棚橋を下した小島が『G1』初優勝!20年目にして新日本所属選手以外の選手が優勝するという快挙!

100815_NJPW-1.jpg新日本プロレス
G1 CLIMAX XX ~20th Anniversary~
日時:8月15日(日) 開始:15:00
会場:両国国技館
観衆:11000人(超満員)

 15日、両国国技館で行われた新日本プロレス『G1 CLIMAX XX ~20th Anniversary~』。20周年記念の真夏の祭典もいよいよ最終日、両国2連戦の2日目。国技館には何と11000人(主催者発表)もの観客が駆け付けたが、1つのマス席を4人で使用して空調があまり効かなくなるほど熱気ムンムンだったのは久しぶり!

 14日の公式戦を終えた段階でAブロックは真壁刀義、中西学、プリンス・デヴィットが4勝2敗8点で並び、それを3勝2敗1分7点で棚橋弘至が追うという状況。一方のBブロックは何と中邑真輔、小島聡、潮崎豪、後藤洋央紀、永田裕志の5人が4勝2敗8点で並ぶという大混戦! 今年は準決勝がなくA・B両ブロックの1位同士が優勝決定戦で激突する形のため、得点が並んだ場合は直接対決の優劣で決まる。
 多くのファンが星取表とにらめっこをしながら、あらゆる形をシミュレーションしたと思うが、Bブロックはまず今年の『G1』でその強さとコンディションの良さを改めて証明した永田が、高橋裕二郎に足元をすくわれて脱落! 続く中邑と潮崎の直接対決は、中邑のヒザ蹴りと潮崎の逆水平チョップが真っ向から激しくぶつかり合う熱戦に。潮崎がトラースキックを叩き込めば、中邑もスピンキックを返し、潮崎がショートレンジの豪腕ラリアットから袈裟斬りチョップ、ムーンサルト・プレスで一気に勝負に出るが、これをかわした中邑は後頭部にボマイェを発射。さらにゴーフラッシャーを辛くも逃れた中邑は、潮崎を豪腕ラリアットを飛び付き腕十字で切り返す。
 これを逃れた潮崎は豪腕ラリアットを狙うが、ことごとくかわした中邑はグーパンチからのボマイェ。これを丸め込みで切り返した潮崎はそのまま持ち上げてゴーフラッシャーを狙うが、中邑は必死に脱出! それでも潮崎がチョップからの雪崩式ブレーンバスターで投げていったが、残り時間わずかのところで逆片エビ固めを仕掛けてしまう。すかさず中邑が足をすくってヒールホールドに捕らえたが、ここで時間切れのゴング! ここでの引き分け1点止まりは両者にとって痛恨だが、それよりも潮崎は中邑に大して再戦を要求。中邑は煩わしそうに払いのけたが、両者が22日のノアの有明コロシアム大会で再戦(時間無制限一本勝負)が行われることが緊急決定した。
 ほかの選手が躓く中、小島と後藤が直接対決を行うため、勝ったほうが決勝進出となる。後藤は小島の左ヒジを攻撃しつつ。雪崩式回天や牛殺しを決めていったが、ラリアットを小島が腕を叩き落として迎撃。その逆に小島がラリアットを叩き込んで勝利し、小島の優勝決定戦進出が決定した。

