ケージに脱出を阻まれたマッハが無念の一本負け!ケージなのに"ストップドントムーブ"状態になった桜庭は「それも運命」
DREAM
DREAM.14
日時:5月29日(土) 開始:16:00
会場:さいたまスーパーアリーナ
観衆:12,712人
29日、さいたまスーパーアリーナで行われた『DREAM.14』。今回は4・17ナッシュビルでの『ストライクフォース』で青木真也がギルバート・メレンデスに完封負けを喫したことで、日本の総合格闘技界に危機感が漂う中、現在MMAの中心となっている北米ではスタンダードになっているケージを導入! 昨年の『DREAM.12』以来2度目、聖地・たまアリ初登場となったホワイトケージだが、オープニングVTRでは零戦が登場する戦争映像が流れる中、「旗、掲げよ! 夢を奪還せよ!」のナレーションが響き渡った。
そしてメインでは「ケージでやらせてほしい」と主催者サイドに要請した桜井"マッハ"速人が、ストライクフォースのウェルター級王者ニック・ディアスと対戦。青木に続きDREAMの連敗は許されないマッハはこの一戦に進退を賭けると明言。マッハへの期待感で場内が包まれる中、『不死身のエレキマン』に乗って神妙な面持ちをしたマッハが入場。そして、いざゴングが鳴るといきなり接近戦でパンチからのローを飛ばしたマッハ。場内がどっと沸く中、マッハの蹴り足をキャッチしたディアスがテイクダウンを奪う。
猪木−アリの体勢からコーナー付近でしっかりと抑え込んでいったディアスだが、マッハは隙を突いて立ち上がる。そこにフックを叩き込んだマッハだが、ディアスもパンチを出していき、思わず後退したマッハ。しかし次の瞬間見事なタックルでディアスをケージまで押し込んでテイクダウンを奪う! またも場内が沸き上がったが、柔術家であるディアスは下からマッハの腕を取っていく。
マッハは前転してどうにか脱出しようとしたが、ケージに阻まれて回転することが出来ず、逆にディアスの足とケージに挟まれるカタチで逆さになったまま腕を伸ばされてしまい、無念のタップアウト! もしいつも通りリングだったら、ストップドントムーブになりそうなポジションだっただけに、自らケージを希望したのが仇となってしまったマッハ。
試合後も「普通ターンして抜けるのが僕の抜け方なんですけど出来なくて、(ケージの)難しさは本当に出ましたね。甘かったです。相手の土俵でなんてやるもんじゃなかった。ケージもうやりたくない。つまらない。今さら新しい分野に挑戦したくない。もっとリングのがエキサイティングですね」とケージ対策が出来ていなかったことを痛感したようで、半ばヤケクソ気味なコメント。進退について明言はしなかったが、記者から「ケージは引退されてリングに専念するということでよろしいでしょうか?」と聞かれると爆笑したあとに「流れがきてないんで。勝てる試合だったんですけど、自分に嫌になっていますよ。誰とやっても勝てないですね、今後は」と吐き捨てた。
大会前はファンや関係者、マスコミのあいだでリングorケージ論争が起こったが、メインもそうだが、リングの試合でよく見られる「ストップドントムーブ」がなかっただけで、8試合中3試合が判定決着だったにも関わらず、ずいぶんと大会全体がスムーズだったように感じた。だが、試合中に足を滑らす選手が何人かいたのと、DREAMのケージは金網ではなく、ネットだったことで、メインを終えたディアスが「ケージの作り方が危険。3インチほど隙間が空いていて、足が出てしまうのが気になるし、膝や頭がはまってしまうんじゃないかと気になった」と指摘。ディアスは日本のMMA=リングというイメージがあり、リングのほうが好きだとコメントした。
いまから10年前、ホイス・グレイシーを倒したことで一躍スターダムに駆け上がった"グレイシーハンター"桜庭和志。自分の叔父を倒した桜庭を見て尊敬の念を抱いたというハレック・グレイシーが新世代グレイシーを代表して"桜庭狩り"に挑んだ一戦。グレイシートレインで入場したハレックに対し、エヴァ初号機のマスクを被って登場した桜庭はケージという"ATフィールド"をソードで切り裂くと、「We Love RING!」というメッセージを発信。
1Rハレックにバックを取られた桜庭は、かつてヘンゾを破ったときのようにアームロックで捻り上げると、そこから流れるように腕十字に! 早くも桜庭マジックが炸裂かと思われたが、これを脱出したハレックが逆に腕を取り、そこから足関節を狙ったところで1R終了のゴング。
