第1試合の前に風香GMから余震が起きた場合の注意や避難の仕方の説明があり、その後、全選手がリングサイドで黙祷を捧げた。また今回は恒例の煽りVTRを無くし、緊張した空気の中での大会となった。
　そんな中で「こういう時こそ元気で頑張っていこう、絶対に勝ちたいと思った」と闘志をムキ出しにして登場したのが愛川。前回、自ら夏樹☆たいようを"勧誘"して結成した"夏ゆずコンビ"でメインイベントの赤コーナーに登場すると、試合前から美闘と睨み合う。
　3月10日にOAされた『アメトーーク』でも共演した愛川と美闘。共にキックを得意とするだけに、試合が始まるとバチバチのエルボーの打ち合いからお互いにキック合戦に。しかし「美闘さんの蹴りが重くて、痛かった」という愛川は「顔を張るしかない」と張り手合戦に。美闘も負けじと張り返すが、愛川の闘志に押されてフラつく場面も。
　愛川と美闘のハイキックが相打ちとなって二人とも倒れると、今度は夏樹と岩谷のドロップキックが交錯。すると、キャリアで遥かに優る夏樹が愛川を呼び込んでの合体攻撃で岩谷を攻め立てる。途中、ゆずポンキックが夏樹に誤爆してピンチの場面もあったが、最後は愛川がYKブルー（後ろ廻し蹴り）から片エビ固めで3カウントを奪って勝利を収めた。

　試合後、愛川は「美闘さんとは空手とテコンドーの戦いだと思っているんです。向こうは全日本2位とかでこちらはただの色帯ですけど（笑）、気持ちはテコンドーを背負ってますから」と意外な事実を口にした。
　夏樹から「ゆずポンが凄いのはあまりガードをしない。相手の技を全部受けるんですよ」と指摘されると、愛川は「（技を）受けて受けて、受けてからがプロレスだと思っているので。でも美闘さんはなかなか受けてくれないんです（苦笑）。空手だとそうなのかもしれないですけど」と自分自身のレスラー魂と、美闘が空手から抜けられない部分を指摘。
　次回は4月3日、スターダムが初の大阪進出を果たす（大阪ミナミムーブオンアリーナ）。これについて問われると愛川は「スターダムをメディアで知っていてもなかなか来られない人がいると思うので、地方でも出来るのは素晴らしいこと。スターダムの看板を汚さないように、もっと全国の人に応援して貰えるように頑張ります」と答えた。大会の締めのマイクも完璧で、さすがの"コメント力"を見せつけた愛川。まだデビューして半年も経っていないのに、スターダムの顔として風格すら漂わせている。

　また、快進撃を続ける"番長"世Ⅳ虎は、2・27新木場大会でシングル2連戦を行った美闘に"お手本"を見せるために自らもシングル2連戦を行うことに。こちらも自らの体重を生かしたスリーパーで2連勝を収めると、第4試合ではリングサイドから高橋奈苗の試合をじっくりと観戦。そしてここから驚きの行動に出た！
　高橋が冷蔵庫爆弾で須佐を仕留め、リング上でパッション注入をしようとしているところに世Ⅳ虎が乱入。高橋に掴みかかったのだ。高橋は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐさま体勢を立て直してヘッドバットを叩き込む。だが、世Ⅳ虎は全くひるまず「オラー！」と威嚇。
　「正直、（高橋には）負ける気はまったくしませんよ。早くNo.1の高橋さんとやりたい。今日の（2試合）はやる意味のないカード。訳わかんないけど、ま、自分の価値を上げた試合だったかな」と言い放つ世Ⅳ虎。こちらはまだデビュー2カ月というのに、この太々しさ......。
　本来はこの日に実現する予定だった高橋vs.世Ⅳ虎。大会延期の影響はどちらのプラスになるのか。15年間真っ直ぐにプロレス道を邁進してきた女子プロレスNo.1の高橋と、ヤンキー道をひた走りながらなぜか女子プロレス界に迷い込んだ"番長"世Ⅳ虎の一騎打ちは、4・10新木場大会で行われる予定。（スポーツライター・茂田浩司）

▼第1試合　世Ⅳ虎シングル二番勝負 20分1本勝負
○世Ⅳ虎
14分18秒　スリーパーホールド
●愛リス

▼第2試合　世Ⅳ虎シングル二番勝負 20分1本勝負
○世Ⅳ虎
7分58秒　胴絞めスリーパーホールド
●星輝ありさ

▼第3試合　キッズ・ファイト～夢のプロレス物語～ 3分1本勝負
△夢
時間切れ引き分け
△広田さくら（フリー）

▼第4試合　STARDOM PASSION INJECTION～情熱注入～（3）30分1本勝負
○高橋奈苗
11分24秒　冷蔵庫爆弾→片エビ固め
●須佐えり

▼第5試合　タッグマッチ 30分1本勝負
夏樹☆たいよう／○愛川ゆず季
18分17秒　YKブルー→片エビ固め
美闘陽子／●岩谷麻優