減量に成功してカズの世界ジュニア王座に挑戦した武藤だが、王座奪取とはならず!諏訪魔は船木に辛勝し、三冠初防衛に成功
全日本プロレス
ANNIVERSARY TOUR 2010
日時:10月24日(日) 開始:17:00
会場:横浜文化体育館
観衆:4100人(満員)
24日、横浜文化体育館で行われた全日本プロレス『ANNIVERSARY TOUR 2010』最終戦。9・20後楽園大会で菊地毅を下し、世界ジュニアヘビー級王座15度の防衛に成功したカズ・ハヤシ。最多防衛記録を更新したカズの前に突如現れたのが武藤敬司。そこで武藤は「次のチャレンジャーはこの俺だっ!」と宣言。あれから約1カ月、誰もが無謀と思ったが武藤は無事前日計量で、ジュニアヘビー級のリミットである105キロを下回る103キロをマーク。見事に減量に成功した武藤が"全日本ジュニア絶対王者"カズのベルトに挑んだ!
真っ白なロングガウンを脱いだ武藤は確かに見るからに絞られた身体で、どことなく身のこなしも軽そうに見える。カズのプランチャもかわしてみせた武藤は鉄柵にカズを叩き付けると、鉄柵越しのドラゴンスクリュー。そこからリングに戻ると、ロープ越しのドラスクから足4の字固めへ。どうにかロープに逃れたカズはハンドスプリング・レッグラリアットで反撃を試みるが、武藤はカズのヒザ裏に低空ドロップキックを見舞って迎撃!
再びドラスク→足4の字という必勝コースに持ち込んだ武藤は、体重が軽くなってもテクニックでカズの反転を簡単には許さない。しかし、これもロープに逃れたカズは武藤の低空ドロップキックを飛び越えてかわすと、そのまま武藤のヒザにフットスタンプ。ここからカズは武藤の首を狙って、グラウンドでのネックスクリューや断崖式DDTを決めていくと、ナガタロックIIに捕らえていく。
さらにファイナルカットからパワープラントを狙うが、武藤は逃れてシャイニング・ウィザード。これを巻き投げ固めで切り返したカズは今度こそパワープラントで叩き付けるが、武藤はカウント2で返す! 20分を経過し、武藤はジュニアヘビー級になったことでより連射が出来るようになったのか、シャイニングの乱れ打ち。カズも腕でブロックしたり、巻き投げ固めで切り返したりしてみせるが、武藤は至近距離→串刺し→正面→後頭部と立て続けにシャイニングを叩き込む。
そしてLOVEポーズから渾身のシャイニングを叩き込んだ武藤は、伝家の宝刀ムーンサルトプレスを投下。だが、体の軽さがアダとなったかカズはこれをカウント2で返す! 武藤はまたもシャイニングを打っていくが、これも巻き投げ固めで切り返したカズは、キックアウトしようとする武藤を抑え込むようにさらに1回転加えて3カウント! ジュニアヘビーとはいえど、あの武藤から3カウントを奪ったカズは16度目の防衛に成功し、また1つ最多防衛記録を伸ばした。
だが、その背後からMAZADAがカズを襲撃! その横から稔がベルトを奪い取ってアピール。するとそこに近藤修司が駆け付けてカズを救出するが、近藤もベルトを手に入って挑戦をアピール。大和ヒロシもリングに上がってくるが、KAIはその大和に張り手をお見舞い。BUSHIが入ってきたところで稔とMAZADAが戻ってきて乱闘に! するとカズが「じゃあよ、いっぺんに闘って次の挑戦者を決めろよ!」と提案し、ひとまずその場を収めた。
一方、3カウントが入ったことをレフェリーに確認した武藤は早々に退場。インタビュースペースで「ビールの泡のように消えた。最後1、2で生ビールのジョッキがブワーッと見えちまって、その後記憶が自分がどっか飛んじまった。それにしても楽しい1カ月の旅だったというか、まぁ苦しくもありな。ここまでやったんだからさ、もう少しシェイプした体っていうのは続けていくつもりだけどさ、(世界ジュニアの)ベルト巻いて、プレッシャーの中で体を研ぎ澄ませたかったっていうのは事実だよな。あまりにも悔しいよな。ベルト巻いてあと1カ月やったら、もっといい武藤敬司を見せる自信があったからさ」と減量から試合までをやり遂げた満足感と、負けた悔しさを複雑に滲ませていた。
メインでは諏訪魔の三冠ヘビー級王座に、全日本に正式入団した船木誠勝が満を持して挑戦。鈴木みのるから王座を奪取したものの、いきなり新世代軍が解散し、観客からもブーイングを飛ばされた諏訪魔は、客席にマイクを投げつけてしまった。そんな苦悩する王者に対し、前哨戦では左ハイキックで諏訪魔をKOし、"元祖"アンクルホールドも解禁して絶好調の船木。諏訪魔にとっては初防衛戦にして試練の一番となった。
