映像がなくても36分を超す東郷vs.飯伏の熱戦が観客を魅了!福島で被災したG松野が元気な姿を見せ、最後はみんな笑顔!

110327_DDT-1.jpgDDTプロレスリング
Judgement 2011~DDT14周年記念興行~
日時:3月27日(日) 開始:12:00
会場:後楽園ホール
観衆:1518人(超満員)

 27日、後楽園ホールで行われたDDT『Judgement 2011〜DDT14周年記念興行〜』。2・27後楽園大会でHARASHIMAに対し、掟破りの逆蒼魔刀やラ・ミスティカ式クロスフェースという新技まで繰り出して勝利。KO-D無差別級王座初防衛に成功したディック東郷。国内引退まで残り約3カ月となった東郷は、次の挑戦者に飯伏幸太を指名した。
 この日は節電のためスクリーンを使った煽りVなどがなかったが、この一戦はもはや煽る必要もない。飯伏が気合いの入った様子で入場すると、続いて東郷が入場。飯伏を睨み付けると、観客にベルトをアピールした。

 いきなり東郷が飯伏のスピーディーな動きに完全についていき、アームドラッグの応酬からドロップキックの相打ちに持ち込む。しかし飯伏はエプロンをダッシュして放った東郷のトペコンをかわして場外に自爆させると、そこから左足を集中攻撃。裏アキレス腱固めや足4の字固めで徹底的に左足を殺した飯伏はムーンサルトプレスを投下するが、これはかわされて自爆。すると東郷はうまく飯伏を場外に連れ出し、今度はリング上からノータッチトペコンを発射!
 さらに場外でのDDTから飯伏をリングに戻し、上半身だけエプロンに出るようにしてからセントーン。だが、これをかわした飯伏は場外に出た東郷に三角跳びケブラーダ。しかし15分過ぎ、東郷は飯伏のクロスボディをかわすとオクラホマロールからクロスフェース。飯伏は何とかロープに逃れたが、東郷はエプロンに出た飯伏にドロップ・デッド・トワイスを決めると、ねちっこくスリーパーに捕らえていく。
 何とか脱出した飯伏は打撃のコンビネーションからその場飛びムーンサルト。これをかわしてセントーンを放った東郷だが、飯伏もかわしていく。スイングDDTを狙った東郷だが、飯伏はエプロンに東郷を下ろすように防ぐと、ハイキックで場外に叩き落とす。そしてスワンダイブで1つコーナーを挟んで向こう側の場外にいる東郷に、スワンダイブ式ミサイルキックを発射! 何とか場外カウント19で生還した東郷だが、飯伏はアンクルホールドからブレーンバスターの体勢に。東郷が背後に着地すると、飯伏は間髪入れずオーバーヘッドキック。
 さらに投げ捨てジャーマンで投げた飯伏はファイアーバードスプラッシュを投下。だが、続くドラゴンスープレックスをサムソンクラッチで切り返した東郷は丸め込みからクロスフェース。ロープに逃れた飯伏に対し、東郷はペディグリーからのダイビング・セントーンという必殺フルコース。だが、飯伏はカウント1でキックアウト! 30分が経過し、飯伏は雄叫びをあげながらラリアット2連発を叩き込むと、オクラホマスタンピートの体勢からコーナーに東郷を頭から叩き付け、さらにパワーボムの体勢で担ぎ上げてから後方のコーナーに東郷を叩き付ける力技に出る。
 そしてハーフネルソンで投げていった飯伏は必殺のフェニックス・スプラッシュを放っていくが、これをかわして自爆させた東郷はフラフラになりながらも蹴りと張り手を打ってくる飯伏に対し、自らも蹴りを出していってバチバチやり合う。飯伏のハイキックがクリーンヒットして東郷はダウンするが、飯伏のバズソーキックをブロックした東郷はHARASHIMA戦で出した秘密兵器ラ・ミスティカ式クロスフェース!
 飯伏はこれもロープに逃れていき、こちらも秘密兵器のライガーボムを狙うが、東郷は回転エビ固めに切り返すと、HARASHIMA戦で出した蒼魔刀を再び発射! さらにダブルアームの体勢から後方1回転するデストロイ式ペディグリーで飯伏を叩き付けると、必殺のダイビング・セントーンを投下してようやく3カウントを奪った。国内引退まであと3カ月と迫りながらも、またも秘密兵器を出して勝利した東郷だが、「飯伏、やっぱお前スゲーな。今日は俺が勝ったけど、明日やったら俺は勝てねぇかもしれない。やっぱお前は天才だよ」と飯伏を絶賛。インタビュースペースで東郷は試合中に肩がハズれたが、クロスフェースを決めながら自分で肩を入れたことを告白。そんな状態でも勝利し、飯伏自身も「今日は完敗です」と語ったのだが、東郷は「(俺が)押されていたよ。あいつはもう数年でプロレス界のトップになるんじゃないですか。プロレス界全体のトップになると思いますよ」と改めて飯伏の実力を高く評価した。

