船木vs.鈴木の金網遺恨マッチは壮絶な流血戦に!武藤不在の全日本で、デビューわずか1年4カ月の浜が三冠王座を奪取!
全日本プロレス
2010プロレスLOVE in 両国 vol.9
日時:3月21日(日) 開始:16:00
会場:両国国技館
観衆:8200人
20日、両国国技館で行われた全日本プロレス『2010プロレスLOVE in 両国 vol.9』。右ヒザの手術により武藤敬司が長期欠場に見舞われた中、初めて行われるビッグマッチ!
何と言っても注目度ナンバー1だったのが、船木誠勝と鈴木みのるの因縁に決着をつけるために組まれた、全日本初となる金網マッチ。両国国技館という場所に金網が設置され、総合格闘技ではなくプロレスのリングなのに、金網の中に入るのはパンクラスを立ち上げた船木と鈴木というのも何とも不思議な光景。
前哨戦でも大荒れの試合をした両者だが、この一戦を迎えるにあたり、両者ともに入場テーマを変更。パンクラス時代から使用していた『RED ZONE』ではなく、それよりも前に使用していた曲で入場した船木に対し、鈴木は歌詞だけが大幅に変わった『風になれ』で入場。
いきなり鈴木のタックルを船木がヒザで迎撃していき、マウントでのナックルを連打。これで鈴木が額から流血したが、鈴木も船木を飛びヒザをキャッチすると、そのまま後方の金網に顔面から叩き付けていき、さらに反対側の金網に叩き付けてから、足で金網に押しつけたことで船木も額から流血! 船木の額に師匠・藤原喜明ばりの一本足頭突きを叩き込んだ鈴木は、アームロックからの腕十字へ。
苦痛で顔を歪めながらも何とか逃れた船木は、ボディへのソバット→ツームストン式プレス→三角絞めへ。だが、上から船木の顔面を手で押しつけて逃れた鈴木は猪木ばりの弓を引くナックルパートから舌を出しながらの腕固めへ。そこからスリーパーに移行すると、船木はバックドロップ2連発で切り返す。お互い意地の張り手合戦を展開すると、鈴木は一気にゴッチ式パイルドライバーからのジェットブーツ、そしてスリーパーで勝負に出たが、船木はそこから脱出すると、ガムシャラに向かってくる鈴木にスクリューキックからの浴びせ蹴りを叩き込む。
それでも向かっていった鈴木だが、船木は鈴木が張り手を打つ前に、極めて掌底に近い張り手を叩き込み、フラフラっとなったところに飛びヒザ蹴り! これで鈴木は前のめりに倒れ込み、和田京平レフェリーが鈴木の様子を確認し、KO負けを告げるゴングを鳴らした。試合後、四方の客席と倒れた鈴木に向かって深々と一礼した船木は、インタビュースペースで「これ(=金網戦)をやらないと先に進めない気がします。自分も彼も全日本プロレスという、昔いた団体とは違うところでプロレスラーをしていますんで、殴り殴られを繰り返ししないと先に進めないような。素通りはできないと思うんですね。そういう意味でも、金網を用意してくれて、今日がいい試合になったと思いますので、これは本当に乗り越えなければならない課題だと思って出てきました」とコメント。一方の鈴木は肩を貸そうとするGURENTAIのメンバーを制して自力で引き揚げていった。
ノアの丸藤正道から至宝を奪還して以来、次々に全日本ジュニアの強豪を倒して世界ジュニア王座の防衛を重ねてきたカズ・ハヤシ。そのカズにF4が解散したことで、再びジュニアの頂点を目指すことにウエートを置いたKAIが挑戦。
開始早々ウラカンホイップでカズを場外に追いやったKAIは、鉄柵を背にしたカズの上半身が仰け反るような強烈なトペを発射! さらにカズのハンドスプリング・レッグラリアットも低空ドロップキックで迎撃して先手を取る。エプロンでの攻防でもKAIは場外でのデッドリードライブでカズを鉄柵に叩き付けると、本部席の机の上にカズを寝かせて、エプロンからジャンプして鉄柵越えフットスタンプ!
徹底してカズのボディを攻めていったKAIだが、カズもファイナルカットをLATで切り返そうとしたKAIのバックに回り、リバースのネックスクリュー。さらに再びKAIがLATを狙ったところをDDTで切り返してのファイナルカット。KAIがスワンダイブ式ミサイルキックで反撃を試みても、同じ技で相打ちに持ち込んだカズ。
するとKAIはスペース・ローリング・エルボー→フェースクラッシャーという"武藤ムーヴ"からLATを挟んでムーンサルトまで狙っていく。だが、追いかけていったカズは雪崩式ファイナルカット。それでもKAIはダブルアーム式パイルドライバーから、リングに向かって前向きの状態からスカイツイスタープレスという新技も公開!
