チャリティー大会として開催された全日本両国大会で、まさしくプロレスで元気をという熱戦が!大地が武藤に掟破りのシャイニング!

110321_AJP-1.jpg全日本プロレス
2011 プロレスLOVE in 両国 Vol.11
〜東北地方太平洋沖地震チャリティー大会〜
日時:3月21日(月) 開始:16:00
会場:両国国技館
観衆:8000人

 21日、両国国技館で行われた全日本プロレス『2011 プロレスLOVE in 両国 Vol.11〜東北地方太平洋沖地震チャリティー大会〜』。東北地方太平洋沖地震が起きた3月11日、東北ツアーの初日だったため宮城県石巻市に向かっていた全日本。先乗りしていたスタッフやブードゥー・マーダーズの移動バスももの凄い揺れを体感したという。
 東北ツアーはすべて中止となり、この両国大会も開催するかどうか協議されたが、「被災した全日本だからこそ出来る興行がある」と開催を決定! その思いに新日本プロレスとノアも賛同し、収益の一部を義援金として寄付するチャリティー大会として開催されることになった。

 節電のため天井から吊した照明を使わず、四方からスポットライトを当てられたリング上はまるで室内なのに野外の会場のような雰囲気。そんな中、オープニングにはこの日"やらぬ善よりやる偽善"をモットーに義援金集めを行ったブードゥー・マーダーズ(以下VM)が登場。するとTARUは「もう1人元気な奴を呼んでいる」と言って、何と"brother"YASSHIを呼び込んだ。サプライズゲストの登場に場内が沸き上がる中、YASSHIは「オイ、カス野郎! ご機嫌ちゃーん! 今日は東京がご機嫌ちゃんやないと聞いて駆け付けたけど、ご機嫌ちゃーん? 俺たちがいま出来ることは、ご機嫌ちゃんでいること! いまここでご機嫌ちゃんになっておくべきなんや! ここ東京から東北にご機嫌ちゃんを送ろうやないか! ご機嫌ちゃーん!」とYASSHI節で東北にエールを送った。

 かなり四大タイトルマッチを中心に豪華なカードがラインナップされたこの日の両国大会だが、中でも「プロレスで元気を!」という言葉がピッタリなくらい会場を沸かせていた第4試合の真田聖也&征矢学のesと大日本プロレスの関本大介&岡林裕二が、激突したアジアタッグ戦。両軍はノンタイトル戦で2・6後楽園と2・11大阪で激突。どちらも30分時間切れ引き分けに終わっており、ついにタイトルを賭けて決着戦が行われた。
 のっけから征矢と関本はバッチバッチにやり合い、思わず和田レフェリーの指示で真田と岡林が入ってきて両者を一旦分けるほど。征矢、関本、岡林というパワーファイターの中、1人パワーでは圧倒的に劣る真田だが、ハンマーロックをトリッキーな動きで切り返したり、手四つの力比べをコーナーに登って高さを利用して押し返したりと、うまく工夫して力負けしたように見せない。
 だが、そうは言っても大日本組は真田を捕まえると、クイックタッチで代わる代わるボディスラムで叩き付けてから、関本がブレーンバスターから逆片エビ固めに捕らえていく。かなり苦しい状況に追い込まれた真田だが、どうにかロープに逃れると関本の串刺し攻撃をかわしてバックドロップ。タッチを受けた征矢が一気呵成に攻め込んでいくが、串刺し攻撃を迎撃した関本はポンとコーナー2段目に飛び乗ってミサイルキック。しかし蘇生した真田は岡林のラリアットをかわしてエルボーでなぎ倒すと、その場飛びムーンサルト。さらにコブラツイストとローリングクレイドルで追い込むと、首固めを連発。
 真田らしい波状攻撃だったが、2回目の首固めを堪えた岡林はぶっこ抜きブレーンバスター。続いて関本がアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げると、カットしようとした征矢を岡林がアルゼンチンで担ぎ上げる。グロッキー状態の真田だが、関本のラリアットをかわして延髄蹴り。だが、関本もかわしてみせSTFに捕らえる。さらにコーナーに登った岡林に関本が真田を渡すと、雪崩式オクラホマスタンピート! 関本は場外の征矢にトペ!
 それでも真田は岡林のラリアットをかわすと回転足折り固め。カウント2で返されると、バックドロップで叩き付けてから、征矢との合体攻撃。だが、esの合体ブレーンバスターを逆に1人で2人まとめて投げていった岡林は関本にタッチ。関本は征矢にアトミックドロップから逆エビ固め。ここでこの対決では初となる30分を"経過"! 真田がスワンダイブ式ミサイルキックで征矢を救出するが、岡林がリフトアップスラムで場外に放り出すと、大日本組は征矢に時間差ダイビング・ボディプレスを投下。さらに関本が眉山でブン投げるが、カウント2でカットした真田がスワンダイブ式ニールキック。
 さらに場外の岡林にプランチャを投下するが、キャッチした岡林はそのまま鉄柱に叩き付けていき、その間に関本は征矢のラリアットを延髄蹴りで迎撃すると、ショートレンジラリアット2連発を叩き込んでから、一気にぶっこ抜きジャーマンで投げていき、ついに3カウントを奪った! 大日本の社長であるグレート小鹿がかつて巻いていたアジアタッグのベルトをついに奪取した関本は、ベルトを大事そうに抱きしめると、ベルトを持ってそのまま大日本プロレスが興行を行っている後楽園ホールに凱旋していった。