110327_DDT-2.jpg 前回の後楽園大会で、HARASHIMAに続いて飯伏がKO-D王座に挑戦するという流れに「このままじゃ去年と図式が何も変わらないわよ!」と異を唱えた男色ディーノ。その言葉を受けて今大会で行われたのが、両国大会前の毎年恒例となっているいつでもどこでも挑戦権争奪バトルロイヤル。天井から吊り下げられた挑戦権の紙をゲットした者は、7・24両国大会までにいつでもどこでもKO-D無差別級王座に挑戦出来、さらにこのバトルロイヤルの勝者には次期KO-D無差別級王座の挑戦権が与えられるわけだが、何と今年はいつでもどこでも挑戦権が2枚になることに!
 KUDOと大石真翔の男'sクラブ、佐々木大輔、石井慧介、入江茂弘の若手、ケニー・オメガと中澤マイケルのもう1つのゴールデン☆ラヴァーズ、高尾蒼馬、松永智充、スーパー・シット・マシンのシットハート♥ファウンデーション、GENTAROとヤス・ウラノのGranma、さらに星誕期と藤田ミノル、石川修司、諸橋晴也、大家健のユニオン勢と、総勢17人による時間差バトルロイヤルは、諸橋vs.藤田でスタート。
 4人目に丸刈りにしてサングラスをかけたことで、すっかりロック様と化したマイケルが入って来た辺りから試合が荒れ始める。6人目の高尾はラダーに登ろうとしたところを諸橋に邪魔されると、「俺の邪魔をするな!」と一喝してリングを降り、太々しく客席に座ってしまう。8人目として登場した松永もすぐに場外へ出て高尾のもとに。そして9人目として登場した大家がKUDOへの炎のスピアから、藤田に急所蹴りを見舞い、ラダーを登っていつでもどこでも挑戦権をゲットすると、その少し前から松永がレフェリーを引きつけ、高尾が大家を一斗缶で一撃して挑戦権を強奪!
 ようやくレフェリーが振り返ると、手に挑戦権の紙を持っていたのは高尾。これでまず高尾がいつでもどこでも挑戦権を獲得。12人目として入ってきたケニー、14人目の入江が大暴れしていると、その隙を突くようにしてGENTAROがいつでもどこでも挑戦権をゲット。松永に強奪されそうになったが、ヤスがレフェリーを引きつけている間に奪い返し、無事GENTAROが権利を獲得した。これでもうバトルロイヤルに優勝しなくては挑戦権が手に入らなくなったが、16人目として登場した石川が大暴れ。さらに最後の17人目として登場した石井が試合を掻き回し、次々に選手が脱落!
 そしてケニーが石川にコタロークラッシャーを決めると、石井がケニーにニールキックを放っていくが、それをキャッチしたケニーがクロイツ・ラスで投げて3カウント。さらにケニーは石川もクロイツ・ラスで投げていったが、KUDOがカウント2でカットし、そこからケニーにダイビング・ダブルニードロップを叩き込んで3カウント。最後に残ったのは石川とKUDO。TSUNAMIからのスプラッシュ・マウンテンを狙った石川だが、KUDOは回転エビ固めで切り返す。さらにキックを叩き込むが、ヘッドバットを返した石川はドリラーで叩き付けると、今度こそスプラッシュ・マウンテンを決めて勝利。

