【試合詳細】11・27 修斗後楽園ホール大会  【清水清隆引退試合】清水清隆vs 山内 渉 【環太平洋バンタム級チャンピオンシップ】石井逸人vs藤井伸樹 新井 丈vs大竹 陽

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『プロフェッショナル修斗公式戦 2022 VOL.7』
日程:2022年11月27日(日)
開始:18:00(オープニングファイト 17:30)
会場:東京・文京区 後楽園ホール

【試合結果】
▼オープニングファイト トライアウト女子ライト級 3分2R
●上田真央(修斗GYMS直心会UBF)
2R 0分18秒、TKO(レフェリーストップ)
○緒方 亜香里(AACC)

▼2022年度新人王決定トーナメント準決勝 フライ級 5分2R
○須藤晃大(EXFIGHT)
判定3-0
●打威致(有永道場Team Resolve)

▼2022年度新人王決定トーナメント準決勝 バンタム級 5分2R
△齋藤奨司(FIGHT FARM)
判定0-1
△新井拓巳(ストライプル新百合ヶ丘)
※結果はドローだが、トーナメントのため優勢ポイント1-2で新井が決勝に進出。

▼女子フライ級 5分3R
●ライカ(RIGHTTHING ACADEMY)
3R 2分18秒 リアネイキドチョーク
○キム・ソユル(MOBTraining Center/韓国)

▼インフィニティリーグ2022 女子アトム級 5分2R
○中村未来(マルスジム)
1R 4分59秒 TKO
●久遠(ZERO)

▼インフィニティリーグ2022 女子アトム級 5分2R
○澤田千優(AACC)
判定3-0
●小生由紀(グランドスラム沖縄APP)
※澤田が優勝、初代王者となる

▼フライ級 5分3R
○内藤頌貴(パラエストラ松戸)
判定3-0
●高岡宏気(FORCE GYM)

▼バンタム級 5分3R
●後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)
2R 2分01秒 TKO(ヒールフック→レフェリーストップ)
○須藤拓真(X-TREME EBINA)

▼フライ級 5分3R
○新井 丈(キングダムエルガイツ・和術慧舟會HEARTS)
1R 4分10秒 KO
●大竹 陽(HAGANE GYM)

▼セミファイナル 環太平洋バンタム級チャンピオンシップ 5分3R
●石井逸人(TRIBE TOKYO MMA)
判定2-1
○藤井伸樹(ALLIANCE)
※石井が初防衛に失敗、藤井が新王者となる

▼メインイベント  清水清隆引退試合 フライ級 5分3R
●清水清隆(TRIBE TOKYO MMA)
1R 0分44秒 TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○山内 渉(FIGHT FARM)

清水清隆が引退試合で敗北も「腹いっぱいの現役生活でした」と笑顔!藤井伸樹が環太平洋バンタム級王座奪取!引退セレモニーを行った根津雄太が「幸せな15年間でした」

オープニングファイト


 1R。最初から緒方が前に出て積極的にパンチを出していく。上田も応戦する。
緒方は上田をケージに詰めてパンチ。鼻から出血している上田だが、ケージから押し戻す。

 2Rも緒方が前に出ていく。打ち合うが、ケージに押されパンチを浴びる上田。そこでレフェリーが試合を止めた。

第1試合


 プレッシャーをかける打威致。パンチ。須藤は蹴りを出していく。打威致が組むとケージ際で首を狙う。しかし須藤は少しずつ首を抜いて外し、整体して上に。
 尻もち状態の打威致。須藤はケージへ押し付ける。打威致はバックに回り殴李ながら首を狙う。打威致がエビで返そうとすると、須藤は一気にマウントへ。さらにバックマウントで殴る。腕を狙ったところで終了。

 2Rも打威致がプレッシャーをかける。須藤が両足タックルを仕掛けると、打威致は尻もちをついた状態に。須藤はケージへ押し込む。右手をつかんだまま殴り、打威致を立たせない。
 立ち上がった打威致だが、須藤はケージ際でバックを取り、さらにマウント。
 打威致は回るが、須藤はバックマウントへ。パンチとヒジ連打。打威致がy立とうとしたところで終了。
 ジャッジは2名201-17、1名が19-18の3-0で須藤が勝利。決勝へ進出を決めた。