110321_AJP-2.jpg 地震があった日、本隊の移動バスではなく所用のため単身仙台から電車で石巻に向かっていた近藤修司は、「本気で死を覚悟した」ほどの体験をしたあと、一時避難所に避難していたという。それだけにこの両国大会への思いも人一倍で、まだ一度も勝ったことがない稔が保持する世界ジュニアヘビー級王座に挑戦するが、「それ以上のものが懸かっている」と強い思いを胸に挑んでいった。
 マス席の最後方からYASSHIも見つめる中、まず稔がドロップキックを叩き込んでいくと、近藤は意表を突いて返す刀で低空ドロップキック。これで左ヒザを傷めた稔に対し、近藤はドラゴンスクリューや雪崩式ニークラッシャーを決めると、エプロンに出てそこでニークラッシャーを狙う。ヒザ蹴りで逃れた稔はエプロンをダッシュするが、近藤はザ☆オリジナルを狙う。必死でリング内の着地して逃れた稔だが、近藤はロープ越しのKUBINAGEを狙う。しかし何とか逃れた稔はジャンピングキックで近藤を場外に叩き落とし、ケブラーダを発射。
 リングに戻り、コーナーに登っていって稔だが、近藤は足を掴んでドラスクを狙う。だが、稔は逆に腕を取るとコーナー上から立っている近藤に腕十字。稔は近藤の左腕に狙いを定めて攻撃していくと、近藤は何とかランサルセで形勢逆転を狙うが、稔はミドルキックで迎撃。それでも近藤はコーナーに登った稔を追いかけていって雪崩式オクラホマスタンピートを狙うが、着地して回避した稔。近藤はダイビングショルダーを放っていくが、稔はこれもドロップキックで迎撃。しかし近藤はカウンターのオリンピックスラムで投げると、ランサルセからBTボム。
 続く近藤の投げ捨てジャーマンは着地した稔だが、近藤はすかさずザ☆オリジナル。しかし稔も間髪入れず投げ捨てジャーマンを返すと、バズソーキック。さらに顔面へのドロップキックから突進するが、風車式でキャッチした近藤はそのままツームストンパイルで叩き付ける。さらに後頭部ラリアットから雪崩式リバースブレーンバスターで投げていく。稔も蹴りで反撃するが、蹴り足を掴む近藤。それでも三角絞めで捕獲した稔だが、バスターで脱出した近藤はKUBINAGEを狙うが、稔は高角度前方回転エビ固めで切り返すと、そのまま立ち上がってバズソーキック。さらにFIREBALLスプラッシュを投下するが、これもカウントは2!
 バズソーキックを叩き込む稔にショートレンジラリアットを返した近藤は、後頭部へのショートレンジラリアットからキングコング・ラリアット! 何とかカウント2で返した稔だが、ここで近藤は渕正信直伝の逆片エビ固め! 20分が経過し、必死にロープに逃れた稔は近藤のショートレンジラリアットをかわすとハイキックを叩き込み、伝家の宝刀ミノルスペシャルへ。近藤は持ち上げようとするが、横に回転した稔がクラッチを切り、ガッチリと腕十字を極める。近藤は最後あでギブアップしなかったが、レフェリーが試合を止めた! 苦しい試合を制した稔は実にいい表情でベルトをアピールした。

