小島が全日本のファンに「申し訳ございませんでした」と退団を詫びれば、鈴木&船木を倒した諏訪魔は「ファンに複雑な表情させたくない!」
全日本プロレス
2010 GROWIN'UP
日時:4月29日(木) 開始:12:00
会場:後楽園ホール
観衆:2000人(満員)
29日、後楽園ホールで行われた全日本プロレス『2010 GROWIN'UP』。シリーズ最終戦の5・2愛知県体育館大会を前に、今大会の目玉は当初鈴木みのると船木誠勝の初タッグ結成やジュニアタッグリーグ戦の決勝戦だったが、シリーズ開幕直後に小島聡が全日本を退団するという衝撃的なニュースが報道されたこともあり、一気に小島に注目が集まった。
ファンの前で退団の挨拶をすると予告していた小島の相手が、全日本生え抜きの太陽ケアというのも何とも因縁めいている。いつものロングガウンはなく、裸一貫で入場してきた小島だが、ケアは6月に手術を控えている小島の左腕だけでなく、ラリアット封じにもなる右腕をも徹底攻撃。
そのため小島は苦痛で顔を歪ませながらマシンガン逆水平で反撃しても、いつものように「ヨーシ」と叫ぶことも出来ず、行っちゃうぞエルボーもケアがフロントキックで阻止。それでも小島はケアが大技を出せば大技を返し、アームロック地獄からも脱出すると、ケアのラリアットを腕へのラリアットで阻止してから右腕のサポーターを外してラリアット。だが、右腕攻撃が功を制したのか、カウント2で返したケアはTKOからのH5Oで小島から勝利。
試合後、かつてはタッグを組んでいたこともあるケアと握手を交わして別れた小島は「約8年間、在籍しました全日本プロレスを退団することになりました。まず全日本プロレスを応援していただいているファンの皆様、そして全日本プロレスの選手、スタッフの皆さんにお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。理由は本当に様々あります。本当に様々ありますが、5月のシリーズ全部出させていただいて、6月に左ヒジの手術をしたいと思います。本当にいろんなことがあり過ぎて、自分の頭の中ではまだ整理がつかないのですが、これからも精一杯頑張ってまいります。本当に8年間ありがとうございました」と退団することを詫びてから、5月の『RISE UP TOUR 2010』もすべて出ることを告げ、深々と四方の観客に頭を下げた。
インタビュースペースで報道陣に囲まれた小島は「決して感無量ではないし、感慨はすごくありますけども、これで私のプロレス人生が終わりではないので、新たな道を模索しながら進んで行きたい」と心境を語ると、批判をしている諏訪魔に対しては「真摯に受け止めて、今後の復帰したときのファイトに見せていくことで証明したい」と反論はなし。ただ退団を決めた理由に関しては左ヒジの手術と武藤全日本からの卒業以外のことは「正直言いますと、時間がたたないと申し上げることができないと思うんです」と語るに止まった。どうやら小島らしく"明るく笑顔で卒業"とはいかないようだ。
煽りVの中で近藤修司はカズ・ハヤシとのタッグを解消し、新たに大和ヒロシとタッグを組んだ理由を「しょっぱいときのbrother(YASSHI)を思い出す」と語った。近藤&YASSHIの近ブラはその後名タッグに成長したが、大和はジュニアタッグリーグ戦初戦で不甲斐ない試合をしてしまい、近藤に「しょっぱい」と罵倒されてしまった。しかしリーグ戦が進むにつれて巻き返していった大和。その結果、近藤&大和は決勝に進出し、スペル・クレイジー&BUSHIのメキシコタッグと対戦。
メキシコタッグは同時にタランチュラで捕獲したり、南側客席の入口の壁から同時ケブラーダを発射したりと抜群の連係を見せる。そしてブラックホールバケーションからBUSHIがファイアーバード・スプラッシュを投下したが、大和はカウント2で返す。そこに近藤が戻ってきてスピアで大和を救出すると、近藤&大和は肩ではなくロープに乗るカタチでバビロンを決め、続けてビッグボーイと近ブラが使っていた合体技を披露!