第2試合


 1R。お互いロー。新井がタックルに入るが齋藤が切る。タックルに入れない新井。
 新井が片足タックルで尻もちをつかせると、齋藤はヒジを落とす。ケージへ押していく新井。齋藤は殴る。
 新井は齋藤の背中を床につかせたが、齋藤が立った。
 再び組みにいく新井。また尻もちをつかせてケージへ。立った齋藤にヒザ! ケージへ押すが、齋藤は立つ。
 お互いパンチを出すが、新井がタックルから上に。ヒジを落とす。
 いったん離れ、新井がタックル。齋藤は背中をつくがヒジ。立つと、新井がケージへ押し込んで上に。ハーフマウントになったところで終了。

 2R。齋藤は蹴り。新井がパンチからタックル、ケージへ押し込んでいく。尻もちをついた齋藤。新井は立たせない。しかし齋藤が下から腕を狙う! しかしこれは新井外した。
 ケージ際で組み付く新井。齋藤はヒジを落として脱出。
 左ハイキック、パンチから組み付いた新井。齋藤は尻もちをつく。ケージへ押されるが立ち上がった。お互いパンチを出し合うが、両者疲れが見える。
 再び新井が尻もちをつかせケージへ押し込む。齋藤は殴り、ヒジ連打で終了。
 ジャッジは1名が20-19新井、2名19-19の1-0で試合はドロー。しかしトーナメントのため、優勢ポイント2-1で新井が決勝へ勝ち上がった。

第3試合


 1R。キムがロー。お互いパンチを見せるが、ライカはまだ様子見か。キムはパンチ、ヒジと手数を出す。
 キムが組んでテイクダウン! しかしライカはケージまで這っていき立った。キムがパンチ、ライカが右ミドル。ライカがキムの蹴り足を取り、パンチを打ったところで終了。

 2R。キムがパンチ&ロー。ライカは前蹴り。まだ全開ではない雰囲気。しかしキムは着々と攻めていく。ライカが左右ボディブロー、さらにパンチ。
 キムが組んでケージへ押し込む。さらに投げてサイドポジション。上四方からバックを取りケージへ押す。ライカは正対する。さらに押し込むキム。
 離れたライカが低く入るが、蹴りを合わせるキム。ライカはタックルからケージへ押し込むが、離れてお互いパンチ。終了。

 3R。パンチを打ち込んでいくライカ。しかしキムが組み、押し倒すようにテイクダウン。バックマウントから殴る。
 キムを背負って立ったライカだが、キムは首を取る! 引き込むキムに、ライカは崩れるようにタップ。

第4試合


 1R。お互いロー。久遠のパンチがヒット、中村がダウン! しかしすぐに立ち、組み付いてケージへ押し込む。
 離れると、久遠が左右パンチ、ロー。中村は組んでケージへ押し込みヒジ。久遠は離れてロー。殴りながらケージへ押し込む。中村が入れ替えて崩すが久遠立った。ケージへ押しつける中村だが倒せない。投げを打てないがバックを取り逃さない。久遠がヒザ。
 崩して上になった中村。下から殴る久遠。中村も殴りマウントへ。激しくパウンド連打! 立とうとするがパウンドを浴び続ける久遠。レフェリーが試合を止めた。
 中村は勝ち点4を加え8とした。

第5試合


 プレッシャーをかける澤田。小生はヒザ。澤田はテイクダウン。ハーフマウントから肩パンチ。ゆっくり返す小生だが、澤田はすぐ戻して上に。しかし離れて立ちロー。
 小生も立ってパンチ。しかし澤田は組んで投げテイクダウン。サイドポジション。起き上がりたい小生だが、澤田はさせない。
 しかし立った小生はパンチ、前蹴り。飛び込むと、澤田は受けて投げ、上に。澤田がハーフマウントで殴って終了。