110321_AJP-3.jpg 3・6ZERO1両国大会で蝶野正洋相手に堂々のデビュー戦をやってみせた橋本大地。試合後、「次の相手は俺だ!」と名乗り上げた武藤敬司とのシングルマッチが早くも実現! プロレス界の宝であり、盟友の息子である大地を相手に、天才・武藤はどのような英才教育を施すのか注目された。
 武藤はまずはグラウンドコントロールでねじ伏せると、ヘッドロックで大地に悲鳴をあげさせる。だが、ロープに振って逃れた大地はカウンターのミドルキックを叩き込むと、ミドルの連打で武藤をダウンさえる。なおも蹴っていった大地だが、蹴り足をキャッチした武藤は高速ドラゴンスクリュー。さらにアキレス腱固めに捕らえた武藤は、ロープに逃れた大地に低空ドロップキックを叩き込んでから足4の字固めを狙うが、大地は下から蹴り上げて防御。
 すると大地はニーリフトから何と蝶野に直伝されたというSTFを繰り出していく。ロープに逃れた武藤は低空ドロップキック一発で大地を悶絶させると、今度こそドラスクから足4の字固めへ。思わず大谷晋二郎らセコンドのZERO1勢も身を乗り出して大地に檄を飛ばす中、大地は反転して脱出。そこに武藤はシャイニング・ウィザードを発射するが、大地は両腕でブロックすると、掟破りの逆シャイニング・ウィザード! さらにフライング・ニールキックからのミサイルキック。だが、再び蹴り足をキャッチした武藤はドラスクからシャイニング。そして大地が立ち上がってくるのを待った武藤は、今度は低空ドロップキックからのシャイニング。
 それでもカバーにいかない武藤は、何とシュミット流バックブリーカーで叩き付けると、大一番でしか出さないムーンサルトプレスを大サービス! 完璧に3カウントを奪った武藤は大地に向かってスを投下して3カウントを奪った。試合後、武藤は倒れた大地に「大地! 正直、まだまだだ。もしかしたらまだ始まっちゃいねぇや。ゼロだ、ゼロ! しかしよ、今回被災者たちもゼロから始めなきゃいけねぇんだ! お前もそういう人たちの見本となるレスラーになれよ」と檄を飛ばした。

