【試合結果】12・9 PANCRASEスタジオコースト大会 手塚裕之vs村山暁洋 上田将竜vs小川徹 鈴木万李弥vsシッジ・ホッシャ 中原由貴vs中村晃司 ライカvsエジナ・トラキナス

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『PANCRASE 302』
日程:2018年12月9日(日)
会場:東京・江東区 スタジオコースト
開始:16:30
観衆:2020人(超満員)

[プレリミナリーファイト]
▼第1試合 REBELSムエタイルール 53kg契約 3分3R
○JIRO(創心舎)
 判定3-0
●サイモン・シェ(Team KROSS×OVER/アカデミア・アーザ)

▼第2試合 フェザー級 3分3R
○櫻井裕康(NEVER QUIT)
判定3-0
●上野惇平(ハイブリッドレスリング八戸)

▼第3試合 フェザー級 3分3R
●渡辺謙明(パラエストラ東京)
判定1-2
○鬼山斑猫(KRAZY BEE)

▼第4試合 バンタム級 3分3R
○工藤修久(禅道会 小金井道場)
2R 2分41秒、TKO(アームロック)
●田代悠生(パラエストラ千葉)

▼第5試合 バンタム級 3分3R
●大谷啓元(パンクラスイズム横浜)
判定0-3
○高瀬一平(マーシャルアーツクラブ中津川)

▼第6試合 バンタム級 3分3R
●後藤丈治(P’sLAB札幌)
1R 1分40秒、TKO(チョークスリーパー→レフェリーストップ)
○米山千隼(マルワジム横浜)

▼第7試合 フライ級 3分3R
○赤﨑 清志朗(香取道場)
判定3-0
●池田一歩(Brave Heart)

▼第8試合 フライ級 3分3R
○猿飛流(リバーサルジム川口REDIPS)
判定3-0
●渡辺竜也(MAX GYM/RINGS)

[本戦]
▼第1試合 REBELSルール 60kg契約 3分3R
○鈴木宙樹(クロスポイント吉祥寺)
1R 2分15秒、KO(飛び膝蹴り)
●宇野高弘(パラエストラ栃木)

▼第2試合 ストロー級 3分3R
○リトル(GUTSMAN)
1R 1分26秒、TKO(スタンドの蹴り)
●オ・ヒョプチャン(KOREAN TOP TEAM)

▼第3試合 フェザー級 3分3R
○杉山和史(TURNING POINT MMA/Hybrid Fighter)
1R 1分55秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●冨田翔市(パラエストラ東大阪)

▼第4試合 フェザー級 3分3R
○川那子 祐輔(秋本道場 Jungle Junction)
判定3-0
●DARANI DATE(Team DATE)

▼第5試合 ストロー級 3分3R
●前山哲兵(フリー)
判定0-3
○宮澤雄大(K-PLACE)

▼第6試合 フライ級 3分3R
○井上 学(C.A.C.C.スネークピットジャパン)
判定2-1
●杉山廣平(SPLASH)

▼第7試合 ストロー級 5分3R
●高島俊哉(リバーサルジム新宿 Me,We)
2R 0分55秒、KO(グラウンドのパンチ→タップアウト)
○野田遼介(ALLIANCE)

▼第8試合 フライ級 5分3R
―中村龍之(Lotus世田谷/56.95kg)
VS
―鈴木千裕(P’sLAB吉祥寺/59.95kg)
※鈴木の計量失敗のため、試合中止。

▼第9試合 バンタム級 5分3R
○福島秀和(BLOWS)
3R 0分53 秒、チョークスリーパー
●林 大陽(CAVE)

▼第10試合 フライ級 5分3R
○ライカ(RIGHT THING ACADEMY)
判定2-1
●エジナ・トラキナス(ROCHA TOP TEAM)

▼第11試合 フェザー級 5分3R
○中原由貴(マッハ道場)
1R 0分51秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
中村晃司(パンクラス大阪 稲垣組)

▼第12試合 フライ級 5分3R
●鈴木 万李弥(志村道場)
2R 2分38秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○シッジ・ホッシャ(ROCHA TOP TEAM)

▼第13試合 セミファイナル フライ級 5分3R
○上田将竜(緒方道場)
2R 3分51秒、KO(右ハイキック)
●小川 徹(TRIBE TOKYO M.MA)

▼第14試合 ウェルター級 5分3R
○手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)
判定3-0
●村山暁洋(GUTSMAN)

手塚裕之が猛攻の末に勝利し大晦日の出陣を希望!上田将竜が上田将勝の曲で入場し劇的KO勝利!初代バンタム級KOP井上学が7年ぶりの参戦で勝利!

