【試合結果】8・5 PANCRASE新木場大会 【ストロー級QOP】ヴィヴィアニ・アロージョvs藤野恵実 ローマ・ルックブンミーvs華DATE 八田亮vsマーカス・アマラウ

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『PANCRASE 298』
日程:2018年8月5日(日)
開始:16:30
会場:新木場 スタジオコースト
観衆:2039人・満員

【プレリミナリーファイト】
▼第1試合 ストロー級 3分3R
○リトル(GUTSMAN)
1R 0分15秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●宮澤雄大(K-PLACE)

▼第2試合 フライ級 3分3R
○水谷健人(AACC)
3R 0分23秒、腕十字
●池田一歩(Brave Heart)

▼第3試合 フライ級 3分3R
●渡辺竜也(MAX GYM/RINGS)
判定0-3
○三澤陽平(ALLIANCE)

▼第4試合 フェザー級 3分3R
●渡辺謙明(パラエストラ東京)
判定0-3
○櫻井裕康(NEVER QUIT)

【本戦】
▼第1試合 フライ級 3分3R
●安永有希(東京イエローマンズ)
判定0-3
○中村龍之(Lotus世田谷)

▼第2試合 ストロー級 5分3R
●高島俊哉(フリー)
1R 4分24秒、チョークスリーパー
○前山晢兵(フリー)

▼第3試合 ウエルター級 3分3R
○手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)
3R 1分18秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●KAZZ(GRABAKA)

▼第4試合 フェザー級 5分3R
○内村洋次郎(イングラム)
1R 2分12秒、KO(右ハイキック)
●ヴィトル・トファネリ(Team Brazillian Thai)

▼第5試合 フェザー級 3分3R
●牛久絢太郎(K-Clann)
判定0-3
○ユータ&ロック(秋本道場Jungle Junction)

▼第6試合 フライ級 5分3R
●荻窪祐輔(K-PLACE)
1R 3分40秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○秋葉太樹(総合格闘技道場reliable)

▼第7試合 ミドル級 3分3R
○新村優貴(フリー)
判定2-0(アクシデントにより2Rまでの内容で判定)
●林 源平(和術慧舟會IGGY HAND’S GYM)

▼第8試合 ストロー級 5分3R
○八田 亮(ストライプル オハナ)
2R 1分48秒、フロントチョーク
●マーカス・アマラウ(Nordeste Jiu-Jitsu)

▼第9試合 セミファイナル アトム級 5分3R
○ローマ・ルックブンミー(TIGER MUAY THAI)
2R 4分32秒、TKO(グラウンドの肘→レフェリーストップ)
●華DATE(Team DATE)

▼第10試合 メインイベント 第2代ストロー級クイーン・オブ・パンクラス決定戦 5分5R
○ヴィヴィアニ・アロージョ(CERRADO MMA)
3R 0分19秒、TKO(藤野の怪我により試合続行不可能)
●藤野恵実(FIGHT FARM)
※ヴィヴィアニが第2代女王に

ヴィヴィアニが藤野恵実を撃破しストロー級QOP戴冠!ルックブンミーが華DATEに完勝!団体史上初の女子によるセミ&メインの大会に

第1試合


 2011年よりパンクラスに参戦している安永。同年ネオブラッド・トーナメントのスーパーフライ級で優勝、タイトルにも2度挑戦している。ファイトスタイルは独自の「ダンシングMMA」だが、5連敗中。「1勝できれば勢いに乗れる」という安永、今回こそはどうしても1勝を挙げたい。

 対する中村は2015年よりパンクラスに参戦。11戦しているが、これまではすべてプレリミナリーファイト枠だった。しかし着々と経験を積み、ついに本戦登場。元ランカーを破り、さらにステップアップしたいところだ。

 1R。安永が左右スイッチしながら回る。中村はカカト落としを見せ、プレッシャーをかけていく。安永はパンチからタックル。ケージへ押し、バックを取る。ヒザ、蹴りを連打するが、中村はこらえて正対する。中村の入れたヒザを安永がキャッチしたところで終了。

