【試合結果】3・25 全日本プロレスさいたまスーパーアリーナ大会 【三冠ヘビー級】ジョー・ドーリングvs宮原健斗 【世界タッグ】ボディガー&ゼウスvsディラン・ジェイムス&崔領二 【世界ジュニア】青木篤志vs近藤修司 【アジアタッグ】永田裕志&秋山準vs中西学&大森隆男

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『2018 DREAM POWER SERIES [最終戦]』
日時:2018年3月25日(日)
開始:15:00
会場:さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ
観衆:2,257名

▼第1試合 10人タッグマッチ
丸山敦/○吉江豊(フリー)/佐野直(フリー)/佐藤恵一(フリー)/カーベル伊藤
5分15秒 ジャンピングボディプレス→体固め
将火怒(フリー)/石切(ランズエンド)/●レブロン(ランズエンド)/大門寺崇(ランズエンド)/FGマスク(ランズエンド)

▼第2試合 6人タッグマッチ
●渕正信/中島洋平/TAJIRI(フリー)
8分14秒 ラ・マヒストラル
西村修(フリー)/○ウルティモ・ドラゴン(フリー)/鈴木鼓太郎(フリー)

▼第3試合 シングルマッチ
○岩本煌史
8分25秒 孤高の芸術→体固め
●ジョシュ・ボドム

▼第4試合 The Road to 2018 チャンピオン・カーニバル スペシャルタッグマッチ
●野村直矢/KAI(フリー)
4分51秒 Fucking Bomb→体固め
ヨシタツ(フリー)/○火野裕士(フリー)

▼第5試合 スペシャル6人タッグマッチ
[Evolution]諏訪魔/佐藤光留(パンクラスMISSION)/●岡田佑介
11分21秒 ラクダ固め→レフリーストップ
[はぐれIGFインターナショナル]藤田和之/ケンドー・カシン/○NOSAWA論外

▼第6試合 アジアタッグ選手権試合
【第104代王者組】○秋山準/永田裕志(新日本)
15分46秒 リストクラッチ式エクスプロイダー→片エビ固め
【挑戦者組】●大森隆男/中西学(新日本)
※第104代王者組が初防衛に成功

▼第7試合 世界ジュニアヘビー級選手権試合
【第47代王者】○青木篤志
18分35秒 トラップオーバー
【挑戦者/Jr. BATTLE OF GLORY優勝者】●近藤修司(WRESTLE-1)
※第47代王者が初防衛に成功

▼第8試合世界タッグ選手権試合
【第81代王者組/ザ・ビッグガンズ】ゼウス/●ボディガー(フリー)
17分50秒 那智の滝→片エビ固め
【挑戦者組】○崔領二(ランズエンド)/ディラン・ジェイムス(フリー)
※第81代王者組が初防衛に失敗。崔&ディランが新王者となる

▼メインイベント三冠ヘビー級選手権試合
【第59代王者】●ジョー・ドーリング
17分34秒 シャットダウン・スープレックスホールド
【挑戦者】○宮原健斗
※第59代王者が4度目の防衛に失敗。宮原が新王者となる

宮原がジョーを撃破し三冠ヘビー級王座奪還!崔&ディランがビッグガンズを破り世界タッグ奪取!青木が外敵・近藤を制して世界ジュニア防衛!アジアタッグは秋山&永田が防衛!はぐれIGF軍が諏訪魔を再びカマボコ葬!

オープニング


 “大人系アイドルユニット”の太陽花~ひまわり~がリング上でライブを行い、『最初の記念日』を披露し、オープニングコールを行った。

第1試合


 佐藤が先発を志願し前に出ると、ランズエンド軍はFGマスクが先頭に立ち、ゴング。
 FGマスクは佐藤とのタックル合戦に打ち勝ってコーナーに振り、串刺しボディスプラッシュ。さらに追撃を狙ってロープに走るが、佐藤がカウンターのゼロ戦キックで反撃すると、丸山らが全員で飛び出していき、コーナーに控えていたランズエンド軍を場外に落とすと、カーベル伊藤がノータッチ・トペコンヒーロで全員まとめてなぎ倒す。
 リングに戻ったカーベル伊藤は、FGマスクをコーナーに上げると飛びついて雪崩式フランケンシュタイナーで投げ捨てる。しかしFGマスクも延髄斬りで一矢報いてレブロンにタッチ。
 レブロンは突撃するもカーベル伊藤はローリングソバットで動きを止め、ジャイアントスイングを宣言。これをランズエンド軍が総出でカットに訪れるが、丸山らが全員でこれをアシスト。カーベル伊藤はレブロンをジャイアントスイングで振り回した末に投げ捨てる。

