パンクラスが株式会社スマッシュに経営権を譲渡!「世界標準」をスローガンに掲げてアマチュア部門も刷新!来年は20周年記念大会を開催へ
総合格闘技団体パンクラスが都内のホテルで記者会見を開き、平成24年5月31日付けで株式会社スマッシュに経営権が譲渡されたことが発表された。
会見にはまず酒井正和新代表、前代表で新たにエグゼクティブプレイングマネージャーに就任した川村亮、坂本靖統括本部長の3人が登壇。まず川村前代表が自身が代表を務めた2年間の中で、危機的状況だったところを救ったドン.キホーテに感謝の言葉を述べてから「今回、株式会社パンクラスは株式会社スマッシュという心強いパートナーを得て、新しく出発します」と力強く宣言。
続いて坂本統括本部長が「1993年5月16日にパンクラスは記者会見をして生まれ、いよいよ19年目。そして来年20周年。そういう記念すべき歴史を新たに素晴らしい方々と歩んでいける、そして今までお世話になった方も一緒に歩んでいけることを嬉しく思います」と語ると、酒井代表が「明日のディファ有明大会から私が陣頭指揮を執って行います。数年前からドン.キホーテ様とご相談いただいて、スマッシュのほうで運営を担当して、ドン.キホーテ様のほうでスポンサードというお互いにメリットがあるんじゃないかということで、このような形になりました。弊社のプロレス部門が今年に入って活動休止になり、私の中で総合格闘技部門を強化しつつエンターテインメントスポーツという概念の中で、私がやることを模索していたのですが、その中でパンクラスは以前からファンだったこともあるし、今の日本の格闘技界があまり元気がないということで、スポーツマンシップに則った健全な環境の中で、感動や夢を与えられるようなことがパンクラスを通して出来るんじゃないかと思いました」と経緯を説明。
「川村前社長がこの2年間でやってこられたものに、私が協力すればもっといいものになるんじゃないか、世界にパンクラスを持って行けるんじゃないかと思いましたし、私の中では昔から内部の人間だったんじゃないかと思うくらい、私もパンクラス愛を持っています」と、パンクラスへの思いも熱く語った。
一方、川村エグゼクティブプレイングマネージャーはパンクラスismだけでなく、パンクラスに参戦するすべての選手を対象にした選手会を立ち上げ、運営側(スマッシュ)とのパイプ役になるという。
さらに「パンクラスというのは非常に重い。重いというのは歴史があって、そこに携わっている方々の思いを感じて責任を感じるというところ。そこでパンクラスは業界のリーダーシップをとるような団体にしたい。私から言わせてもらうと、パンクラスはこれからハイブリッドしていく」と語り、新生パンクラスは「世界標準」をスローガンに掲げ、ステップアップしていくという。
各階級の現キング・オブ・パンクラシスト(以下KOP)も登場したあと、酒井代表は「世界標準」について、今の日本の格闘技界になかなかない世界に通用するファイターを、老舗団体だるパンクラスが率先して送り込んだり、育成していくことだと説明。
具体的には、KOPと上位ランカーの世界進出に向けたプロモーションから通訳やスポンサー交渉窓口などを担当する「パンクラスマネージメント設置」、選手のアメリカ滞在時のトレーニング&生活環境のための施設や、世界進出時のバックアップをするための「パンクラスUSA支部の設置」、「海外ジムとの提携」、「ケージの導入」(来年3大会くらいを予定)という4つの柱を軸にしていくという。
このほかにも、団体として、選手としてのモラルを管理するためや、レフェリーやドクターに権限があることを明確に謳うための「コンプライアンス委員会」と、サポートする企業を中心に団体として改善しなくてはいけない部分を話し合うための「アドバイザリーボード」を新設することも発表された。なお、ドン.キホーテは今後もパンクラスをスポンサードしていくとのこと。
また、KOPの地位向上を掲げ、現役のKOPと対戦する世界の強豪ファイターを選考・推薦する機関として、キング・オブ・パンクラシスト委員会が設立され、委員長には"無差別級の初代KOP"であるケン・シャムロックが就任。シャムロックは「今後、私は酒井社長がパンクラスの栄光を取り戻そうとしていることをサポートしていきます」というコメントを寄せた。
