DREAMバンタム級日本トーナメントは激戦を勝ち上がり、所と今成が決勝進出!諦めなかった宇野が約3年ぶりの勝利に涙!

110529_DREAM-1.jpgFIGHT FOR JAPAN
DREAM JAPAN GP
〜2011バンタム級日本トーナメント〜
日時:5月29日(日)開始:16:00
会場:さいたまスーパーアリーナ
観衆:6522人

 29日、さいたまスーパーアリーナで行われたFIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP〜2011 バンタム級日本トーナメント〜』。2011年最初のDREAMは新設されたバンタム級(61kg以下)の日本トーナメント1回戦&準決勝戦からスタート。順番を決める抽選によると運と、選手が希望する枠を選べる意思による"K-1方式"で決まったトーナメントの組み合わせでは、いきなり1回戦で自分のジムを立ち上げたばかりの所英男と、パンクラス稲垣組の前田吉朗の対戦。

 前田は試合序盤で突然「あ〜〜〜〜!」と雄叫びをあげたり、必要以上に所を挑発して殴り合いの展開に持っていったりと、どこかおかしな状況だった上に、2R開始早々ローブローをもらってしまい長い時間悶絶。どうにか試合は再開されたが、所のタックルを食らってテイクダウンした瞬間にセコンドがタオルを投入。かなり辛そうな様子で引き揚げた前田は、インタビュースペースで具体的な箇所こそ言わなかったが、身体に故障を抱えた状態で試合に挑んでことを明かした。
さらに、このトーナメントに引退を賭けるような発言をした今成正和は、世代交代を目論むチームZSTの藤原敬典と対戦。自分からはあまり攻撃に行かず、ノーガードでのらりくらりと相手を誘い出し、チャンスと見た瞬間カニ挟みのような体勢から足関節を取りに行く今成だが、藤原もそれを簡単には許さない。ならばと今成はテイクダウンされたあとも、ラバーガードからのフットチョークを狙うが、これも決まらない。逆にパウンドで何とか今成を攻略しようとした藤原だが、結局時間切れ。勝利を確信して腕を上げた藤原だったが、判定は3-0で今成の勝ちとなった。

110529_DREAM-2.jpg  準決勝で所は山本"KID"徳郁の愛弟子・山本篤と激突。2008年9月の『DREAM.6』で対戦している両者だが、当時は所がKIDとの対戦を熱望していたが、KIDからまずは篤とやれと言われて山本と対戦。その結果、山本に完敗を喫してKID戦が実現しなかったという経緯がある。今回、所はスタンドでの打撃でも山本と互角以上に渡り合い、さらに山本のタックルを決めさせなかった。逆にグラウンドでは胴絞めスリーパーやアームロックを積極的に仕掛けていき、観客を大いに盛り上げた。その結果、判定2-1で所が勝利! 判定を聞いた瞬間、天を仰いだ所が山本側のコーナーに挨拶にいくと、セコンドについていたKIDがニヤリと笑って所に親指を立てて祝福した。
 同じく準決勝で今成は青木真也が青木は「世界に通じそうなのは大塚だけでしょうね」と太鼓判を押していた大塚隆史を僅差の判定で破った大沢ケンジと対戦。今成の足関節を警戒し、スライディングするように足首に飛び付いてくる今成を押し潰し、上になってもパウンドを一発入れたら深追いせずに自ら立ち上がり、あくまでもスタンド勝負に徹した大沢。だが、2Rに入りいきなりジャンプして抱きつくようにしてグラウンドに引き込んだ今成は、すぐに立ち上がって脱出した大沢がパンチを打つために前に出た瞬間、自ら倒れ込んで大沢の足首をキャッチすると、ヒールホールド気味のアキレス腱固めを電光石火で極めてタップを奪った。
 この結果、この日のオープニングVの中で開催が発表された7・16『DREAM JAPAN GP ~2011バンタム級日本トーナメント決勝戦~』有明コロシアム大会で、所vs.今成のバンタム級日本トーナメント決勝戦が行われることが決定した。さらに同大会ではゲガール・ムサシの持つDREAMライトヘビー級王座に、DREAM初参戦となる元SRCの泉浩が挑戦する一戦と、高谷裕之の持つDREAMフェザー級王座に宮田和幸が挑戦する一戦、さらにストライクフォースでギルバート・メレンデスに敗れ、「正直潮時っていうか、この辺が辞め時かなって思った」と言いながらも、「日本の格闘技もどん底ですけど、スタッフ、選手、ファンの皆さん誰一人諦めてないのに、俺一人が諦めるわけにいかない」と思い直したという川尻達也vs.ヴィラミー・シケリムの一戦が発表となった。

