やはり小橋は最後まで"鉄人"だった!まさかの月面水爆で引退試合を締めくくった小橋「プロレスは自分の青春でした」

130511_Kobashi-1.jpg小橋建太引退記念試合実行委員会
FINAL BURNING in Budokan
小橋建太引退記念試合
日時:5月11日(土)開始:17:00
会場:日本武道館
観衆:17,000人(超満員)

 11日、日本武道館で行われた小橋建太の引退興行『FINAL BURNING in Budokan 小橋建太引退記念試合』。故・三沢光晴さん、川田利明、田上明との四天王プロレスで数々の名勝負を展開し、プロレスリング・ノアではGHCヘビー級王座を13度防衛し、日本プロレス界のトップクラスに長く君臨。2006年に腎臓ガンに侵されたものの、2007年12月にはガンを克服して感動の復帰を果たし、まさしく"鉄人"と呼ぶに相応しい小橋建太。
 近年、ケガによる長期欠場が続いていたため、小橋はケジメとして最後にもう一度だけリングに立ち、引退試合を行ってリングに別れを告げることを決意。小橋とタッグを組んだのは、長年バーニングとして共に闘ってきた秋山準、2011年の『ALL TOGETHER』でタッグを組んだ武藤敬司、2005年に東京ドームで一騎打ちを行った際に両者合計218発のチョップを打ち合った佐々木健介。対するは小橋の歴代の付け人を務め、"小橋の遺伝子を継ぐ者"とされるKENTA、潮崎豪、金丸義信、マイバッハ谷口。

 引退試合に先立ち第2試合終了後に行われた引退セレモニー。全日本時代のテーマ曲である『SNIPER』に乗って、グレーのスーツ姿で登場した小橋に、四天王プロレスの盟友でありノアの社長である田上明をはじめとする関係者やマスコミ、縁のある人たちから花束や記念品が贈呈されると、さらにかつて小橋とタッグを組み、現在はWWEのエージェントを務めるジョニー・エースことジョン・ローリネイティス、さらに小橋と数々の激闘を繰り広げたスタン・ハンセンからのビデオメッセージが流される。
 するとノアとは袂を分かった百田光雄が再びノアのリングを"跨ぐ"というビックサプライズ! さらに蝶野正洋を挟んで四天王プロレスの一人である川田利明が登場! 以前と比べるとスーツ姿でも身体が小さくなったのが分かる川田だが、花道を使わずにリングに向かっていくという"らしさ"を見せた。そしてセレモニーを終えた小橋は『BLAZIN』に乗って引き上げていった。

130511_Kobashi-2.jpg セミファイナルで勝利した高山善廣が前座はもう終わりだ。今日のメインイベントがやってくるぞ! 小橋建太、最後まで全力でいけよ! ノーフィアー!」とエールを送ったあと、場内の雰囲気が一気に変わり、大「小橋」コールが起こる。そして金丸→KENTA→谷口→潮崎→谷口の順に1人ずつ入場。続いて健介→武藤→ガウンの背中に書かれたバーニングをアピールしながらの秋山の順に1人ずつ入場すると、最後に『GRAND SWORD』に乗って大「小橋」コールの中、小橋が入場。
 武藤がロープを開け、小橋がリングイン。KENTAは名前をコールされると、GHCヘビー級のベルトを掲げながら小橋を睨み付ける。小橋の名前がコールされると、オレンジや紫の紙テープが投げ込まれる。腰に巻かれたGHCのベルトを多聞に渡した小橋は秋山と握手を交わすと、先発を買って出る。

 するとKENTAが先発を買って出て、ケンタ対決で試合開始。ロックアップからロープに押し込んだ小橋はクリーンブレイク。再びロックアップすると、またも小橋がロープまで押し込むが、体勢を入れ替えたKENTAは離れ際に張り手。「小橋」コールが起こる中、KENTAのエルボーを受け止めた小橋は逆水平チョップ。
 KENTAもエルボーを打っていくが、逆水平チョップを返した小橋は手首を掴んで袈裟斬りチョップを連打すると、ローリング袈裟斬りチョップ。そして秋山にタッチすると、KENTAも潮崎にタッチ。