絶好のチャンスだったが、メキシコタッグはうまく分断して近藤を場外に追いやると、BUSHIがコーナー上のクレイジーを追いかけてコーナーに登っていた大和に雪崩式リバースフランケン! さらにクレイジーがスパニッシュフライ(=不知火・改)で叩きつけて3カウント。大和は健闘空しく敗れ、優勝に手が届かなかった。
今年の『チャンピオン・カーニバル』決勝で鈴木みのるが船木誠勝から初勝利を挙げて、チャンカー2連覇を達成したのを機に、握手を交わし"新たなる関係"を築きつつある因縁の両者がまさかのタッグ結成。鈴木→船木の順で入場したのだが、鈴木は船木が入場する際に観客に手拍子を促す。そして今度は船木→鈴木の順で名前がコールされると、両者はガッチリ握手を交わし鈴木が先発で出て行く。
いつも通り淡々と試合をする船木とは対照的に、鈴木はコーナーで控えていても「よく見ろ、よく見ろ。食らわせ! 船木!」「船木! これで終わりかよ? 行けよ!」といった感じで、終始船木に檄を飛ばしていた。船木が河野に逆エビ固めを仕掛けていくシーンでも、鈴木が「後ろから来るぞ」とアドバイスを送ると、船木は背後の諏訪魔を警戒しながら河野に片逆エビ固め。すると、そこに鈴木がフェースロックで加勢するという抜群のコンビネーションを披露!
さらに鈴木&船木は交互にローキックを打ったり、交互にチョップを打ったり、首4の字とアキレス腱固めを一緒に極めたりと、驚くほどスムーズな連係を次々に繰り出す。そして鈴木がカットに入ろうとする諏訪魔にエプロンでアンクルホールドを極めている間に、船木がバックドロップからクロスヒールホールドという必勝パターンで河野を仕留めようとしたのだが、河野は辛くもロープに脱出。
すると今度は諏訪魔&河野の新世代タッグが連係技で反撃。諏訪魔は鈴木と船木を続けてジャーマンでブン投げると、そこから船木をカナディアンバックブリーカーで捕らえる。そこにジャンピングニーを叩き込んでいった河野は、ダメ押しのジャイアント・ニードロップを投下して3カウント! 鈴木&船木の注目タッグは初戦で躓いたが、空中分解することなく退場。船木は無言だったが、鈴木は「生き残り賭けてやってみろよ。何が超世代だ。超える? ふざけんな。名古屋でブタ退治したら相手してやる。もう少しだけ待っとけ!」と吐き捨てた。
そのとき、リング上では諏訪魔が「さっき俺、隅のほうで小島さんの試合見てました。辞める人間にもファンの人の温かい気持ちというか、何というかみんな優しく送り出したいとか、不思議なものを感じました。そのファンの気持ちを感じたら、俺、このまま立ち止まっちゃいけないなと思いましたよ!」と訴えると、河野、真田聖也、そしてこの日アジアタッグ王座を失ったのを機に、曙と仲間割れをした浜亮太の4人で「俺たち新世代で新しい全日本プロレスを作っていきたいんですよ!」とファンに訴えた。
インタビュースペースでも諏訪魔は「自分個人の闘いっていうのがあるし、新世代の闘いでもあるんだけど、なんかこう会社の......全日本ていう看板を背負ってたら負けられませんよ」「(小島のことを)批判するのも正直辛いです。後ろばっかり見てる感じがして。さっき小島さんの試合見てて、ファンがすごい複雑な表情してた。それがスゲー俺に伝わってきましたよ、ホント見てたからね。あんなね、複雑な表情させたくないですよ」と訴える。小島vs.ケアを見つめるファンを見て、諏訪魔の中で何かが弾けたようだ。
▼6人タッグマッチ30分1本勝負
渕 正信/●中之上靖文/曹駿
7分58秒 飛びつき膝十字固め
○稔/ヘイト/歳三
▼シングルマッチ30分1本勝負
●真田聖也
6分57秒 レボリューションボム→エビ固め
○ レネ・デュプリ
▼タッグマッチ30分1本勝負
カズ・ハヤシ/○KAI
10分23秒 スプラッシュプランチャ→片エビ固め
NOSAWA論外/●MAZADA
▼シングルマッチ30分1本勝負
●小島聡
17分14秒 H5O→片エビ固め
○太陽ケア
▼『餃子の王将 presents 2010ジュニア・タッグリーグ戦』 決勝戦 時間無制限1本勝負
近藤修司/●大和ヒロシ
19分44秒 スパニッシュフライ→片エビ固め
○スペル・クレイジー/BUSHI
※スペル・クレイジー&BUSHIが初優勝
▼アジアタッグ選手権試合60分1本勝負
[第82代王者組]●曙 /浜亮太
12分00秒 ダイビングボディプレス→片エビ固め
[挑戦者組]TARU/○ビッグ・ダディ・ブードゥー
※第82代王者組が4度目の防衛に失敗。TARU&ビッグ・ダディ・ブードゥーが第83代王者へ
▼タッグマッチ60分1本勝負
●船木誠勝/鈴木みのる
26分13秒 ニードロップ→片エビ固め
諏訪魔/○河野真幸
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