第1試合


 1R。鈴木がローで様子をみる。思い切りのいいパンチで、宇野がダウン! カウント8で立ち上がる。
 蹴り中心に攻める宇野に対し、じわじわとパンチを増やして行く鈴木は、飛び膝一閃! 宇野が二度目のダウン! 続行不可能となり、鈴木がKO勝ち。計量失敗で試合が消滅した弟の分まで快勝した。
 パンクラスとREBELSのグループ化により、キックとMMAが同時参戦することが可能になった。次回は、兄弟揃って勝利を挙げたいところ。

第2試合


 修斗で闘った後、2014年から参戦しているリトル。昨年は1試合のみ、今年は2月大会で負けている。来年につなげるためにも、勝っておかなくてはならない試合だ。
 1R、お互いにパンチを振っていく。組んでバックに回ったリトルが、大きくジャーマンで投げる! 会場から歓声が上がる。すぐに立ったヒョプチャンだが、リトルの左フックがヒット。すぐに立ったものの、効いている。
 リトルはさらにミドルを効かせる。お腹を押さえたヒョプチャンに、さらにミドルを打ち込むとヒョプチャンがダウン! リトルがKO勝利を挙げた。

第3試合


 前日計量で「もう負けている時間はない」と語った杉山は1976年生まれの42歳。昨年は鈴木琢仁、堀江圭功に連敗を喫したあと、ナンバーシリーズ今年最後の大会で、今年最初の試合となる。

 対する冨田は、大阪で6連勝中。今年9月、東京大会に初進出し、木村一成に判定勝利を挙げている。ここで一気に連勝記録を伸ばし、さらに来年へのステップにしたいところだ。

 1R。前蹴りで距離をとる杉山に対し、パンチで前に出る冨田。しかし、杉山は打撃の圧力が半端じゃない。
 やや下り気味になってしまう冨田だが、果敢に片足タックル。粘り強く足を抱えるが、展開を作れずスタンドに戻る。
 杉山の前蹴りで吹っ飛ばされてしまう冨田。飛び膝で打開を狙うも、杉山はタックルに入らせず、パンチを当ててくる。富田もパンチで出るが、離れ側に杉山のフックがヒット、ダウン! 杉山は追撃に入りパウンド! レフェリーが試合を止めた。

第4試合


 前回のパンクラス参戦は2016年6月。2年半ぶりの参戦となった川那子。昨年10月のTTF CHALLENGE 07でダメージを負い、1年2ヶ月ぶりの試合となる。
 対するDARANI DATEは今年のネオブラッド・トーナメント同級準優勝。
計量では「今回はしっかりインド王族武術を披露して勝利します」と話している。悔いなく今年を締めくくることができるか。

 1R。いつものように斜  構えるDARANI。川那子はテイクダウン、パンチを落とすが、DARANIは上体を引きつけている。頭を抜いた川那子が立地、再びかぶさってパンチを落とし終了。

 2R。回し蹴りを見せるDARANI。組みに行った川那子がテイクダウン。一度立つとDARANIが蹴り上げる。再びかぶさる川那子に、DARANIは下から三角絞め。しかし極まらず終了。

 3R。DARANIが回し蹴り。入って行った川那子が抱えてテイクダウン。DARANIは腕をとるが、川那子は抜く。残り10秒で川那子がマウント。肩パンチを連打して終了。
 判定3-0で川那子が勝利。

第5試合


 前山は2016年よりパンクラスに参戦。順調に3連勝していたが、そのあと井島裕彰、八田亮に連敗。その前後に所属ジムから離れ、1人の足で歩く決断をした。「勝っても負けても自分の責任」と言う前山。前回8月には、高島俊哉に一本勝ちしている。連勝して今年を締めくくれるか。

