首の負傷で欠場していた折原が、リアルジャパン7・21後楽園大会で復帰することが決定!だが、「自信がない」とシャーク戦は拒否
22日、東京・新宿の喫茶タントラで折原昌夫が記者会見を行い、リアルジャパンプロレスが7月21日に開催する後楽園ホール大会『SPACE FLYING TIGER DROP』(スペース・フライング・タイガー・ドロップ)において8カ月ぶりに復帰することを発表した。
ユニット"リアル・ダーク"を結成し、独断でタッグベルトを制作するなど、様々な方法でリアルジャパのリングを盛り上げてきた折原に異変が起きたのは、昨年11月のことだった。
11・7相模原市体育館大会のメインイベント(初代タイガーマスク&長州力&アレクサンダー大塚vs.藤波辰爾&天龍源一郎&折原)に出場した際、頭部を強打。大きなダメージを負った。それでも無理を押して、DDT11・28後楽園ホール大会に出場。師匠である天龍源一郎&HARASHIMAとのトリオで、高木三四郎&矢郷良明&入江茂弘と対戦したが、試合中に突如として左足に痺れが発生。なんとかタッチをして試合自体は乗り切ったが、終了後に新宿の国際医療研究センターに直行した。そこで、『中心性脊髄損傷』と診断され、緊急入院。1週間の絶対安静が言い渡された。
その後も首の状態が思わしくなく、いくつかの病院で検査を受けた結果、更なる病気が見つかる。それが『後縦靭帯骨化症』だった。骨の間にある靱帯が骨と一体化し、神経を圧迫する病気で、未だに詳しい原因が判明していない難病。プロレス界では新日本プロレスの天山広吉が長年苦しめられており、またフリーの志賀賢太郎も症状の似た『黄色靱帯骨化症』で2年7ヵ月もの長期欠場を経験している。
折原自身、以前から首の状態が思わしくなかったが、今回初めて病名が明らかになったという。日常の生活にも支障をきたす難病で、手術の結果によっては車椅子生活になる可能性もあるため、「プロレス復帰が大前提」の折原にメスを入れてくれる病院がなかなか見つからなかったが、最終的には慶応病院が受け入れ、スペシャリストを集めたチームで手術を担当してくれることなった。
3月25日に入院し、3日後の28日に手術を実施。通常では神経を圧迫する骨を削る処置が取られるが、プロレス復帰にこだわる折原のため、骨自体を取り除く手術が行われた。しかも、骨化の症状を示している首の前側にある骨ではなく、後ろ側の骨を取り除いて神経の間に余裕を作る処置が取られ、無事手術は成功。非常に難易度の高い手術が成功し関係者も安堵。本当は絶対安静状態でのより長い入院生活が必要であったが、4月4日に退院し、自宅で絶対安静の療養を続けてきたという。
「入院していた期間だけを見ると、本当は軽い病気だったんじゃないかと思われる人も多いと思いますけど、もし、ドクターの言うことを素直に聞いていたら、今でも病院のベットに寝ている状態ですよね。1週間で退院しましたけど、その時点でドクターは"もう好きにしろ"と(苦笑)」
病気でこのまま動けなくなることよりも、1日単位で変化するプロレス界に置いていかれることに恐怖を感じたという折原は、周囲の反対を押し切り、早い段階から復帰に向けてトレーニングを開始した。
「もちろん、ドクターとは話をしていて、"私の注意を守らなかったら、命はないと思ってください。怪我をした折原君とまた会うことはなるべく避けたい"と言ってました。注意を守って、身体を強化してほしいと。"危なくないように試合をするのは不可能ですけど、十分な対策を取った上でリングに立って欲しい"と話し合いました」
もちろん、長年プロレスを続けてきた折原はリングの怖さを十分熟知している。首を集中的に攻められれば、今度は命の危険に晒されることは明らか。それだけに、パワーボムやパイルドライバー、延髄斬りなど首に大きな衝撃を与える技に対しての対策を立て、さらに技を受けてしまった時のショックの逃がし方などを考慮しながら、若手選手相手にスパーリングを行っているという。
