【試合詳細】3・5 みちのくプロレス徳島大会 新崎人生&拳王&アレクサンダー大塚&GAINAvsMUSASHI&のはしたろう&日向寺塁&OSO11 新崎人生vsアジャコング

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『みちのくプロレス 徳島税理士PRO(R)音瀬泰彦税理士事務所Presents新崎人生デビュー30周年記念』
日程:2023年3月5日(日)
開始:15:00
会場:徳島・とくぎんトモニアリーナ
観衆:1650人(満員)

▼シングルマッチ 15分1本勝負 
○ラッセ
7分55秒 逆エビ固め
●山谷林檎

▼我闘雲舞提供試合 20分1本勝負
○駿河メイ(我闘雲舞)
7分42秒 フェニックスライジス
●小石川チエ(我闘雲舞)

▼武藤敬司トークショー

▼タッグマッチ 30分1本勝負
[BAD BOY]○ken45°/卍丸
8分51秒 BARONESS 
●郡司歩/吉田憂次(BRS)

▼6人タッグマッチ 30分1本勝負
ザ・グレート・サスケ/ヤッペーマン1号/○ヤッペーマン2号
11分45秒 ジャックナイフ
フライングキッド市原(四国OHENROエンターテイメント)/バラモンシュウ(フリー)/●バラモンケイ(フリー)

▼ダブルメインイベント第1試合 時間無制限1本勝負
○新崎人生
15分47秒 ウラカン・ラナ
●アジャコング(OZアカデミー)

▼ダブルメインイベント第2試合 時間無制限1本勝負
新崎人生/○拳王(NOAH)/アレクサンダー大塚(AODC)/GAINA(フリー)
18分20秒 P.F.S→片エビ固め
MUSASHI/のはしたろう/日向寺塁/●OSO11

新崎人生が徳島でデビュー30周年記念大会を開催!徳島出身の拳王がみちのくに凱旋し「この体育館で新崎さんの試合を見てプロレスラーになろうと決めました」!武藤敬司がトークショーで「黒師無双はまだ引退してない」

オープニング


試合開始前参戦選手全員と徳島県知事がリングインし、昨年同様飯泉嘉門徳島県知事より祝辞が贈られた。
「ただいまご紹介にあずかりました徳島県知事でございます。本日は新崎人生デビュー30周年記念みちのくプロレス徳島大会このように盛大に開催をされますことまずもって心から喜びを申し上げますとともに今日の試合、待ちわびてお越しいただいたみなさまようこそお越しいただきました。心から歓迎申し上げたいと思います。そして何よりも、我らは新崎人生選手におかれましては、デビュー30周年本当におめでとうございます!そして新崎人生選手、GAINA選手をはじめ徳島出身の選手のみなさん、お帰りなさい。そしてみちのくプロレスさらには各団体のみなさん方、そして2月の21日惜しまれながらも引退をされましたレジェンド武藤敬司様、皆様方、心から歓迎申し上げたいと思います。さらに我らが新崎人生選手におかれましては、お遍路さんの格好、或いは技に、眉山ジャーマンスープレックス(徳島の名山)、徳島愛にあふれているところであります。また仙台においても、徳島PRいただいているところであります。こうしたPRにまずは心から感謝申し上げるとともに、昨年の3月6日であります。私もみちのくプロレス徳島大会にこうしてご挨拶をさせていただいたところではありますが、多くの皆様方にプロレスにお越しをいただいたのもひとえにみちのくプロレスの皆様方が、東北だけではなく徳島をはじめ地方でこうした熱意あふれる興行を行っていただいているからであります。こうした点でも心から感謝を申し上げたいと思います。今日皆様方もそれぞれの試合、楽しみな点多々あると思いますが、特にダブルメインイベントとなっている第5試合、第6試合、特に第6試合には、徳島出身の新崎人生選手、GAINA選手、拳王選手そしてアレクサンダー大塚選手4名がひとチームになり相手と闘う4対4のタッグマッチが用意されております。ぜひ皆様方大いにプロレスを楽しんでいただくとともに、5月の8日からいよいよコロナも5類へと新しいアフターコロナのスタートとなります。きょうは思う存分楽しんでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします」

 知事を囲んでの記念撮影が行われたあとで、人生が選手たちに向き合いおそるおそる言葉を掛けると会場が笑いに包まれた。
「もうこれで挨拶は終わりなんですけども、いまから選手が退場するんだけども、今日、大塚がメインイベント4人のなかにはいるんで、みんな、今日、絶対怪我しないように支えてあげて転ばさないように気を付けてね」
 昨年3月6日に同会場で、入場式を終えたアレクサンダー大塚がリングを降りようとした際に転倒、負傷欠場となり急遽アレクに代わって男盛がピンチヒッターとして穴を埋める格好となった。
 それでなくても30周年の大一番メインィベンターの突然の降板だけはなんとしても避けたかったということだろう。
 アレクは転ぶ隙間もないほど複数の選手たちから大きな体を両脇からがっちりと支えられ退場していった。

