを言っていたんですけど、まさかDDTの両国大会でその機会が来るとは……。

飯伏 あぁ、はい。それは……そのときは思わなかったっすよね(笑)。本当にやるとは……。

ーーノンタイトル戦とはいえIWGPヘビー級王者が、しかもオカダ選手が他団体に出ることがまずないですし、注目度という点でも2年前には想像もしていなかったほど最高のシチュエーションだったけど、そこで実際にやってみてレインメーカーっていうのはどうでした?

飯伏 最高のシチュエーションでしたねぇ。何か……まぁ実際(オカダは)自分より大きいんですけど、それよりさらに大きく感じましたね。何か分からないですけど、「あ〜、自分はまだなのかな」みたいな? 試合をやってそう思う人って、あまりいないんですよ。技術とか、そういうのじゃなくて、何か分からないっすけど、オーラなんですかね……分からないっす! 分からないです……

ーーほほー。それは興味深いですね。「これ」っていうのは言及しにくいけど、やっぱり天下の新日本プロレスのトップを張っている噂のレインメーカーっていうのは、単にキャラクター付けされて会社からプッシュされているだけじゃない、トップに居座れるだけのオーラも実力もある、と。

飯伏 たぶん、それですね。何か形だけじゃないなっていう部分を感じました。たぶんあぁいうのが“本物”みたいな感じなんでしょうね。

ーーおぉ、なるほど、本物ですか。やっぱりそれまでのオカダ選手は新日本の中でしか見られなかったので、どうしても「本当のところはどうなんだろう」っていう疑問を抱く部分はあったんですけど、あの飯伏選手との試合は他団体のビッグマッチに乗り込んでいったというのに、あの年齢、キャリアにして実に堂々としていましたし、あの中邑戦を経た飯伏選手を相手にしても「オカダ強し!」という印象を残す試合をやってみせましたからね。あの姿を見て「これは本物だ」と思った人もいたと思います。

飯伏 あ〜、そうですね。うん、そうですよね! 自分が逆の状況だったら、結構ヤバイと思うんですよ。自分は自分の団体にしか出ていなくて、しかもIWGPのヘビー級のベルトを持っている状況で、ケガしたり、やられたらヤバイ状況じゃないですか! あの状況でよく出てきて、あれだけ……何ていうか、“放っていった”なって思いますね。いや、さすがだなって思いましたね。

ーーメキシコで会った頃のまだレインメーカーではない“岡田かずちか”とは全然違っていましたか?

飯伏 違いました。全然違いました! 凄かったです。

ーー飯伏選手は明確な目標というか、“やりたいこと”があるときはすごいモチベーションで向かっていくイメージがありますよね。すべてをやり尽くしちゃったときが一番怖いというか、ガクーンとテンションが下がりそうな気がするんですけど(笑)、オカダ選手は「いつかまたやってみたい相手」として、この先も目標みたいなものになりそうですか?

飯伏 そうですね。もう少し自分もレベルアップしないといけないですけど、もう1回やりたいですね! 向こうもまだ伸びると思うんですけど、そこにどこまで近づけるか。または超しているか。それを何年後かに確かめたい気持ちはありますね。そんなに長く(現役生活が)出来るかは分からないですけど(苦笑)、1回だけで終わりっていう相手じゃないような気がします。

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2013年8月18日、DDT両国大会で行われた両者の初対決は、19分51秒レインメーカーからのエビ固めでオカダの完勝だった

ーー両国2連戦で新日本で揉まれた飯伏幸太がひと回り大きくなってDDTに帰ってきたなという感じだったんだけど、ファンの反応が変わってきたのかなと思ったのが、その後のDDT48総選挙の結果ですよね。2012年は1位だった総選挙の結果が、2013年は3位に下がったことを率直にどうですか?

飯伏 あ〜〜〜、率直に……本当に単純に、「あぁ3位か」って。本当にそのまんまですね(笑)。別に1位だと思っていたわけじゃないですけど、「あぁ1位じゃないんだ。3位か」って思いました。

ーー飯伏選手らしいといえばらしいですね(笑)。飯伏選手は毎年、とくにコレといった選挙活動みたいなことはやらないけど、「僕は外に出ていった新規のファンをDDTに連れてくるのが役目です」と常々言っていて、そのためにも新日本に参戦したりしている。それが飯伏幸太なりの選挙活動という感じがするのですが……

飯伏 あぁ、そうですね。

ーーその結果、1位が3位に下がったことで、「あれ、やり方が間違っていたのかな?」とか迷うというか、新規のファン獲得に集中するあまり、既存のDDTファンを遠ざけるというか距離が出て来た感じがするとかってあります?

飯伏 そうですねぇ……う〜ん……遠ざけちゃってるかなっていうのは、何かあったような気がしますね。本当に外からの(新規のファン)獲得、外からの獲得にのみ集中し過ぎたというか。もうちょっと元々のDDTファンをケアしつつ出来たかなぁとも思うんですけど、そういう器用なことが出来るタイプではないので。自分はとりあえず外から(DDTに)放り込んで、あとは気になった選手とか好きになった選手の応援をしてくれれば。それがベストだと思っているんで。別に連れてきたファンが、全部自分についてくれとは思っていないんで。とりあえず、たくさん連れてきて……逆に言えば、DDTから新日本っていう(ファンの流れも)考えています。どっちも潤えばベストだし、もっと言えばプロレスファンじゃない人も入ってくれば、自分にとっては最高ですね。

「キ●ガイで好きなことをやっている奴」と思われている!?

