40歳「今年は俺にとって最後のチャンス」というアーツの思いを打ち砕き、MMAファイターのアリスターがK-1制圧!

101211_K1WGP-1.jpgK-1 WORLD GP
K-1 WORLD GP 2010 FINAL
日時:12月11日(土) 開始:16:00
会場:有明コロシアム
観衆:11,835人(満員)

 11日、有明コロシアムで行われた『K-1 WORLD GP 2010 FINAL』。今年のWORLD GPのFINALはK-1新世代の旗手であるバダ・ハリが不在ということもあり、MMAからK-1に参戦してきて猛威を振るっているアリスター・オーフレイムが"顔"に起用された。そうなると面白くないのが、過去K-1WGPを4度制し、"絶対王者"と呼ばれる昨年度のWGP覇者セーム・シュルト。今年の1DAYトーナメント1回戦(WGP準々決勝)では、現K-1ヘビー級王者の京太郎と対戦した。

 京太郎はリングを回りながら、隙を突いて懐に飛び込んでいこうする。だが、例によってシュルトはそう簡単には懐に入れさせず、近付いてきたヒザ、離れればパンチと鉄壁の巨神兵ぶり。1R終了間際にはコーナーに追い詰められた京太郎が横に逃げようとしたところに、シュルトのストレートが伸びていって京太郎が尻餅をつく場面も。2Rも京太郎は何とかシュルトの顔面に向かってパンチを伸ばしていくが、とにかくシュルトの顔面が遠い。3R、ジャッジではシュルト優勢で後がない京太郎はジャブをもらいながらも、やや強引に飛び込んでパンチを伸ばしていくが、シュルトの顔面に届かない。
 逆にいざ飛び込んだあと、パンチが届かなかったあと、ヒザ蹴りを警戒してクリンチしてしまうため印象も悪い。結局、3R内でシュルトの顔面を捕らえることは出来ず、判定でシュルトが圧勝。今年もこの絶対王者を倒すのは至難の業だということを十分証明した。

101211_K1WGP-2.jpg 昨年度王者のシュルトを筆頭に、今年の顔であるアリスター、影の実力者であるダニエル・ギタに辛勝したグーカン・サキ、そしてマイティ・モーを得意の左ハイキックで一蹴したピーター・アーツが準決勝に駒を進めた。
 オープニングVで「K-1のレベルは高くなった。だから今年は俺にとって最後のチャンスなんだ」と語ったアーツ。さらにモー戦の前に流れた煽りVでは「もう長時間練習出来ないよ。短時間に集中してやるんだ」と語ると共に、その傷だらけでボロボロの肉体が映し出される。だが、この日のアーツは肉体のキレ、気合いの乗り、すべてが"20世紀最後の暴君"と呼ばれていた頃の全盛期を彷彿とさせる最高の仕上がり。
 だが、その前に立ちはだかったのが絶対王者シュルト。アーツは先にシュルトが入場にも関わらず、「もう待っていられん!」とばかりに入場ゲートから出て体を動かし続ける。そしてリングに向かうアーツには、「頼むアーツ、シュルトを倒してくれ!」というファンの願いが歓声となって送られる。
 開始早々、もの凄い気迫でパンチを打っていったアーツ。思わずシュルトもアーツの気迫に飲まれそうになるが、そこはジャブとは思えないもの凄いジャブで応戦。しかしアーツも必殺の左ハイをシュルトの高い高い頭に伸ばしていく。2R、アーツはローやパンチをもらいながらも、ローを返していき、さらにシュルトの顔面にパンチを伸ばす。顔面から出血しながらもアーツは鉄壁のシュルトに対し、ボディブローやフックで真っ向勝負を挑んでいき、シュルトをロープ際まで追い詰める場面も!
 3R、もの凄い形相でローを打っていくアーツに対し、あのシュルトがクリンチして逃れる場面も。場内から大「アーツ」コールが起こる中、左右のパンチで前へ前へと出て行くアーツ。ついにアーツのパンチがシュルトの顔面を捕らえ、思わずグラつく巨神兵! シュルトが後退したところで試合終了のゴング! その瞬間、満員の観客はアーツの勝ちを確信して総立ち状態。そして判定は2-0(1人はドロー)でアーツが勝利! 一気に沸き上がる場内。アーツは絶対王者を破って決勝進出を決めてみせた。
 試合後、敗れたシュルトはアーツのローでだいぶダメージがあったようで、「あまりいい試合じゃなかった。第1試合は自分の計画したとおりになったが、第2試合は思ったように動けなかった。1Rはプレッシャーを与える動きをしたが、2Rは隙を見せたら前に出てこられて、こちらの動きに合わされた」とコメント。