また、首を補強するためそれ以外の部分の強化にも着手。現在は1日5時間のハードトレーニングで自分を追い込んでいるが、身体の痺れが再び出ることはなく、「手術前よりもコンディションはいいです」とのこと。「今後も腕を骨折したり、歯が欠けたりすることは多々あると思うんですけど、首や腰といった自分の弱い部分を怪我して、リアルジャパンに迷惑をかけることはないと思っています。自信を持って、佐山サトル先生やリアルジャパンの平井丈雅代表に"復帰したい"と申し出ました」と力強く宣言した。
奇しくも折原の欠場中に東日本大震災が発生している。それも折原が復帰する大きな理由になった。
「自分が一番苦しい時期、周りからダメだと言われている時期に、あの厳しいリアルジャパンのリングに立つことができたならば、被災地で苦しんでいる方にも"こんなヤツでもでできるんだ"と思ってもらえるんじゃないかって。自分勝手に、自分本位にリングに立ちたいという気持ちではないです。日本に元気を取り戻してほしい。ほんの一部のプロレスが好きな人にでもいいから、気持ちを届けたいです」
復帰に向けて大きな力になったのは、やはり初代タイガーマスクこと佐山サトルの存在が大きい。
「数年前に精神的に人間として落ち込んだ時期があったんですけど、その時、佐山サトル先生が僕を救ってくれたんです。先生の催眠や考えの中で、プロレスラーとして四角いリングに立てる身体に戻っていきました。僕の憧れの人であり、今でも僕のバイブルである人物ですけど、今回もその人の作ったリングで復帰したい。そういう気持ちで先生に出場を頼みました」
折原の状態を心配していた初代タイガーマスクだったが、折原の気持ちやコンディションの回復を見て、出場を了承。今回の復帰が正式に決まった。
「佐山先生も自分の怪我を治すために、自分の細胞を取ってそれを若返らせて、また自分の身体に入れるという素晴らしい医療を体験しようとしています。子供の頃から憧れて、僕の人生を変えた人が、今でもそうやって若い選手に負けないように挑戦している姿を見ると......。そういう厳しい考えの持ち主がいるリングで復帰したいなと強く思いましたね」
復帰戦の対戦カードは未定だが、折原復帰の噂を聞いて、すでに、タイガー・シャークが名乗りを上げている。当然、折原の耳にもその情報は入っていた。
「まずリアルジャパンに上がるんであれば、あの"青い虎"を倒してやりたいと思っています。すぐに当たりたいですが、同時に今年いっぱいはやりたくない自分もいます。彼の中では折原昌夫を倒すことが一番の目的。そういう100%以上の気持ちを剥き出しにしてくる選手とぶつかることがちょっと怖いというか」
以前はリアル・ダークとして行動を共にしていた2人だが、袂を分かち、折原欠場前は抗争が勃発していた。シャークの気持ちが高まっている分、折原は冷静な反応を示したが、同時に挑発的な発言も忘れない。
「僕が彼を創り上げた部分もありますし、それが自我を持つようになって恐怖を感じています。だからこそ、タイガー・シャークは必ず潰しますよ。ただ、今の僕ではちょっとだけ自信がないので、少しリングの上で体調を慣らしてからと思っているんですけど。もし彼と戦うんであれば、僕もリスクを背負ってやるわけですから、僕が勝った時には彼のマスクを好みの色に変えて欲しいんですよ。ショッキングピンクがいいかな? それだったら僕も楽しみが増えるんで、やってもいいかなと」
最後に折原は「リング復帰の場を作ってくれた佐山先生に深く感謝します。そして、きっと温かく迎え入れてくれるであろうファンの皆様に、これからも120%のパフォーマンスを行うことをここでお約束したいと思います」とメッセージを送り、会見を締めた。対戦カードについては「会社の決定に従う」とコメント。対戦カードは近日中にも発表される予定だが、今回の発言を受けて、タイガー・シャークがどんな反応を示すのかも気になるところだ。
大病を乗り越えたからこそ、今まで以上に暴れ回りたいと話していた折原。早くも今日の会見でリアルジャパンに波紋を起こしたが、今後の動向からも目が離せそうにない。
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