110529_DREAM-3.jpg バンタム級日本トーナメント以外のワンマッチも非常に興味深いカードが並んだが、中でも昨年フェザー級に転向したものの、もう約3年も白星から遠ざかっている宇野薫が、「もう宇野選手の時代じゃない」と豪語する西浦"ウィッキー"聡生と対戦した一戦は、宇野にとってハッキリ言ってここで負けたらもう後がない崖っぷちの一戦だった。
 相変わらずノーガードでジリジリと近付いてきて、いきなりノーモーションで殴りかかってくるウィッキー相手に宇野は、フェイントやローキックを駆使しつつ、隙あらばタックルを仕掛けていった。何度もテイクダウンさせた宇野はどうにかスリーパーなどを狙っていくが、ウィッキーはスルリスルリと脱出してみせる。さらに時にはスイープしてパウンドで反撃していったウィッキーだが、宇野はそれでも立ち上がり、ウィッキーのバックを取ってスリーパーを狙う。1R終盤にはかつて石田光洋に勝利したときを彷彿させるような、上から抑え付けるようなスリーパーを仕掛けていった宇野だが、これも決まらない。
 積極的にテイクダウンやスリーパーを狙う宇野。宇野が上になってもスイープしてみせるウィッキーという展開の中、宇野はウィッキーにスイープされても、さらにそれをもう1回スイープして形勢逆転する場面も見られ、ここ一番のベテランらしい高度なテクニックを随所で見せてくれた。その結果、判定3-0で宇野の勝利! 判定を聞いた瞬間、笑顔を見せたウィッキーだが、その表情は「やられた...」といった感じ。
 約3年ぶり、フェザー級に転向してからは初の白星を挙げた宇野は、リング上に2人の我が子をあげるととびきりの笑顔で抱きしめた。そしてマイクを持った宇野は「世代交代的な闘いはいまさらウィッキー選手から始まったことではなく、川尻選手から始まったので、もう経験しています。この間36歳になったんですけど、世代交代はもうちょっと待ってくれって感じです。ここで石田選手と試合してから3年間勝てなくて、もう何回も諦めようと思ったんですけど、3年間諦めなくて(良かった)......」と思わず涙で言葉を詰まらせながら、ファンに"諦めない気持ち"で勝利出来たことを伝えた。

110529_DREAM-4.jpg また、青木、川尻に続くDREAMライト級ナンバー3と言われている菊野克紀は、田村潔司の愛弟子である中村大介と対戦。「空手vs.U」「高阪vs.田村の代理戦争」など見どころの多い一戦だったが、中村は何とかつて田村がリングス時代にヘンゾ・グレイシーとの大一番のときに使用した『UWFメインテーマ』に乗って入場! 中村のセコンドには田村、菊野のセコンドには高阪と、かつてリングスで名勝負を繰り広げた両雄がセコンドながら再び相対した。
 期待感がグッと増したが、試合は大爆発とはいかず、菊野が左右のパンチで攻撃していくのを中村がウェービングでしのぎ、中村はテイクダウンされながらも得意の腕十字を狙う場面もあったのだが、お互い決定力を欠いたまま試合は終了。判定の結果、3-0で菊野が勝利したが、表情は晴れないままインタビュースペースでも「悔しい。自分のやりたいことが出来なかった。最後ポイントゲームをしてしまったのは自分の信念と違う」と語り、敗れた中村はノーコメントだった。

※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。

▼第1試合 バンタム級日本トーナメント1回戦
○山本篤(KRAZY BEE)
1R 8:43 TKO(レフェリーストップ)
●中村優作(総合格闘技スタジオSTYLE)

▼第2試合 バンタム級日本トーナメント1回戦
●前田吉朗(パンクラス稲垣組)
2R 0:43 TKO(セコンドのタオル投入)
○所英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)

▼第3試合 バンタム級日本トーナメント1回戦
○今成正和(チーム・ローケン)
判定3-0
●藤原敬典(秋本道場ジャングルジャンクション/チームZST)

▼第4試合 バンタム級日本トーナメント1回戦
○大沢ケンジ(和術慧舟會 HEARTS)
判定2-1
●大塚隆史(AACC)

▼第5試合 フェザー級ワンマッチ
●石田光洋(T-BLOOD)
判定1-2
○ヨアキム・ハンセン(ヘルボーイ・ハンセンMMA)

▼第6試合 フェザー級ワンマッチ
○リオン武(シューティングジム横浜)
1R 6:51 TKO(レフェリーストップ)
●松本晃一郎(今田道場)

▼第7試合 フェザー級ワンマッチ
○宇野薫(UCS)
判定3-0
●西浦"ウィッキー"聡生(STGY)

▼第8試合 ライト級ワンマッチ
○菊野克紀(ALLIANCE-SQUARE)
判定3-0
●中村大介(U-FILE CAMP)

▼第9試合 ライト級ワンマッチ
○青木真也(パラエストラ東京/Evolve MMA)
2R 2:17 フェイスロック
●リッチ・クレメンティ(Team Voodoo)

▼第10試合 バンタム級日本トーナメント準決勝戦
●山本篤(KRAZY BEE)
判定1-2
○所英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
※所がバンタム級日本トーナメント決勝戦に進出

▼第11試合 バンタム級日本トーナメント準決勝戦
○今成正和(チーム・ローケン)
2R 0:58 アキレス腱固め
●大沢ケンジ(和術慧舟會 HEARTS)
※今成がバンタム級日本トーナメント決勝戦に進出

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