 ここで両軍入り乱れた乱闘になり、吉江と将火怒が対面するも将火怒がドロップキックからフォールも2。これに丸山らがカットし、逆にトレイン攻撃。しかし途中で反転して吉江が集中攻撃を受けてしまう。ランズエンド軍は吉江にダブルブレーンバスターを仕掛けようとするが 逆に吉江がブレーンバスター。ここで石切がコーナーから450splash、レブロンがダイビングフットスタンプを投下してアシストするも、これ 佐野がカット。そのまま佐野がレブロンを捕縛して丸山に攻撃を促すが、案の定誤爆してしまう。誤爆で丸山と佐野が揉める中でレブロンがコーナーへと登っていく。それを見た佐野と丸山は一時休戦し、二人で雪崩式ブレーンバスターを狙う。ここにランズエンド勢が集まってきて、丸山と佐野を下からガッチリ掴み、全員で摩周のような形で倒れ込む。
 そのドタバタの間に吉江がレブロンにパワースラム。これがカウント2になると、吉江がその場飛びのジャンピング・ボディプレスを放ち、これでカウント3

<試合後コメント>
丸山敦&吉江豊&佐野直&佐藤恵一&カーベル伊藤
佐藤「31日の新木場大会。岩本選手とのシングルマッチにすべてをおいていますから。4月、ヘビー級のリーグ戦でわれわれジュニアは関係ないと言われがちですけど、その前の3月31日の新木場で何かを残せないと。これはもうジュニアとして、全日本(所属)とか関係なく、与えられた義務だと思うので、それを果たしたいと思います」
(佐藤は一人でコメントを出して立ち去るも、丸山は佐藤を見て不満気)
丸山「俺たちは5人でチームだぞ!」
カーベル伊藤「最後にフォール取ったのは吉江さんだぞ」
丸山「社長がいるのに、あの恵一の野郎、絶対許さないぞ!俺たちは5人でひとつなんだよ!」
吉江「まぁいいや。そんなことよりも気を引き締めてチャンピオン・カーニバルに臨みます」
丸山「社長、ありがとうございました!」
カーベル伊藤「全日本プロレス、応援よろしくお願いします!」

第2試合


 西村が入場するとマイクを取る。

西村「本日はご来場いただきましてありがとうございます。決して選挙の演説ではございません。私達レスラーは様々な先人たちの教えをいただきながら今日があるのだと思っております。蝶野正洋さん、天山、小島、様々な名選手が大いに影響を受けました、ヨーロッパのスーパースター、トニー・セントクレアー氏をご紹介致します」

 ここで西村は1979年に初来日してから新日本プロレスのジュニアヘビー級戦線で活躍し、無我にも参戦していたトニー・セントクレアー氏を呼び込むと、セントクレアー氏はマイクを取り挨拶。

セントクレアー「日本に来て40年になります。この40年間、皆様のプロレスと一緒に走ってまいりました。今回、友人である西村修氏がまた日本にこうやって呼び寄せてくださいました。本当にありがとうございます」

 二人はリング上で固く握手を交わし、セントクレアー氏はそのままゲスト席へ。

 他の選手も入場して全員が出揃うと、中島が前に出て行き、相手に鼓太郎を指名。鼓太郎がこれに応える形で先発となり、ゴング。
 ロックアップで組み合った二人はそのままロープに押し込み合い、中島がエルボーを放てば鼓太郎も強烈なエルボーで返礼するという序盤からバチバチの展開。中島がソバットからフライング・メイヤーで投げると鼓太郎は回転して着地。さらに中島が飛びついてフランケンシュタイナーも、鼓太郎はこれも着地。鼓太郎が中島をカニバサミでロープにもたれかからせビットを狙うも、中島はこれを回避。バチバチ展開が転じてスピーディーな攻防が繰り広げられる。二人は間合いを詰めて手4つ、そして打撃の打ち合いから中島がTAJIRIにタッチ。
 TAJIRIと鼓太郎のマッチアップ。互いに無駄のない華麗な動きで腕関節を取り合い、鼓太郎がネックスプリングの反動を生かしてTAJIRIをアームドラッグで投げ捨てハンドスプリングエルボーを狙うがTAJIRIはこれを読んでおり、回避。しかし、読まれることを読んでいた鼓太郎が着地して即座にドロップキック。TAJIRIの裏を書くことに成功し、西村にタッチ。
 西村はTAJIRIをショルダータックルで吹き飛ばし、お返しを狙ってロープに走るTAJIRIを捕縛してコブラツイストへ。TAJIRIにこれを外されるとヨーロピアンエルボーで痛打しロープに振るが、TAJIRIがハンドスプリングエルボーで一矢報いて渕にタッチ。西村もウルティモへとタッチ。