101211_K1WGP-3.jpg そして「今年は俺にとって最後のチャンス」と語っていたアーツが12年ぶり4度目の優勝を目指して決勝で当たる相手は、MMAからK-1に来てわずか2年目でここまで駆け上がってきたアリスター。決勝戦前、会場では放送席の様子や準々決勝、準決勝の試合がダイジェストで流されたのだが、アーツはその時点からすでに入場ゲートを出て1階スタンド席で今か今かと待っているほど気合い十分。恩師トム・ハーリック会長もずっと檄を飛ばし続ける。
 まず先にアリスターが入場。その姿はまさしくMMAからK-1に乗り込んできた怪物の如く。そしてハーリック会長やセコンド陣とハグをかわしたアーツが、気合いに満ち溢れた表情でリング上のアリスターを見つめながら入場。大歓声に後押しされるようにリングインしたアーツは、アリスターと軽く拳を合わせると、右腕をあげて歓声に応えた。
 いざ試合が始まると、アーツはアリスターのプレッシャーに押されつつもいきなり左ハイキック! だが、アリスターはなおもプレッシャーをかけていき、アーツをロープ際に追い込んで、パンチの連打から飛びヒザ蹴り。スタンディングダウン状態のアーツにアリスターがパンチを叩き込んでいくと、レフェリーがダウンを宣告して両者を分ける。するとアーツは完全に力を使い果たしたようにガックリとマットに崩れ落ち、10カウント以内に立ち上がってファイティングポーズを作れず敗れた......
 すでにシュルト戦で燃え尽きていたアーツだったが、気力だけで決勝のリングに上がり、怪物アリスターに立ち向かっていた姿は感動的。そしてアーツは笑顔のアリスターの腕をあげて勝利を称えたのだが、これはまさしくK-1の世代交代を象徴するかのようなシーンだった。笑顔で腰にベルトを巻き、頭に月桂樹の冠を乗せたアリスター。だが、最後にマイクを持って「優勝出来なくて申し訳ない。でもみんなの応援には感謝しているよ」とファンにメッセージを送ったアーツに大きな歓声が飛んだ。
 試合後、アーツは「セミ(=vs.シュルト戦)はハードな大変な試合だった。1R終わったときにに疲労困憊だったが、相手も疲れてると見たので、最後まで戦えば勝てると思って臨んだ。セーム戦が一番大切な試合だった。なぜならシュルトは業界のチャンピオンで彼がベストファイターだと思う。そういう部分で彼に勝つことが大事だった。今回の試合に満足している40歳ででシュルトに全力で臨んでいったが、タフな試合だったね」と満足そうに語った。一方のアリスターは「MMAのチャンピオンがK-1のチャンピオンになることがあり得なかった。それに自分がなれて嬉しく思う。決勝戦はとてもエキサイティングだった。K-1は世界中に放映される最大級のトーナメント、そこでチャンピオンになるために練習した集大成。実際、試合で勝ちたいという気持ちが焦ってプレッシャーになったが、精神集中した結果が出せたと思う。アーツは本当に素晴らしいし、尊敬する真実のチャンピオンだと思うよ」と語った。

※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。

▼オープニングファイト K-1ルール3分3R
○高萩ツトム(日本/チームドラゴン)
3R終了 判定3−0
●木村秀和(日本/P.O.D/team pitbull)

▼第1試合 K-1 WORLD GP 2010 FINALリザーブファイト K-1ルール3分3R(延長1R)
○エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館)
3R終了 判定3−0
●エロール・ジマーマン(キュラソー島/ゴールデングローリージム)

▼第2試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL準々決勝第1試合 K-1ルール3分3R(延長1R)
●マイティ・モー(米国/フリー)
1R 2'30" KO
○ピーター・アーツ(オランダ/チームアーツ)

▼第3試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL準々決勝第2試合 K-1ルール3分3R(延長1R)
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
3R終了 判定3−0
●京太郎(日本/チームドラゴン)

▼第4試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL準々決勝第3試合 K-1ルール3分3R(延長1R)
○グーカン・サキ(トルコ/チームレベル)
3R終了 延長R 判定3ー0
●ダニエル・ギタ(ルーマニア/カマクラジム)

▼第5試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL準々決勝第4試合 K-1ルール3分3R(延長1R)
○アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)
3R終了 判定3−0
●タイロン・スポーン(スリナム/ブラックレーベルファイティング)

▼第6試合 スーパーファイト:藤本祐介引退試合 K-1ルール3分3R(延長1R)
○ヘスディ・カラケス(エジプト/パンクレイション/チャクリキ)
1R 1'41" KO
●藤本祐介(日本/モンスターファクトリー)

▼第7試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL準決勝第1試合 K-1ルール3分3R(延長1R)
○ピーター・アーツ(オランダ/チームアーツ)
3R終了 判定2−0
●セーム・シュルト(オランダ/正道会館)

▼第8試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL準決勝第2試合 K-1ルール3分3R(延長1R)
●グーカン・サキ(トルコ/チームレベル)
1R 2'33" KO
○アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)

▼第9試合 スーパーファイト K-1ルール3分3R(延長1R)
●セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/ゴールデングローリージム)
1R 2'58" KO
○シング・心・ジャディブ(インド/パワーオブドリーム)

▼第10試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL決勝 K-1ルール3分3R(延長2R)
●ピーター・アーツ(オランダ/チームアーツ)
1R 1'07" KO
○アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)
※アリスターがK-1WGP初優勝

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