PANCRASE299に出場の中島太一が公開練習!ロシア武者修行帰りの中島は「ワンパンで倒します」と勝利に自信!

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 都内新宿区のSkyLive-Rで、中島太一(パラエストラ東京)が公開練習をおこなった。

 中島は、「PANCRASE 299」(9月9日、スタジオコースト)で田村一聖(KRAZY BEE)と対戦する。
 公開練習では、土居進トレーナーのもと、マシンを使ったサーキットトレーニングを披露。短い時間だが、強度の高い運動で、中島は苦しそうな表情を見せながらもやり切った。
 中島のパンクラス参戦は2015年11月のハワイ大会以来、2年9ヶ月ぶり。そのあいだ、ロシアの格闘技大会「ACB」に参戦、2勝3敗の成績を残している。ACBでの体験や、再びパンクラスに参戦することになった経緯を聞いた。

――このトレーニングはいつ頃からやっているのですか?
「デビュー前からなので、もう7年くらい続けています。始めたきっかけは、中井(祐樹)先生と土居先生が雑誌で対談をしていたんです。それで土居先生の存在を知り、中井先生に『(土居先生のもとで)強くなれますか?』と聞いたら『なれるよ』と言われたので、指導を受けることにしました。基本的に週2回通っていて、体調など考慮しながらお世話になっています」

――手応えはいかがですか?
「間違いなく強くなっていると思います。スタミナ面もですし、メンタル面もですね。合同トレーニングもあって、朱里選手や悠太選手など有名な選手がたくさんきています。その時はみんなで励まし合って頑張っています」

――このほかの練習環境は?
「パラエストラ東京のほか、ロータス世田谷にも行っています。最近はカルぺディエムにも行くようになって、岩崎(正寛)さんや世羅(智茂)さんにお世話になっています。
 最近は、グラウンドの練習が多いかもしれません。以前は打撃で倒すということに憧れがあったんですけど、やはり自分は寝技の選手なんだなと思うんです。試合でヤバくなった時はグラウンドにいってますから。きちんとグラウンドで勝ちたいと思って、今いろいろ試しているところです」

――パンクラスから離れていた間、ロシアのACBに参戦されていましたね。
「まだ契約が終わったわけではないんですけど(笑)。ACBに参戦したおかげで、格闘家として強くなっただけでなく、人間として成長出来たと思っています。特に、アウェイの辛さというのを思い知りました。日本で闘って帰っていく外国人はすごいなと思います。尊敬しますね。アウェイで闘うのは本当に辛かったですけど、すごく勉強になりました」

――ACBに参戦したきっかけは?
「ONEと契約はしたものの、放置されたじゃないですか。もともと海外に行きたかったので、契約できて海外モードになっていたのに……。それで、自分からいろんな団体に売り込みました。そこで最初に返事が来たのがACBだったんです。その頃、まだ日本人が誰もいなかったので、すぐに契約できて、コンスタントに試合ができました。タイミングが良かったと思います」

――外国の大会と日本の大会、違いは?
「もう全部違いますね。以前、パンクラスで、僕に負けた相手が『減量に苦しんだ』と話していたことがあるんです。そのとき、だったら自分はアウェイでも勝ってやるよと思ったんです。アウェイで勝てる選手こそ本物だと思います。だから、ロシアを選んだという部分もあります。
 アウェイで勝つには、メンタルの強さが必要……いや、メンタルだけだと思います。いかに呑まれないか。敵地では、観客も全員、敵ですから」

――外国で闘ってみて、変わったところは?
「考え方ですね。以前は、負けられない、勝たなきゃいけない、と勝敗のことばかり考えていました。でも、まずはそこじゃないと思うようになったんです。全力を出して闘うこと、それを飛ばして結果はない。どの試合も、1つ1つがそれまでの集大成ですよね。だから、全力を出して悔いのない闘いをすればいいんじゃないかな、そう思うようになりました」

――以前、試合前に遺書を書いて覚悟を示しましたね。
「あれは決して欲しいです(笑)。あの頃は、青木(真也)さんみたいに、試合以外でも何かやりたいと思っていたんです。でも、確かに覚悟はありました。ダサイ試合だったかもしれないですけど、限界は突破しました。もう最後の方は手とか動かなかったですから」

