「ネームバリューがある上の世代に頼ってちゃダメなんだよ」チャンピオン・カーニバル初優勝の芦野祥太郎が“小兵”の意地を叫び永田裕志から三冠王座奪還宣言!

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 7日、東京都・大田区総合体育館にて、全日本プロレス『#ajpwチャンピオンカーニバル2023~レック株式会社presents~』が開催され、芦野祥太郎が悲願のチャンピオン・カーニバル初優勝を果たした。

 チャンピオン・カーニバル(以下:CC)は、全日本プロレスで春の風物詩として行われるシングル最強の選手を決めるリーグ戦。
 新日本プロレスの永田裕志に三冠ヘビー級王座が流出している中で行われた今回のCCは、永田こそ不参加ながらグランドスラム達成者の小島聡、現世界タッグ王者でもあるNOAHの征矢学、GLEATの至宝・G-REX王座をもつT-Hawkなど他団体から最高峰の選手が集う全16選手参加の豪華なものとなった。

 優勝決定戦に駒を進めたのは、芦野祥太郎とT-Hawk。
 両者は昨年のCCでも対戦し、その際にはT-Hawkが勝利を収めている。しかし、過去を遡れば両者の間にはさらに深い因縁がある。

 芦野は2020年4月まで活動していたWRESTLE-1末期のエースとして活躍し、次々と主力選手が退団していくW-1を支え続けてきた。
 W-1は日本に上陸した#STRONGHEARTSが初めて定期参戦した団体であり、#SHの面々は外敵としてW-1で大暴れ。当時の芦野はヒールであったにもかかわらず団体の看板を背負い、所属選手たちを鼓舞しながら#SHと抗争を繰り広げてきたが、2019年1月にT-Hawkと団体の至宝をかけた1戦を行いW-1王座から陥落。その後芦野が至宝を奪還することが出来ぬままW-1は終焉を迎えた。

 T-Hawkは芦野を高く評価しており、「全日本プロレスはサイズだけじゃねえってこと、俺たちで他の全プロレス団体にも宣戦布告してやるぜ」宣言。
 ともに174cmとプロレスラーの中では小柄に分類され、全日本の体重基準で言えばジュニアにあたる2人でヘビー級として最高の試合を見せることを誓っていた。


 芦野とT-Hawk、裁くレフェリーは神林大介と、あの頃のW-1が蘇るリング上。
 芦野は全日本の“受けの美学”を体現するかのように敢えてT-Hawkの逆水平チョップを受けに行き、余裕の表情を浮かべて見せる。
 ならばとT-Hawkは普段より多くの手数を出して畳み掛けていき、中盤にはT-Hawkの逆水平チョップと芦野のエルボースマッシュによる壮絶な打撃戦が展開。芦野は大一番でしか出さないブリッジを効かせたジャーマン・スープレックス・ホールドや、奥の手のムーンサルト・プレスまで解禁する。
 T-Hawkも芦野のスピアーをケルベロスで撃ち落とす離れ業を見せ、ウラジゴク。さらに正面からのケルベロスを狙うが、芦野がカウンターのラリアット。芦野がフィニッシャーであるTボーンスープレックスを決めるも、まさかのカウント2。次に芦野が出した技は、若手時代から信念を持って使い続けているアンクルロック。芦野の執念が勝り、T-Hawkが無念のタップアウト。

 マイクを取った芦野は、「獲ったぞ!プロレスやってて、一番嬉しいかも!そして、三冠のベルト。このベルトに挑戦する権利はあるはずです。ただ、チャンピオン・カーニバルは三冠への挑戦者決定戦じゃないです。必死にこの1ヶ月闘ってきたんですよ、俺たちは!1ヶ月まるまる休んでた三冠チャンピオンとは違うんだよ」とCCシリーズ中はほとんど全日本への出場がなかった永田を挑発。

 解説席から永田がリングに上がると、「芦野!コングラッチュレーション!なかなか素晴らしい試合をリングサイドで解説させてもらったよ。今、幸せの絶頂期らしいな。今が絶頂期ってことは、お前の絶頂期はそこまでだ。このベルトはお前に渡さない!」と不敵に笑いながら芦野と睨み合った。

 その後、芦野は「全日本プロレスの良さは、大きいレスラーがぶつかり合うことだと俺はすごく分かってます。身体の小さい俺が、190cm、120kg、130kgの相手をぶん投げて、関節極めて勝ってこれたんです。今ね、プロレスラーを夢見ている小さい子たちがもしいたら、俺とおんなじ気持ちだと思うんです。周りから『無理だよ』と言われて、レスラーになったといても『お前じゃ身体ちいせーよ』『お前じゃなにも成し遂げられないよ』……そう言われるかもしれないけど、心折れずにね、頑張ってほしい。そしたら絶対明るい未来が待ってると思うんで。そんな子たち、大人もそうですけど、なにかメッセージを今日の試合、そしてチャンピオン・カーニバル、全日本プロレスに出ていることとして伝えることが出来たらなと思って、今日はずっと試合をしてました」と熱い想いを吐露。

 そして、「永田裕志が俺とT-Hawkみたいな試合できるのかって話ですよ。いつまでもいつまでも上の世代、たしかにネームバリューはあるかもしれないけど、そんなのに頼ってちゃダメなんですよ。お客さんが高いお金払って見に来るのは、プロレスなんですよ。リング上の動き、試合、それを見に来てるんです。それを満足させて帰らせなかったら、俺たちはプロレスやってる意味ないです。俺は満足させて帰ってもらえるような試合をしたいなと思ってるんで、永田裕志が三冠をいつまでも持ってたら全日本プロレスのファンは満足できないじゃないですか。満足させるためには、全日本プロレスのレスラーが、俺がベルトを取り返すしかないんです」と永田戦に向けて不退転の決意を語った。

 芦野と永田は、ともに日本体育大学のレスリング部出身であり、2012年に芦野が新日本プロレスの入門テストを受験して不合格となった際の試験官が永田であったという過去もある。
 全日本のベルトがすべて外部に流出しているという現状、芦野の矜持、そして“永田超え”の意味を考えれば2人の三冠戦をより深く楽しむことができるはずだ。

 永田裕志vs芦野祥太郎の三冠ヘビー級王座戦は、5月29日の後楽園ホール大会で行われる予定だ。

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