宮城県出身の藤本が震災後初の後楽園大会メインで勝利!志田vs.朱里は名勝負数え唄の予感!約6年ぶりに甦ったモモ☆ラッチ

110321_IceRibbon-1.jpgアイスリボン
アイスリボン・マーチ2011
日時:3月21日(月) 開始:12:00
会場:後楽園ホール
観衆:737人

 21日、後楽園ホールで行われたアイスリボン『アイスリボン・マーチ2011』。3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、後楽園ホールも大きなダメージを受けてしまった。点検・修復のため予定されていた興行が次々に中止や延期になっていったが、このアイスリボン後楽園大会が再開第1弾大会となり、オープニングでさくらえみも「今日から後楽園ホールのプロレスが復活します。先陣を切るのはアイスリボンだ!」と涙で声を詰まらせながら叫んだ。

 そんな大事な今回の後楽園大会のメインだが、初めてさくらがメインに出ない試合となった。さくらに代わってメインを務めるのは、現在ICE×60、インターナショナル・リボンタッグ、トライアングルリボンの三冠王者である藤本つかさ。対するはアイスリボンの前身である我闘姑娘でさくらが育てた生え抜き1号選手であるRay。
 1年間プロレスから離れていたこともあり、Rayの中ではアイスの選手はすべて"後輩"という意識らしく、あくまでもアイスに参戦したのはさくらに勝って恩返しをしたいという思い。そこでRayはタッグマッチながら三冠王者の藤本に勝利したあと、後楽園大会でのさくらとの一騎打ちをお願い。アイスにとって後楽園大会は大一番であり、そこで3回連続メインに出ているさくらとのシングルというのは、かなりハードルの高いこと。そこでさくらは道場マッチでRayとシングル戦を行って快勝。差を見せつけた。
 一方、王者である自分に勝ったのならタイトルに挑戦してくるのが筋であり、それを飛び越えてさくらに対戦要求したRayに対し、藤本は当然いい感情を抱かない。「Rayさんは一度もベルトを巻いたことがないでしょ!」と怒りの挑発をして上で、この日のメインイベントを迎えた。すると挑戦者Rayのセコンドにさくらがつき、藤本を驚かせる。
 試合が始まるとRayはスペース・ローリング・エルボーやエースクラッシャー、さらにコルバタで藤本を場外に追いやってからエプロンで側転してのプランチャと多彩な技を繰り出していく。藤本もプランチャで反撃すると、ドロップキックを連射。しかしRayはキャンドルを叩き込む。立体技ではややRayに分があると見た藤本はヒザ十字固めでRayのヒザを集中攻撃。
 それからコーナーに登っていくが、Rayは白鶴をお見舞い。しかしコーナー上で蹴り足をキャッチした藤本はアンクルホールド。これを何とか逃れてアイコノクラズムで叩き付けたRayはムーンサルトプレスを投下。さらにスピンキックから強引にジャーマンで投げるとツイストプレスを発射するが、これをかわして自爆させた藤本はランニングローからツカドーラ。カウント2で返したRayは続くビーナスシュートをかわしてスピンキックを叩き込むが、藤本はビーナスクラッチを狙って飛び付く。
 回転を食い止め、フェースバスターで切り返したRayは藤本の足を掴んでいくが、延髄蹴りを叩き込んで棒立ちにさせた藤本は今度こそビーナスシュートを叩き込んで3カウント。ICE×60王座の防衛に成功した藤本は「嬉し涙だったら泣いてもいいですか? 今日の後楽園ホール大会までいろんなことがありました。宮城県出身のプロレスラー、藤本つかさにしか出来ない役割もあると思う。起こってしまったことを巻き戻すことは出来ないけど、自分は絶対に、絶対に負けられません! ここにいる皆さん、生きててくれてありがとう......。そして今日観に来てくれたお父さん、お母さん、生きててくれてありがとう......。自分はプロレスが大好きです! アイスリボンが大、大、大、大、大好きです! 皆さんが本当に大好きです!」と実家が被災しながらも、無事だった両親が見守る中、メインの大役を果たして勝利したことに涙した。

