ついに始まったK-1−63kg級!いきなり大本命が敗れる一方、ファンのハートを掴んだF原田と、スター性があることを証明した上松

100502_K1Max-1.jpgK-1 WORLD MAX
K-1 WORLD MAX 2010
-63kg Japan Tournament 1st Round

日時:5月2日(日) 開始:17:00
会場:JCBホール
観衆:3871人(超満員札止め)

 2日、JCBホールで行われた『K-1 WORLD MAX 2010 -63kg Japan Tournament 1st Round』。これまで重量級(WORLD GP=ヘビー級、無差別級)、中量級(MAX=70kg級)しかなかったK-1に、待望の軽量級(-63kg級)が新設され、この大会が-63kgによる初のトーナメントとなる。
 すでにK-1でインパクトのある試合をしている元ボクシング日本フェザー級チャンピオンの渡邊一久が負傷欠場したこともあり、K-1初参戦の選手が多数参戦したこのトーナメント。キック界ではかなりの実績を残している選手はいるものの、魔裟斗のように一般的にも名が知られているような選手はいない。だが、この軽量級こそ日本人が世界でトップに立てる階級と言われており、この中から新たなるスターが誕生する可能性が高い。
 オープニングの選手入場式の演出からこれまでのMAXとも、WORLD GPとも違う感じで、K-1初進出となったJCBホールの雰囲気と相まって新鮮な印象。若い選手も多いし、全体的にスピーディーでスタイリッシュな感じになっていたが、その中でひと際異彩を放っていたのがファイヤー原田!
 何せプロレスラーのザ・グレート・サスケに生きる勇気をもらって格闘家になったという変わり種の上、そのなくなった前歯を見せながらニカッと笑う姿や、超低姿勢でインタビューに答える姿から"いい人"っぷりがバンバン伝わってくる。煽りVでもサスケからのビデオメッセージに感動して、思わず涙する原田の姿に超満員の場内からは拍手が巻き起こり、原田が入場してくると超超大歓声! 一方、煽りVでビッグマウスぶりがクローズアップされた才賀紀左衛門が、笑顔を浮かべながら入場してくると、ブーイングが飛ぶほど。かつてミルコ・クロコップが総合に転向した直後、プロレスラーハンターと呼ばれていたが、さながら紀左衛門は"プロレスファンハンター"といった感じ。
 ゴングと同時に突撃していく原田だが、試合は終始紀左衛門が回し蹴りやコンビネーションで圧倒。それでも原田は愚直にも前へ前へと出続け、不格好ながら魂のこもったパンチを振り回していく。鼻血を出し、やられてもやられても倒れることなく向かって行く原田。場内からも大「ファイヤー」コールが巻き起こり、圧倒的に試合を優位に進める紀左衛門からは、いつの間にか余裕の笑顔が消える。結局、紀左衛門は最後まで原田を仕留めることが出来ず、本戦3Rが終了。
 判定で敗れはしたが、最後まで折れない心を見せた原田には惜しみない拍手が贈られたが、インタビュースペースに現れた原田は号泣。「自分、ホントにここに上げていただいて、どうしたらいいか......。ホント夢みたいな舞台に上げていただいのに......。情けない。すいませんでした」と大歓声を送ってくれたファンに詫びた。一方の紀左衛門に対して谷川貞治イベント・プロデューサーは「紀左衛門にはダメ出ししたんですけど、ああいう闘い方をしてたら絶対強くなれないし、(ファンの)ハートもつかめないと思う。KOで勝つとかじゃなく、闘う姿勢がよくなかった」と強烈なダメ出しをした。

100502_K1Max-2.jpg 第22代全日本キックボクシング連盟フェザー級王者、IKUSA-U60GP優勝、全日本キックボクシング連盟Kick Returnトーナメント優勝、Krushライト級GP2009優勝、vs.日本人の成績35戦30勝1敗4分と、実績を並べるだけで文句なしの優勝候補だということが分かる山本真弘。1回戦では佐藤嘉洋や青木真也も絶賛するという実力を持ち、KO率80%を誇る大和哲也と対戦。
 試合が始まると、山本が先に攻撃していってもすぐに大和が反撃していくという一進一退の攻防を展開。2Rはヒットアンドウェーで山本が優勢に試合を進めていたが、大和もボディへのパンチで応戦。そして3Rに接近して殴りにいった大和に対し、徐々に押されていく山本。ボディブローやヒザ蹴りで山本を下がらせた大和。3Rが終了し、判定になると2者はドローだったが、1名は大和に。
 そして2票差がつかなかったため延長Rへ。アッパーで山本の顔を跳ね上げた大和が右フックを叩き込むと、山本はガクッとヒザをつく。本人は腕を振って「ダウンじゃない」とアピールしたが、レフェリーはダウンを取る。これで勢いに乗った大和は、山本をコーナーに追い詰めると、ヒザ蹴りの連打で2度目のダウンを奪う! その後も大和は飛びヒザ蹴りで追い込んだまま試合終了。判定は当然大和で、いきなり大本命の山本が1回戦で消えるという大波乱が起こった。