いつもはクールな船木だが、さすがに三冠挑戦ということもあってか名前をコールされた際、気合いの入った様子で拳を握る。試合開始早々、掌底から左ハイキックを出していった船木だが、クリーンヒットを免れた諏訪魔は場外にエスケープ。諏訪魔がリングに戻ると船木はローやミドルを積極的に出していく。だが、グラウンドでは体格に勝る諏訪魔もなかなか船木にいいポジションを取らせず、ダブルチョップやサッカーボールキックで反撃。
これでムッとしたのか船木が諏訪魔に片膝をつかせると、胸板にFKを叩き込み、さらに場外に連れ出して鉄柵攻撃。さらにハイキックで鉄柵の外まで吹っ飛ばしてみせたが、諏訪魔も追いかけてきた船木に本部席のテーブルを投げつける! 荒っぽい展開になっていき、先にリングに戻った諏訪魔はロープ越しのブレーンバスターを狙うが、船木は足を取ってぶら下がり式のアキレス腱固めへ。
ここから船木はアキレス腱固め、裏アキレス腱固め、ヒザ十字、ニーロックで徹底的に諏訪魔のヒザを攻撃していくが、諏訪魔も船木の足だけを持ったジャーマンやニークラッシャーでお返し。さらに蹴り足をキャッチしてのキャプチュードからベリートゥベリーで投げていった諏訪魔。しかし、船木はもうパンク寸前になっていた諏訪魔の左足にアンクルホールドを決めていく。何とか脱出した諏訪魔だが、船木はツームストンパイルなどを挟んでから、今度はクロスヒールホールドへ。
20分が経過し、諏訪魔はアンクルホールドに切り返してみせるが、船木はさらに腕を取って腕十字に切り返す。そこから三角絞めに移行した船木だが、持ち上げてみせた諏訪魔はバスターで脱出。ラリアットで場外に船木を吹っ飛ばし、エプロンからジャンピングショルダーでぶつかっていった諏訪魔だが、リングに戻ると船木がUWF時代を彷彿させる掌底の連打! 諏訪魔も張り手で応戦するが、船木はコーナーまで追い詰めると、右の掌底でダウンを奪う。
思わずガッツポーズした船木だは、マットを叩いて自らを鼓舞しながら立ち上がった諏訪魔に船木は掌底、ソバットからクロスヒールホールドへ。これをロープに逃れた諏訪魔に左ハイキックを叩き込んだ船木だが、諏訪魔は朦朧としながらも船木に組み付きバックドロップ。さらにドロップキックで船木を吹っ飛ばし、かんぬきスープレックスで投げた諏訪魔はラストライドの体勢に。これを逃れて再び掌底で反撃に出た船木だが、串刺しニーをキャッチした諏訪魔は強引にシットダウン式のラストライド。
だが、続くラストライドを逃れた船木は浴びせ蹴りから掌底、左右のハイキックを叩き込む。勝負あったかと思われたが、ショートレンジラリアットをカウンターで叩き込んだ諏訪魔は強引なぶっこ抜きジャーマン2連発から、今度こそラストライドで船木を投げ捨て3カウントを奪った。苦しい試合を制して三冠初防衛に成功した諏訪魔はマイクを持つと、「横浜! 三冠ベルト、初防衛成功したぞ、オイ! これから新しい全日本プロレスは俺が創る! なぜなら全日本プロレス三冠チャンピオン、諏訪魔だオエー!」と叫んだ。
※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。
▼第1試合 シングルマッチ
○BUSHI
4分58秒 火の鳥スプラッシュ→片エビ固め
●中之上靖文
▼第2試合 6人タッグマッチ
○近藤修司/KAI/大和ヒロシ
8分04秒 キングコングラリアット→片エビ固め
TARU(VM)/稔(VM)/●ヘイト(VM)
▼第3試合 シングルマッチ
●NOSAWA論外(東京愚連隊)
8分20秒 垂直落下式正田落とし→体固め
○MAZADA(VM)
▼第4試合 タッグマッチ
西村修/●渕正信
10分22秒 ゴッチ式パイルドライバー→片エビ固め
藤原喜明(藤原組)/○鈴木みのる(パンクラスMISSION)
▼第5試合 6人タッグマッチ
真田聖也/征矢学/●浜亮太
11分04秒 アキレス腱固め
○KENSO/KONO/レネ・デュプリ
▼第6試合 世界タッグ選手権試合 60分1本勝負
[王者組]太陽ケア/○曙(フリー)
14分32秒 ダイビングボディプレス→片エビ固め
[挑戦者組]●ビッグ・ダディ・ブードゥー(VM)/チャーリー・ハース(VM)
※第57代王者組の太陽ケア&曙が2度目の防衛に成功
▼第7試合 世界ジュニア・ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
[王 者]○カズ・ハヤシ
23分11秒 巻き投げ固め
[挑戦者]●武藤敬司
※第28代王者のカズ・ハヤシが16度目の防衛に成功
▼第8試合 三冠ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
[王 者]○諏訪魔
29分13秒 ラストライド→体固め
[挑戦者]●船木誠勝
※第43代王者の諏訪魔が初防衛に成功
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