2005年12月に行われたハヤトのデビュー戦の相手が勝彦だったが、それから約6年後の昨年11月、健介オフィスの大阪府立第2体育館大会で2度目の対決が行われた。2度の対決はいずれも勝彦が勝利。そして現在プロレスリング・ノアのGHCジュニアヘビー級王者の勝彦は「自分のためにも、タイトルの価値を高めるためにも、ノア以外でベルトをかけて戦いたい」と、今回ホームリングであるDIAMOND RINGに行われるハヤトとの3度目の対決にタイトルを賭けることを決めた。
　ハヤトにとっても父親がやっていたドッグレッグスのホームリングでもある北沢タウンホールで、デビュー戦の相手でもある勝彦とタイトルマッチというのは、3度目の対決にして絶対勝ちたいシチュエーションだ。それだけに用意された300枚のチケットは完売。この2人のタイトルマッチなら、もっと大きな会場でも十分いけると思われるが、ある意味今大会を生観戦できた300人にとってはお宝試合と言っていいかもしれない。

　大会開始前に行われた公開調印式では王者・勝彦はスーツ姿、挑戦者ハヤトは普段通りのラフな格好と実に好対照。しかしハヤトが「勝ちます」とファンに宣言すれば、勝彦も「俺が勝ちます！」と負けん気の強いところを見せる。
　さらに両者が並んで記念撮影を行う際は、ハヤトは勝彦を睨み付け、勝彦がカメラマンのほうを向くように言ってもハヤトは目線を反らせようとしない。すると勝彦もハヤトを睨み付け、独特の緊張感が会場を包んだ。
　そして期待感でパンパンに膨れあがった状態で迎えたメインイベント。ゴングと同時にフロントキックを見舞ったハヤト。そこからエルボー合戦に。いきなりエンジン全開でバチバチやり合った両者だが、ハヤトがランニングローで勝彦を場外まで吹っ飛ばす。場外に出たハヤトはミドルキックを叩き込むと、勝彦もミドルキックで応戦。両者への声援と蹴りの音が場内で爆発する中、ハヤトはエプロンに上がってランニングローを狙ったが、足を掴んだ勝彦は肩口に担ぎ上げると、ハリケーンドライバーのような形で場外の床にハヤトを叩き付ける。
　鈍い音が館内に響き渡る中、リングに戻ったハヤトはミドルキックを打っていくが、キャッチした勝彦はハヤトの右足を思い切り蹴っていく。倒れたハヤトは拳を握りながら立ち上がるが、勝彦はハヤトの右ヒザを集中攻撃。それでもハヤトは胸を突き出して勝彦の蹴りを受け止めると、低空ドロップキックで勝彦を場外まで吹っ飛ばし、今度こそエプロンからランニングロー！
　リングに戻ったハヤトはスタナーを決めると、バックドロップを狙うが勝彦も踏ん張る。ならばとエルボーを打っていったハヤト。勝彦も真正面からエルボーを打ち返す。ハヤトはフロントキック。これをキャッチした勝彦にソバットを見舞ったハヤトだが、その足もキャッチした勝彦はドラゴンスクリュー。さらに低空ドロップキックから足4の字固めに捕らえる。回転してロープに逃れたハヤトだが、勝彦は串刺しフロントキック、ハーフハッチスープレックス、ミサイルキックと攻撃の手を緩めない。
　10分を経過し、勝彦は串刺し攻撃を狙うが、蹴りで止めたハヤトはコンプリート・ショットでコーナーに勝彦の顔面を叩き付けると、背後からランニングニー。勝彦も蹴りを出すが、かわしたハヤトはバックドロップ。しかし勝彦は張り手とミドルで反撃するとロープに飛ぶが、ハヤトはK.I.Dで飛び付く。