110321_IceRibbon-2.jpg SMASHから朱里の参戦が決まった時点で、誰と対戦したらいいかファン投票を行った結果、一番投票数を集めたのが志田光。学年が一緒で出身地も近く、コスチュームも同じ赤ということで「運命だと思う」と喜んでいた志田は、凛々しい黒袴姿で入場。しかし序盤は朱里はグラウンドで面白いように志田を圧倒し、途中で志田は悔しさを露わにする。執拗なヘッドロックで絞め上げる朱里に対し、カニ挟みで倒した志田はストンピングからのドロップキックでようやく反撃。
 しかし朱里はすぐさまフロントキックを叩き込むとワキ固めで志田を悶絶させる。さらにミドルキックからニーリフト、ハーフハッチで投げてからのサッカーボールキックを叩き込んだ朱里は先ほどワキ固めを極めた志田の左腕を集中攻撃。そこから再びワキ固めを極められた志田は悲鳴をあげながら何とかロープに脱出。それでもカウンターの払い腰で投げていった志田は、カナディアンバックブリーカーの体勢からマットに叩き付けると、ブレーンバスターで叩き付けてからジャンピングニー。
 エルボーを返していった朱里だが、ランニングエルボーをニーリフトで迎撃した志田。だが、朱里も河津落としで叩き付けると腕固めでなおも左腕を攻撃。リング中央でガッチリ決まったため、どうにかロープに逃れたあとも志田は左腕を抑えて動けない。そこに華名を倒したハイキックを放っていった処理だが、紙一重でかわした志田はリバースの払い腰。だが、朱里も返す刀で志田の顔面に低空ドロップキック。
 ダブルダウン状態から立ち上がった志田はブレーンバスターからスリーカウントを叩き込むがカウントは2! 引き起こそうとする志田の顔面を下から蹴り上げた朱里は、もう一度ハイキックを放っていくが、これもかわした志田は秘技ファルコンアローで叩き付けて3カウントを奪った! しかし、この一戦は女子版"名勝負数え唄"になる可能性を十分に感じさせた一戦。その第1Rを志田が制した形となった。