しかし絶対王者はこれでも沈まず、後頭部へのファイナルカットからバズソーキック、トラースキックと叩き込み、リバースパワースラムで投げてからKAIの顔面を下から蹴り上げ、最後はダメ押しのパワープラントで勝利! KAIは自ら握手を求めて、頭を下げて潔く完敗を認めると、カズは「お前が次、挑戦するまで俺はチャンピオンでいるからよ」と言葉をかけ、次の挑戦者にBUSHIを指名した。
船木vs.鈴木の金網戦、カズvs.KAIの世界ジュニア戦という、高い注目に相応しい激しい試合のあとに行われたメインは、小島聡の持つ三冠ヘビー級王座にデビューわずか1年4カ月の浜亮太が挑むという一戦。キャリアこそ短い浜だが、曙とのタッグ"SMOP"を結成してからというもの、アジアタッグ王座奪取、2009年プロレス大賞新人賞受賞、武藤や小島からピンフォール勝ちと、急成長しているのは誰の目から見ても明らか。
この日は同じ新世代軍の諏訪魔と河野真幸がシングルで対戦し、激しくていい試合をしただけに、元横綱の曙をセコンドに従え、思い出の地である両国のメインで王座に挑戦する浜の思いはかなりのもの。序盤からタックルで小島を圧倒した浜だが、そこは王者の小島もヒザを徹底的に攻撃し、すぐにペースを握る。
しかしセコンドの横綱から「行け、行け!」と激を飛ばされた浜は、カウンターのサイドバスターで叩き付けると、コーナースプラッシュからのスティンクフェイス。さらに場外でも鉄柵スプラッシュでぶつかっていった浜は、エプロンで背後から足にラリアットを食らったものの、コジコジカッターをのど輪落としで切り返し、一度は小島のラリアットに吹っ飛ばされながらも、2発目のラリアットをランニング・ネックブリーカーで切り返す!
小島も三沢式フェースロックで弱らせてから改めてラリアットを狙ったが、浜は体当たりでブロックすると、必殺のリョウタハマー! だが、王者の意地でキックアウトした小島。そこに浜は放送席から見つめる武藤親方に恩返しをするように、LOVEポーズから超重量級シャイニング・ウィザードを発射! 場外が大きくどよめく中、ダメ押しのリョウタハマーで圧殺して3カウント!
涙で顔をくしゃくしゃにしながら「相撲を13年やってまして、ずっと下積みだったものですから、こんな陽の当たる場所に出れたっていうのが信じられません」と喜びのマイクアピールをする浜を横綱が祝福。インタビュースペースでは諏訪魔ら新世代軍が乾杯をして新王者の浜を祝福したが、当の浜は報道陣から「幕下から一気に横綱、三階級どころか五階級ぐらいの特進だが」と言われても「ホント意味が分からないです。そう言われてもピンとこないです」と上の空。しかし最高の舞台で入門時から世話になったという小島に対し、「両国という最高の舞台で恩返しができて最高だなと思います」と言って涙で声を詰まらせた。
浜曰く「自分の体重よりも重い」という三冠王者としての責任を背負うことになった浜。とりあえず武藤不在のビッグマッチでメインイベンターという大役は果たした。
なお、第5試合終了後に西村修が「今日は皆さんにお伝えすることがあります」と言って、自分の夢を実現させるためにしばらくリングを離れると発表。詳しいことは近日中に行われる会見で発表するとのことだが、「尊敬しているある先生に相談している」という。最後に西村は「その夢が叶うかどうか分かりませんが、必ずや実現し、また大好きなこの全日本プロレスにリングに戻って来ることをお約束します」と言ってリングを降りた。ちなみにこの日の会場には馳浩PWF会長と共に、神取忍議員ほか自民党ツアーが観戦に訪れた。
▼タッグマッチ 30分1本勝負
○真田聖也/大和ヒロシ
8分30秒 原爆固め
スペル・クレイジー/●中之上靖文
▼6人タッグマッチ 30分1本勝負
太陽ケア/○NOSAWA論外/MAZADA
7分56秒 超高校級横回転エビ固め
レネ・デュプリ/●ヘイト/歳三
▼タッグマッチ 30分1本勝負
○KIYOSHI/BUSHI
7分17秒 ムーンサルトプレス→片エビ固め
チェスマン/●ダーク・オズ
▼シングルマッチ 30分1本勝負
●諏訪魔
19分30秒 ジャイアント・ニードロップ→片エビ固め
○河野真幸
▼6人タッグマッチ 30分1本勝負
西村 修/曙/●近藤修司
8分30秒 バックフリップ→体固め
TARU/○ビッグ・ダディ・ブードゥー/稔
▼~金網マッチ~時間無制限1本勝負
○船木誠勝
19分03秒 KO
●鈴木みのる
※レフェリーストップ・ロープブレイクなしの完全決着ルール
▼世界ジュニア・ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
[王 者]○カズ・ハヤシ
16分58秒 パワープラント→片エビ固め
[挑戦者]●KAI
※第28代王者が9度目の防衛に成功
▼三冠ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
[王 者]●小島 聡
20分15秒 リョウタハマー→体固め
[挑戦者]○浜 亮太
※第40代王者が2度目の防衛に失敗。浜が第41代王者へ
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