TAJIRIと棚橋が見守る中、大原に完敗を喫したKUSHIDAは「必ず成長して帰って来ます」と言ってSMASHに別れ
SMASH
SMASH.15
日時:3月31日(木) 開始:18:30
会場:後楽園ホール
観衆:1200人
31日、後楽園ホールで行われた『SMASH.15』。SMASH初の後楽園大会は、当初3月18日に行われる予定だったが、東日本大震災の影響により5月3日に延期されることが発表された。そのため4月から新日本プロレスに移籍することが決まっているKUSHIDAのラストマッチがどうなるか心配されたが、3・31後楽園大会が緊急決定! 旗揚げ1周年にして、SMASHにとって間違いなくターニングポイントになる今大会。
文字通りSMASH所属最後の日にラストマッチを行うことになったKUSHIDA。ライバルの大原はじめとのシングルマッチをメインに行うことが決まったが、KUSHIDAは大原に勝ったら師匠であるTAJIRIともう1試合したいと希望したが......
約1年前の旗揚げ戦でも激突している両者。そのときはSMASHを"通過点"にして世界を目指すと言っていたKUSHIDAが、新団体でヤル気十分だった大原に勝利した。この日を最後にSMASHを去るKUSHIDAは「彼には関心がない」と素っ気なく、そんなKUSHIDAに対して「アイツは自分が良ければそれでいい人間」と吐き捨てた大原。
そんな2人の試合を現IWGPヘビー級王者の棚橋弘至が見守る。睨み付ける大原をいきなり張っていったKUSHIDA。そこからお互いに一気に意地をぶつけ合うと、KUSHIDAが試合をリード。だが、大原はKUSHIDAのアゴにエルボーを叩き込むと、腰を集中攻撃。それでもKUSHIDAはスワンダイブ式ブレーンチョップからその場飛びムーンサルトで反撃するが、大原はアゴへのエルボーからジャンピングニーやドロップキックで追い込み、エゴイスト・ドライバーで叩き付ける。
しかし大原のフィンランド式フォアアームをかわしたKUSHIDAは、新日本イズムの表れか卍固めに捕らえていく。振り解いた大原がジャンピングキックから投げ捨てジャーマンで投げていくと、KUSHIDAは棚橋の目の前でスリングブレイド。これには棚橋も大きなリアクション。お互いにフラフラになりながらも意地で殴り合うと、KUSHIDAは再び卍固めへ。だが、これをコウモリ吊りで切り返した大原は、そのままKUSHIDAの首を自身のヒザの上に叩き付け、そこからフィンランド式フォアアームを狙うが、KUSHIDAはドラゴンスープレックスで切り返す。
大原がカウント2で返すと、場内は両者への声援が激しく交差。KUSHIDAがワンツーエルボーから串刺しダブルニーで追い込み、ランニングエルボーでダウンを奪うが、大原も立ち上がってエルボーを打ち返す。しかし張り手でなぎ倒し、ハイキックを叩き込んだKUSHIDAはムーンサルトプレスを投下。大原がカウント2で返し、試合は15分が経過。KUSHIDAは必殺のミッドナイトエキスプレスで勝負に出たが、これをかわして自爆させた大原はフィンランド式フォアアーム。
KUSHIDAもカウント2で返すが、大原は後頭部にフィンランド式フォアアームを叩き込むと、続けて正面からもう一発フィンランド式フォアアームを叩き込んで3カウント! 勝った大原が噛みしめるようにガッツポーズを作ると、KUSHIDAはしばし呆然とした表情で座り込む。そして大原は「これが現実だよ! これがこの1年間、俺が頑張ってやってきた結果です! 1年間、SMASHやってきて俺の中では時が止まっていました。やっと今日から......俺のSMASHは今日から始まります! いままであまり口に出して言ってこなかったけど、俺にはこのSMASHの中でたくさんの夢があるんです。どんな状況でも必ず俺の夢は叶います!」と思いの丈をぶちまけてリングを降りた。
敗れたKUSHIDAにTAJIRIが歩み寄るが、TAJIRIは声をかけずに棚橋をリングに招き入れる。KUSHIDAの健闘を称えた棚橋が「TAJIRIさん、KUSHIDAは新日本プロレスがもらっていきます。クッシー、TAJIRIさんのように世界に通用する選手になれよ。そして新日本プロレスのトップを獲る、それがTAJIRIさんへの恩返しだから。頑張っていこう!」と声をかけると、KUSHIDAは「必ず成長してこのリングに帰って来ます。SMASHという場は本当に僕を成長させてくれる場でした。ありがとうございました。SMASHは本当に心の故郷だと思います。それでは行ってきます!」と別れの挨拶。
するとTAJIRIは引き揚げようとする棚橋のほうを指さし、KUSHIDAに「一緒に行け」と無言のアピール。そしてKUSHIDAではなく棚橋に「棚橋さん、よろしくお願いします。ありがとうございました!」と涙ながらに叫んで頭を下げた。
2・25『SMASH.14』でリン・バイロンとの一騎打ちで勝利した朱里は、現FCF王者のマイケル・コバックをイスで襲撃! 一方、敗れたリンを「おまえの気持ちはよく分かる」と慰めたのが何とそのコバック。その後、コバックと共に消えたリンだが、何とコバックによって"ビッチ"にされてしまったという。今大会のオープニングではホテルの一室で首輪を付けられたリンが、豹柄のブラにTバック&網タイツという姿でコバックに調教されるという放送コードギリギリの映像が流された!