 2R。安永が中村のヒザに合わせて片足を捉え、ケージへ押し込む。中村は殴り、ヒザを入れて入れ替えたい。安永も踏ん張るが、中村が入れ替え! しかし安永もすぐに戻して片足を抱えている。中村が首を狙う。安永苦しいが、外れる。中村が上になり、ヒジ連打。安永が耐えて終了。

 3R。安永がタックルからケージへ押し込む。中村はヒザ。さらに押し込む安永。続いて回転し上になるが、中村はすぐに立つ。安永はタックルに行くが、中村がガブる。中村はケージへ持っていき、ヒザ連打。首に腕をかけるが終了。
 二者30-27、1人が29-28の3-0で中村が勝利を挙げた。

第2試合


 高島は昨年のネオブラッド・トーナメント ストロー級優勝。今年は2月にリトル戦で判定勝利している。今回はフリーとなっての初戦だ。

 前山は2016年よりパンクラスに参戦。リトル、江泉拓哉に勝利しているが、現在は井島裕彰、八田亮に2連敗中。しかし、小兵ながらアグレッシブなファイトスタイルが印象的で、負けた試合でもキレのいい動きで会場を沸かせている。今回は連敗を脱したいところだ。前山もフリーとなっての初戦。

 1R。大きくパンチを振る前山。高島はプレッシャーをかけながらロー、右ジャブ。前山は左右に動いて翻弄する。パンチからケージへ追い込んだ前山が、片足を取り倒す。高島は立つが、前山はバックに回り、チョークを狙うが外されてしまう。バックを取り直し、再びチョーク! 今度は見事に極まり、高島がタップアウト! 前山が1本で連敗を脱出した。

 1R。手塚が左右パンチを打ち込む。KAZZは左ハイキック。手塚はパンチで出る。KAZZはタックルに入るが、手塚はこれを潰しバックを狙う。KAZZはヒジ。手塚は残り60秒で立つと同時にパンチ。さらにKAZZのタックルを切り、パンチ。KAZZは効きグラつくが、さらにタックル。手塚が切って終了。

 2R。お互いロー。打撃で攻める手塚にKAZZはタックル。しかし手塚は切ってパンチ。KAZZも打撃に切り替え、パンチを出して行く。KAZZの右パンチで手塚がフラッシュダウン! しかしすぐ立ってテイクダウン。こするようなヒジ、さらに立ってパンチを落とす。終了。

 3R。パンチを打ち合う両者。KAZZはタックルに入るが切られてしまう。手塚はさらにパンチで攻め、左フックからアッパー。KAZZダウン! 手塚は素早く追撃すると、レフェリーが止めた。

手塚「面白い試合をしてベルトを狙います!」

第3試合


 内村は2013年9月のマルロン・サンドロ戦のあとパンクラスを離れていたが、2016年6月に復帰。日沖発、田中半蔵、松嶋こよみと3連敗を喫したが、その後は2連勝。しかし、前回(今年4月)は、以前の練習仲間・牛久絢太郎
に判定負けしている。ストライカーのイメージが強い内村だが、今回はどのような試合を見せてくれるか。

 対するトファネリはブラジルのキック団体の王者。内村とは噛み合うか。

 1R。トファネリがロー。内村もジャブ、ロー。トファネリはやや距離をとっているが、内村はパンチで入って行く。しかし、トファネリの打撃が目に入りタイムストップ。
 再開。内村が右フック。トファネリは回し蹴りで応戦する。内村は攻撃の手を緩めず、向き合った状態から左ハイ! これがトファネリの頭部にヒット、トファネリがダウン! 内村が劇的なKO勝利!