 宮澤は、今年8月にパンクラス初参戦。初戦はプレリミナリーでリトルに敗れたものの、2戦目は本戦で御代川敏志と対戦。判定負けを喫したが、今回はランカーと組まれた大きなチャンス。絶対に負けられない一戦だ。

 1R。打ち合いから始まる。お互いに退かず、パンチを打っていく両者。前山のパンチで宮澤がダウン! 前山はかぶさるが、宮澤は立ちそう。がぶる前山。脱出した宮澤に、前山が左ハイ! 再び打撃戦に。
 宮澤のイキのいいパンチで吹っ飛ばされる前山だが、すぐに立って飛びヒザ、パンチと攻撃の手を休めない。しかし、宮澤の右パンチでフラッシュダウン! すぐ追撃に入る宮澤だが、前山が立って終了。

 2R。前山がパンチから片足タックルに入り、ケージへ押し込む。しかし、宮沢は尻もちをつくものの、背中をつけないようこらえる。そのまま顔面に細かいパンチを入れる宮澤。前山はケージへさらに押すが、引き込めない。
 残り30秒。宮澤が立つと、入れ替える。前山は離れ、打ち合って終了。

 最終ラウンド。打ち合うと、前山が片足タックルを仕掛ける。しかし、宮沢は床に背中をつけない。ひっくり返して立った宮澤はパンチで前に出る。前山には下がってサークリング。疲労が見えるか、やや力のない両足タックル。宮澤はまたも尻もちまで。
 前山はバックに回る。腕十字など最後まで仕掛けようとするが、極められず終了。
 判定は3-0で宮澤が勝利。

 今年4月ごろフリーとなった前山。計量では「今のところは勝ったり負けたりですけど、これから勝って行って、ベルトを目指せる位置まで行きたいです」と話していた。今回は苦い負けを味わったが、試せるものは何でも試して、自分のスタイルを作り上げて行ってほしい。
 また宮澤もイキのいいところを見せ、連敗を脱出した。来年も突き進んで欲しい。
 ホーンを聞いた瞬間、お互いの健闘を称えて抱き合った2人。前山23歳、宮澤24歳と、まだ若い両者のこれからが楽しみだ。

第6試合


 初代バンタム級キング・オブ・パンクラス、井上学が7年ぶりにパンクラスに帰ってきた! 2011年、石渡伸太郎に敗れてタイトルを失って以来の参戦となる。
 2012年からは修斗に参戦。初戦の堀口恭司には敗れたものの判定に持ち込み、次の佐々木憂流迦戦ではドロー。その後、2013年から2017年にかけて4連勝を挙げて、その粘り強いグラップリングは健在だ。

 対する杉山は2016年よりパンクラスに参戦し、ここまでの戦績は8戦5勝。今年のネオブラッド・トーナメントで準優勝している23歳だ。

 1R。両者ローキック。井上はヒジを振って見せる。杉山はパンチ。井上はタックルに入れない。組みにいくが、すぐに離れる。杉山の蹴り足を取った井上はケージへ押し込む。杉山はヒジ連打。しかし井上は入れ替えさせない。杉山が足をかけて倒す。残り20秒。杉山は殴るが、井上はこらえ、足を離さない。杉山が立ったところで終了。

 2R。片足タックルからケージへ押し込む井上。杉山はパンチで離れる。井上はローから片足をつかみ抱える。カメになるが、バックに回り、立ってケージへ押し込む。続いてハーフマウントへ持っていく。立った杉山だが、井上はケージへ押し込んでヒザ連打。終了。

 3R。ローから片足タックルを仕掛ける井上。どんなに抵抗されても絶対につかんだ足を離さない粘り強さは、いつ見ても驚異だ。そのまま押して行き、バックに回る。後ろに倒れるが殴る。絶対に離さない。なんとか逃げたい杉山だが、残り20秒。そのまま井上がキープして終了。
 判定は2-1だが、相手にほとんど何もさせず抑え切った井上が勝利。