リング上にいたTAJIRIが思わずスクリーンに釘付けになっている間に、いつの間にかリングに上がっていたコバックはトミー・ドリーマーから贈られたというSMASHチャンピオンと、SMASH Divaチャンピオンのベルトが入ったアタッシュケースを強奪! しかしアタッシュケースの鍵を持っていたTAJIRIは慌てず、そのまま試合を迎えた。
開かないアタッシュケースを持参し、首輪に鎖をつけたリンを連れながら登場したコバック。コバックに対して自ら作成した有刺鉄線ボードを持参した朱里と、TAJIRIをヘルプするために来日したサブゥーが奇襲攻撃を仕掛けていくと、ハードコア6人タッグマッチはいきなり激しい場外乱闘で試合開始! 峰不二子ばりの真っ黒なライダースーツ姿のリンは猛然と朱里に襲いかかっていき、客席に叩き付けてからイスを押しつける。TAJIRIもデッキブラシでコバックを捕まえ、ホールの壁に叩き付けていき、サブゥーは釘をガブリエル・アントニックの額に突き刺して大流血させていく。
リングに上がったサブゥーはイスを踏み台にしてガブリエルに串刺し攻撃を狙うが、ガブリエルはイスを蹴って回避。場外に出たサブゥーにスライディングキックを狙ったが、これをかわしたサブゥーは素早くリングに戻ると、イスを踏み台にしたプランチャを発射! 場内からは「ECW」コールが起こる。続いて朱里がリンをガンガン蹴っていくが、コバックが入ってきてリンを救出。そこにTAJIRIも入ってくるが、ガブリエルが戻ってきてその場飛びツイスタープレスを投下。しかしサブゥーがイスを投げつけ、カウント2でカット。
もんどり打って場外に逃げたガブリエルだが、サブゥーは場外のテーブルの上に寝かせると、エプロンからダイビング・レッグドロップを落としてテーブルクラッシュ! その間にリング上ではコバックが朱里にコバック・クラッシャーを狙うが、これはTAJIRIがトラースキックでカット。すかさず朱里はリンを蹴っていくが、リンはトンファーでブロック。ならばとTAJIRIがバズソーキックを放っていくが、リンはこれもトンファーでブロック。そしてコバックがリンと一緒に朱里を有刺鉄線ボードに向かってホイップしたが、TAJIRIが身を挺して朱里を守り、代わりに有刺鉄線ボードの餌食に!
割れた有刺鉄線ボードにコバックはなおも朱里をボディスラムで叩き付けようとしたが、これはサブゥーがカット。そこにガブリエルがダイビング・エルボードロップを投下するが、朱里がかわして自爆させると、サブゥーが倒れたガブリエルの顔面にイスを敷いたのダイビング・レッグドロップを投下して3カウント。だが、試合の決着がついたときにはコバックとリンの姿はもうなく、TAJIRIは怒りの表情で有刺鉄線ボードをマットに叩き付けた。
3・18に後楽園大会が行われていれば、トミー・ドリーマーvs.スターバックという興味深いシングルマッチが実現し、トミー・ドリーマーはこの一戦を自身がSMASHに贈ったSMASHチャンピオンの王座決定トーナメント1回戦にする予定だったという。しかし大会が延期になったことで、このシングル戦は実現不可能に。そこでトミー・ドリーマーに代わってスターバック戦に名乗りを上げたのが、"富山の虎"矢郷良明!