 コーナーで控えるTAJIRIと中島がやんやと渕コールを煽る中、渕はヘッドロックからウルティモにグーパンチ。「グーだろ?!」とレフリーや観客を問い詰めるウルティモだが、渕や観客が「パー!」と返す伝統芸能が披露される。そして超滞空ボディスラムでウルティモを投げ捨てると、鼓太郎がリングに乱入。渕は鼓太郎もボディスラムで投げ捨てると、ロープに走ってウルティモにドロップキックを狙う。しかしウルティモはこれをかわして両手を突き上げて大喜び。そしてお返しとばかりに渕にヘッドロックからグーパンチを連打。これは即座にレフリーが制止に来る。その隙に渕はロープに走ってビッグブーツ、ドロップキックと畳み掛けてフォールもこれは西村と小太郎がカット。渕はさらにウルティモにボディスラム、スモールパッケージと勝負を決めに行くが、これも西村と小太郎が二人がかりで渕をストンピングしてカット。TAJIRIと中島がリングに乱入して西村と小太郎を排除するも、ウルティモはグロッキー状態の渕を見てうなずくと、満を持してのラ・マヒストラルで3カウントを奪った。
 試合後、選手たちはそれぞれゲスト席のセントクレアー氏と握手を交わしてから退場していった。

<試合後コメント>
西村修&ウルティモ・ドラゴン&鈴木鼓太郎
西村「(トニー・セントクレアーさんに会うのは)2001年以来となります。この団体ではないんですけど、オットー・ワンツさんのCWAという団体の中で、多くの挑戦者、多くの対戦相手が影響を受けた名選手。トニーさんの前で試合ができましたことを光栄に思います」
ウルティモ「自分も実際に戦ったことのない選手ですけど、西村選手が言ってくれたようにレジェンドの前で試合をするのは、違った緊張感があって。僕にとっては光栄な一日でした」
鼓太郎「話は変わっちゃいますけど、次は中島洋平とシングルがあるんで。あいつは『勝って兜の緒を締める』って言ってましたけど、俺に勝った後、(リーグ戦で)全敗しているヤツがどこが締まってるんだって思いますけどね。新木場でしっかり、いかんともし難い実力差をあいつに叩きつけます」

第3試合


 両者が入場すると、ジョシュが岩本に握手を求め、岩本がその手をガッチリ握り返してからゴング。
 ロックアップからバックの取り合い、ジョシュが岩本をグラウンドに倒してフロントネックロックの掛け合いに持ち込むもブレイク。
 再びロックアップからジョシュが低空から足を刈って岩本を倒し、そのまま逆片エビ固めへ。これは岩本がブレイク。ジョシュは再び握手を求め、岩本もその手を握り返す。
 再び腕の取り合いもジョシュは前転から跳ね起きからスクールボーイ。これをキックアウトされるとボディスラムから場外に蹴り出し、セカンドロープ下からトペ・スイシーダ。そのまま場外戦に持ち込み、場外でチョップや鉄柵にハンマースローなど岩本を痛めつける。
 リングに上げると高速ブレーンバスター、バックドロップと連続攻撃し、胴締めで岩本のスタミナを奪っていく。これをブレイクされるとジョシュはロープに走るが、岩本がカウンターの一本背負い。起き上がったジョシュをバックエルボーでなぎ倒し、尚も起き上がるジョシュをショルダータックルで吹き飛ばす。続けてブレーンバスターからフォールも2。ジョシュは起き上がって岩本にチョップを連打しロープに走るが、岩本はキャッチしてコブラツイストに捉えようとする。しかしジョシュは体勢を入れ替えて逆にバックを取るとジャーマン・スープレックス。

 続けてパワーボムから覆いかぶさってフォールも2。そして岩本をコーナーに上げ、下から延髄斬り、続けてトップロープから雪崩式ブレーンバスター。転がってエプロンサイドにエスケープする岩本を追い、エプロンでパイルドライバー。ジョシュは走り込んでラリアットを狙うが、岩本はその腕をキャッチし、ヒップトスの体勢から膝を入れる。さらにジョシュの足をロープにかけてネックスクリュー、さらにジャーマン・スープレックスで叩きつけ、最後は孤高の芸術でカウント3を奪った。
 試合後、岩本とジョシュは握手を交わし、抱擁。岩本はジョシュの手を挙げて健闘を讃えた。

<試合後コメント>
岩本煌史
「わけのわかんない、見たこともない、日本に来たこともないガイジンとのシングル組まれて。今日まで前哨戦もなにもなくね。『俺どうしたらいいんだろう』っていう、多少の気の迷いはありました。今日負けたら本当にすべてがパーになる戦いだった。ジュニアリーグに優勝したことも、これまで築き上げたこともね。もし今日負けたら終わってた。終わってたけど、今日勝ったことでこの先のステージに行けるか。自分自身わかんないし、思い通りにならないことだってそりゃもちろんある。
 ただもちろん、目指すところは全日本ジュニアを上のステージに持っていくために俺が筆頭に立って盛り上げる。ずっと変わらずに言い続けてきた。それに必要なものはやっぱり掴み取りに行かなければいけないし、そういうタイミングもあるだろうから、俺はしかるべき時にしっかりそれを狙っていきます。そのためにいつも準備はしているつもりです。以上です。ありがとうございました」