第1試合


 昨年10月神戸サンポーホールで開催されたのはしたろうデビュー20周年記念大会でも同カードが組まれたが、デビューしたての林檎がベテランラッセの手のひらの上で転がされていたという感。だが林檎も5月のデビューからはや11ヶ月目に突入、ラッセとの手合わせも堂に入ってきた。
 ガタイもキャリアも比べようもないが、林檎もさるもの、ロックアップからラッセの懐へスイープ、リストの取り合いへ転じるがラッセはすかさず林檎の足を取ってロック、そこからステップオーバー・トーホールドで林檎はやくも苦悶。なんとか切ってブレイク後ドロップキックでラッセに反撃ののろし、ラッセの分厚い胸板に両手で張り手を叩くがラッセ動じず一撃で林檎張り倒される。さらにコーナーへ押し込み踏みつけ、ボディプレス2発でフォールもカウント2で林檎返す。
 ならばとラッセがスリーパー攻撃。意識もうろうとした林檎を木の葉のように投げ飛ばす鬼教官ラッセ、ボウ・バックブリーカーでエビぞる林檎悲鳴。と、ここで林檎が奮起のドロップキック2連発、勢いづいた林檎がラッセをロープにセットして619からコーナートップに上がってミサイルキックを浴びせてフォールも、ラッセ返す。林檎の猛攻を受け切ったラッセが一閃延髄斬り。林檎の蹴りは浅くラッセはひるまず低空ドロップキック。だが林檎の反撃もここまで。決死の丸め込みも強制終了。ジャベの使い手でもあるラッセは10月の神戸ではカバージョでタップさせたが今回は逃げ場与えぬリング中央で林檎を情け容赦のない角度に折り曲げ逆エビで仕留めた。闘い終わればノーサイド、倒れている林檎に言葉を掛け労わりの言葉をかけふたり並んで観衆にお辞儀して退場。

第2試合


 小石川がリボンの騎士のサファイヤの如く勇ましく剣を振りかざしながら入場してくると、対する駿河はジュディオングばりのヒラヒラをなびかせながら可憐にリングイン。
 キラキラした入場とは裏腹に試合は存外えげつなく、駿河が「ガトムートレイン!」と叫びながら小石川をしたたかに踏みつけ、変型鎌固めも返されても返されても執拗に粘っこく圧しまくる。
 負けじと小石川もアッカーマン(=ジャンピング・クロスチョップ)からフォールするがカウント2で返される。スピーディかつ華やかな攻防を駿河がPhoenixRisesで丸め込んで勝利すると、セコンドの山谷林檎がなんと駿河だけに自らのマスクをサプライズでプレゼント。駿河はおおはしゃぎでその場でマスクを被り、ふたり並んでポージング。これには小石川はおかんむりになり、憮然としつつも3人並んでリングをあとにした。

武藤敬司トークショー


第2試合終了後、2・21東京ドームで現役引退した武藤敬司が来場。スペシャルトークショーが開催された。
「徳島のみなさん、こんにちは!
つい、先日までプロレスラーだった武藤敬司です」
司会進行役のパンチ田原から「まずは長い長い現役生活本当にお疲れ様でした、ありがとうございました。もう10日位経ちましたか?」と振られると
「そうですね」
パンチ「東京ドームのあとリングにあがるのはもしかして?」
武藤「これ初めて」
パンチ「素晴らしい」
武藤「久しぶりだね、徳島来たの。先ほども徳島ラーメン行ってきました。おいしかったっすよ」
パンチ「ラーメン人生っていうのもありますが」
武藤「それ、仙台でしょ」
 パンチにドームでの引退試合について触れられると
武藤「引退試合ABEMAで放送あるんだけどきょう5時だからみんなもう帰った方が良いんじゃない?(笑)さっきね、拳王もいままで生意気に呼び捨てにしてごめんなさいって謝りに来て、これからはちゃんとさん付けで呼びますって、さっき控室の俺のとこに来ましたよ」