 秋山をロープに押し付けた潮崎は逆水平チョップ。秋山はヘッドロックを返すが、潮崎はなおも逆水平チョップ。しかし秋山は潮崎を一瞥すると健介にタッチ。ショルダータックルから潮崎が逆水平チョップを叩き込むと、すぐさま健介も逆水平チョップ。そして手四つの力比べから健介がパワーで押し込んでいくが、潮崎は自軍のコーナーに押し込んで谷口にタッチ。
 健介は逆水平チョップを連打すると武藤にタッチ。いきなりフラッシング・エルボーを落とした武藤はレッグブリーカーからSTF。だが、KENTAが入ってきて武藤の顔面を足蹴にしてカット。

 武藤は谷口を捕まえて小橋にタッチ。力のこもった逆水平チョップを打ち込んでいった小橋は、袈裟斬りチョップからキチンシンク。さらに師匠ジャイアント馬場さんの河津落としを決めるとグラウンド卍に捕らえる。これを潮崎がカットすると、小橋は大根斬りチョップから手刀を振り下ろして健介にタッチ。
 小橋と健介が谷口の前と後ろから交互に逆水平チョップを打っていくと、谷口は朦朧としながらダウン。健介はブレーンバスターで投げてから秋山にタッチ。秋山もブレーンバスターを狙ったが、逆に投げていった谷口は金丸にタッチ。

 10分が経過し、ドロップキックを叩き込んだ金丸だが、秋山もヒザを落としていくと、武藤にタッチ。アームロックに捕らえた武藤は、小橋にタッチ。金丸の腕を捻りあげた小橋だが、金丸は何とか脱出すると潮崎にタッチ。逆水平チョップ合戦を挑んでいった小橋に対し、潮崎も真っ向からチョップを打ち込んでいくが、小橋はそこからハーフネルソンの体勢。潮崎が耐えてチョップを返すと、小橋はコブラツイストに捕らえる。
 さらに若手時代から愛用しているローリングクレイドルで回していくと、場内は重低音ストンピング攻撃! カウント2で潮崎が返すと、健介が串刺しラリアット。さらに今度は健介が潮崎と逆水平チョップ合戦。

130511_Kobashi-3.jpg さすがに劣勢になってきた潮崎。15分が経過し、健介はショートレンジラリアットで潮崎をなぎ倒すと秋山にタッチ。ランニングニーからエクスプロイダーで投げた秋山は、ヘッドバットを見舞って行くが、渾身の逆水平チョップを返していった潮崎は何とか秋山をなぎ倒す。だが、秋山はタッチさせず、逆に小橋にタッチ。
 魂のこもった逆水平チョップを打ち込んでいった小橋は、潮崎の逆水平チョップも敢えて受け止める。潮崎も何とか踏ん張って打ち返していき、両者胸元が真っ赤になっていく。さらにお互いにローリング袈裟斬りチョップを打ち合い、ブロックすると、そこから潮崎がジャーマンで投げていく。

 金丸は小橋を場外に連れ出して鉄柵攻撃。そして小橋がリングに戻されたところで潮崎はKENTAにタッチ。ミドルキックの連打で小橋をダウンさせたKENTAだが、場内は大「小橋」コール。万感の思いを込めてナック宇を落としていくKENTAに続き、谷口がストンピング。20分が経過し、ゆっくりと立ち上がった小橋は、ヘッドバットを見舞って行くが、谷口は顔面にフロントキック。さらにKENTAと金丸がストンピングを落としていく。
 小橋はKENTAの足にしがみついていくが、場外に自ら降りたKENTAはエルボー。だが、首筋にチョップを叩き込んでいった小橋。KENTAが小橋をリングに戻すと、金丸はスリングショット式アトミコを投下。

 続いて潮崎がニードロップを投下してからチンロックに捕らえるが、小橋は腕の力で振り解く。そしてKENTAらが秋山らを場外に連れ出す感に、谷口がさすまたで小橋をコーナーに押し込んでからチョーク攻撃。さらにのど輪落としで叩き付けるがカウントは2。25分を経過し、タッチを受けたKENTAが立ち上がろうとする小橋の顔面を蹴り上げるが、小橋は鬼の形相で立ち上がると逆水平チョップ。
 KENTAもミドルキックを打っていくが、蹴り足をキャッチした小橋は袈裟斬りチョップを振り落とす。KENTAもショートレンジラリアットを返すが、小橋はすぐさまハーフネルソンで投げていき、タッチを受けた秋山がランニングニーから串刺しジャンピングニー。