100815_NJPW-2.jpg 一方のAブロックは丸藤正道の代打として出場したが、次々に大物食いをやってのけ大活躍だったデヴィットが矢野通に、野人パワーが大爆発していた中西が内藤哲也に足元をすくわれて共に敗退! そして前年度優勝者にして、現IWGPヘビー級王者の真壁と棚橋の一戦が、今年最後の公式戦であり、勝ったほうが決勝進出となる。
 真壁は棚橋が痛めている右ヒザを狙っていき、さらに棚橋のエルボーを食らっても"刀義アップ"で耐え抜いてから中指を突き立てる。気合い十分の真壁は串刺しラリアットからスパイダージャーマンを狙うが、棚橋は何とかエルボーで叩き落とそうとする。しかしロープを掴んで踏ん張った真壁は腹筋の力で戻ると、気合いもろともスパイダージャーマン! そしてキングコング・ニードロップで一気に勝負に出たが、これを間一髪でかわした棚橋は、スリングブレイドからハイフライフロー。だが、真壁もこれをかわしてみせると、見事なブリッジのジャーマン。さらにパワーボムで叩き付けていくが、何とかバックを取った棚橋はジャーマンかと思いきや、意表を突いた回転足折り固めを決めて3カウント!
 棚橋が大逆転で決勝進出を決めた瞬間、何とZERO1の田中将斗が乱入! 真壁にスライディングDを叩き込んだ田中はIWGPヘビー級王座への挑戦を猛アピール。真壁はインタビュースペースで「舐められたもんだな、新日本も、この俺様も、IWGPもよ! 当初だったらよ、テメーなんかに挑戦権はねぇって言ってやるけどよ、やってやるよ。オイ、やってやる!」と田中の挑戦を受ける構え。例年通りならG1覇者vs.IWGP王者となるが、菅林社長は大会終了後、「チャンピオンの意思を尊重します」とコメントしており、真壁vs.田中が先に行われる可能性が出て来た。

100815_NJPW-3.jpg 大混戦だった公式戦だったが、最終的にAブロックからは棚橋、Bブロックからは小島が勝ち上がってきた。リング上には"元祖・夏男"の蝶野正洋が登場し、両選手を呼び込む。超満員の場内から両選手に声援が飛ぶが、何とホームである棚橋よりも小島への声援が多い。これは元からある小島人気以上に、これまで新日本所属選手以外の選手が『G1』で優勝したことはないため、「小島にやってもらいたい!」という期待もあっただろう。
 棚橋は開始早々、小島が手術したばかりの左ヒジを容赦なく攻撃。時折ブーイングも起こったが、勝ちにこだわっている証拠だろう。しかし小島も棚橋が痛めている右ヒザを攻撃していく。かなりのダメージでまともに歩くことすら出来なくなっていった棚橋だが、コーナーに昇ろうとした小島をドロップキックで叩き落とした棚橋は、ここ一番のときに見せるウルトラタイガードロップをエプロンから発射!
 しかし小島もエプロンからコーナーに昇ろうとしていた棚橋にショートレンジラリアットを叩き込み、CCDから必殺のラリアットを狙う。これをスリングブレイドで迎撃した棚橋は、もう一発狙った小島のラリアットを両腕でブロックすると、右腕へのグラウンド・ドラゴンスクリューからハイフライフロー。だが、小島はヒザで迎撃。それでも真壁を破った回転足折り固めから抱え込み式ファルコンアローで叩き付けた棚橋は、倒れた小島の背中にハイフライフロー。
 そして仰向けになった小島にトドメのハイフライフローを投下するが、これをかわした小島が棚橋の後頭部にラリアット! さらに垂直落下式ブレーンバスターで叩き付けるが、続くラリアットを棚橋はダルマ式ジャーマンで切り返す。小島もコジコジカッターを返し、試合時間も20分を経過。棚橋はドラゴンスープレックスからまたも腕へのグラウンド・ドラゴンスクリューを決めてからスリングブレイドを狙うが、小島は散々痛めつけられた左腕でカウンターのラリアット! そして今度こそ右腕でのラリアットを叩き込んで3カウント!

