今年はムーンサルトプレスの当たり年!
3日に後楽園ホールで行われた新日本プロレス『猛牛祭〜天山広吉デビュー20周年記念興行〜』のメインイベントで、天山広吉が久しぶりにムーンサルトプレスを出して勝利した。
正直、今時ヘビー級の選手といえどムーンサルトプレスを使うのは珍しくない。かつては超重量級のベイダーだって使っていたし、最近では2メートルを越す長身のランス・アーチャーも使っている。
だが、天山の場合はムーンサルトプレスに込めている思いが違う。
この日、天山は蝶野正洋、ヒロ斎藤と"狼群団"を再結成した。狼群団は1995年に天山が海外武者修行から凱旋帰国した直後に結成されたユニットで、その後天山がトップ戦線に駆け上がるキッカケとなった。その頃、天山がフィニッシュホールドとして多用していたのがムーンサルトプレスなのだ。
当時もすでに武藤敬司や小橋建太のようにムーンサルトをフィニッシュに使っているヘビー級選手はいたが、当時はまだ天山のようなゴツゴツしたタイプのレスラーがムーンサルトをやることにインパクトがあり、決して見栄えがいいほうじゃないが、天山のムーンサルトは「天山プレス」と呼ばれ認知されていた。
しかし、天山はムーンサルトプレスに失敗して頭からマットに転落して気を失ったこともある。その辺りからムーンサルトの回数を減らし、代わりにアナコンダバイスをフィニッシュホールドにするようになった。
首に爆弾を抱え、引退を考えるほどの長期欠場を経験した天山にとっては、ムーンサルトを解禁するのは相当勇気のいることだっただろう。関係者から聞いた話では、地方巡業に出た際も密かに練習していたという。
奇跡の復帰を果たし、デビュー20周年記念というメモリアルマッチで、最も勢いのある頃の狼群団を再結成した天山としては、「俺はまだ終わらない! もうひと踏ん張りしてやる!」という意思表示が、あのムーンサルトに現れていたのだ。
そういう意味で今年はムーンサルトプレスの"当たり年"となった。
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