110321_IceRibbon-3.jpg 当初第1試合に出場予定だったさくらだが、地震で実家が流されてしまったたま子がどうしてもデビューしたいと懇願し、さくらの代わりに第1試合に出場して急遽デビューすることに。そこでさくらはたまたま3・19道場マッチをご家族と観戦に来ていた大江百重(旧姓:中西百重)さんに対戦要求! すでに大江さんは引退して6年以上が経っており、いまや3児のママ。すっかりプロレスとは縁遠い生活をしていたため当然拒否。しかしさくらにリング上に招かれた大江さんはさくらに対して串刺しドロップキックを発射!
 とはいえ、対戦を受諾したわけではなくその日は帰宅した。さくらは「スペシャルエキシビションマッチ さくらえみvs.X」とだけ発表して大江さんの返事を待ったが、大会前日になって大江さんは自身のブログに「さくらさんに対して自然に出た串刺しドロップキックにいただいた歓声を聴いたとき、これがmomoに出来ることなんじゃないかと確信しました」と綴った。
 そして迎えた試合当日、さくらは直接被災したわけではないが、連日報道される東北地方の様子などを見て、かなり落ち込んだことを吐露。その上で「あり得ないことが起こってしまいましたが、あり得ないことを自分でも起こそうとしました。いろんな人に声を掛けたけど、なかなか実現出来なくて。もう諦めようと思ったときに大江百重さんが一昨日アイスリボンの会場に来てくれました」と"あり得ないこと"を起こそうとして、急遽大江さんにオファーを出したことを告げる。
 しかしコスチュームではなく普段着で会場に来た大江さんを見たさくらは、「試合はしてくれないんだな」と思いながらもシューズとジャージのズボンは渡したという。そして「MOMO!」と叫んで大江さんを呼び込むと、大江さんはヨレヨレのTシャツにジャージ、シューズという運動会に参加するお母さんのような格好で登場。それを見たさくらが「そんなだらしないTシャツ着て......ちゃんとしたTシャツ着てよ!」と言うと、大江さんはみなみ飛香が着ていた"ガンバレ、俺☆"Tシャツを着込む。そこで急遽観戦に来ていた大家健がセコンドにつき、3分間のエキシビションがスタート!
 ロックアップからエルボーを叩き込んでいった大江さんは、倒れたさくらの上に乗って懐かしい両手を広げてのその場ランニングを披露。さらにさくらのロメロスペシャルを猫のような動きで脱出すると、見事なフォームのドロップキック。さらにさくらとお互いにモンゴリアンチョップを打ち合うと、飛び付きエビ固め。さくらもエビ固めで切り返したが、カウント2で返した大江さんは現役時代と遜色のない見事なモモ☆ラッチを決めて3カウントを奪った!
 しかしさくらは大人気なく試合を止めずに、ダブルアーム式バックブリーカーから逆エビ固めに捕らえる。すると「延長を行います!」とアナウンス。するとさくらはラ・マヒストラルを決めて3カウントを奪い返す。コーナーに登ってガッツポーズをするさくらを場外に突き落とした大江さんはプランチャを狙ってコーナーへ。さくらは素早くリングに戻るが、大江さんはならばとミサイルキックを発射! しかしさくらはさくらえみ70キロをお見舞い。ここで延長戦終了のゴングが鳴らされた......のだが、今度は大江さんがさくらのバックを取り、見事なジャーマンで投げていって先ほどのお返しをキッチリしてみせた。
 ブランクを感じさせない動きを見せた大江さんは「大江百重は元気です! 全国のお母さんたち、どんなときも笑顔で頑張っていきましょう! ありがとうございました!」と叫ぶと、明るくリングを降りた。さくらは「よよよ......いま一体何が起きたのでしょうか? 記憶が......体が痛い。私は一瞬の夢を見ていたようですよ。夢といえば私の夢は今年こそ結婚することだー!」と最後までさくららしく、ひと時の夢物語を観客と共に堪能した。

※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。

▼第1試合 フレッシュオープニングファイト! イリミネーション6人タッグマッチ 20分間勝負
●りほ/成宮真希/たま子
0-1
○みなみ飛香/つくし/くるみ
<1人目>
●たま子
54秒 スクールボーイ
○つくし
<2人目>
○りほ/成宮真希/たま子
2分43秒 ノーザンライトスープレックスホールド
●くるみ
<3人目>
●成宮真希
3分58秒 カミカゼ→片エビ固め
○みなみ飛香
<4人目>
○りほ
6分13秒 OTR
●みなみ飛香
<5人目>
●りほ
8分40秒 ハルカゼ
○つくし

▼第2試合 タッグマッチ 15分1本勝負
○飯田美花(フリー)/石橋葵(フリー)
4分49秒 グラウンド卍固め
内藤メアリ/●新田猫子

▼第3試合 シングルマッチ 10分1本勝負
○悲恋(センダイガールズ)
6分18秒 飛びつき式アンクルホールド
●宮城もち

▼第4試合 ハードコアリボン 20分1本勝負
葛西純(FREEDOMS)/○松本都
12分13秒 みやここクラッチ
●小笠原和彦(押忍闘夢)/都宮ちい

▼スペシャルエキシビションマッチ
さくらえみ
1-1
大江(中西)百重

▼第5試合 シングルマッチ 30分1本勝負
○TAKAみちのく(K−DOJO)
8分39秒 ジャストフェースロック
●真琴

▼第6試合 シングルマッチ 30分1本勝負
○志田光
16分31秒 ファルコンアロー→片エビ固め
●朱里(SMASH)

▼第7試合 ICE×60選手権試合 20分1本勝負
[王 者]○藤本つかさ
14分25秒 ビーナスシュート→片エビ固め
[挑戦者]●Ray(フリー)
※第11代王者が2度目の防衛に成功

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