2R、またも腕を取りに来た桜庭をバックドロップ気味に投げていったハレックはパウンドを打っていき、ニーオンザベリーからヒクソンばりの腕十字を狙ったが、ここもちょうど2R終了のゴング! やや押され気味の桜庭は3R、ハレックのホイス譲りの上から踏みつけるような前蹴りにボディブローを合わせていき、さらにハレックがタックルに来たところでまたも腕を取ってアームロックの体勢に。
ところがここでとんでもないアクシデントが発生! ストップドントムーブがないのがケージの利点だったはずが、レフェリーが試合を一旦ストップ。すでにアームロックで捻り上げようとしていた桜庭だが、ハレックのコスチュームが挟まれて脱げそうになったため、レフェリーがハレックのコスチュームを直して試合再開。結局、桜庭はアームロックを極めることが出来ず、逆にハレックが下から腕十字を極めたところで3R終了のゴング。
何とも桜庭vs.グレイシーにトラブルは付き物だし、アクシデントもグレイシーの呪いなのかもしれないが、結局判定でハレックが勝利。一族悲願の桜庭狩りに成功したハレックは「桜庭は思ったより全然強かったが、最後は疲れてきたと思う。自分の方がコンディションがよく、思った通りの試合が出来てこれ以上がないくらいで嬉しいです」とコメント。一方の桜庭は「(ハレックの)パンツが脱げた時は、自分の中では練習とかだと、あのままの流れで(一本)取れたかなと思いますけど、脱げちゃってストップかかったんで。それも運命だったんで、それはしょうがないと思います」と潔く敗戦の弁。
そのほか、高谷裕之が難敵のヨアキム・ハンセンをパンチでKOしてみせ、「(昨年の)大晦日、ヘタな試合しちゃったんですけど、これからDREAMの看板取り戻しに行くんで応援よろしくお願いします」と小見川道大へのリベンジをアピール。メイン終了後に再びリングに上がった際は「次、タイトルマッチやりたいんで」とビビアーノ・フェルナンデスが持つフェザー級王座への挑戦を表明したが、高谷としては王座挑戦の前にきっちり小見川に借りを返しておきたいところだろう。さらに山本"KID"徳郁も880日ぶりに勝利し、大会を大いに盛り上げた。
休憩明けにはステージ上に青木真也と川尻達也が登場。2007年の『やれんのか!』からDREAMをここまで盛り上げてきた2人の名場面(映像)がフラッシュバックのように流れたあと、「俺たちには何かが足りない。幻と戦い続けた2年間にケリをつけるために。お前がいる、俺がある。日本の夢、再起動!」のナレーションと共に、7・10『DREAM.15』で青木の持つライト級王座に川尻が挑戦する一戦が決まったことが発表された。
※完全詳細はバトル・ニュース携帯サイトをご覧ください。
▼第1試合 無差別級ワンマッチ
○ミノワマン(日本/フリー)
1R 4'16" 裸絞め
●イマニー・リー(米国/シャーク・タンク・ジム)
▼第2試合 フェザー級(61キロ契約)ワンマッチ
●前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組)
3R終了 判定1−2
○大沢ケンジ(日本/和術慧舟會A−3)
▼第3試合 フェザー級(64.5キロ契約)ワンマッチ
○宮田和幸(日本/フリー)
3R終了 判定2−1
●大塚隆史(日本/AACC)
▼第4試合 フェザー級(63キロ契約)ワンマッチ
●所英男(日本/チームZST)
1R 2'51" レフェリーストップ
○西浦"ウィッキー"聡生(日本/STGY)
▼第5試合 フェザー級(60キロ契約)ワンマッチ
○山本"KID"徳郁(日本/KRAZY BEE)
1R 1'41" KO
●キコ・ロペス(米国/チームクエスト)
▼第6試合 フェザー級(65キロ契約)ワンマッチ
○高谷裕之(日本/高谷軍団)
1R 4'27" KO
●ヨアキム・ハンセン(ノルウェー/フロントライン・アカデミー)
▼第7試合 ミドル級(88キロ契約)ワンマッチ
●桜庭和志(日本/ Laughter7)
3R終了 判定0-3
○ハレック・グレイシー(ブラジル/グレイシー柔術)
▼第8試合 ウェルター級(76.6キロ契約)ワンマッチ
●桜井"マッハ"速人(日本/マッハ道場)
1R 3'54" 腕ひしぎ十字固め
○ニック・ディアス(アメリカ/シーザー・グレイシー柔術)
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