 8年前、赤井太志朗に判定勝ちし、初代バンタム級王者となった井上。師であるビル・ロビンソンに向かい、涙でベルトを掲げたシーンは、パンクラスの歴史の中でも印象深いひとこまだ。
 2014年、偉大な師はこの世を去ったが、井上はその悲しみを乗り越えて闘い続けて来た。
 銀は、年月を経る間に、空気中にわずかに存在する硫黄分と反応して硫化銀となり、銀色がくすんでいく。これによって光沢は多少失われるが、それがかえって渋い味わいを醸し出し「いぶし銀」と呼ばれるようになる。この11月で40代の大台に乗った井上の存在は、まさにいぶし銀。派手な試合やアピールはしないが、ますます渋い味わいを見せてくれるはずだ。

井上 試合後コメント
「久しぶりに上がらせてもらったのは、新しくなったパンクラスに出てみたいという気持ちがあったからです。僕が以前上がらせていただいていた頃は、まだケージじゃなくて、ルールも今とは違いました。特に新体制になってからは以前とはすごく変わりましたよね。パンクラスのレベルが高いということも分かっていますし、僕が上がっていない間に強い選手がたくさん出て来ていて、やってみたいなと思いました。
 会場もディファ有明じゃなくて違う場所ですし、選手も観客も変わっているんですけど、雰囲気はやっぱり『パンクラス』でした。
 相手はネオブラッドで準優勝している選手で、組んでみて、しっかりしている選手だなとわかりました。
 でも、3分は難しかったです。僕の闘い方だと5分の方が向いていますし、その方が得意なので、次は是非5分3Rで闘いたいです。今はパンクラスのランカーも知らない選手が増えて来て、触れたことのない選手がたくさんいます。そういう強い選手と組んでいただけたら嬉しいですね」

第7試合


 昨年と今年のネオブラッド・トーナメント王者同士の一戦。
 昨年の王者・高島は2016年からパンクラスに参戦。今回からは所属を変えている。今年は2戦1勝。

 対する野田は、昨年12月にプロデビュー。今年はネオブラッド以降、間隔が開いており、最終戦に登場となった。

 1R、パンチで出る高島。野田もパンチ、ローを返す。高島がタックルからテイクダウン。野田は下から殴る。高島がハーフマウントになるが、立つ野田。高島がケージへ押していきバックを取る。野田がバックを取り返すと、高島が殴る。
 残り1分。反転した高島がパウンド! しかし、野田は立ってケージへ押す。再び高島が倒してハーフマウントとなるが、野田が立ってパンチを出したところで終了。
 ジャッジは三者10-9で高島。

 2R。高島が片足タックル。しかし、野田がリバースしてマウント! パウンドを打ち込む。高島はカメになり、野田はバックマウンからのパウンド。高島がタップ、野田がKO勝ちを収めた。

野田 ケージ上コメント
「マイクをもらえると思っていなかったので、何を話したらいいか考えていなかったです。皆さん、僕のことを知らないと思いますが、プロになって負けてないです。4連勝しています。日本も世界も、この階級は選手が少ないので、僕が先頭に立ってストロー級を盛り上げたいです」

第9試合


 2014年から参戦し、コンスタントに試合をしている福島。今年は2戦1勝。前戦は7月の大阪大会で、メインを務め、山本哲也に判定勝ちを収めている。試合後「試合ごとに成長を見せて、チャンピオンに近い人間というところを示していきたい」と話した福島。勝利で今年を締めくくって、さらに一歩ベルトに近づけるか。

 対する林は、同級王者・石渡伸太郎と同門。石渡の薫陶を受け、厳しい練習を行っている。前戦(今年9月)は初の国際戦でTKO勝ちを収めた。現在5連勝中。さらに星を伸ばすか。

 1R、パンチを打っていく林。プレッシャーをかける。しかし、林がパンチで出たところに、福島が放ったローがローブローとなりタイムストップに。
 再開すると、福島がパンチからタックル、ケージへ押し込む。林は首をギロチンに抱えている。倒されるが、離れてスタンドに戻る。林がパンチ、左ハイ。福島は片足タックルを仕掛けるが、林が切る。残り30秒でまた福島がタックルに入るが、林は立って殴り終了。
 ジャッジは三者10-9で林。

 2R。林がパンチでプレッシャーをかけていく。福島がパンチで出て片足タックル。林が切る。スタンドで打ち合うが、両者ともに決定打がない。福島は粘り強く片足タックルに入るが、林は付き合わない。
 福島は打撃でプレッシャーをかけていき、残り30秒でタックルからテイクダウン! 残り20秒でマウントを奪うが、そのまま終了。
 ジャッジは二者10-9で福島、1人が林を支持。