100815_NJPW-4.jpg 自身『G1』初優勝にして、20年目にして初めて新日本所属選手以外の選手による『G1』制覇という偉業を達成した小島に、蝶野が笑顔で認定書とG1トロフィーを贈呈。全日本を退団し、古巣に"忘れ物"を取りに来た小島は「俺はこのリングに帰ってきて、新日本の選手とやってきて、本当にスゲー気持ちよかった」とリング上から喜びの弁。
 だが、小島の"忘れ物"は『G1』だけではなかった。「俺にはまだこのリングでやり残したことがあります。G1クライマックスの次に必要なのは、IWGPのベルトです! 」とIWGPヘビー王座獲りを宣言。最後は「俺はこうやってG1クライマックスで復活してきた。いろいろあったけど、こうしてリングに立っていることがすべてだ。最後に真壁のIWGPのベルトを獲っちゃうぞ、バカヤロー!」と決め台詞である「バカヤロー」を叫んで20年目の『G1』を締めくくった。
 インタビュースペースに戻ってきた小島は充実した表情で「ハッキリ言ってプロレスおもしれぇよ。いろんなことがあるからさ。今日の試合もそうだけど、それに至るまでの過程だったりとか、そこに至るまでの選手の背景だったりだとか、いろんなことがあるから面白くてしょうがねぇんだよ」と言うと、「2カ月前まで試合できなかった男がG1クライマックスで優勝するって、こんな奇跡ねぇだろって。自分でもビックリしてるよ。でも、自信はあった。自信はあったけどさ、本当にこうなるってなかなか思えないよ」と復帰早々の『G1』制覇を"奇跡"と語った。
 現在はフリーの小島だが、『G1』制覇&IWGP王座狙いとなれば継続参戦の可能性が高い。菅林社長もその結果以上に会場での小島人気に驚きつつ「早速オファーをする」と語った。そうなるとファンは現在欠場中の天山広吉とのタッグ"テンコジタッグ"の復活を期待するが、それについて小島は「いろんな思いあるけどさ、天山には。ただ、プロレスラー・小島聡としては何も優しい言葉をかけてやる必要はないんだ。プロレスラーとして俺は生きてるから。それに対して天山に言うことは、いまはないんだ。俺は自分のことで目一杯なんだ」と語るに止まった。現時点ではテンコジ復活よりもIWGP獲りといった感じ。
 そして棚橋以上に"陽"のキャラクターである小島だが、『G1』期間中は開幕戦での復帰戦(タッグマッチ)以外はトレードマークの「行っちゃうぞ、バカヤロー」を封印していた。優勝の記念撮影でも笑顔はなく、敢えて歯を食いしばってみせた。"らしくない"印象だったが、最後に自ら「最後に......俺は新日本に遊びに来たわけじゃないんだ! 絶対に笑顔なんか見せないからな!」と、古巣だからといって甘えることなく、フリーのレスラーらしく厳しいサバイバル戦を生き抜いていく覚悟を見せた。

※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。

▼第1試合 G1 CLIMAX Bブロック公式戦30分1本勝負
●永田裕志【4勝3敗=8点】
5分28秒 ムーンサルトプレス→片エビ固め
○高橋裕二郎【2勝5敗=4点】

▼第2試合 G1 CLIMAX Bブロック公式戦30分1本勝負
△中邑真輔【4勝2敗1分=9点】
30分00秒 時間切れ引き分け
△潮崎豪(NOAH)【4勝2敗1分=9点】

▼第3試合 G1 CLIMAX Bブロック公式戦30分1本勝負
●後藤洋央紀【4勝3敗=8点】
12分09秒 ラリアット→片エビ固め
○小島聡(フリー)【5勝2敗=10点】
※小島が優勝決定戦に進出

▼第4試合 G1 CLIMAX Aブロック公式戦30分1本勝負
○矢野通【4勝3敗=8点】
7分26秒 鏡割り→エビ固め
●プリンス・デヴィット【4勝3敗=8点】

▼第5試合 G1 CLIMAX Aブロック公式戦30分1本勝負
●中西学【4勝3敗=8点】
10分52秒 前方回転エビ固め
○内藤哲也【3勝3敗1分=7点】

▼第6試合 G1 CLIMAX Aブロック公式戦30分1本勝負
●真壁刀義【4勝3敗=8点】
11分58秒 後方回転足折り固め
○棚橋弘至【4勝2敗1分=9点】
※棚橋が優勝決定戦に進出

▼第7試合 スペシャルタッグマッチ30分1本勝負
●ストロングマン(CMLL)/井上亘
8分20秒 ガン・スタン→エビ固め
ジャイアント・バーナード/○"ザ・マシンガン"カール・アンダーソン

▼第8試合 G1 CLIMAX スペシャル6人タッグマッチ
長州力(リキプロ)/スーパー・ストロング・マシン/●AKIRA(フリー)
8分17秒 飛び付き回転腕折り固め
天龍源一郎(天龍PROJECT)/川田利明(フリー)/○タイガーマスク

▼第9試合 G1 CLIMAX 優勝決定戦無制限1本勝負
[Aブロック1位]●棚橋弘至
21分25秒 ラリアット→片エビ固め
[Bブロック1位]○小島聡(フリー)
※小島がG1 CLIMAX初優勝

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