 パンチからみちのくプロレスに過去に1度だけ参戦したことがあると紹介されるとすかさず「一回だけじゃないよ。仙台にも行ってるし、ここ(徳島)にも来たことあるよ。実はね本当は2,3年前にもオファーあったんだけど、コロナで中止になったりとかして、引退したあとになっちゃったんだ」とツッコミ。
 新崎人生が50代後半で武藤と同じ年代にさしかかるにあたりアドバイスを求めると「あの人は、あの道っていうか、神に近いところにいる人だからさ、多分90とか100くらいまで出来るんじゃないですか?これいっちゃなんだけど。俺いま60なんだけど、58歳のときベストバウト取ってるから。人生の場合、動きが遅いから意外と疲れない。なんか普通の人より3倍くらい遅いじゃない。あ、省エネでなんか、長く出来ると」と前向きなコメント。
 パンチが「きょう30周年記念大会なんです」と促すと、「俺の記録(39年)は是非抜いて欲しいですよ。でね、武藤敬司も引退して、グレート・ムタも魔界から出てこないというところで、黒師無双ってのが引退してない。黒師無双っていうのは、あの、白使があって黒師無双が産まれたもんだから」と意味深長なコメントに観衆が湧き、大盛り上がりのなか時間いっぱいとなり終了した。

第3試合


 入場から「呑まずにやってられねんだよ」と毒づきながら酒をあおる郡司にレフェリー激怒。
 ken45°と吉田憂次から手合わせ。ken45°が吉田の腕を取るが吉田切って寝技、上になるがken45°逃れて睨みあい。スタンドで向き合うとバックの取り合いから吉田がヘッドロックで締めあげるがなんとか切り抜け選手交代。

 コーナーへいったん逃れた郡司が酒をあおる。軍司の酔拳につきあわない卍丸。踏みつけ、コーナーへ追い込んでロープで目つぶし。ken45°にもコブラツイストでギュウギュウ絞られ悶絶の軍司が河津掛で逃れ吉田とチェンジするとken45°も卍丸と交代。

 吉田が勢いつけたボディプレスからランニングニーでフォールも卍丸辛くも返す。ここで卍丸サミングから吉田の足を取って片エビからSTFへ。あわやのところを郡司がカット。郡司、ken45°の膝攻撃に急所攻撃で倍返しもこれがken45°の怒りの導火線に火を点けたか急所攻撃返しから怒涛のラリアットを畳みかけとどめのBARONESSで郡司をマットに突き刺し3カウント。
 俺がみちのく最凶ヒールレスラーといわんばかりにコーナーで決めポーズ。

第4試合


 ヤッぺーマン1号2号従えマスター・ザ・グレート・サスケがカリスマオーラを放ちながら入場。
 青コーナーはフライングキッド市原が単身現れ、リング上のサスケを睨みつけながらリングインすると、バラモン兄弟がお客さんをアルコール消毒しながら会場をお練り。双方肩車となり騎馬戦から輪になってじゃれ合い。サスケがいつもの念動力で怪しい気の玉を飛ばすが市原軽くいなす。コロナ以降凶暴さが若干なりを潜めた感のあるバラモンと思いきや場外乱闘へとなだれこむや、マスターを捕獲し記者席へ突入、テーブルへマスターをしたたかに打ち据え、テーブルの足クラッシュ。クラッシュ寸前のマスターをさらに引き回し今度は物販のテーブルへと。逃げるサスケをバラモンが追撃、スーツケースを投げつけ、エプロン際ケースの角でサスケの背面をグリグリ。
 ダメージ深刻なサスケはリングに戻ってもぐったり。コーナーへ押し込められボーリングの標的になるかというところでヤッペーマン1号2号が救助、形勢逆転で市原とバラモン兄弟をコーナーへ押し込めボーリングの餌食に。ところがスーツケースに馬乗りになったサスケも道連れに。ダメージ食らってケイとふたりで股間を抑え倒れこむ。今度はバラモン兄弟がダウンのサスケとおろおろするヤッペーマンたちをコーナーへセットしリベンジボーリング。サスケも反撃に転じようとシュウ、ケイをダブルエルボーで破壊すると市原も負けじとヤッペーマン2号にミサイルキック、ネックブリーカー、河津掛と畳みかける。サスケとバラモンの攻防も苛烈さを増すなか交通標識でとどめを刺そうとしたバラモンを止めに入る市原。なんでだよともみ合いながら自爆する兄弟たちに、サスケと市原が合体クロスチョップ攻撃。バラモンも観衆も何が起こったのか把握出来ないうちにヤッペーマン2号がフォール、寝返った市原がサスケ、ヤッペーマン1号、2号と共に勝利の凱歌をあげる。