 インタビュースペースで武藤はムーンサルトプレスを出した理由を「俺もちょっと感情が入りすぎてさ。大地だからというか、今回に限ってはさ、本当にコンディションよくていい形で両国を迎えたんですわ。(両国にベストを)持ってったっていうかね。相手が大地だとかいう問題じゃなくさ。そのコンディションのいい武藤敬司をまぁ大地にも証明したかったし」と説明。その上でSTFやシャイニング・ウィザードを出した大地に関しては、「もしかしたらアイツだけは使っても許されるキャラというか、存在であるかもしれないよな。大事にこういう技も磨いていってほしいですね」と"1人闘魂三銃士"を容認する構え。
 さらに武藤は東京スポーツの記者との世間話中にフライング発言したという全日本、新日本、ノアによるチャリティー大会みたいなものをやりたいとインタビュースペースでも発言。ただし「本当に俺がフライングしてるだけで、相手のスケジュールも(調整とか一切していない段階で)勝手に俺が飛ばしてるだけ」と断りを入れた。
 この日はメインで諏訪魔がKENSOから三冠ヘビー級王座を防衛し、「来月にはチャンピオン・カーニバルがあります。俺は絶対に優勝して皆に元気を届けたいと思います」と宣言すると、そこに世界タッグ王者組のKONOとジョー・ドーリングが登場して宣戦布告。続いて大森隆男もチャンカーに参戦表明すると、太陽ケアや浜亮太、船木誠勝も登場。チャンカー2連覇中の鈴木みのるは「全日本プロレスのエースはお前じゃない、この鈴木みのるだ!」と宣言。
 その鈴木とのこの日のタッグ対決はやや消化不良だった永田裕志まで出てきて「お前らもっと面白いプロレスが観たいか? ならばいまここで参戦表明してやる! 2011年NJC優勝者の永田裕志が、今年のチャンピオン・カーニバルに参戦してやる!」とチャンカー参戦を表明! サプライズはこれだけで終わらず、木原リングアナが「俺は俺の意思で全日本プロレスのリングに乗り込む!」というノアの秋山準からのメッセージを読み上げ、場内は大盛り上がり。さらにエンディングで出場選手や蝶野正洋と共に「がんばれ! 東北!! STAY STRONG JAPAN」と書かれた横断幕をアピール。近いうちに今年のチャンカーに出場してきそうな新日本やノアも交えた3団体合同のチャリティー大会が開催される可能性が出て来た。

※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。

▼第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負
渕正信/○宮本和志(和志組)
5分8秒 垂直落下式ブレーンバスター→片エビ固め
ゾディアック/●中之上靖文

▼第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負
カズ・ハヤシ/○KAI
8分58秒 スプラッシュプランチャ→片エビ固め
●大和ヒロシ/BUSHI

▼第3試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負
○ビッグバン・ベイダー/ジェシー・ホワイト/浜亮太
12分16秒 ビッグクランチ→エビ固め
TARU(VM)/レネ・デュプリ(VM)/●MAZADA(VM)

▼第4試合 アジアタッグ選手権試合 60分1本勝負
[王者組]真田聖也/●征矢学
32分51秒 ぶっこ抜きジャーマンスープレックスホールド
[挑戦者組]○関本大介(大日本)/岡林裕二(大日本)
※第84代王者組が3度目の防衛に失敗。関本&岡林が第85代王者組へ

▼第5試合 スペシャル・シングルマッチ 45分1本勝負
○武藤敬司
10分18秒 ムーンサルトプレス→体固め
●橋本大地(ZERO1)

▼第6試合 スペシャル・タッグマッチ 45分1本勝負
●船木誠勝/鈴木みのる(パンクラスMISSION)
8分26秒 バックドロップホールド
○永田裕志(新日本プロレス)/獣神サンダー・ライガー(新日本プロレス)

▼第7試合 世界ジュニア・ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
[王 者]○稔(VM/フリー)
22分5秒 ミノルスペシャル→レフェリーストップ
[挑戦者]●近藤修司
※第29代王者が初防衛に成功

▼第8試合 世界タッグ選手権試合 60分1本勝負
[王者組]KONO(VM)/○ジョー・ドーリング(VM)
21分15秒 レボリューションボム→エビ固め
[挑戦者組]太陽ケア/●大森隆男(フリー)
※第58代王者組が初防衛に成功

▼第9試合 三冠ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
[王 者]○諏訪魔
29分25秒 ラストライド→体固め
[挑戦者]●KENSO
※第43代王者が3度目の防衛に成功

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