内村「久しぶりにマイクを持ちました。最近、負けたり勝ったりでトップ戦線に絡んでいませんでしたが、自分も残り少ないので、やりたい人がいます。高谷(裕之)さん! お願いします!」

第4試合


 1R。牛木が大きくパンチを振って出る。そのまま組んでケージに押し込む。入れ替え合い、ユータがケージに押す。牛久はボディブロー連打。さらにヒザを打ち込む。ユータもヒザを返すが、ブレイク。
 ユータがタックルを仕掛けると、牛久は尻餅をつくが耐える。しかしユータがテイクダウン。バックを取る。牛久が立つと、ユータはケージへ押し、バックを取ったまま崩す。腕を絡めている牛久。しかしユータが上になって終了。

 2R。ユータが左右パンチから組んでケージへ押し込む牛久は肩パンチ。しかしブレイクがかかる。
 今度は牛久が低いタックルからテイクダウン! ユータは立つが、牛久は片足を捉え、ケージへ押して倒す。バックに回るユータ。さらに回る牛久。ユータは立ってケージへ押すが、牛久が投げてテイクダウン。しかし、ユータが反転して上となる。牛久が立つと、ユータはケージへ押し込む。

 3R。ユータけっこう汗をかいている。ユータはパンチを出そうとすると、牛木が受け止めるように組む。ユータがケージへ押し込むパターンとなりブレイクがかかる。
 再びユータが組んで押し込む牛久は離れたいが、ユータは離さない。牛久が立つと、ユータは正対しケージへ押す。ユータが倒すと、牛久はガード。殴るユータ。牛久は下からヒジを入れるが、そのまま殴られて終了。
 二者30-27、1人が29-28の3-0でユータが勝利。

アキラ あいさつ

アーセン・バティロフの計量オーバーのため、試合が消滅してしまったアキラ(フリー)がケージイン。ファンにあいさつした。
アキラ「本当ならこの場で、皆さんの前で試合をするはずでしたが、試合が消滅してしまいました。今回、調子が良かったので、次戦までにもっと上げて、いい試合をお見せしたいと思います」

第5試合


 荻窪は2012年よりパンクラスに参戦。デビューから3連敗するも、その後8連勝。2014年にはネオブラッド・トーナメントのスーパーフライ級で優勝している。2016年は3連敗を喫してしまったが、その後は2勝1敗。しかし、勝っても負けても相手に食らいついて行く精神力が強いインパクトを残す。今年は3月、倉岡幸平戦で勝利。連勝して勢いをつけたいところだ。

 対する秋葉は、デビュー以来、地元・関西の大会で活躍してきた。今年3月、ついに東京進出を果たし、タイトル挑戦経験もあるベテラン・安永有希にKO勝ち。東京のファンにも大きなインパクトを残した。連勝してランキング上位を狙う。

 1R、フェイントをかけながら回る荻窪。秋葉は回し蹴り、右パンチ、左ハイキックと打撃でたたみかける。荻窪は、秋葉のパンチを受け止めるように組むが、グラウンドには持ち込めず。さらに荻窪が組んでテイクダウン! しかし、秋葉は跳ね返すように立つ。
 パンチの打ち合いから、秋葉が中に入ってパンチ連打。顔面にヒットし、荻窪ダウン! 追撃に入った秋葉をレフェリーが止めた。
 ケージに登り、アピールする秋葉。東京2戦目も大きなインパクトを残した。

第6試合


 昨年11月、ロッキー川村にリベンジを果たし第14代王者となった新村。王者初戦はノンタイトルでの試合となった。

 対する林は、昨年までライト級で闘いランキングにも入っていたが、最強を目指すには重量級でと一気に2階級を上げた。DEEPで水野竜也、長谷川賢ら王者クラスと闘うも連敗。パンクラス復帰戦は王者との対戦となった。
 お互い、打撃を得意とするストライカー同士の対戦。

 1R、いきなり打ち合って行く両者。林はパンチ、跳びヒザとアグレッシブに攻める。林、ロー、ボディ。王者を恐れず、どんどん入って行く。林は新村を押し倒すが、新村はすぐに立つ。新村は焦らず、林の攻撃を受けて返しながら様子をみる。インターバル中も椅子に座らない林。