第4試合


 19日の後楽園ホール大会の試合後、野村はその日タッグパートナーだったヨシタツに「25日は俺があんたから3つ獲る。覚悟しとけ!」と宣戦布告し、ヨシタツもこれに「25日に向けてテーマが出来た」と笑顔を見せており二人の対決に注目が集まっていた。
 野村が先発を買って出てヨシタツを挑発し、ヨシタツもこれに応えて二人のマッチアップでゴング。
 手4つ、ロックアップ、ヘッドロックと互いに力比べを行い、野村がショルダータックルを狙うが、ヨシタツがカウンターのドロップキック。さらに野村をコーナーに振り、ヨシタツが突撃していくが、野村がヨシタツを担ぎ上げてエプロンにおろし、そこへKAIが即座にビッグブートを叩き込む連携攻撃。続けて野村はコーナーに控える火野を場外に落とし、エプロンからダイビングエルボー。KAIもヨシタツを場外に連れ出し、それぞれ場外乱闘。
 KAIがヨシタツをリングに上げると野村も追随し、野村がヨシタツをカニバサミで倒したところへKAIが低空ドロップキックを入れる連携攻撃。続けて野村はヨシタツをロープに振ってバックエルボー。
 KAIにタッチし、KAIはヨシタツをコーナーに振ろうとするが、ヨシタツがスイッチ。ヨシタツはKAIに突撃するが、KAIはカウンターの延髄切りからデスバレーボムを狙うが、後ろに着地したヨシタツがバッククラッカー。さらにヨシタツはミドルキックを連発していくが、KAIがトラースキックから延髄斬り。さらに追撃を狙うが、ヨシタツがフライングニールキックを決めて痛み分け。両者タッチ。
 野村と火野のマッチアップとなり、二人は正面からぶつかり合い野村はエルボー、火野はチョップで意地の張り合い。野村がジャンピングエルボーで火野を怯ませると、すかさずノーザンライトスープレックス。しかしこれはヨシタツがカット。KAIがヨシタツを場外に連れ出し、勝負を野村に託す。野村はエルボー連打からロープに走ってランニングエルボーを狙うが、そこへ火野の大きく振りかぶったぶん殴りのラリアットが炸裂。続けて火野は野村をFucking Bombで叩きつけ、カウント3を奪った。

<試合後コメント>
ヨシタツ
「火野裕士、ヤバいね、あのクローズラインとパワーボム(苦笑)。まぁ別ブロックでよかったなって正直思った。あと野村。後楽園ホールでつっかかっておいて、あんな秒殺されたらなんもできないじゃないかって(苦笑)。もっとやりたかったのに。
 まぁ野村は持ち越しだね。KAIもね、実はあの後名古屋かな。いろいろ絡んできてね。どうも俺はあんまり好かれてないみたい(苦笑)。どんどん来いって。大いに結構。どんどん俺に向かって来てって感じ。以上。まぁ幸先いい、チャンカンに向けての勝利でした。ありがとうございました」

火野裕士
「え~、久しぶりの全日本プロレス。実はさいたまスーパーアリーナは初めて試合するのかな。楽しむ前に終わらせてもうて後悔しています。もっとバッチンバッチンやればよかったって。ひとつわかってほしいのはちょっと余裕があり過ぎるってことだね。チャンピオン・カーニバルが始まって……今日対戦したあの子の名前は……野村くんですか。野村くんのブロックは知らないけれど、あんなんじゃないと思うんで。せっかくのチャンピオン・カーニバルなんでもっともっと楽しみたい。これから強いヤツと戦うのを楽しみにしています」

――短い試合ではありましたが、かなりのインパクトをファンに与えました
「それはもうここで一発インパクトを与えないかんなと思っていたので。それを考えすぎた結果でエラい早く終わってしまいましたね。後悔しています。ほんまはチョップを100発くらいやろうかと思っていたのですが、2発くらいで終わってしまいましたね」

――火野選手とのチョップ合戦が見たい相手が全日本マットにはたくさんいますので……
「おお!それは楽しみですね」

――以前「チョップ合戦で負けた感覚はありますか?」と聞いた時に……
「ないって言いました?その通りですね。チョップ合戦で負ける?負け方がわからないですね。まぁチャンピオン・カーニバル、火野裕士がどういう戦いぶりを見せるか、楽しみにしていてください」

第5試合


 2014年に因縁が勃発し、2015年の天龍源一郎引退興行で炎上した諏訪魔と藤田和之の“かまぼこ”闘争。今年2月3日の横浜文化体育館大会では、はぐれIGF軍が試合後の諏訪魔を襲撃し、かまぼこを諏訪魔の口に突っ込んでハイボールで乾杯するという事件が起きており、今回の全面対決には注目が集まっていた。