 3R。パンチを打っていく福島。林は飛びヒザに出るが、福島が組んでテイクダウン。マウントを奪った! 回って背中を向けた林。福島はバックマウントからチョークへ。林がタップアウト。

福島 ケージ上コメント
「今日は試合を見ていただいて誠にありがとうございました。いい勝ち方ができたら言おうと思っていたことがあります、
 自分が履いて闘っているファイトパンツは、亡くなった仲間・呑谷尚平が生前使っていた形見です。それを履いて試合をしています。彼は『死ぬよりも、忘れられることの方が辛い』と言っていました。だから、僕はこれを履いて試合をしています。
 このパンツを見たら、呑谷のことを思い出してやってください」
(※呑谷尚平……2012年修斗新人王準優勝。しかし、2015年3月、扁平上皮がんを発症。病気と闘うも、2016年1月24日、27歳で死去)

第10試合


 ライカは2015年よりパンクラスに参戦。JEWELS、RoadFC、GRANDSLAMで6連勝していたが、今年7月、2年ぶりのパンクラスでクセニヤ・グーセヴァに判定負け。パンクラスでは2連敗となる。今回は「今はMMAに完全にシフトしています。これから、MMA選手として完成させたいです。ボクサーと思われたくない」と語っていたライカ。「見えつつある」というMMA選手としてのスタイルの片鱗を示すことができるか。

 対するエジナはブラジルから初来日。本来はストロー級の選手だという。空手とムエタイを経験しているが、MMAはダイエットのために始めた。プロデビュー4年、7勝4敗1分の戦績を持つ。2人の子供を持つ母親でもあり、子供たちはテレビ観戦で応援しているという。「2人の子供は私の一番のファン。勝利をプレゼントしたい」と語っていた。

 1R。エジナがしょっぱなから打撃で飛ばす。大きく振るパンチの圧力がすごい。パンチも蹴りも振りが大きく、スピードもある。外国人男子選手のような力強い打撃でたたみかけてくる。ライカはタックルに入りたいが、タイミングがつかめない。しかし、エジナがバランスを崩した隙をつき、入ってケージへ押し込む。エジナはボディに膝を入れまくる! とにかく勢いとスピードが素晴らしい。
 入れ替えたエジナは殴って離れ、左ハイ、左右ボディと攻めまくる。ライカが組むと、首を捉えて膝連打。残り20秒でブレイクとなり、打ち合って終了。
 ジャッジは三者10-9でエジナ。

 2Rもパンチ、蹴りをどんどん出していくエジナ。ライカは防戦一方に。しかしタックルに入り、ケージ際でテイクダウン。エジナは首を抱えているが、ライカは首を抜き、離れてスタンドに。
 再び組むライカは、テイクダウンしてボディ連打。しかし離れると、エジナもすぐに立つ。
 ライカが組むとエイジは首を捉えるが、ライカが殴って終了。
 ジャッジは三者10-9でライカ。

 いよいよ最終ラウンド。エジナのパワーは衰えを見せず、大きく鋭いパンチを振っていく。ライカはパンチを出さず、タックル狙い。タックルでケージへ押し込むが、テイクダウンできないままブレイク。
 ここにきて、ライカがパンチを出した! エジナが初めて下がる。しかし、パンチ、左ハイで押しまくり、打ち合いに。ここでライカがタックル、ついにテイクダウンを奪う! エジナはガード。ライカがボディを連打すると、会場はライカのパンチに合わせ拍手が沸き起こる。コツコツ殴っていくライカ。残り30秒!
 ライカはそのままエジナを叩きつける。さらに二度叩きつけた後、ボディを殴ると終了のホーンが鳴った。手を突き上げるライカ。
 ジャッジは2-1でライカが辛勝。
 ライカの、ボクサーとしての過去の栄光を捨て、MMA選手としてやっていく覚悟が見えた試合だった。今後のさらなる成長に期待したい。
 一方、エジナの打撃の圧力はかなりのもの。テイクダウンされた後の対策など課題は残るが、女子でここまでの打撃を持つMMA選手はそう多くないのではないか。前に前に出て行く気持ちの強さも含め、是非また見てみたい選手だ。

