武藤が復帰戦で船木と30分ドロー。征矢から突如新世代軍解散を突き付けられた諏訪魔は「俺の責任です」
全日本プロレス
2010 FLASHING TOUR
日時:9月10日(金) 開始:19:00
会場:後楽園ホール
観衆:1900人
10日、後楽園ホールで行われた全日本プロレス『2010 FLASHING TOUR』開幕戦。3月から右ヒザの手術のため欠場していた武藤敬司がついに復帰! 復帰戦の相手は1年間契約を満了したあと、今シリーズから正式に全日本に入団した船木誠勝。武藤は船木は同期であり、若い頃は切磋琢磨し合った中だが、途中からはほとんど接点がなかった。そのため両者は約25年ぶりとなる一騎打ち。
大勢のファンに囲まれながら白いロングガウン姿で入場した武藤は、試合開始のゴングが鳴るとまずは船木に握手を求めていく。これに船木が応じると、武藤は何とガットショットからドラゴンスクリュー、さらにシャイニング・ウィザードをいきなり叩き込んでいった。
先制攻撃で主導権を握った武藤だが、船木も場外で間を取ってからリングに戻る。すると両者はそこからグラウンドの攻防に。武藤というとムーンサルトプレスやシャイニング・ウィザードのように派手な技が印象的だが、実はこういうグラウンドでの攻防を得意としている。武藤のレッグロックを船木が腕十字んで切り返そうとするが、それを武藤が防ぐといったような攻防が約10分に渡って続く。
そして船木が袈裟固めに捕らえたところで、そのまま立ち上がった武藤はバックドロップで脱出。しかしフラッシング・エルボーに来たところを船木はすかさず腕十字狙いに。ロープに逃れた武藤は低空ドロップキックを落としていくと、ドラゴンスクリューからの足4の字固めという必勝パターンに持ち込む。
逃れても逃れてもドラスク→足4の字地獄に引きずり込む武藤だが、低空ドロップキックをお返しした船木はヒザ固めで武藤に悲鳴をあげさせる。ロープに逃れた武藤に対して蹴りを叩き込んでいった船木は、ジャンピングキックからバックドロップで投げると、必殺のクロスヒールホールドへ。リング中央でガッチリ決まり、かなり長時間苦しめられた武藤だが、何とか脱出。
船木はアバランシュホールドやミサイルキックで攻め込むが、串刺しニーをドラスクで切り返した武藤は勝負所と読んで前から後ろからシャイニング・ウィザードを連発! しかし残り試合時間3分のところで腕でブロックした船木は再びクロスヒールホールドへ。これもロープに逃れた武藤だが、船木は蹴りで攻め込む。それでも武藤は最後の力を振り絞ってシャイニングからのムーンサルトプレスを投下! ヒザの手術からの復帰戦の上、試合時間がもうすぐ30分にも迫ろうとしているタイミングでムーンサルトを出した武藤だが、船木も浴びせ蹴りからのハイキックを返して倒れ込む。そして、そのまま時間切れを告げるゴングが鳴らされた。
試合後、武藤は「毛穴という毛穴全部開いてる。すべての状況がすごいちょっと、初めてに近い復帰戦であったり、俺の復帰一発目がコレだったり、若干早い復帰であったり、今のコンディションの中で、30分、最後も蹴りを避けれなかったよ、正直。たぶん今日は船木のほうがやりづらかったと思う。プロレスラーだから分かることで、俺が簡単に船木に負けたときには船木があがらねぇんだよな。だから意地でも負けられないっていうのは、船木のためにも負けられないっていうのはあったな」とコメントした。
そんな武藤の復帰戦を差し置いて、後楽園大会のメインを務めたのが8・29両国大会で40分を超す熱戦の末、鈴木みのるを破り、三冠ヘビー級王座を奪取した諏訪魔が河野真幸とタッグを組み、同じく8・29両国大会でアジアタッグ王座を奪取した真田聖也&征矢学と対戦する新世代軍同門対決。
真田&征矢はアジアタッグのベルトを巻き、そして試合前に会見を行い9・29天龍プロジェクト新宿FACE大会に、天龍源一郎に代わって出場することを発表した諏訪魔は、天龍が全日本時代によく腰に巻いていたUNヘビー級王座のベルトを腰に巻き、両手にインターヘビーとPWFヘビーのベルトを持って入場。
さすがに三冠王者となった諏訪魔はこの中では頭1つ抜け出したようにも見え、アジアタッグ王者の真田&征矢に対して「来いや、コラ!」と挑発し、技を受け止めてみせる。征矢の逆水平チョップを受け止め、ダブルチョップ一発でダウンさせた諏訪魔は、食い下がる征矢を足蹴にして王者の風格を漂わせる。河野もジャンピングニーを多用してうまく諏訪魔をフォロー。
しかしアジアタッグ王者コンビも徐々にエンジンがかかってきたのか、対角線にホイップされた真田がコーナーに飛び乗ってミサイルキックを叩き込むと、コブラツイストからのローリングクレイドル。征矢もロープ越しにジャンピングショルダーでぶつかっていき、真田がその場飛びムーンサルトを投下。だが、コーナーに登った真田を諏訪魔がデッドリードライブで投げ飛ばすと、河野が入ってきて諏訪魔&河野が形勢逆転!