 2R。小生が右蹴り。澤田はその蹴り足を取って転がす。ロー。小生も寝転んだ状態で蹴る。
 小生が立った。澤田が組んでヘイクダウン。ハーフマウントからヒジを落とす。澤田は顔面を擦るようなヒジ、さらにパウンド!
 立った澤田。小生は足を取るが、澤田は外してパンチ連打。さらにヒジ。再びお互いロー。
 小生が立ち、蹴り。澤田は蹴り足をつかんでテイクダウン。パンチ、ヒジ連打。腕十字に入るが時間切れとなる。

 ジャッジは1名が20-18、2名が20-17の3-0で澤田が圧勝。インフィニティリーグ優勝並びに女子アトム級初代王者に輝いた。

澤田 ケージ上コメント
「デビュー2戦目からインフィニティリーグ参戦の機会を与えていただきありがとうございます。毎日サポートしてくれた皆さん、家族、友達のみんな、ありがとうございます。
 まだまだ足りないことばかりで未熟ですが、やりたいことがあるのでこれからも精進します。応援よろしくお願いします。
兄(※澤田龍人)の獲れなかったベルトを2つも獲れて嬉しいです。これからもっと認めてもらえるように頑張ります」

第6試合


 1R。プレッシャーをかける内藤。ローからパンチ、ミドル。さらにプレッシャーをかけていき、前蹴り、ロー。高岡は右パンチからロー。内藤は左右ジャブ、ロー。入りにくそうな高岡。残り10秒で高岡がタックル、ケージへ押し込んだところで終了。

 2R。内藤が左右パンチ。さらに蹴り上げる。高岡がパンチから組み、投げてバックを取る。ケージへ押し込んでヒザ。
 高岡は投げを打つが、内藤すぐに立った。しかし高岡抱えている。後ろからヒザ連打。内藤はヒジを打つが抜けられない。高岡がヒザ連打で終了。

 3R。高岡が蹴り、パンチ。内藤が左ボディブロー。高岡が組みにいくが、内藤は入れ替え。振り解いてプレッシャーをかける。ボディ。さらに入ってパンチ連打。焦りが見える高岡、鼻から出血している。内藤は右ボディ。
 高岡が組んでケージへ押し込むが、離れる。内藤がボディブロー。組んでケージへ。残り10秒で離れ、高岡がパンチを打ったところで終了。
 ジャッジは3名とも29-28、3-0で内藤が勝利。高岡は健闘するも及ばず。

第7試合


 1R。須藤がプレッシャーをかけ、揺さぶりをかけていく。惑わされず重いキックを放つ後藤。さらに左ボディ。
 須藤は前蹴り、左ミドル。後藤が左ハイキックから左右パンチ。須藤の蹴り足をつかむがすぐ離す。
 須藤が片足タックルに入るが、後藤は付き合わない。足を取りたい須藤はスライディング。しかしつかめない。
 須藤右ハイキックは空振り。後藤は左右パンチ。さらにパンチを出して終了。

 2R。ケージを背にした須藤がパンチ。片足を取り引き込む。後藤は押さえ込み、足を抜きたい。しかし須藤がヒールホールド! 足を抜こうとする後藤。須藤は抜かせず完全に極まり、レフェリーが試合を止めた。

根津優太 引退セレモニー


 修斗第4代環太平洋フェザー級王者・根津優太(&MOSH)の引退セレモニーが行われた。
 根津は2007年、太田悟戦で修斗プロデビュー。以降、修斗を主戦場とし、2014年には環太平洋フェザー級王者となった。しかし、2015年、王座を返上。ロードFCに参戦し、2年で5試合を闘った。
 その後2018年5月、修斗に復帰し3連勝を飾る。しかし、2019年11月の倉本一真戦、今年7月の平川智也戦で2連敗、引退を決意した。

 引退式には歌手・川畑要のビデオメッセージのほか、根津の打撃を指導しているSTRUGGLE・鈴木秀明会長、元修斗世界フェザー級王者・斎藤裕らがケージに入り、花束を贈呈した。最後に家族がケージイン。根津の格闘生活を労った。