 2R。王者に向かって行く林の目力が素晴らしい。しかし、開始すぐにタイムストップ。林にドクターチェクが入るが、すぐ再開。
 林は攻撃の手を緩めず、パンチで出る。タックルから新村をケージへ押し込む。新村はヒザ連打。林は突き放す。再びケージへ押すが、展開なく離れる。
新村パンチ。林がバランスを崩すと、すかさずかぶさる。新村はバックを取りケージへ押してラッシュ。体格で優る新村がパンチで攻め込む。林に疲れが見えてくる。後半は新村が攻めて終了。

 3Rも開始すぐにタイムストップがかかり、林にドクターチェックが入る。林が左こめかみをカットしており、骨折の疑いがあるということで、試合はここでストップ。お互いのバッティングによるものということで、ここまでの内容で判定が下された。
30-27、29-29、30-28の2-0で新村が勝利。

第7試合


 元ZST王者の八田は2016年よりパンクラスに参戦。現在ランキング3位で、初の国際戦に挑む。

 対するは、「リトル・スパイダー」ことアマラウ。柔術で黒帯を持ち、母国ブラジルでは2013年ごろからMMAの大会で優勝を重ねているという。

 1R。ミドルから片足タックルに入る八田。ケージへ押して行き、倒したい。片足でこらえているアマラウ。胴に組み付いた八田。アマラウが潰すようにして上になり、ヒジ。八田は立つと投げ、回して上に。さらにマウントを奪ってパウンド。残り2分、攻める時間は十分ある。アマラウはハーフガードに戻すと返して上に。八田はヒールホールドを狙うが、これは極まらない。しかしまた上を奪取。アマラウは下からヒジを打ち終了。

 2R。八田が片足タックル。ケージへ押して行く。アマラウは片足でこらえながらヒジやパンチで抵抗する。さらにそのまま飛びヒザ! 八田は引き込むように下になると足を狙う。起き上がるアマラウを、ギロチンに抱えた八田は後転してマウントに。さらに絞めるとアマラウがタップ! 八田が見事な1本勝利を挙げた。

八田「全国70万のMX、Abemaをご覧の皆さま、ストライプル オハナの八田亮と申します。ツイッターを始めたんですが、(フォロワーが)250から伸び悩んでいます。今日の試合を、見ていいなと思ったらフォローしてください。
 それから、僕は素手で試合をやりたいという希望があります。僕の先生も素手での試合を経験してきました。お客さんも、壮絶な血しぶきを見たいと思います。ぜひ、すごく凶暴なヤツを連れてきて欲しいです。僕はパンチは出しませんけど」

第8試合


 外国人選手の計量オーバーにより試合が消滅したため、セミファイナルとなった一戦。パンクラスで女子がセミとメインを張るのは団体史上初となる。
 プロムエタイで200戦187勝13敗という驚異の成績を持つルックブンミーは22歳。昨年からMMAを始め、今年1月、インヴィクタでMMAデビュー。AKAのメリッサ・ウォンに判定勝ちしている。公開練習でも見ていて怖くなるような鋭いパンチ、蹴りを見せた。
 一方の華DATEは21歳。キックボクシングやプロレスで活躍しながら、2015年、MMAでもプロデビュー。MMA戦績は2勝4敗で、DEEP JEWELS、Road FCを経てパンクラスに初参戦する。
 キックでも11戦5勝5敗1分けの成績を持つが、本人の弁は「インド王族武術とムエタイの異種格闘技戦」。公開練習では回転系の蹴りを中心に見せたが、どんな展開になるのか。

 1R。華は蹴り上げて回る。ルックブンミーも前蹴り、さらに組んでケージへ押し込む。入れ替えたい華。しかしルックブンミーは入れ替えさせず、首相撲からボディに膝を入れる。ルックブンミーが投げてテイクダウンしてサイドポジションを奪う。華はエビで返そうとする。そこへルックブンミーがヒジ、鉄槌! 華はシザースで足を絡めるが、ルックブンミーはサイドからマウントに移行し、ヒジ、パウンドを入れる。左こめかみあたりをカットし血が流れている華だが、ボディに膝を入れ、ブリッジで返した! 体が柔らかい。さらにチョークへ。しかし、ここでドクターチェックが入る。スクリーンに傷が大きく映し出されるが、続行可能と判断される。
 華が下の状態から再開。ルックブンミーは押し付けるようにヒジ連打。華は上体を引きつけ密着して防ぐ。ここで終了。ジャッジは三者とも10-9でルックブンミーを支持。