 困惑しきりのバラモン兄弟が「おい、何言おうと思ってたか忘れちまったけど、おぼえてろ~!」小道具すべて置き去りにして退場。

第5試合


 3月5日徳島県・とくぎんトモニホールで開催された『みちのくプロレス 徳島税理士PRO(R)音瀬泰彦税理士事務所Presents新崎人生デビュー30周年記念大会』ダブルメインイベントの第1試合で行なわれた新崎人生とアジャコングの一騎打ちは、プロレスとはリング上の闘いにおいては男も女もないを体現して見せてくれた。最初から最後まで性別を超越した、見応え圧巻の真っ向勝負の15分47秒だった。

 先に入場して来た人生が錫杖を打ち鳴らしながら厳かにリングイン、いつもながらに流麗なるパフォーマンスが行われたあとアジャコングが一斗缶を2つ引っ提げ入場。
ゴングが鳴らされると、しばしの睨みあいから一呼吸の間があって意を決したように互いに組打つあたりが昭和の王道プロレスを想起。
このあと初シングルマッチとは思えぬ丁々発止の凄まじい激闘が展開していった。
 最初の力比べで圧し勝ったのは人生だったがそのあとのショルダータックルでは双方譲らず。人生の側転からのトラースキックを受け切ったアジャコングが人生の首に太い腕をまわしかけスリーパーで落とそうとする。もがきながら足を延ばしてロープへエスケープした人生が場外に落ちるとアジャコングが追撃、客席の椅子でしたたかに打ち据え、コーナーの鉄柱攻撃から間髪入れず人生の脳天へ一斗缶を命中させる。
 勢いづいたアジャコングが猛攻を開始するが「いくぞ、徳島!」と叫んでのダイビング背面エルボーが自爆。ここを勝機とばかり人生が反撃、ストンピングからニードロップを畳みかけアジャコングを場外へと落とし、先ほどの返礼とばかりに椅子の硬い所でアジャコングのストマックを強打のラフプレー、鉄柱で鬼の腕攻め。リングに戻してさらに腕への集中攻撃。その勢い破戒僧もとい鬼神憑依の破壊僧の如し。だがリバース・スプラッシュを見すましたアジャコングの両ひざが剣山のように人生の腹を突き刺すと形勢は再びアジャコングに。えぐい角度のバックドロップで投げ飛ばしたあとコーナートップからの背面エルボーでフォールも2.99で人生返す。
 アジャコングの猛攻なおも続きブレーンバスター、一斗缶をリングに持ち込むが人生辛くもブレーンバスターで反撃。ここでアジャコング場外に続き人生の頭上に2度目の一斗缶攻撃。ブレーンバスターも人生返す。アジャコング伝家の宝刀裏拳。人生はチョークスラムでアジャコングを沈める。コーナーに上るアジャコングをパワーボム狙いで担ぎ上げようとするが重みに潰れそうになる人生。堪えて力技でアジャコングをマットに叩き落とし、念仏パワーボムの態勢を取る人生をアジャコング裏拳で断ち切るが、人生が一瞬の隙を突きウラカン・ラナで3カウント奪って辛勝。

 茫然自失で座り込んでしまったアジャだったが、立ち上がり人生と向き合い握手。
 全力疾走の第1試合の呼吸を整える間もなく、人生はダブルメインイベントの第2試合へと参戦した。試合後の控室で人生は30周年は自分にとって通過点に過ぎない、プロレスラー人生を終わらせるつもりはないと静かだが力強く語った。
 ピリオドを打たない道を選んだ男の30周年は一切のセンチメンタルを感じさせないエンドレスハードコア人生劇場だった。

第6試合


 ダブルメインイベントの第2試合は、アジャコングとの凄まじいダブルメイン第1試合を終えたばかりの新崎人生に世代の違う3人の徳島県出身プロレスラーが脇を固めた。
 人生、GAINA、アレクサンダー大塚、拳王、個性の全く違った4人だが並ぶと不思議な一体感で絵になる。
 対するは一癖もふた癖もある個性ではひけをとらないのはしたろう、MUSASHI、日向寺塁、OSO11。
 若手からベテラン、みちのくプロレスのエッセンスが凝縮されたカードの中にひときわ華やかになった拳王が投じられ、MUSASHIとバチバチ火花散らすも30周年記念大トリを飾るに相応しい賑やかし。