第11試合


 2015年から参戦している中原は、現在6連勝中。海外での試合を熱望し、予定は組まれていたが、実現はしなかった。パンクラスでの最後の試合は昨年10月で、規定の日数をすぎたため、現在はランク外となっている。

 対する中村は、2009年よりパンクラスで闘ってきた。ライト級で岡澤弘太、久米鷹介、児山佳宏ら強豪と闘ってきたが、2014年11月大会よりフェザー級に転向している。今回は、怪我で欠場した中島太一の代役として緊急参戦が決まった。今年は10月にDEEP、11月にはRoadFCに参戦しており、3ヶ月連続での試合となる。

 1R。ローで様子をみる中村に対し、中原がパンチで出る。中村はミドル。中原は組むが、蹴って離れると左パンチをヒットさせる。中村ダウン! すぐに立ったが、中原はパンチからヒザ。中村を追い、左右のパンチでダウンを奪い、中原パウンドで追撃。中村は続行不可能と見てレフェリーが試合を止めた。

中原ケージ上コメント
「中村選手、直前のオファーなのに受けてくれてありがとうございました。勝てたのは、応援してくれている人のおかげです。感謝しています。
 これで7連勝になったんですが、いま僕はランキングに入っていません。この階級にはチャンピオンが2人いますが、キングは自分だと思っています。次は誰が(試合を)やってくれるのか、楽しみです。生意気言いました、すみません。次も頑張ります」

第12試合


 パンクラス初参戦の鈴木はキックボクサーだが、MMAにも活動の場を広げている。計量で「今後もMMAとキック、両方やっていくつもりです。」と語っている。MMA戦績は韓国で2戦して1勝1敗。

 ホシャは元プロバレーボール選手で、20年のキャリアを持っている。MMAを始めたのは3年前だが、すでに16戦し9勝5敗2分の戦績を持つ。

 1R。打ち合う両者。鈴木のパンチでシッジがダウン! そのままパウンドに入ろうとするも、シッジがタックルで上になる。シッジはマウントからバックに回り、首を狙う。さらにバックマウントから殴る。鈴木は動けない。なんとか上体を起こすが、シッジはバックを取ったまま立ち、剥がして投げる! ハーフマウント。しかし、鈴木が上になる。残り2分。
 返して上になったシッジが殴る。サイドに移行し、ヒジ連打! エビで返そうとする鈴木だが、シッジはガッチリ押さえて変えさせない。パンチ、ヒジ、肩パンチとシッジが攻めまくって終了。
 ジャッジは三者10-9でシッジ。

 2R。鈴木がパンチでダウンを奪う。しかし、すぐに立つ。シッジはロー、パンチからタックル、テイクダウン! 鉄槌を見舞う。サイドからパンチ。さらにマウントに移行し、パウンドラッシュ! 鈴木は返すことができず、レフェリーが止めた。

第13試合


 上田は2013年よりパンクラスに参戦、同年ネオブラッド・トーナメント スーパーフライ級で優勝している。昨年2月、翔兵に判定負けを喫したものの、その後3連勝中。

 対する小川は2014年よりパンクラスに上がっており、2015年ネオブラッド・トーナメント スーパーフライ級を制している。今年2月、翔兵に敗れているが、7月にはタテキ・マツダに1ラウンドTKO勝ちし勢いに乗る。

 このカードは、昨年8月の再戦。上田が判定2-1で勝ち、小川の7連勝を止めている。上田3位、小川4位とベルトを狙える位置にはあるが、両者ともに2位・翔兵に敗れている。それだけに、お互い絶対に負けられない一戦だ。

 1R。プレッシャーをかけていく上田。ローからパンチを入れた小川が、ボディにも当てていく。上田がタックルからケージへ押し込み、投げる。小川はすぐに立つが、上田が再びケージへ。
 残り2分。離れた。上田が低いタックルに入るが、小川は潰してかぶさる。上田が引き込むと、小川はボディ連打。上体を引き付けたい上田だが、小川は防いでいる。上田が腕狙い! 小川が腕を抜くと、上田は下から蹴り上げる。
 ジャッジは三者10-9で上田を支持。