河野は雪崩式河津落としまで決めていくが、真田&征矢もトレイン攻撃から征矢が諏訪魔のバックを取ったところに真田がダイビングエルボーを叩き込んでから、征矢が投げ捨てジャーマン。さらに征矢は垂直落下式ブレーンバスターからトルネードボムで叩き付けるが、諏訪魔はカウント3を許さない。征矢は何発もラリアットを叩き込むが、諏訪魔は倒れずに受け止め、逆にラリアット一発でなぎ倒す。
そして豪快なバックドロップから三冠王座を奪取したバックドロップ・ホールドで投げていった諏訪魔だが、征矢は半分意識が飛んだ状態ながら極めてカウント3に近い2で肩を上げる! 和田京平レフェリーも「行け、チャンピオン!」と征矢に檄を飛ばすが、諏訪魔はダメ押しのラリアットを叩き込んで征矢を沈めた。試合後、諏訪魔は「おい、征矢。プロレスはまだまだそんな甘くねぇぞ!」と征矢に言い放つと、観客に向かって「まだまだ熱い試合出来るんですよ、俺ら。次来たとき、絶対熱い試合見せます!」と訴えたのだが......
ここで征矢が朦朧としながらも諏訪魔からマイクを奪い取り、「俺たちもう新世代軍はいらないです! 俺はあんたと組むより闘いたいんだ! 確かにいまはボロボロかもしれない。この先、何年、何十年かかっても俺はあんたを倒すからな!」と突如宣戦布告!
この征矢の"フライング"に場内が騒然となる中、浜亮太が「なにここで負けた感情で言ってんだ! 俺は鈴木みのるに殴られても蹴られてもこの旗、守り抜いてきたんだ! 一緒に全日本プロレス盛り上げようって言ったんじゃねぇのか! 勝手なこと言ってんじゃねぇぞ!」と征矢を一喝するが、真田も征矢の考えに追随し、河野も諏訪魔のパートナーに収まるのではなく三冠王座も狙っていきたいと発言。
すると諏訪魔が「よし、分かった。今日で新世代軍終わりにしよう。これからは個人個人で道を見つけて、各々で全日本プロレスを盛り上げようぜ。ただ、ただなぁ、この旗は5人で集まった証だろ? この旗は俺が預かるよ。本当の意味で俺らの時代が来たときに、この旗のもとに集まろうぜ。皆さん、今日で新世代ひと区切りつけますけど、これからの次のステップ、俺ら5人が違う道で新しい全日本プロレス、見せていきますよ!」と予想外にアッサリと新世代軍の解散を宣言。
それでもリーダーとして大会を締める意味でも、5人揃って腕をあげようとするのだが、すでに新世代軍の心はバラバラのようで、いまいちまとまりに欠けた上、観客から野次も飛び始める。ここで何とかまとめようと奮闘していた諏訪魔だが、ついにブチ切れてしまいマイクを客席に放り投げて1人先に引き揚げようとする。それでも京平レフェリーに説得され、どうにかリングに戻った諏訪魔は何とか5人で最後に腕をあげて新世代軍にケジメをつけた。
だが、バックステージでも先に諏訪魔と河野がインタビュースペースに戻ってきたのだが、真田と征矢は諏訪魔と距離を置こうとしているのかなかなかインタビュースペースに近付こうとしない。それでも諏訪魔は河野に「みんなを待っていよう」と告げて、新世代軍の旗を持ったまましばらく待ち続ける。そこに浜に連れられて真田と征矢がようやくインタビュースペースに来ると、諏訪魔は「分かっているよ。すべては俺の責任です。リーダーである、俺の責任です。ただ、いつまでもこの状況、続けるわけにはいかないっすよ。1回ここでリセット。俺も、まだまだ自分の小ささっていうのを今日感じました。まだまだです。見ててください。見続けてもらうしかないっすよ。俺らつねに頑張りますよ。俺は新しい時代を必ず作ります」と言って、全員で握手を交わした。
どうにも新時代の扉はスンナリ開けることが出来なかったが、観客の反応を見る限り諏訪魔を後押しする声援も多かったし、群れることを嫌い噛みついた真田&征矢を応援するファンもいるだろう。個人闘争に入った新世代の面々が超党派軍や復帰した武藤とどのような闘いを見せるのだろうか。
※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。
▼第1試合 シングルマッチ30分1本勝負
○鈴木みのる(パンクラスMISSION)
4分51秒 ゴッチ式パイルドライバー→体固め
●稔(フリー)
▼第2試合 タッグマッチ30分1本勝負
渕正信/○菊地毅(フリー)
9分10秒 火の玉ボム→片エビ固め
浜亮太/●中之上靖文
▼第3試合 6人タッグマッチ30分1本勝負
西村修/●太陽ケア/曙
10分45秒 ダブルニードロップ→片エビ固め
TARU/○KENSO/レネ・デュプリ
▼第4試合 マスカラ・コントラ・カベジェラ30分1本勝負
○BUSHI
13分27秒 フェニックススプラッシュ→片エビ固め
●MAZADA
▼第5試合 タッグマッチ30分1本勝負
カズ・ハヤシ/●KAI
12分06秒 キングコングラリアット→片エビ固め
○近藤修司/大和ヒロシ
▼第6試合 シングルマッチ~武藤敬司復帰戦~30分1本勝負
△武藤敬司
時間切れ引き分け
△船木誠勝
▼第7試合 タッグマッチ60分1本勝負
○諏訪魔/河野真幸
24分23秒 ラリアット→体固め
真田聖也/●征矢学
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