　勝彦はそのままコーナーまで近づいていくと、ハヤトをコーナーに乗せて脱出。そこから自身もコーナーに登っていくが、ハヤトはヘッドバットで叩き落とす。だが、勝彦は下からR15で蹴り上げると、雪崩式ドラゴンスクリュー。それでもすぐに立ち上がったハヤトだが、蹴り足をキャッチした勝彦はドラゴンスクリューから再び足4の字固めへ。リング中央でガッチリ決まったが、ハヤトは鬼の形相で届きそうなロープを探す。大「ハヤト」コールが起こる中、どうにかロープまで転がって脱出したハヤト。なおもハヤトの右ヒザにストンピングを落とした勝彦はジャーマンを狙うが、これをK.I.Dで切り返したハヤトはインプラントDDTで叩き付けるとSTFへ！
　ガッチリ決まったが、勝彦もどうにかロープに脱出。15分が経過し、大「ハヤト」コールの中、ヘルムを予告したハヤトだが、カニ挟みで迎撃した勝彦は後頭部への蹴りから投げ捨てジャーマン。だが、気合いで立ち上がったハヤトは勝彦のハイキックにハイキックを合わせて相打ちにする。
　ダブルダウン状態から立ち上がった勝彦は、突進してくるハヤトにカウンターのソバット。さらに顔面へのソバット2発から垂直落下式ブレーンバスター。続けてランニングローでカウント2まで追い込むと、バックを取る。バックを取り返したハヤトはターンバックル・ジャーマンで叩き付けてから串刺しランニングロー2連発。しかし勝彦もカウント2でロープを掴む。
　ハヤトは掌底とロー、ソバットのコンビネーションからハイキックを叩き込むとヘルムを放っていったが、紙一重でかわした勝彦はハヤトが振り向いたところに顔面へ右ハイキックを叩き込んで3カウント！　最初から最後までノンストップのバチバチ試合を紙一重の差で勝彦が制した。

　GHCジュニア王座4度目の防衛に成功した勝彦は、マイクを持つと「ハヤト選手、今日はスゲー、スゲー気持ちよかったっす！　でも、まだまだこれから。俺もこれから！　これから場所は......立つリングは違うけど頑張っていきましょう！　そしてまた向き合う日を楽しみにしてます。今日はどうもありがとうございました！」と言ってハヤトとガッチリ握手。
　するとハヤトは「本当に、本当に、いつもいつもこんな僕にありがとうございます。勝って恩返しをしたかったんですけど、今回も負けてしまったので、6月に必ずみちのくのベルトを獲って、僕が一番に中嶋さんを指名したいと思います！」と大声援を送ってくれたファンに詫びると、6月のみちのくプロレス後楽園大会で拳王から東北ジュニア王座を奪還して、第一チャレンジャーに勝彦を指名することを約束した。
　ハヤトが引き揚げると、ノアの金丸義信が現れてエプロンから勝彦に向かって「いい試合をしたあとに出てきて悪いな。そのベルト、次は俺が挑戦するから」とGHCジュニア王座への挑戦を表明。「わざわざ来てくれてありがとうございました。待っていましたよ」とウェルカムムードを漂わすと、ベルトを掲げながら「次は俺がこのベルトを賭けて、俺が獲ります。言うこと言ったらとっとと帰れ！」と宣戦布告！　一触即発のムードの中、セコンド陣が金丸を下げさせると、勝彦は満面の笑みでハヤトとの激闘を制して守ったGHCジュニアのベルトを誇らしげに掲げた。
　敗れたハヤトは悔しさと充実感が入りまじった表情で「ベルト欲しいと思っても取れねぇ。中嶋選手に勝ちたいと思っても勝てねぇ。今日でまた俺は強くなるぞ、いいか？　俺にはプロレスしかねぇんだよ。プロレスで一番取んなきゃ生きてる意味がねぇんだ。俺は一生プロレスラーとして死んでいく覚悟なんだよ。絶対逃さねぇぞ、中嶋！　あなたは俺の素晴らしい高い壁だ。あなたを超えるとき、この俺から見る景色がどんなもんなのか、早く見たいね」とコメント。
　一方の勝彦は過去2回の対戦と比べて、今回のハヤトを「本来のハヤト選手の勢いだったり気迫だったり、そういう"やりすぎぐらいがちょうどいい"とかなんかタオルに書いてあったけど、ホント、その言葉に似合う選手っていうのを感じました」と評価した。

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▼第1試合　タッグマッチ 30分1本勝負
●なまずマン／菊タロー（アキバプロレス）
14分48秒　回転エビ固めを押しつぶす→体固め
○井上雅央（フリー）／黒潮二郎（WNC）

▼第2試合　タッグマッチ 30分1本勝負
北宮光洋／○志賀賢太郎（フリー）
11分6秒　反則
村上和成（フリー）／●NOSAWA論外（東京愚連隊）

▼第3試合　6人タッグマッチ 30分1本勝負
宮原健斗／梶原慧／●CHANGO（フリー）
18分43秒　夢限→片エビ固め
○ジミー・ススム（DRAGON GATE）／新井健一郎（DRAGON GATE）／K-ness.（DRAGON GATE）

▼第4試合　シングルマッチ 30分1本勝負
○佐々木健介
11分34秒　ノーザンライトボム→体固め
●大原はじめ（WNC）

▼第5試合　GHCジュニアヘビー級選手権試合 60分1本勝負
［王　者］○中嶋勝彦
17分57秒　右ハイキック→エビ固め
［挑戦者］●フジタ"Jr"ハヤト（みちのくプロレス／九龍）
※第23第王者・勝彦が4度目の防衛に成功