 2R。上田、前蹴りで距離を取る。小川は上田の組みをいなし、ロー、右パンチ。上田の片足タックルを避けてロー。左ボディブローがヒット!
 上田はタックルに入るが、小川は付き合わない。やや攻めあぐねている上田は動きが止まっている。小川はロー。「フゥ!」と息を吐き、ロー、ボディブローと攻めていく。上田はパンチを出すが、組みに入れない。しかし、このとき、上田の右ハイがヒットし、小川がダウン! 小川はリベンジ成らず。

上田 ケージ上コメント
「応援ありがとうございました(涙ぐむ)。この試合が決まってから、ずっと怖くて怖くてたまりませんでした。でも、5月に娘が生まれて、その子の顔を見ると、努力する親父の姿を見せたくて、一所懸命頑張りました。
 自分は福岡の田舎出身で、福岡からプロになるのが夢でした。福岡から東京に呼んでもらえるのが夢で、その夢をパンクラスが叶えてくれました。いまの夢はベルトを巻くことです。次はタイトルマッチをやらせてください」

 前日計量では「ポイズン(※テーマ曲にしている反町隆史の曲)かまします」と話していた上田だが、入場の際に流れたのは長渕剛の「JAPAN」だった。この曲は、先ごろ引退した上田将勝が入場曲として使っていたもの。名前が似ていることから交流がある二人ゆえ、粋な演出かと思われたが、なんと間違いでかけられたものだった。
 しかし、上田将竜が動揺せず闘えたのは、信頼する先輩・上田将勝の存在を感じたからかもしれない。勝ち名乗りのとき、改めて「ポイズン」が流れ、ケージを降りた上田は、通路で見ていた先輩と強く握手していた。

第14試合


 2015年からパンクラスに参戦している手塚。そのフィジカルと、野獣のような攻撃でインパクトを残してきた。軽トラックを両手で押したり、田んぼの中を歩いて足腰を鍛えるなど、ユニークなトレーニングであのフイジカルを作っている。
 今年は、グライコ・フランサ(同級現王者)に判定まで持ち込んだ手塚。キャリアは8戦だが、そのうち5勝すべてがKO勝ちという内容だ。今回もKOを狙う。

 対する村山は第9代同級王者。2016年3月、鈴木槙吾からタイトルを奪取するも、10月の次戦で三浦広光に敗れ王座陥落。
 昨年12月、1年2ヶ月ぶりのパンクラス再起戦では佐藤天に敗れるも、今年5月には奈良貴明にチョークスリーパーで勝利し、存在感をアピールした。
 タイトルを一気に狙う手塚か、返り咲きを狙う村山か。

 1R、手塚がプレッシャーをかけていく。村山はパンチを出しながら回る。手塚は左ハイ、ロー、パンチで積極的に攻めていく。手数が少ない村山に対し、「来い、来い」とアピールする手塚。さらに舌を出して見せる手塚。「元王者なんて大したことない」と挑発か。
 さらに強いパンチを振る手塚。村山は攻めあぐね、回りながら下がってしまう。攻撃の手を休めない手塚。終了間際、組みにいった村山だが、引き剥がされ、さらに蹴りをもらってしまう。
 ジャッジは三者10-9で手塚。

 2R。フェイントをかけ、大きくパンチを振る手塚。打ち合いになる。村山は組みたいが入れない。手塚はロー、ハイキックと攻めていく。手塚が一方的に攻めて終了。ジャッジは三者10-9で手塚。村山はやや疲れが見えるか。

 3R。ロー、パンチと攻めまくる手塚。村山がパンチをもらい始める。ローを明らかに嫌がる村山。効いてきている。村山はタックルに入るが切られ、左ミドルをもらう。ボディブローをヒットさせている手塚。右ハイ! 村山もパンチを出してはいるが、単発に終わってしまう。残りわずか、最後の気合をいれるように叫んだ手塚がラッシュ! 打ち合って終了。
 判定は3-0で手塚が勝利。

手塚 ケージ上コメント
「ありがとうございました! KOしたかったけど、相手が巧くて最後までいってしまいました。また軽トラを押して鍛えてきます。
 大晦日、チャンスがあるなら出してください。駆け上がります!」

(写真・文/佐佐木 澪)

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