 はぐれIGF軍は、NOSAWA論外がパイプ椅子を、フレディ・クルーガーがテーブルを持って入場し、後に藤田和之、ケンドー・カシンが続いて入場すると、リングサイドにいた丸山敦に集団で暴行を加える。そしてケンドー・カシンはゲスト席のセントクレアー氏にお辞儀をして握手を求め、先人へのリスペクトは欠かさなかった。
 諏訪魔、藤田の注目の組み合わせでゴングが鳴るも、両者は手4つからじっくりと力比べをするにとどまり、両者タッチ。
 岡田と論外のマッチアップとなり、岡田は論外にドロップキックで急襲。しかし論外は倒れない。岡田は2発、3発と続けてドロップキックを放っていき、論外が倒れるとコーナーに駆け上がってミサイルキック。ここで両軍入り乱れて場外乱闘へ。
 場外でフレディに捕まってしまった光留は顔面を鉄の爪で引っかかれ、場外に組み立てられたテーブルの上に寝かされると、そこへ藤田がエプロンからダイビングエルボードロップ。激しい音を立ててテーブルは砕け散り、光留は失神。
 リング上では場外乱闘を優位に進めた論外が岡田の顔面を踏みつけ、サッカーボールキックを連発。さらに自軍コーナーへ連れ帰り、三人は足で踏みつけ、フレディは爪で岡田の顔面を攻撃。カシンは砕け散った机の破片を拾うと場外で大ダメージを負っていた諏訪魔と光留を殴打し、さらに痛めつけていく。藤田もこれに追随し、机の破片で諏訪魔の頭をフルスイング。板には大きな穴が空いた。
 リング上で孤軍奮闘する岡田は論外をブレーンバスター、カシンをドロップキックで倒し、諏訪魔にタッチ。はぐれIGF軍も藤田がリングへ。諏訪魔はドロップキックからラストライドを狙うが、これを論外、カシンがカットし、そのまま三人で諏訪魔を暴行。しかし諏訪魔は一人ずつチョップやラリアットで倒していき、藤田に串刺しラリアットからフロントスープレックスからフォールに入るも、カシンがパイプ椅子で殴りつけてカット。起き上がった藤田は諏訪魔にハンマーパンチを振り下ろし、さらにエルボー、ミドルキックと畳み掛けブレーンバスターを狙うが、これを耐えた諏訪魔が逆にブレーンバスターで投げ捨て、岡田にタッチ。藤田も論外へタッチ。
 岡田は論外にエルボーを連打。さらに論外のエルボーをかわして走り、ランニングエルボー。フォールもカシンがカット。岡田はカシンにもジャンピングエルボーを見舞い場外に叩き出すと、復活した光留も藤田をマークし介入させない構え。
 Evolutionの三人は論外にトレイン攻撃から光留が論外に延髄斬り、諏訪魔がバックドロップ、岡田がコーナートップからフロッグスプラッシュを投下しフォールも藤田がパイプ椅子で岡田を殴りつけてカット。これに激怒した諏訪魔が藤田からイスを奪い取り、藤田の頭に振り下ろす。藤田はこれを不動のまま受け切ると、パイプ椅子の残骸を投げ捨て諏訪魔にエルボー。諏訪魔も応戦しバチバチのエルボー合戦。
 その間に論外は岡田にカバージョ、光留はコーナーに控えたカシンに突撃するもカシンがヘッドシザースで捕縛。藤田は諏訪魔をスリーパーホールドで捕らえ、はぐれIGF軍がEvolutionの三人を締め上げて身動きが取れない様を見て、レフリーが試合を止めた。
 試合後、大の字になって倒れる諏訪魔の口にフレディがかまぼこを突っ込み、はぐれIGF軍はハイボールで完敗した後諏訪魔にその残りを浴びせかける。さらに藤田は口に含んだ酒を諏訪魔に吹きかけ追い打ち。
 はぐれIGF軍は暴れまわった挙げ句退場していった。

<試合後コメント>

藤田和之&ケンドー・カシン&NOSAWA論外
カシン「愛だ愛だって言うから。愛よりも大事なものは、夢なんだよ。だからあいつらに夢を見させてやったんだよ。悪夢を。悪い夢を」
藤田「だから夢を見せたんでしょ。その通りです」
カシン「試合前からルールだどうだって……」
藤田「めんどくせぇ、めんどくせぇ!本当めんどくせぇ!」
カシン「なんなんだ全日本。本当にこれで最後でもいいぜ。このまま勝ち逃げしてもいいぜ。そのくらいの覚悟でやってるんだ」