 2R。華がサイドキック。ローを返したルックブンミーは、組んで首相撲から崩しテイクダウン! 素早い動きに会場が沸く。サイドポジションからマウントへ移行しヒジ。華は必死にエビで返そうとするが、ルックブンミーは振られながらもマウントをキープ。さらにヒジを入れ続ける。まだ22歳だが、どれだけやってきたのか来し方がうかがえる。華は諦めず耐え、なんとか返そうとするが、やがて耐えるだけに。ルックブンミーはパウンド、ヒジを落とし続ける。残り30秒でレフェリーが止めた。
 華はルックブンミーのテイクダウンの前に、マハーラージャカルーリカの真髄を見せることができなかった。しかし、気の強さと体の柔らかさはかなりのもの。また立ち上がって来ることだろう。
 スタンドでの試合展開になるかと思いきや、予想を裏切りグラウンドで攻め続けたルックブンミー。組んでからのテイクダウン力と、えげつないまでの恐ろしいヒジで完勝した。これでまだMMA2戦目とは末恐ろしい。今後の成長が楽しみだ。

ルックブンミー「ここに来ることができて嬉しかったです。皆さんのおかげで勝てました。応援してくださって、ありがとうございました」

第9試合


 初代女王・朱里がUFCに専念するため、ベルトを返上。第2代女王を決める一戦となる。
 藤野は2004年にMMAプロデビュー。SMACKGIRL、VALKYRIE、JEWELSなど日本の女子格闘技の歴史の証人的存在だ。近年はDEEP JEWELS、WSOF、DEEP、Road FCとキャリアを積み、日本人女子のトップとして闘い続けている。
前回大会「PANCRASE 296」(5月20日、スタジオコースト)では、シャロン・ジェイコブセンと激しい殴り合いの「男前ファイト」を繰り広げ激勝。また、試合の前には「ババア舐めんなよ!」の名言も。
 前回の勝利後、藤野はジェイコブセンが闘っているInvicta FC出場を狙うのか、また名古屋で行われるRIZIN.12に参戦するのか注目されていたが、藤野が選んだのはパンクラスだった。「この間の試合が終わって、どこに行こうかと考えたときに、キャリアの最終段階でタイトルマッチができるのはこれが最後かもしれないと思って受けました」と語った藤野。ベルトを目指し、全力でぶつかる。

 対するヴィヴィアニはMMA歴3年弱と短く、戦績も5戦1敗だが、柔術では黒帯を持ち、昨年10月パンクラス初参戦。三浦彩佳をスタンドの打撃で顔が変わるほどボコボコにするという衝撃のデビューを飾った。その強さにパンクラスと独占契約を結び、2戦目にしてタイトル挑戦のチャンスをつかんだ。
 公開練習では、前回よりもビルドアップされたフィジカルで、さらに進化した打撃を披露した。
 パンクラスで女子がメインを務めるのは、2011年4月、WINDY智美VS V.V Mei戦以来7年4ヶ月ぶり。パンクラス史上2度目の女子メインは、激しい打撃戦になること必至だ。

 1R。藤野は最初から加減せずパンチを振っていく。ヴィヴィアニはやや様子を見ているようだが、接近すれば遠慮なく打ち合う。藤野がパンチの圧力で押す場面もあるが、ヴィヴィアニのパンチをもらい、顔が腫れていく。ヴィヴィアニは前蹴りで藤野のパンチを避けながら、一気に入って首相撲からヒザ。藤野は一気に寄ってパンチ連打! しかし、あまりダメージを与えられていないか。さらに打ち合い、ヴィヴィアニがタックルからテイクダウン! ボディにヒザを叩き込む。さらにサイドからパウンド。残り30秒で首を狙うが、これは極まらず。
 ジャッジは三者10-9でヴィヴィアニを支持。