100502_K1Max-3.jpg 記念すべき初の-63kg級の大会のメインに抜擢されたのは、モデルもこなすイケメンファイターの上松大輔。赤いトランクスとベスト姿で入場してきたその姿は、確かに魔裟斗を彷彿させる華がある。だが、対するは山本"KID"徳郁を1RでKOしたチョン・ジェヒ。
 まずは鋭いローを打っていった上松だが、ジェヒがKIDをKOしたフックを出していくと、いきなりグラッときた上松。場内から悲鳴をあがる中、コーナーを背にしながらどうにか体勢を持ち直した上松は一気に仕留めにきたジェヒに対し、真っ向から打ち合っていく。するとジェヒが徐々に後退。リング中央辺りまで押し返していった上松は、至近距離での殴り合いから右ストレートでジェヒの顔面を打ち抜いていく!
 ジェヒは上松の左フックをもらいながらバターンと倒れ込み、何とか立ち上がろうとするものの足元がおぼつかず、レフェリーが試合をストップ! まさに劇的な逆転KOでメインを締めた上松にはやはりスター性がある。試合後、「嬉しいという感情はなくて、ホッとしてるのはある。今までやってきたことを今年に入って意識を変えてきた。それがリング上で出来るか出来ないかで今後が変わってくるなと思った。プレッシャーとか感じないタイプなんでなかったですけど、メインでやる以上はそれだけの試合をしなきゃというのはあったし、判定が続いてたんで、ここでは僕じゃないと。僕がメインでよかったなと思いました」とコメント。
 谷川EPも「上松はKrushとかで負けちゃったりしてたが、ああいう場面でこういう風に勝つのは何か持ってるなと思いました。エースの一人だと思いましたね。本当は(午後)9時半にスカパー(のPPV放送が)が終わって、それを超えると放送事故になるが、そういう意味でも1Rに勝ってくれという部分でも何か持っているなと。重要なところですね」と高く評価。-63kgトーナメントの次回大会は7月に代々木第一体育館を予定しているとのことだが、この日の試合で勝利した選手が全員勝ち上がれるのではなく、勝った選手の中からファン投票などで8人選ぶなどの方向を検討していくそうだ。組み合わせも抽選にするか、ファン投票にするかも未定。今後の試合次第ではHIROYAや渡邊が入る可能性もあるが、とりあえずこの日勝った選手を第一に選んでいきたいとのこと。


▼第1試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
●"狂拳"竹内裕二(菅原道場)
2R 1'53" KO(右ハイキック)
○裕樹(リアルディール)

▼第2試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
●卜部弘嵩(チームドラゴン)
3R終了 EX1R 判定2-1
○谷山俊樹(谷山ジム)

▼第3試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
●嶋田翔太(島田塾)
3R終了 判定3-0
○麻原将平(シルバーアックス)

▼第4試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
●大石駿介(OISHI GYM)
3R終了 判定3-0
○卜部功也(チームドラゴン)

▼第5試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
○才賀紀左衛門(大誠塾)
3R終了 判定3-0
●ファイヤー原田(ファイヤー高田馬場)

▼第6試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
○久保優太(アンリミテッドジム)
3R終了 判定3-0
●DJ.taiki(フリー)

▼第7試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
●大月晴明(フリー)
3R終了 判定3-0
○松本芳道(八景ジム)

▼第8試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長1R 70キロ契約
●城戸康裕(谷山ジム)
3R終了 判定3-0
○ヴァヒド・ロシャニ(イラン/大誠塾)

▼第9試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
●山本真弘(藤原ジム)
3R終了 EX1R 判定3-0
○大和哲也(大和ジム)

▼第10試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
○尾崎圭司(チームドラゴン)
3R終了 判定2-1
●小宮山工介(北斗会館)

▼第11試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
○石川直生(青春塾)
3R終了 判定3-0
●渡辺理想(極真会館)

▼第12試合 -63kg Japan Tournament 1st Round K-1ルール 3分3R延長1R
○上松大輔(チームドラゴン)
1R 1'09" KO(左フック)
●チョン・ジェヒ(韓国/プサン テサン・ジム)

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