 KENTAもスワンダイブ式ミサイルキックを返すと、串刺しフロントキックから串刺しドロップキック。さらにダイビング・フットスタンプ。これをかわした秋山はラリアットを叩き込むと、武藤にタッチ。低空ドロップキックからドラゴンスクリューを決めると足4の字固めへ。すると小橋が金丸にコブラツイスト、秋山が谷口にスリーパー、健介が潮崎にストラングルホールドγを決めて動きを止める。
 さらに武藤は串刺し式シャイニングからドラスクを決めるが、潮崎が入って来る。だが、潮崎の攻撃をかわしてドロップキックを見舞った武藤は健介にタッチ。タックルでコーナーまで押し込んだ健介はフェースクラッシャーで叩き付けると、前後のハンマーで殴打してから逆一本背負い。

 30分が経過し、谷口をショルダータックルで吹っ飛ばした健介だが、潮崎はトラースキックから逆水平チョップ合戦を挑む。潮崎の胸はドス黒く変色しているが、それでも歯を食いしばってチョップを受け止め、打っていく。小橋vs.健介戦を彷彿させる壮絶なチョップ合戦の末、潮崎のローリング袈裟斬りチョップを健介がラリアットで迎撃。潮崎もラリアットを返すが、健介も返す刀でラリアット。だが、倒れない潮崎はジャーマンで健介を投げ捨てる。
 タッチを受けた谷口は串刺しラリアット2連発からスパインバスター。しかしカウンターのラリアットを叩き込んだ健介は、小橋にタッチ。

 谷口をコーナーに押し込んだ小橋はマシンガンチョップ。「いくぞ!」と叫び、左手の拳を握りながら打ち続ける小橋。さらにローリング袈裟斬りチョップ3連発を叩き込んだところで35分が経過。パワーボムを狙う小橋だが、谷口も踏ん張る。リバースで切り返した谷口はフロントキックを見舞って金丸にタッチ。
 小橋が爆弾を抱えるヒザに低空ドロップキックを入れた金丸はミサイルキック。さらに谷口ののど輪落としからKENTAのダイビング・フットスタンプ→金丸がダイビング・ボディプレス。カウント2で返した小橋はタッチアウトを逃れると袈裟斬りチョップ。だが、そこに潮崎が走り込んでラリアット。

130511_Kobashi-4.gif すると金丸はタッチアウトで叩き付けるが、小橋はカウント2で返す。コーナーに登った金丸だが、エプロンから秋山が足を押さえると、小橋が追いかけていて雪崩式ブレーンバスター。すかさず武藤がシャイニング・ウィザードを叩き込むと、小橋が右腕を突き上げてから剛腕ラリアットを叩き込むが、これもカウントは2。
 健介らが潮崎たちを蹴散らすと、武藤が金丸にシュミット流バックブリーカーからムーンサルトプレスを投下。すると小橋が青春の握り拳を握ってから最後のムーンサルトプレスを投下して3カウント! 2011年の『ALL TOGETHER』を再現するかのようなムーンサルトの共演で小橋がプロレスラー生活に終止符を打った。

 武道館に『GRAND SWORD』と小橋コールが降り注ぐ中、腰にGHCのベルトを巻いた小橋は、今回タッグを組んだ盟友やライバル、さらに対戦相手を務めたかつての付け人たちとも握手をかわす。
 会場を見渡した小橋は選手たちにリングに上がるよう促すと、8人で腕を取り合って掲げた。高山もエプロンまで上がってきた小橋と抱擁。そして矢島アナから今日の気分を聞かれた小橋は「いつもと変わらなかったです。いつもと変わらずに朝早く起きて、道場に行って、武道館に来ることが出来ました。いつもと変わらないです」と実に小橋らしい答え。

130511_Kobashi-5.jpg いつもと変わらないことを25年変わらずやってきた理由を「プロレスが好きだから。そしてこうして応援してくれる方がいるから」と答えた小橋は、腰のベルトに関して現チャンピオンのKENTAに気を使ったものの、最後ということで自分の思いを通して腰に巻いたことを吐露。
 故・三沢さんにどんな言葉で引退を報告するか聞かれた小橋は「心の中で引退しますと天国に届くように言いました」。すると場内「三沢」コール。天を仰ぎながら三沢コールを聞いたたあと「いまの三沢コールは引退試合が出来なかった三沢さんへのコールだと思うので嬉しいです」と答えた小橋は涙を堪えているように見えた。