110327_DDT-3.jpg メイン終了後、いつでもどこでも挑戦権を獲得したGENTAROに、鶴見亜門GMが「いますぐ権利を行使してもいいんですよ」と尋ねるが、「こんなスゲー防衛戦があったあとに野暮なこと言わないでください」と応えると、いますぐにでも行使しそうだった高尾も「するわけねぇだろ」と、ここは空気を読んで引き揚げていった。
 そこに5・4後楽園大会でKO-D王座に挑戦する石川が現れ、東郷に向かって「東郷さんは俺に持っていないものをみんな持っていると思います。でも俺も東郷さんが持っていないものを持っている。こんな......いや、こんなときだからこそ、俺が挑戦してチャンピオンになります。俺と勝負してください!」と言うと、東郷は「お前みたいなデケェ奴とやるのも久しぶりだな。俺もアメリカやメキシコで2m以上の奴とやってきたから楽しみだぜ」と受けて立つ構えを見せた。
 すると最後に高木三四郎大社長が登場。「まだまだ不安が残りますが、プロレスは夢と希望を与えるスポーツです。その中でもDDTはほかの団体になり幸せな空間を提供してきました。まだまだ復興に向けて不安は残っていますが、不安がっていても何も生まれません。皆さんで一歩一歩歩んでいきましょう! 皆さんで明日から一歩を踏み出せるような歌をうたいましょう! 俺たちはプロレスラーだからプロレスだけが出来るわけじゃない! あんたたちだって出来るお客さんだろ? こういうときだからみんなで歌おうよ!」といって観客に起立を促すと、ポンポンを持って登場した選手たちと一緒にみんなで『三百六十五歩のマーチ』を合唱!
 さらに大社長が「この人に歌ってもらう!」と叫ぶと、長期欠場中のゴージャス松野がDDTジャージ姿で登場! 松野さんは「皆さん、お久しぶりです。皆さんに元気な顔を見ていただきたくて、今日福島からやって来ました。福島は震度6強という強い地震に見舞われ、私自身も被災しました」と、東日本大地震で被災したことをファンに報告した上で、「1つ約束させていただきたいことがあります。私はいまでもDDTの一員です。近い将来、このDDTのリングに復帰して全国の皆さんと元気と勇気と希望を分かち合って頑張ろうと思います。皆さん、頑張ろ〜う!」とプロレスラーとして、DDTの一員として、リング上から今回の震災で傷ついた日本の皆さんに元気と勇気と希望を与えたいと宣言。
 最後はリング上の選手たちも、観客も笑顔で大会を終えた。震災後、DDTとしては初のホール大会を終えて大社長は「正直映像が使えないってことに関しては、実はまったく何のハンデにも思っていなくて、逆それをどう逆手に取ってやろうかということばかりを考えていました。それは14年かけてDDTがやってきたことが間違いじゃなかったってことと、どんどんレスリング中心にシフトしていっているから。今日のメインを含めてレベルがどんどん上がってきているので、そういった部分で映像とかに頼らなくても興行が成立出来たってことで、14年を迎えて嬉しかったことですね」と、きっちり試合で魅せることが出来る団体に成長したことに手応えを感じた様子で語った。
 そして最後に「(最後は)心の底から笑顔でよかったなって。松野さんだけじゃなくて。お客さんだって、最初はえーとか言ってましたけど、俺はお腹の底から絞り出すのってあるじゃないですか。みんな不安ですよね? 僕らも正直不安です......不安でした。このような状況の中で、こういった娯楽というかエンターテインメントのジャンルって、どちらかというと1番削られるジャンルだと思うので、不安はあるんですけど経済回っていかなきゃいけないし、回していかなきゃいけないしね。その中で僕らがやれるべきことをやっていかないとね。まぁよく言うならNever Say Neverですよ。出来ないことなんてないっていうね。みんなで一緒に頑張っていきましょうよ!」と明るく語った。

※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。

▼第1試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負
佐藤光留(パンクラスMISSION)/○タノムサク鳥羽(フリー)/美月凛音
10分34秒 右ストレート→片エビ固め
内藤恒仁/●平田一喜/彰人(スポルティーバ)

▼第2試合 14周年記念試合 30分1本勝負
○MIKAMI/ロホ・デル・ソル
4分0秒 スワンダイブ式スク〜ルボ〜イ
蛇我井満也/●毒蝮三四郎 withポイズン澤田JULIE withナオミ・スーザン

▼第3試合 スペシャルシングルマッチ 30分1本勝負
○HARASHIMA
9分6秒 蒼魔刀→体固め
●アントーニオ本多(フリー)

▼第4試合 ボブ・ゲーム開幕戦 30分1本勝負
○男色ディーノ
8分52秒 ゴッチ式男色ドライバー→漢固め
●ジョナサン・グレシャム

▼第5試合 次期KO-D無差別級選手権挑戦者決定+いつでもどこでも挑戦権×2争奪バトルロイヤル 30分1本勝負
<退場順>藤田ミノル(11分20秒 OTR)→高尾蒼馬(12分2秒 どこでも挑戦権獲得)→星誕期(13分20秒 OTR)→大家健(14分36秒 OTR)→諸橋晴也(16分20秒 OTR)→GENTARO(17分40秒 どこでも挑戦権獲得)→松永智充(19分58秒 ヤスの横入り式エビ固め)→ヤス・ウラノ(21分7秒 OTR)→中澤マイケル(21分57秒 OTR)→スーパー・シット・マシン(22分18秒 OTR)→佐々木大輔(22分43秒 OTR)→大石真翔(23分27秒 入江の垂直落下式バックフリップ→体固め)→入江茂弘(23分47秒 OTR)→石井慧介(25分39秒 ケニーのクロイツ・ラス→エビ固め)→ケニー・オメガ(27分33秒 KUDOのダイビング・ダブルニーアタック→片エビ固め)
○石川修司(ユニオンプロレス)
スプラッシュ・マウンテン→体固め
●KUDO
※石川が次期KO-D無差別級王座挑戦者に。GENTAROと高尾蒼馬がいつでもどこでも挑戦権獲得

▼第6試合 KO-D無差別級選手権試合 60分1本勝負
[王 者]○ディック東郷
36分57秒 ダイビング・セントーン→片エビ固め
[挑戦者]●飯伏幸太
※第35代王者が2度目の防衛に成功

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