諏訪魔&佐藤光留&岡田佑介
(光留はグロッキー状態で倒れている)
岡田「タップなんかしてねぇわ!もうなんでアイツらにやられにゃいかんのや!クソ!」
諏訪魔「悔しいよ、この結果は。通りすがりにこの会場に来て、散らかすだけ散らかして。俺らは入念にこの日に合わせて試合をやってるのに。プロレスに真摯に向き合わない。それが残念だよ。めんどくせぇなんてそんな言葉で片付けようなんて、甘いんだよ。まぁまだまだ。俺はこんなんで終わったとは思わない。
 ただ俺自身の中でも天龍さんの引退興行から止まったままだった針が動き出したんだよ。今日、藤田和之と向き合って、一瞬だよ、一瞬だけ打ち合った時に『これはまだやる気あるんじゃないか』って思ったよ。机だとかイスだとか、あんなのいらねぇだろ。体と体でぶつかり合えばいいんじゃないかって。あんなのごまかしだろ?大仁田厚の名前を都合よく使ってるだけじゃねぇか。俺はまだまだやり足らない。俺はもう一回。まだまだ終わらない。全日本プロレスにもう一回次の舞台を用意してもらいたい。こいつらも納得いかないよ」
岡田「俺だって絶対このままでは終わりたくないです」
諏訪魔「打ち合った瞬間には熱いものを持ってるんだなって(感じた)。動き出したよ、針が」
(諏訪魔、岡田が光留に肩を貸しながら退場)

インフォメーション


 休憩時間に入ると、左膝の負傷とその手術のために欠場していたジェイク・リーが登壇し、挨拶。5月24日の後楽園ホール大会で復帰する旨をリング上で語った。

ジェイク「皆さんお久しぶりです。全日本プロレスのジェイク・リーです。この度、報告することがありましてリングの上に立ちました。5月24日、後楽園ホール大会でジェイク・リー、復帰させていただきます!また熱い戦いを繰り広げるので皆さん応援よろしくお願いします!」


 続いて、覆面ダンスユニット『Army T』がリング上でパフォーマンスを行い、会場を盛り上げた。

第6試合


 今年1月に頸椎椎間板ヘルニアと診断され欠場していた大森隆男の復帰戦は、新日本プロレスの中西学とのタッグ“ワイルドチャイルド”を再結成し、秋山準&永田裕志の持つアジアタッグ選手権に挑むタイトルマッチとなった。

 永田、中西にも紙テープが舞い、両組ともに握手こそしないものの正々堂々とした立ち上がりでゴング。
 最初のマッチアップは永田と大森。ロックアップからバックの取り合い、腕取りからヘッドロック、ショルダータックルの打ち合いと身体をぶつけ合って互いのコンディションを探り合う。永田がブートを放てば大森も張り手で反撃し、大森がショルダータックルで吹き飛ばして中西にタッチ。秋山も永田にタッチ。
 秋山と中西のマッチアップはロックアップからヘッドロック、ショルダータックルの打ち合いからエルボー合戦へ。これを中西が優勢に進めると秋山はヘッドバッド。怒った中西が渾身のショルダータックルで秋山を吹き飛ばすと、大森にタッチし、大森と中西のダブルショルダータックルで秋山をなぎ倒す。続けて大森は秋山をエプロンに出してエプロンでアックスギロチンを狙うが、これを外した秋山が逆に弾劾式DDT。更に秋山は大森をエプロンに寝かせて下から突き上げるようにニーバッド。秋山は永田にタッチ。
 永田は大森の後頭部にエルボースタンプ、ブレーンバスターからナガタロックⅡで固めるが、これは中西がカット。永田は中西をビッグブートで蹴り出すと、秋山とともにダブルのショルダータックル。続けて秋山が大森をパイルドライバーでマットに突き刺し、フォールも決まらず。コーナーに逃れた大森に秋山は串刺しのランニングニー。さらに走り込んで串刺しジャンピングニーを狙う秋山をかわして自爆させ、大森はバックドロップで一矢報いて中西にタッチ。
 中西は秋山を野人ハンマーでぶん殴り、コーナーに控える永田にも野人ハンマー。さらに秋山に逆水平を連発してコーナーに押し込むと、走り込んで串刺しラリアット。これをカットに来た永田も反対側のコーナーに振り、中西は対角線を交互に走って二人に串刺しラリアットを見舞っていく。さらに秋山にブレーンバスターからジャンピング・ボディプレスからフォールも2。ならばとアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げてリング上を行進するが、永田がビッグブートでカットを試みるが、中西はこれを耐えて永谷秋山をアルゼンチンコースターのような形で投擲。場外へ逃れた永田にプランチャで飛んでいって追撃。
 リングに戻った中西はコーナーに上って秋山を攻撃しようとするが、秋山がロープを激しく揺らしたことで体制を崩しコーナーに座ってしまう。そこへ秋山が追っていき、デッドリードライブで投げ捨てる。永田にタッチ。
 永田は中西にミドルキックを連発し、さらに顔面にビッグブートを連発。中西のラリアットを前転でかわし、さらに追撃を試みる永田だったが、そこへ中西のスピアーが炸裂。中西は大森に繋ぐ。

 大森は永田にビッグブート、フライングニールキック、飛びつき式のネックブリーカーと畳み掛け、トドメのアックスギロチンを狙うが、これを耐えた永田は大森をコーナーへ振り串刺し攻撃を狙う。しかし大森はカウンターのビッグブートで動きを止め、アックスギロチンドライバー。これを返されると、満を持してアックスボンバーを狙うが、これをキャッチした永田が白目式腕固め。