 1万7000人も集まった武道館の観客から、小橋夫人と母親がリング上へ。「25年間、ご苦労様でした」「お疲れ様でした」と2人から声を掛けられ、花束を渡された小橋は、最後に「同じ時代に生まれて幸せでした。それはファンの皆さんも同じ気持ちだったと思います。逆に小橋さんにとってファンの皆さんは?」と聞かれると、「何もない自分がここまで頑張れたのは皆さんの応援のお陰です」と答え、「プロレスとは何だったのでしょうか?」と聞かれると、「今幕を閉じようよしているプロレス人生、自分の青春でした。しかし、また46、47、48と青春は続きます。また次からの青春を頑張ります!」と答えた。

 マイクを受け取った小橋は万感の表情で「とうとうこの日が来ました。26年前、入門をしていろんなことがありました。しかし、自分で、自分自身で、決断をして歩んできたプロレス人生に悔いはありません。苦しいこともたくさんありました。しかしそれを乗り越えた時、何倍もの嬉しいこと、幸せなことがたくさんありました。その幸せなプロレス人生を共に歩んでくれたファンの皆さん、本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。今日、私は引退しますが、プロレスで学んだ不屈の精神でこれからも頑張っていきたいと思います。そしてこれまで小橋建太に関わってきていただいたすべての皆さんに感謝します。もう一度言わせてください。ファンの皆さん、私は最高なプロレス人生を送ることができました。本当にりがとうございました」と挨拶すると、四方に深々と一礼。

130511_Kobashi-6.jpg そして場内が暗転し、リング上の小橋にピンスポットが当てられる中、10カウントゴングが鳴らされた。最後は「赤コーナー、第16代、19代、25代三冠統一ヘビー級選手権者、及び第6代GHCヘビー級選手権者、265パウンド、小橋建太〜」とコールされ、『GRAND SWORD』が流れる中、大「小橋」コールで"鉄人"小橋建太を送り出した。小橋はリング上で選手1人1人に声をかけて握手。最後は多聞と笑顔で抱き合った。そして西永レフェリーが改めて勝ち名乗りをすると、小橋は四方に一礼し、コーナーに顔を埋めてリングに別れを告げると、笑顔で花道を引き揚げていった。

 ありがとう、お疲れ様、小橋建太!

※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。

▼第1試合「Feel the Dengerzone」シングルマッチ 15分1本勝負
○渕正信(全日本プロレス)
6分21秒 バックドロップ → 体固め
●熊野準(ノア)

▼第2試合「This is the NOAH Junior」タッグマッチ 30分1本勝負
●SUWA(フリー)/平柳玄藩(ノア)
8分45秒 450°スプラッシュ → 体固め
○石森太二(ノア)/小峠篤司(ノア)

▼小橋建太引退セレモニー

▼第3試合「BURNING vs BURNING」タッグマッチ 30分1本勝負
本田多聞(フリー)/●志賀賢太郎(フリー)
11分29秒 エンドレスワルツ
○鈴木鼓太郎(バーニング)/青木篤志(バーニング)

▼第4試合「Js Spirits vs Revolution」スペシャルタッグマッチ 30分1本勝負
森嶋猛(ノア)/●井上雅央(フリー)
8分38秒 横入り式エビ固め
天龍源一郎(天龍プロジェクト)/○小川良成(ノア)

▼第5試合「NOAH vs NJPW」スペシャル6人タッグマッチ 60分1本勝負
杉浦貴(ノア)/モハメド・ヨネ(ノア)/●齋藤彰俊(フリー)
14分23秒 ハイフライフロー → 片エビ固め
○棚橋弘至(新日本)/永田裕志(新日本)/小島聡(新日本)

▼第6試合「Four Men GET Together」スペシャルタッグマッチ 60分1本勝負
鈴木みのる(パンクラスMISSION)/●丸藤正道(ノア)
18分26秒 エベレストジャーマンスープレックスホールド
○高山善廣(高山堂)/大森隆男(全日本)

▼第7試合「FINAL BURNING in Budokan」小橋建太引退記念試合8人タッグマッチ 60分1本勝負
○小橋建太/秋山準(バーニング)/武藤敬司(全日本)/佐々木健介(DIAMOND RING)
39分59秒 ムーンサルトプレス → 片エビ固め
KENTA(ノア)/潮崎豪(バーニング)/●金丸義信(バーニング)/マイバッハ谷口(ノア)

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