続いてパンクラス新体制メンバーとして、DEEPの佐伯繁代表、島田裕二イベントマネージャー、梅木良則審判部長及びJML統括プロデューサーが登壇。佐伯代表は「いまちょうど雹が降ってきたんですけど、この新生パンクラスの旗揚げに相応しい嵐! ......の予感がします」とカマしたあと、そもそもDEEPの旗揚げはパンクラスの全面協力のもとで行われたこともあり、パンクラスには思い入れもあるということで、新生パンクラスにはスーパーバイザーとして参加し、DEEPとパンクラスは業務提携を結ぶことを報告。「形だけかと思われるかもしれませんが、この業務提携はDEEPもパンクラスも真剣。統一コミッションを設営し、お互いに反則をした選手へのペナルティとか、健康面とかを共有する」と説明した。
さらに「ファンは島田さんが入ってパンクラスをメチャクチャにすると心配しているかもしれないが、それはないです。お互いにルールに入っていくことはないし、選手の貸し借りも基本的にはしない。その代わり1年に1度か2年に1度、お互い潰し合いの対抗戦みたいなこともやっていきたい。そういうのはお互いに信頼があるから出来ると思う」とも加えた。
島田イベントマネージャーは「総合格闘技は自分を育ててくれた場。世界に通用する選手をもっともっと作っていきたいと、世界中をレフェリーしていて感じる。選手がMMAという競技だけで食べて行けるような環境を僕らで作っていきたい」と抱負を語った。なお、島田氏はパンクラスではイベントマネージャーとして個々の相談児野って、それを形にしていくのが役目であり、レフェリーをする予定はないという。
現役KOPたちはそれぞれ新生パンクラスに対して前向きな発言や、今後もリング上で頑張って行くといったようなコメントを出したが、フライ級KOPの砂辺光久は「皆さんと言っていることはちょっと変わっちゃうと思うんですけど、僕は19年前にパンクラスに憧れてこの業界にいます。僕も憧れる選手になりたいし、またあの頃のパンクラスを、違う形になっちゃうと思うんですけど取り戻せたらなと思っています。これから選手がハイブリッド・レスリングの名のもと頑張って行くと思うので、よろしくお願いします」とコメントした。
アマチュア部門に関しては梅木JML統括プロデューサーから、これまでやっていたアマDEEP、アマチュアパンクラス、パンクラスゲート×2を廃止し、すべてJML(JAPAN MMA LICENSE)に統合することが発表された。
DEEPとパンクラスのアマチュア部門が統合されたことで、今後は全国規模のアマチュア大会を開催することも出来るようになるだろうし、今後はこのJMLの中からパンクラスを目指す選手はパンクラスゲート、DEEPを目指す選手はフューチャーファイトに送り出すことになるという。
現時点でJMLに加盟しているのはパンクラスとDEEPの2団体だが、JMLからはプロ選手の証となるプロライセンスを発行していくという。今後、JMLの考え方や方針、運営方法に賛同する団体やジムが増えて、協力し合うことで日本に広まっていければいいという。
最後に来年旗揚げ20周年を迎えるパンクラスだけに、現時点では期日未定ながら『PANCRASE 20th Years Anniversary Event(20周年記念大会)』の開催を予定しているという。酒井代表は「これは必ずやります。決定事項です。ケン・シャムロックにも相談して、いままでのパンクラスの歴史と新たなパンクラスを融合させた総合格闘技のイベントをやりたいなと思っています。会場は(ディファ)有明や後楽園(ホール)ではなく、もうちょっとデカイところを考えています」と予告した。
なお、鈴木みのるや佐藤光留が所属するパンクラスMISSIONについては後日改めて発表されるが、解散するようなことはないとのこと。
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