 これを中西が逆水平でカット。永田が中西を排除している隙に秋山が大森の顔面にランニングニー。さらに胴締めフロントチョークで締め上げていく。これを中西が救出すると、中西と大森が秋山へワシントン条約。秋山を救出に来た永田にもワシントン条約を見舞う。

 そして中西は野人ラリアット、大森はアックスボンバーを同時に狙っていくが、永田と秋山はこれを同時にキャッチしてエクスプロイダーの共演。

 秋山は大森にランニングニーを連発してフォールも中西がカット。これを永田が排除して勝負を秋山に託す。秋山はエクスプロイダーを放つもカウント2。ならばとリストクラッチ式エクスプロイダーで叩きつけると、大森も肩を上げられずカウント3。

 試合後、ベルトとトロフィーを受け取って勝利の余韻に浸る秋山&永田の元へ藤田とカシンが現れ、リング上で握手を要求。戸惑いながらもこれに応じて手を握り返す王者組。
 さらに藤田&カシンは中西も呼び込み、藤田&カシン&永田&中西というチームJAPANの4人で再会を祝してハイボールで乾杯し記念撮影をしてから去っていった。

<試合後コメント>

秋山準&永田裕志
――タイトル防衛おめでとうございます。今回の防衛戦で世界タッグとはまた違う価値観が出てきたのではと感じたのですが?
秋山「違いを見せないといけないし、別にアジアだけとは限らないチームではないし、いろんな可能性があると思いますね」

――相手チームの印象はいかがでしたか?
秋山「大森が復帰戦ということで、まだまだバランスが良くないと思ったけれど、気持ちだけは熱いものを感じたし、中西さんの攻撃も痛かったです」

――フィニッシュにリストクラッチ式エクスプロイダーを選んだことが、秋山選手なりのメッセージなのかなと思ったのですが?
秋山「いや!たぶん気持ちで負けたら俺たちの歳だとどんどんダメになっていくと思うんで。まだまだいけるだろうという気持ちでやりました」
永田「大森選手の熱意というか、万全じゃない中で欠場中に(挑戦の)名乗りをあげてくれて、なかなか勇気がないとできないことだと思います。正直戦って、本調子じゃないなっていうのは感じましたけど、リングに上がるっていう気持ちがすごいなって。そこに打たれたというか、惹かれた気持ちはありましたね。それはパートナーの中西学しかり。大森選手をうまく乗せたのも中西学だったかなって。やっぱり本調子のワイルド・チャイルドとやってみたいという思いと、アジアタッグの初戦に勝って、あえて言わせてもらえば全日本プロレスの若い衆、何してるんだと。
 今の全日本プロレスが躍進しているのがなぜかっていうと、若い力が出てきたこと。いざそれを確かめに全日本プロレスのリングに上がったら、いまいち感じるものがない。タイトルマッチに来てみればひとりは欠場してしまって、初防衛戦には若い選手が来るのかと思っていたら、同世代の人間が出てくる。
責任感から来る挑戦表明。次はどうするっていう全日本プロレスに対する問いかけと言いますかね、若い人材があってこその全日本プロレスの躍進なのに、その若い力が感じられないのは残念だなって言うのが」
秋山「社長として頭が痛い(苦笑)。まぁまぁでもやっぱり言わされて、『お前ら行け!』って言われて行くんじゃなくて、自分で拓かなきゃいけないと思う。それが自信になるし、俺が行きたいっていうのがないと。先輩から言われてとかじゃなくて、俺が行きたいっていうのが俺は本当にほしいんですよね。でもそこまで言う勇気ってなかなか出て来ないと思うし、でもその勇気で言ってほしいんですよね。俺と永田裕志ってそこから始まってると思うし、そこから今までこうやって来てると思うし。別に他団体でも『俺がやりたい!』っていう熱意というか。俺と永田裕志がいて、今しかないって思うんだよね。この経験を積めるっていうのは。どんどん来てもらいたいと思うけどね、自分からね。それは全日本だけじゃなくて新日本もそうだし。自分で切り拓くっていうのが。『プロレスってこういうものなんだ』っていうのじゃなく、そういうのを見せてもらいたいなって。特にウチの若いヤツらに見せてもらいたいですね」
永田「ただそう言っても僕らのチームはハンパなチームじゃ誰も勝てないですよ。このアジアタッグのベルト、どこまで価値感を上げればいいのか。こうなったら行けるところまで行って、このアジアのベルトを世界タッグ以上に。全日本プロレスTVも始まったことだし、それを全世界にわれわれの強さをアピールする。そういう気持ちも芽生えましたね」
秋山「配信初日に全世界に白目が行くとはね(笑)」
永田「全日本プロレスTV、配信初日に神が降臨して神自身でアピールしたかなと」