根津 コメント
「7月17日の試合を持ちまして引退することを決めました。
 頭では分かっていても体がついて来なくなっちゃって、もうダメだなと思って。きっぱりやめようと思いました。
 今日、こうして引退セレモニーをやってもらって、本当にありがとうございます。(選手生活を)15年やったんですけど、すごく楽しかったです。幸せでした。悔いとかはめちゃくちゃあるんですが、自分の直感に任せてやってきたことなので納得できますし、それも含めて幸せな15年間でした。
 自分の好きなように格闘技をやってきて、ベルトも獲れたし、海外挑戦もさせてもらいました。本当にいい格闘技人生だったと思います。
 これからも、修斗のことをよろしくお願いします。修斗がこれからも良くなっていくには、修斗ファンの熱い声援が必要です。これからもよろしくお願いします」

第8試合


 1R。大竹が蹴り。新井はフェイントをかけながら回る。
 大竹がパンチ、蹴り。新井もパンチ、ロー。
 新井がタックル。尻もちをつかせ、コーナーへ押す。しかし立った。
 再び新井が組みにいくと、大竹はヒザ。新井はボディ、ジャブ、さらに飛びこんでパンチ。
 大竹もジャブ、ボディ、左ミドルと攻める。しかし新井の右パンチが入り大竹ダウン! 新井はすぐに追撃、パウンド! レフェリーが試合を止めた。

第9試合


 1R。プレッシャーをかける石井。藤井はローから左右ジャブ。タックルからケージへ押すと、石井が首投げで投げて上に! 再度ポジションとなる。
 いったん立つと、石井が組んでケージへ。入れ替えた藤井だが、再び離れる。
 石井が蹴り、藤井がパンチで攻める。残り時間1分で打ち合いに。ピリピリした緊張感で張り詰めたケージ。さらに打ち合う両者。終了のブザーが鳴ったが、流れで藤井のパンチがヒットしてしまい、石井のヒザが一瞬崩れた。

 2R。パンチを出し合う両者。石井が両足タックルから投げ、バックを取る。しかし、藤井が正対し、さらにバックを取り返す。石井は腕を捉えるが、藤井は潰して脱出した。
 石井が両足タックルに入るが、藤井は切りながら鉄槌を落とす。石井は強引に投げたが藤井はすぐに立つ。ケージに押しつけた石井。しかし藤井は入れ替え、バックを取ってヒザ連打。
 再び石井がタックルからケージへ押し込むが、藤井がパウンド連打から立ち上がって逆にケージへ!
 石井は投げ流が、藤井はバックを取っている。パウンドからチョークスリーパー! しかし石井は外し、立ってケージへ押したところで終了。
 両選手の激闘ぶりに場内は大興奮! 感染防止の観点から声援しないよう注意されるも、これは無理というものだろう。

 そして迎えた最終ラウンド。ややスタミナ切れが見える石井だが、自分にゲキを飛ばしいきなり跳びヒザで飛び込んだ! しかし藤井はかわす。パンチで押していく石井。藤井も打ち返すが、石井が組んでケージへ。
 離れてジャブを打ち合う。石井がまた組んでケージへ押し込むが、藤井がすぐに入れ替えて上に。立ちたい石井だが、させない藤井。三角に捉える。立ちたい石井。中腰でパンチを落とす。藤井も殴る。
 石井が足を外すと藤井もすぐに立つ。藤井も消耗している。
 お互いにパンチを打ち合う。石井が最後の気力を振り絞って両足タックルに入るが、藤井は切ってバックに。しかし離れる。
 最後は両者が殴り合って終了。
 石井はマットに大の字にへたり込んだ。
 ジャッジは30-27藤井、29-28石井、29-28藤井! 2-1で藤井が王座に就いた。

藤井 ケージ上コメント
「皆さんの前で勝つことができて本当に良かったです。ただ、疲れるな……(苦笑)。
 どっちが勝ってもおかしくない、こういう試合ができたのは石井選手のおかげです。
 そして、高阪(剛)さんや、いつもサポートしてくださっている皆さん、感謝しています。今日はあと1試合、清水(清隆)さんの引退試合を見届けたいと思います」