ーーオカダ戦の煽りVの中でも「プロレスだって野球やサッカーのようなメジャーになる可能性がある」って言ってましたね。そういうことってポーズで言うのは簡単だけど、飯伏選手の場合は本気というか、1%でも可能性があるのならそこを目指してやってみるっていうタイプですよね?(笑)

飯伏 はい。

ーー実際、最近の新日本プロレスの勢いは凄いし、飯伏選手の中でも「これはまたプロレス黄金時代が来るんじゃないか?」と思った部分はありますか?

飯伏 どこかで思いましたね。それは自分が現役中じゃないかもしれないですし、そのキッカケを(自分が)作れるんじゃないかって思いました! だから可能性は確実にあるな、と。ただ昔、プロレスを見ていて一旦格闘技に行ってた人が戻ってくるっていうのもいいんですけど、本当にプロレスってものを知らない人たちが(プロレスに)来る可能性を感じました! それって一番デカイ気がするんですよ。

ーーうんうん、そうですね。それは新日本だけじゃなく、DDTでもそうかと思いますが、よく見かけるお客さん以外にいかにも“プロレス初めて見ます”と思われるお客さんを見かけるようになった?

飯伏 そんな気がします。もっと言えばDDTでやっている路上プロレスっていうのは、まぁ路上っていう普段とは違うシチュエーションでやるのが好きっていうのはあるんですけど、最初のコンセプトとしては突然外でプロレスをやったら、プロレスを知らない人だって見てくれるんじゃないかって。そういう人たちが「何か楽しいな」と思ってくれて、会場に来てくれたら最高だなと思って始めたのが路上プロレスなんです!

ーーゲリラライブみたいなものですね。

飯伏 そうです、そうです! 「おっ」って思った人が会場に来てくれるかもしれないし、プロレスってものを見たことがない人が、初めて見るキッカケにはなるなと思ったんです。それが自分の中での路上プロレスですね。

ーーてっきり路上とかでやるのが好きなだけかと思ってましたけど、実はそんな深い理由があったんですね!(笑)

飯伏 そうですね。自分は最近、それを感じたんです(笑)。「(周りは)そう思っていたのか!?」って思ったんですよ。

ーー遅い!(笑)結構、そう思っている人いると思いますよ。

飯伏 そうですよね? でも自分は違うんですよ(苦笑)。1割はそういう気持ちはありますよ。でも9割はプロレスをあまり見たことがない人が見てくれたらどう思うんだろうとか、これでお客さんが増えたらすごく嬉しいなとか……ですよ!

ーーわー、逆のイメージ!(笑)でも、こうやって話してみるとよく分かるけど、飯伏選手は実はプロレスに対してものすごく真摯というか、真面目というか、すごくいろいろ考えてますよね。プロレスが大好きな余り、すごく自由に楽しいことをやっているイメージが強い(笑)。

飯伏 それを僕も最近感じたんですよ! 好き放題やってみたいなに取られているんだって(笑)。

ーーまぁ、ぶっちゃけ、キ●ガイなんじゃ……と思っている人はいると思いますよ(笑)。いい意味で。

飯伏 アハハハハ! まぁ、そうですよね?

ーーというか、そういう面もあるってことね。プロレスラーなんだから、そういう常識では計り知れない部分を持っているというのは魅力のひとつとして。

飯伏 たぶん、(そういう一面は)あると思います。自分でも気付いていない部分で、キ●ガイな動きをしていることはあるんです。それを言われても気付かないんですけど、根本的な部分で、僕、相当真面目な気がするんですけどね(苦笑)。

ーーアハハハハハ!

飯伏 で、ドライな感じで見られているかもしれないですけど、結構熱いんです!

ーーうんうん。プロレスに対してすごく熱い! 文章でどれくらい伝わるかなぁ……。話していてもプロレスの話題は本当に熱っぽくしゃべっていますからね。ファンの人にはどれくらい伝わっているのかなぁ?

飯伏 確実に伝わってないです! キ●ガイで好きなことをやっている奴みたいな(印象ですよね)。

ーーそろそろそういう真面目な一面も小出しにしていきましょう!

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以前IWGPジュニア王座を奪取した際、路上での防衛戦を希望していた飯伏だが…

第3回につづく

飯伏幸太(いぶしこうた)
1982年5月21日、鹿児島県出身。181cm、85kg。得意技/フェニックス・スプラッシュ。学生時代から“プロレスごっこ”をするのが好きで、中学生の頃にはもうムーンサルトプレスが出来たという。大誠塾で空手を学んだあとDDTに入門して2004年にデビュー。2013年には史上初となるDDTと新日本プロレスの二団体所属選手となる。2014年1月4日の新日本プロレス・東京ドーム大会をプリンス・デヴィットに勝利し、第67代王者IWGPジュニアヘビー級王者となった。

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