会場には平日にも関わらず多くのファンが詰めかけた上、USTREAMを介して生中継が行われる中、笹原圭一イベント・プロデューサーと共に両選手が登場。まず笹原EPが「いよいよですね。記者会見は何度もやっているのですが、調印式というのはDREAMでは初めてということで、僕もピリピリした2人に挟まれて緊張をしています。ここ最近、UFCも、ストライクフォースも、昨日のK−1MAXもそうですが、格闘技の面白さがファンの皆様に伝わっていると思います。どのイベントのメインも素晴らしい試合を展開しているのと思うので、我々DREAMがその"トリ"を務めるという気持ちで、7月10日は臨みたい。そのトリを託すのは私の隣にいる2人しかいません。この2人であれば、格闘技の厳しさも、素晴らしさも、喜びも悲しみもすべての感情が見ている人に伝わるような闘いを見せてくれると期待しています」と挨拶。
　そして挑戦者・川尻、王者・青木、最後に立会人として笹原EPが調印書にサインし、正式に両者のライト級タイトルマッチが行われることが決まった。そして心境を聞かれた川尻は「もう4日前なので、あとはやるだけですね。練習もしっかり出来たし、コンディションもいいので、最高の状態で相手をKOをしたい」と語れば、青木は「やるだけですね」とだけ語った。

　試合までの残り少ない時間をどのように使いたいか聞かれた両者は、まず川尻が「いつも通り。試合だからとか、タイトルマッチだからだとか気負わず、普段通りの自分でいたいですね」と語ったのに対し、青木は「7月10日にベストを尽くせるように過ごしたいと思います」と言葉少な。ベルトに対して川尻が「正直その存在を忘れているくらい、いまは相手に集中しているので、勝ったあとに付いてくるもの」と挑戦者らしいコメントをしたのに対し、王者の青木は「とくに意識することはありません」とだけコメント。
　青木にとっては4・17ナッシュビルでの『ストライクフォース』で、ギルバート・メレンデスに敗れて以来の試合となるわけだが、改めてこのタイミングで青木vs.川尻という頂上対決が行われることについて聞かれると、川尻は「すべて7月10日が終わってみれば、ストライクフォースも、PRIDEも、全部俺がDREAMのチャンピオンになるためのストーリーの1つだったんじゃないかと、そうなると思います」と、すべては自分が王者になるための"お膳立て"だったと自信溢れるコメント。対する青木は「僕は何も答える必要ないと思います」と返答。
　笹原EPは「決まったタイミングが最良のタイミングだと思っています。去年の12月31日に対戦が浮上したが、それが実現せずに、その間にメレンデス戦があっていまに至っている。それも含めてこの7月に決まったのが最良のタイミング」と語った。

　ここで駆け付けたファンからも質問を受け付けたところ、ストライクフォースに対して乗り込んでいく気はあるのかという質問が飛んだ。川尻は「7月10日より先のことは7月10日が終われば分かる。ただ俺は誰からも逃げないし、闘えと言われれば誰とでも闘うし、日本が弱いと思われているままじゃいられない」と、いつでもSFに乗り込んでいく心構えはあることを示唆。ファンからSFでのリベンジを期待される青木だが、この質問に対する返答はなかった。
　青木が終始伏し目がちのままピリピリとした緊張感を漂わせていたため、さすがにファンも恐縮気味で質問も1つしか出なかったが、会見終了後の囲みで笹原EPが「青木選手の試合前のピリピリムードはどの試合もあんな感じなんですよね。川尻選手はすべて準備したって感じで、いつもよりリラックスしてましたね」とフォロー。初の調印式の感想を「本来であれば毎タイトルマッチごとにこういう調印式をやったほうがいいと思うが、外国人選手だと難しいし、なかなか猪木vs.アリ戦みたいな分かりやすい舌戦はないですけど（苦笑）、すごく緊張感があっていいですよね。やっぱりタイトルマッチなんだなって」と語った笹原EPだが、「昨日のMAXのメインを見て、すごいいい試合だなと思いましたけど、半分くらいはすごいプレッシャーを感じましたね。すごいイベントやってくれたなぁって。良くも悪くも比較されるので、あれ以上のものを見せられるように頑張ろうと思います」と、このところの格闘技は国内外で大きなインパクトを残しているだけにトリを飾るプレッシャーはかなりのようだ。
　なお、残り1カードで予定されているアリスター・オーフレイムの試合に関しては、1〜2日以内に決定出来なければ全7試合でいくのか、代替カードを行うのかを含めて発表するとのことで、そこでなぜここまでアリスターのカードが難航しているのか説明もするという。