28日、後楽園ホールで行われた『FUKA MATSURI FIN～風香引退記念試合～』。アイドルレスラーの風香が定期的に開催してきた自主興行『風香祭』だが、今回が最後の開催となる。
　というのも、風香がこの大会をもって現役を引退するため。低迷していた女子プロレス界でアイドル的存在として登場した風香だが、シュートボクシングに挑戦したり、あの鈴木みのると対戦したり、さらには痴漢を捕まえたりと大活躍！　女子プロレス界はもちろん、プロレス界に大きな功績を残した。
　もともとSPEEDに憧れて奈良から上京した風香は、風香祭ではいつもダンスを披露するのだが、この日はさすがに気合いが入っており大勢のダンサーを引き連れ、白装束の仮面姿で登場。ダンサーが風香から衣装を取り去ると、当初引退試合で着用する予定だった迷彩柄コスチューム姿に！　そしてジャネット・ジャクソンばりにダンサーと息のあったダンスを披露した風香。オープニングから超満員の観客を盛り上げた。

　試合も風香と縁のあるレスラーが大挙出場したのだが、中でも圧巻だったのは第2試合の風香祭ランブル！　過去の風香祭に出場したレスラーが団体、年齢、性別問わず次々に出てくるというロイヤルランブル。闘牛・空とFUKAキッドから始まったこの試合、NEOマシンガンズ、西口プロレスのアントニオ小猪木＆ジャイアント小馬場、JWPのボリショイ・キッド＆KAZUKI、アイスリボンのさくらえみ＆りほ、WAVEのGAMI、カリビアンKIM、菊タロー、東京愚連隊のFUJITA、堀田由美子、紫雷美央とそうそうたる選手が登場。
　しかし、最後に入って来る選手のテーマ曲が鳴った瞬間、カオス状態だったリング上には緊張感が......。そう、最後に入場してきたのは鈴木みのる！　ところが鈴木がリングインした瞬間、恐いもの知らずのりほがコーナーからダイブして鈴木にしがみつく。その後、しばらく"だっこちゃん"状態のまま放置していた鈴木だが、容赦なくりほを払い落とすと、観客や選手から一斉にブーイング。
　選手たちがビビってたじろぐ中、さくらが「鈴木さん、助けてくださ〜い」と言いながら抱きついていくと、意外にもしっかりハグして受け止めた鈴木。だが次の瞬間、鈴木は容赦なくオーバー・ザ・トップロープでさくらを場外に叩き落とした。その後、残った選手が全員で鈴木をOTRで失格にさせようしたが、鈴木はエプロンで粘る。逆に次々と選手をOTRで失格させた鈴木だが、それまで協力していたFUJITAが最後に反旗を翻し、エプロンで揉み合っていると、辛くも鈴木の攻撃を逃れていたりほがドロップキック！　これで2人をまとめてOTRで失格にし、4月から中学生になるりほが見事風香祭ランブルを制した。

　風香が「完全燃焼できる相手」と言って引退試合の相手に選んだのは、現在の女子プロレス界では実力No.1の高橋奈苗。奈苗も「その思いを全部受け止めるので、最高のしばき合いを見せましょう」と返答。シルバーのコスチュームを着た風香が登場し、リングアナが名前をコールした瞬間、大量の白とピンクの紙テープがリングに投げ込まれた。
　敢えて関節技を得意とする風香に対し、グラウンドでの勝負を挑んでいった奈苗。奈苗のヒザ十字に対し、ヒールホールドを返していく風香。さらに風香は花道に出て行ってステージ上で奈苗をボディスラムで叩き付けると、リングに戻って619を狙う。これをかわした奈苗は串刺しラリアットからコーナーへ。だが、ハイキックで場外に叩き落とした風香はコーナーからプランチャを投下。
　リングに戻ると今度は奈苗が雪崩式ブレーンバスターで反撃するが、風香もすぐに雪崩式ブレーンバスターを返すと、両者は激しい張り手合戦を展開。バックドロップを狙う奈苗に対し、Fクラッシュから外道クラッチを決めていった風香だが、3カウントは奪えない。逆に奈苗がシャイニング膝アッパーから冷蔵庫爆弾を投下。さらにショートレンジラリアットを叩き込んでいく奈苗をマックで丸め込もうとした風香だが、そうはさせない奈苗は必殺のナナラッカで叩き付けて3カウント。
　途中、リング中央が破損するアクシデントはあったが、風香にとっては完全燃焼できる一戦となった。両者が抱き合って健闘を称え合うと、最後は風香の引退セレモニー。

　父からプロフィールを読み上げられると、リング上の風香の目には大粒の涙が。そして「プロレスを始めた頃は何をやったらいいか分からなくて、不安になったこともあるけど、今日こんなにたくさんの方に見守ってもらえて、自分のやってきた道は正しかったんだと思います。家族には私と同じように怖くなって寝られない夜があったと聞いて、やっと安心させられる決断をしたのも親孝行なんだと思います。6年間みなさんの応援があったからここまで来られました。人生でもっとも濃い6年間を皆さんと過ごせて良かったです！」と涙ながらに挨拶。
　すると、スクリーンには大好きなSPEEDから風香に向けたビデオメッセージが流された。このことを聞いていなかったという風香は思わず号泣！　そして10カウントゴングのあと、一旦裏に引っ込んだ風香は最後にピンクのウェディングドレス姿にお色直しし、カーテンコールで登場。最後は笑顔でファンに別れを告げた。

▼風香祭オープニング・ヤングファイト　シングルマッチ　15分1本勝負
○紫雷イオ（フリー）
8分24秒　ライダーキック→体固め
●花月（センダイガールズ）

▼風香祭ランブル
［退場順］堀田祐美子（フリー）→GAMI（WAVE）→カリビアンKIM（フリー）→ジャイアント小馬場（西口）→菊タロー（アキバプロレス）→FUKAキッド（風香祭）→KAZUKI（JWP）→ボリショイキッド（JWP）→アントニオ小猪木（西口）→さくらえみ（アイスリボン）→タニー・マウス（NEO）→宮崎有妃（NEO）→紫雷美央（フリー）→闘牛・空（フリー）→FUJITA（東京愚連隊）→鈴木みのる（パンクラス・ミッション）
○りほ（アイスリボン）
19分42秒　ＯＴＲ
●鈴木みのる（パンクラス・ミッション）

▼風の女・虎戦士有終の降臨～ティグレFUKA FINAL～　タッグマッチ　15分1本勝負
○ティグレFUKA／LEON（JWP）
8分50秒　マック
HIROKA（CMLL）／●プリンセサ・スヘイ（CMLL）

▼～風香祭MEN'Sファイト～　タッグマッチ　20分1本勝負
○ウルティモ・ドラゴン（闘龍門MEXICO）／円華（フリー）
11分43秒　アサイＤＤＴ→片エビ固め
NOSAWA論外（東京愚連隊）／●MAZADA（東京愚連隊）

▼～風香リクエストマッチ　フューチャーエース・バトル～　タッグマッチ　15分1本勝負
△桜花由美（WAVE）／大畠美咲（エスオベーション）
15分時間切れドロー
△栗原あゆみ（フリー）／夏樹☆たいよう（パッション・レッド）

▼風香引退記念試合～フォーエバー風香～シングルマッチ　30分1本勝負
●風香
16分33秒　ナナラッカ→エビ固め
○高橋奈苗（パッション・レッド）