5度目の挑戦も悲願の王座戴冠ならず！不穏引退から白いベルトのために復帰した葉月が惜敗も心は折れず
4日、東京都・国立代々木競技場第二体育館にてスターダム『TRIANGLE DERBY I～優勝決定戦～』が開催され、上谷沙弥が葉月を破ってワンダー・オブ・スターダム王座（白いベルト）の15度目の防衛に成功した。
葉月は幼い頃からプロレスラーとなることを志し、中学卒業後にスターダムに入団し2014年に“はづき蓮王”の名でデビュー。そのセンスと身体能力で瞬く間に頭角を現し紫雷イオとアーティスト・オブ・スターダム王座を4度戴冠する結果を残すなどスターダムの中心選手に。
2018年に大江戸隊所属となって肉体改造を行い、スピーディなファイトスタイルにも磨きをかけてハイスピード王座V8を果たすなどその地位を不動のものとしていたが、2019年11月に突然の引退表明。
その後はSNSなどで団体への不満をぶちまけるようになり、2019年12月の引退試合の後には「こういう不本意な引退はしたくなかったし、すると思ってなかったです。これから先、葉月みたいな不本意で辞める人がいないといいなって思ってます」「（引退理由は）「会社からは『言うな』と言われています。なぜかというと、会社が悪くなっちゃうからです」と爆弾を投下。
そして、「白いベルト獲ってお客さんに見せたいなという思いはずっとあったけど『もういいや』って思いましたし、プロレスを嫌いになって辞めたくなかった」と涙を流しながら白いベルトを想う言葉を最後に一度目のプロレスラーとしての生命を終えていた。
スターダムとは完全に絶縁かと思われていた葉月だが、2021年8月に突然スターダムのリングに現れ電撃復帰を宣言し、同年10月に復帰。最初こそ様々な軋轢があったものの、元々の人望やひたむきなファイトであっという間にスターダムの中心選手へ返り咲き、同期の盟友・コグマとともにタッグリーグ優勝＆2度のタッグ王座戴冠など結果も残してきた。
「復帰した理由の一つに白いベルトがある」と語っていた葉月は、チャンスを虎視眈々と狙い続けており、今年2月には6人タッグリーグ戦『TRIANGLE DERBY』の中で現在白いベルトの最多防衛記録を更新し続けている上谷沙弥から直接勝利を奪って挑戦を認めさせることに成功。「今の葉月すべてを出して、白いベルト巻きます」と5度目の挑戦となる今回で初戴冠を宣言していた。
試合が始まると、葉月はハイスピード仕込みの変幻自在ファイトで試合の流れを掴み、顔面ウォッシュや各種クロスフェイスで攻め込んでいくも、上谷が得意の空中殺法で切り返してスワンダイブ式プランチャで流れを引き寄せる。
中盤戦では互いに髪を掴みながらのエルボー合戦や、葉月はビッグブート、上谷はバイシクルキックで顔面を蹴り合う壮絶な打撃戦が展開されていき、葉月は鼻から出血するも闘志は折れずに雄叫びを上げ、ダイビング・セントーン、ダイビング・コードブレイカーと連撃。必殺の垂直落下式ブレーンバスターを完璧に決めるも、上谷がギリギリでキックアウト。
信じられないといった様子の葉月は追撃を焦るも、上谷がこれをフランケンシュタイナーで切り返し、カミゴェ式ビッグブート、旋回式スター・クラッシャー、ファイヤーバード・スプラッシュ、スター・クラッシャー2連発と怒涛のラッシュをかけて3カウントを奪った。
最多防衛記録を15回に更新した上谷は、4月23日の横浜アリーナ大会での挑戦者に白川未奈を指名。
上谷と白川は昨年11月に白いベルトをかけて闘った際、上谷の代名詞的な必殺技であったフェニックス・スプラッシュが白川のアゴに直撃。試合は上谷の勝利となったが、白川は負傷により長期欠場に入った。
両者の間に遺恨は全く無く、然るべきときが来たらまた白いベルトをかけて闘うことを笑顔で誓い合っていたものの、上谷の心にはトラウマが残ったのかフェニックス・スプラッシュは封印状態にある。
指名を受けてリングに現れた白川は、「あの日から欠場して、私のレスラーとしての時は止まった。でも！アンタはどんどんどんどん防衛回数重ねて、それを遠くで見てるのがどれだけ悔しいかわかる！？アンタが私に最後にしたあの技！あんなの、フェニックス・スプラッシュじゃない。ちゃんとフェニックス飛んでみろよ。そのうえで私はアンタに勝つ！私はアンタの顎？違うな～。歯？違うな～。アンタの心を折りに行ってやるよ！」と、上谷のトラウマを晴らした上での勝利を誓った。
そんな2人のマイクがうっすらと聞こえてくるバックステージ前では、大の字になった葉月が「5度目の挑戦でも白いベルトが獲れない……あぁ、獲れない……。でも、獲るまで諦めない。絶対に葉月の腰に白いベルトを巻きます」と語り、そのまま這いながら去っていった。