――そこで、再びパンクラスに上がるのは?
「ABCに選手が増えて来ていることと、負けもあるので、少し厳しいかなということで、海外のほかの団体に連絡をとって、2〜3やり取りしていたんですけど、すぐには決まらなくて。そんな時にパンクラスさんからオファーを頂きました。でも、やはり海外でやりたかったので迷っていたんですけど、人から『選んでいる場合じゃないぞ』とビシッと言われて。それに、自分は流れに身を任せる方なので、こうなったのも運命かなと。いいタイミングで、やるべくしてやることになったんだなと思って、出場を決めました」

――相手についてはいかがですか?
「パンクラスに上がらせていただくにあたって1つだけお願いしたのが『ワクワクするような選手と闘いたい』ということでした。僕の中でワクワクする相手といったら高谷(裕之)選手、ISAO選手、田村(一聖)選手、日沖(発)選手、そしてチャンピオンの(ナザレノ・)マレガリエ選手とか。高谷選手なんてすごくワクワクしますし、トップにはワクワクする人がたくさんいます。その中で田村選手と組んでもらえることになって。頭の中にあった相手ですし、申し分ないです。田村選手はUFCに上がっていたということよりも、やはり元チャンピオンということが大きいです。強いですし、地力がある選手だと思います。
 田村選手については、悪い意味ではなくコレといったイメージがないですね。最近の試合のパンチはチェックしてみたんですけど、ストレートではなくて大振りな感じでした。大振りなパンチは僕には当たらないです。これは過信ではなくて、スパーリングでももらったことがありません。ストレートの方が怖いですね。負けるとしたら、大振りのパンチで突っ込まれたり、押し込まれたりしてテイクダウンされてポイント負けというのが考えられますけど、壁レスリングとか、足りなかった技術をすごいやってるので心配はしていません。
 パンチの練習もメチャクチャしています。相手が来たら、逆にタックルで倒して、相手の裏を衝いて行く闘い方がいいと思っています。簡単にはいきませんけど」

――田村選手は若手キラーと呼ばれていますが。
「若手でもベテランでも、闘うということは同じです。関係ないと思っています。僕は相手に惑わされません。自分の持っている力を出して最後まで諦めない、そういう闘いをするだけです」

――どんな勝ち方をイメージしていますか?
「まず絶対、自分に負けないこと。自分に勝たないといけないです。その上で、ワンパンですね。ワンパンチで倒します。そして会場を走ります! 勝つと会場を走りたくなるんですよ。狭いところでワーッとやってるんじゃなくて、外に出たくなるんです」

――パンクラスは今年から会場が変わりました。
「気持ちはロシアでやるより楽ですね。いろんな人が応援にきてくれるので、みんなのために闘いたいです。ロシアで2年半やってきて、自分の価値は高められたと思います。強くなったところ、成長したところを見せられるのが楽しみです。ここでも勝って走りたいですね。走るスペースありますかね?」

――大丈夫だと思います。さて、今後については、どのように考えていますか?
「今はまだ、その先は考えていません。でも、いい流れが来ることを信じています。パンクラスに継続参戦するか、また海外に行くかはわからないですけど、何かしらいい流れが来ると思いますし、その時にいい判断ができると自分自身のことも信じています。これまでも、自分で間違った選択はしていないと思いますし、後悔もしていません。次に来たものを選んで、自分の道を切り拓いていく、それだけです」

 かつては、その発言や行動から、とんがったイメージのあった中島だが、2年半の間に落ち着いた雰囲気の大人になっていた。しかし、決して牙が抜けたわけではない。「角は取れても丸くならない」という印象だ。自分の道を自分の力で切り拓いて行く。現在のこと、過去のことを話す中島は、バイタリティに溢れていた。ここにも、格闘技が好きでたまらない選手がいる――。当たり前のことかもしれないが、改めてそう思った。ロシアでの2年半は、中島を大きく成長させたようだ。
 久しぶりの日本での試合。中島の成長ぶりとともに、どんなインパクトを残すか楽しみだ。


(写真・文/佐佐木 澪)

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