 ロックアップから拳王が押し勝ってMUSASHIにロープを背負わせクリーンブレイクで拍手喝采を浴びればMUSASHIも負けじと拳王をグイグイ押しまくり、我もとクリーンブレイク。リストの取り合い譲らぬ意地の張り合いで緊張が高まる。
 ふたりの放つ火花に煽られてか、続くGAINAとOSOの肉弾戦もド迫力。GAINAがOSOをスーパーラリアット一撃で沈めると観衆がどよめく。GAINAはさらにアレクと合体、おんぶプレスでOSOを圧殺。人生ものはしに拝み渡り敢行するまでは良かったが、前の試合のダメージが癒えぬ体にのはしのヘッドバットを浴びせられMUSASHIに踏みつけられネックツイストに苦悶、さらにOSOのショルダークロー受け動きが止まる。日向寺をドロップキックでけ散らし辛くも脱出。
 代わって入ったGAINAがのはしとMUSASHIをラリアットで薙ぎ払うと、OSOにもスーパーラリアットを見舞ってダイビングエルボードロップを落とすが、日向寺のコーナーキックを許し形勢逆転。コーナートップにあがって打点の高いミサイルキックを畳みかけるがGAINAにつかまりラストライドの態勢取られるが、火事場の馬鹿力よろしくリバースで切り抜けMUSASHIと交代。
 巨体のGAINAをコルバタで豪快に吹っ飛ばしたまでは良かったがアレクに捕まり鳴門の潮流のうず潮スイングに呑まれる。いつにも増して高速で回されたMUSASHI以上に回したアレクのほうがダメージは深刻そうに見えたがこれには観衆も湧きにわいた。

 OSOに拳王の膝が火を吹く。尻もちをついたOSOにダメ押しの蹴暴も、カウント2。コーナートップからのP.F.Sは読んでかわすOSO。MUSASHI、のはし、日向寺が乱入してくると人生がのはしと日向寺をダブルのチョークスラムでマットに叩きつける。人生のアシストを追い風とばかり拳王が今度こそOSOに飛距離のあるP.F.Sをグサリと決めて3カウント。


 試合後人生がマイクを手にした。
人生「今年30周年になります。ここにいる徳島の後輩たちもみんな10年とか20年のキャリアを積んで、このなかでは一番若い拳王も今年で15年を迎えることになりました。拳王も徳島出身で地元で記念大会を15周年の大会を計画していると思います。日時も決まっているようなので、拳王の口から皆さんに伝えてください」と、拳王に振る。
拳王「新崎さん、俺はここ徳島で生まれて、この体育館で新崎さんの試合を見て、プロレスラーになろうと決めました。そんな新崎人生さんから俺のデビュー15周年記念大会の前振りまでいただいて恐縮です。ありがとうございます。デビュー15周年記念大会、日時決まってるぞ。6月24日土曜日、場所はここ徳島市立体育館でやるから。いま徳島市立体育館に来てるみんな、全員参加でよろしく頼むぞ。新崎さん、宣伝までさせていただいてありがとうございます。本当に30周年おめでとうございます」

自らのプロレスラー生活30周年に2試合のメインイベントを駆け抜けた人生が締めた。
人生「30年経ってみて、30年経ったんだなぁという気持ちはぜんぜんありません。本当にただの通過点のような気持ちで今日の大会に臨みました。まだまだこれから先も長いと思いますので。ぜひ今後とも、引き続き応援をよろしくお願いいたします。拳王の大会が6月24日で、来年また3月3日にまたみちのくプロレス徳島大会もありますので、またご観戦いただかければと思います。本日はまことにありがとうございました」

 いつまでもプロレスラーを続けると言い切った人生然り、故郷の子どもたちにプロレスの楽しさを伝えようと動き出した拳王もまた同じく。プロレスを未来に繋ごうとする男たちの夢は終わりのない旅の如し。そのスケール壮大にして果てしない。
だからこそ我々庶民はその夢に惹かれずにはいられないのだ。

夢を見ることは心の糧だ。30年間走り続けた男の原動力は何だったのか。人生に問いかけた。
「ネガティブなことがあるからこそ」が原動力だと思っています。 レスラーとしてリングにあがる以上リスクはつきもので自分の身を守らなければなりません。死なないように、怪我をしないように、筋肉が落ちないように、と。
経営者として事業をやっていれば赤字になる時もあります。負債を返済ずるために、社員を路頭に迷わさないために、と。
何かを成し遂げたいと言うよりは、守るものがあるからこそやらなければならないという原動力や新しいことへのチャレンジ精神に繋がっているのだと思います。
高倉健に憧れ役者を志したこともある齢56歳の新崎人生はプロレスラー人生30年目を迎え、プロレスラーをやめることを考えたことはないと力強く言った。
そのとき気づいた。歩き続ける、ピリオドを打たない、完成したと思わない人は精進を辞めないから成長し続けることができる。それもひとえに「守るべきもの」があればこそなのだ、と。

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