 藤井は2011年、パンクラスでプロデビュー。2013年にはネオブラッド・トーナメント バンタム級優勝を飾っている。穏やかそうな雰囲気にもかかわらず、最後まで諦めない粘り強い姿勢がファンの心を掴んでいた。
 2016年からは5連勝し、特に2018年5月にはアラン“ヒロ”ヤマニハを判定で下し、タイトルマッチ挑戦が期待されていた。しかし、これがパンクラス最後の試合となった。
 同年11月からは修斗を主戦場にし、10戦目でついに戴冠。パンクラス参戦時代には手にすることのできなかった悲願のベルトを巻いた。
 修斗では「ゾンビ」「最も闘いたくない男」と呼ばれる藤井。目指すは世界王者だ!

第10試合


 2008年プロデビューし、パンクラス、修斗両団体の軽量級のトップファイターとして活躍してきた清水が引退を迎える。
 今年7月には「パンクラス ラストファイト」と銘打ち、デビュー年のネオブラッド・トーナメント予選で負けた佐々木亮太に14年ぶりのリベンジを果たした。
 この日はついに最後の試合。清水は「今一番勢いのある若手選手と闘いたい」と希望した。もちろん「勝ってハッピーに終わりたい」。
 相手に選ばれたのは、2021年プロデビューの山内渉。世界ランキング5位にしてデビュー以来負けなしの戦績を誇る。セコンドには、高谷裕之と元修斗世界王者・田村彰敏が就く。津田沼のDNAを継承する山内は、そのような闘いで清水を見送るのか。

 1R、山内はロー、清水はジャブを出していく。山内は左ミドル、左ハイキックと攻める。ハイキックをかわす清水。
 清水がタックルに入るが、山内はがぶってパンチを連打! 清水の動きが止まると、レフェリーがストップをかけた。
 ストップに納得のいかない様子を見せた清水だったが、レフェリーと話し引き下がった。

山内 ケージ上コメント
「清水さん、闘ってくれてありがとうございます。僕がMMAを始めた頃から憧れていた選手です。勝てたことが嬉しいですし、とても自信になりました。僕がフライ級を引っ張っていくので、あとはゆっくり休んでください」

清水 ケージ上コメント

「すみません。負けた人間がマイクを持つのはアレですが……。
 腹いっぱいの現役生活でした。(今日)結果は出せませんでしたが、忘れられない1日でした。
 これからは、自分が皆さんにしていただいたことを返せるように頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします」

 登り調子の若手が相手であっても、清水なら勝つんじゃないかと思っていたファンも多かったのではないだろうか。
 しかし、結果は衝撃の秒殺KO負けだった。
 レフェリーが試合を止めた瞬間の、なんとも言えない空気感。
 ただ信じられない、というのではない。
 単純に残念、というのでもない。
 清水がすぐに立ち上がり、大きな怪我がなさそうなことへの安堵感。
 そんな複雑な感情を、会場は共有したような気がする。

 試合は勝ち負けが全てだ。しかし同時に、勝ち負けだけが全てではない。
 長く守り続けたパンクラスのベルト。パンクラスを代表してDEEPとの対抗戦を闘った姿。そしてまた、勝てずに足掻く姿。どんな時も清水の闘いは、そのときどきの清水をストレートに表していた。
 長きにわたり見せ続けてきた清水清隆という男の生き方は、波瀾万丈の小説を読むようにファンの心を惹きつけて離さなかった。
 タイトルマッチではない、これで選手生活を終える選手がメインイベントを張るということ。それが、清水のこれまでを語っているではないか。

 試合前に語っていたように「勝ってハッピー」に終わることはできなかった。しかし、「良かったね、お疲れさま」で終わらなかったからこそ、余計に清水の存在は強く心に焼きついた。
 人生そんなに甘くない。でも、甘くないからこそ面白い。
「忘れられない1日でした」と語った清水。ファンにとっても、何かが終わった日として、忘れられない節目になるだろう。
 清水選手、長い間お疲れさまでした。そして、どうもありがとうございました。

(写真・文/佐佐木 澪)

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