「これはチャレンジマッチではなく、スターバックとの決闘」と書かれた声明文を送り、かつて米インディーマットを震撼させたキラーヤゴウを解禁することを宣言した矢郷。煽りVでは自らナレーションを担当し、最後は「キミは時の涙を見る!」で締めた。
お互いに雰囲気のある入場シーンを見せると、矢郷はいきなり「S○CK IT!」とスターバックを挑発。これに怒ったスターバックが殴りかかっていき、髪の毛を掴んで投げていくと、矢郷も正拳突きで応戦し、スターバックのバックルをかわしてのソバットからゲルニカを決めていく。スターバックもヘッドバットや前方回転ネックブリーカーというお得意の首攻めを繰り出していくが、矢郷はスリーパーをチンクラッシャーで脱出すると、カニ挟みで倒してからSTF。さらにクロスフェースに移行する。
だが、ロープに逃れたスターバックはエプロンから近付いてきた矢郷に攻撃すると、ダイビングラリアットを叩き込み、さらにスイング式ネックブリーカー。防戦一方になってきた矢郷にカーフブランディングを決めると、ブルドッキングヘッドロックからのダイビング・フィストドロップ。だが、これを足をあげて迎撃した矢郷はブレーンバスターから「ジークジオン!」と叫んでのミサイルキック2連発。
さらにエプロンに出たスターバックにドロップ・デッド・トワイスを決めた矢郷は、コーナーで馬乗りナックルを叩き込むと、反撃しようとするスターバックを殺人コブラツイストを捕らえる! ロープに逃れようとするスターバックをグラウンドコブラで抑え込み、カウント2まで追い込んだ矢郷は突進。しかしマンハッタンドロップで切り返したスターバックは、気を溜めるお馴染みのポーズをする余裕もなく、すぐさまパイルドライバーで叩き付けて3カウント。
しばらく大の字に倒れたままだった矢郷は、インタビュースペースでもイスの上に倒れ込むと、「思った以上に強いですよ。これはちょっと勝てる相手はいないんじゃないかな。あのスパイクパイルドライバー、凄いですよ。また、なんか機会あれば強い人とやりたいですね。いつもは、オチャラケた感じで試合してるけど、やっぱりこういう強い人と試合できるというのは、自分の中で糧になって嬉しいですよ。やっぱり、強いものと戦うというのがプロレスラーの本来の姿じゃないかな」とコメント。闘い続けるというのは被災者へのメッセージでもあるという。対するスターバックは「ヨシアキヤゴウ、お前は人間としてはよくワカラナーイ。和製エルビスなのか、ホンキートンキーなのか、レイザーラモンなのか、やはりよくワカラナーイ」と困惑気味だった。
なお、震災の影響により4・8『SMASH.16』新宿FACE大会は中止となり、『SMASH.16』は4・30大阪・IMPホールに。そして5・1名古屋・テレピアホールで『SMASH Live in Nagoya』を開催。次回の関東大会は5・3後楽園ホール『SMASH.17』になることが発表された。
5・3『SMASH.17』では朱里がアイスリボンの志田光とタッグを組み紫雷姉妹と対戦、華名は元WWEのセリーナと、そしてTAJIRIが「SMASH向き」と絶賛する大日本プロレスの石川晋也が参戦して、いきなりスターバックとシングルマッチを行うことが発表された。
※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。
▼第1試合 ワールドトライアウトマッチ 時間無制限1本勝負
○AKIRA
8分15秒 ムササビプレス→片エビ固め
●ジョン・カーター
▼第2試合 アイスリボン提供マッチ 時間無制限1本勝負
つくし/みなみ飛香/○りほ
9分38秒 そうまとう→エビ固め
さくらえみ/真琴/●宮城もち
▼第3試合 タッグマッチ 時間無制限1本勝負
木藤裕次(フリー)/●児玉ユースケ
6分25秒 アサイDDT→片エビ固め
○ウルティモ・ドラゴン(闘龍門MEXICO)/TAKAみちのく(K-DOJO)
▼第4試合 シングルマッチ 時間無制限1本勝負
○大森隆男(フリー)
8分47秒 アックスボンバー→体固め
●サー・ロビン
▼第5試合 シングルマッチ 時間無制限1本勝負
●矢郷良明(フリー)
11分18秒 パイルドライバー→エビ固め
○スターバック(FCF)
▼第6試合 シングルマッチ 時間無制限1本勝負
○FUNAKI(フリー)
4分26秒 スクールボーイ
●華名(フリー/トリプルテイルズ)
▼第7試合 ハードコアマッチ 時間無制限1本勝負
○サブゥー/朱里/TAJIRI
17分52秒 アラビアン・フェイスバスター→体固め
マイケル・コバック/リン"ビッチ"バイロン/●ガブリエル・アントニック
▼第8試合 メインイベントマッチ 時間無制限1本勝負
●KUSHIDA
16分11秒 フィンランド式フォアアーム→片エビ固め
○大原はじめ(FCF)
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