 2R。藤野は相討ち上等とばかりに打ち合いを挑んでいく。ヴィヴィアニがタックルからケージへ押し込むが、藤野はパンチを振るい離れる。そして左フック! 一気に寄って連打する。しかし、左目の下が大きく腫れている。3分経過したところでドクターチェックが入る。左目がほとんど塞がっているが、続行可能で再開。ヴィヴィアニの足が次第にリズミカルになってくる。打ち合うが、残り1分で再びドクターチェック。会場全体が、続行できるよう祈る気持ちで見守る。かなり腫れているが再開。
 一気に攻めて決着をつけたい藤野だが、ヴィヴィアニが組んでテイクダウン! マウントからパウンド連打、肩パンチ。このまま最後までいけるか。ヴィヴィアニが残りわずかで腕十字に入るも、藤野は脱出。このラウンドも、ジャッジは三者10-9でヴィヴィアニだ。

 3R。打撃戦は不利と、藤野が組みにいくが、ヴィヴィアニは付き合わずジャブ。ここで藤野に3度目のドクターチェック。ここでついにストップがかかり、ヴィヴィアニが新女王の座に就いた。
 無念の藤野はセコンドに伴われ、すぐにケージを降りた。

 完勝だった。飛び跳ねて喜ぶヴィヴィアニ。マットに正座して感激を噛み締めた。認定証を授与され、腰にベルトが巻かれると、喜びで全身がはち切れんばかりだった。
 笑顔でマイクを執り「パンクラスの皆さん、本当にありがとうございます。今までトレーニングを重ねてきたことを見せられてよかったです。次は防衛戦があるので、しっかり練習します。挑戦者も相当なトレーニングを重ねないと私には勝てませんよ。これからも日本で闘って行きたい。私は日本の皆さんが大好きです。皆さん、愛しています!」とあいさつした。

ヴィヴィアニ試合後コメント
「今日は落ち着いていたので、セコンドの指示もちゃんと聞こえてプラン通りに闘うことができました。
パンチの強さの秘密ですか? 練習のおかげですね。毎日ハードなトレーニングをしてきましたし、ボクシングやムエタイもしっかりやってきました。こうしてベルトを巻けたことは、言葉に表せないくらい嬉しいです。このためにしっかり練習してきました。
 今回、落ち着きながらパンチを出していくのが作戦のうちの1つでした。藤野選手は最初からやってくると予想していて、もし自分も最初から飛ばしたら5ラウンドを闘えないので、セーブしながらパンチを出していくというプランを立てていて、その通りにできました。
 藤野選手のパンチは1発、唇のあたりにもらいました。2ラウンドで藤野選手が攻めてきたときに当たりました。落ち着いて相手を見ながらやれたので、パンチをもらうことはありませんでした。
 サウスポーに構えたことも今回の作戦の一つでした。右に力がいくので当てられました。左右変えることも効果的でした。これはボクシングの練習でやってきたことです。さらに、グラウンドに持ち込むチャンスもあったので良かったです。ラウンドの最初は打撃で攻めながら、終わりでテイクダウンしていこうと思っていました。これは、キューバのレスリングのコーチのもとでやってきたことです。どのタイミングでテイクダウンするか図りながら闘いました。
 朝早くから夜遅くまで、1日のほとんどをジムや、近くにある稽古先で過ごしました。それだけに、成果を出すことができて本当に嬉しいです。
 防衛は、たくさん、たくさんしたいです。このベルトを私から奪うには、相当、練習しても難しいですよ。
 そして私は、とにかくいつも謙虚でありつつ、ハートで闘う女王になりたいと思っています。常に相手をリスペクトしながら闘って行きます」

(写真・文/佐佐木 澪)

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