――試合後若い選手ではなく、違う人たちが来ましたが?
秋山「来たね。あれは俺じゃなくて永田選手の方に」
永田「挑戦表明ではなかったですね。記念撮影だったみたい。リップサービスで東京スポーツの取材に対して言ったことが、過大に書かれたので」
秋山「あれは東スポの陰謀だと思う」
永田「リップサービスで言ったことがああいう記事になるとは思わなかったけどね(笑)」

――全日本のリングでチームJAPANが揃うというのはいかがでしたか?
永田「社長の横でこんなことを言うのはアレかもしれないけど、なんだこれ?邪魔するなよという気持ちはあったけれど、なつかしさ半分、うれしい気持ちも半分くらいあったかな。めんどくさいふたりですけど」
秋山「そんなこともできる全日本プロレス(笑)。ありがとうございました」

第7試合


 ゴングが鳴るとしばしにらみ合い、ロックアップで組み合ってからバックの取り合い、ダッギング、十字ロープワークとジュニアらしいスピーディな攻防から青木がドロップキックで先制。近藤が場外に逃れると即座にトペ・スイシーダで追撃。すぐにリング上に戻し、コーナートップに上がる青木を近藤が追いすがるが、青木は向かってくる近藤を飛び越え、さらにラリアットを放つ近藤の腕をキャッチして飛びつき式の腕十字を狙うが、近藤がこれを振りほどいて二人が距離を取りブレイク。
 再び組み合い、手4つから青木がバックを取るが、近藤が首投げから青木をロープ下に寝かせてシーソーホイップで首を攻撃。たまらず場外に逃れた青木を追って場外で追撃。青木を鉄柵にハンマースローしてぶつけ、さらに鉄柵へスタンガン。青木は顔面を痛打。
 リングに戻り、近藤はスリーパーも青木はその腕を取って腕十字。これが決まり切る前に近藤は青木の足をとってマフラーホールド、さらにヘッドシザースも合わせた複合関節技に捕らえる。青木がこれをロープエスケープするとコーナーに振って串刺しラリアットからフォールも2。さらにスイングネックブリーカーからパイルドライバーと首一点集中攻撃からフォールも2。
 青木は膝立ちからチョップを放つも弱々しく、近藤は起こして追撃を狙うが、青木は近藤の腕を取って腕にオーバーヘッドキック、ショルダーアームブリーカー、さらにモンキーフリップのような形でバッククラッカーを放つと近藤は場外にエスケープ。青木は即座にトペ・スイシーダで追撃。即座にリングに戻り、2発目、3発目とトペ・スイシーダを連続発射。さらに近藤をリングに戻してミサイルキック、腕十字からの三角絞めとラッシュをかける。しかし近藤は三角絞めごと青木を持ち上げてパワーボム、マンハッタンドロップからDDT、コーナーに振って串刺しラリアット。しかし青木はコーナーラリアットをかわしてスクールボーイから低空ドロップキック、コーナーに駆け上がってフロッグスプラッシュとやり返してロープに走るが、キャッチした近藤がザ☆オリジナル。これを返されると、近藤は青木にエルボー。青木は近藤の腕へのハンマーで打撃合戦。青木が機を見てトラースキックで怯ませてからショルダーアームブリーカーを狙うが、近藤がスリーパーホールドで捕らえ、さらにバックドロップ。さらに青木が起きるのを待ってキングコングラリアットを狙うが、これをかわした青木がバックを取ってジャーマン、レッグラリアート、近藤のラリアットを潜って逆にラリアットでなぎ倒し、さらに追撃を狙うが、ここで近藤のカウンターラリアットが炸裂。続けて近藤はランサルセを狙うが、これを堪えた青木が腕十字へ。近藤がこれをブレイクすると青木は近藤の腕にドロップキック。二発目のドロップキックをかわして近藤は胴締めスリーパーで捕らえるが、青木は起き上がって近藤をコーナーに叩きつけ、コーナーに串刺し攻撃を狙うが、近藤がキャッチしてランサルセで迎撃。さらにパイルドライバーで突き刺し、場外鉄柵に向けてブルドッギングヘッドロック、リングに戻してのつい直落下式ブレーンバスターと再び激しい首攻め。近藤は満を持してキングコングラリアット。フォールに行かず二発目を狙うが、青木は飛びついてフランケンシュタイナー式腕挫十字固め。身体を起こしてこれを逃れようとする近藤の逆の腕を取り、トラップオーバーに捕らえると、近藤も無念のギブアップ。

 見事防衛に成功した青木はマイクを取る。

青木「ホントにキツくて……近藤選手、ホントに強いと思いました。だけど!全日本のジュニアは一番弱くはないはずです!ただ!今はまだ発展途上です。なので!自分の力で本当に一番強いジュニアを作り上げていきたいと思います。応援よろしくお願いします!」
 
<試合後コメント>

近藤修司
近藤「撤回するよ。『全日本ジュニアが一番弱い』っていうのは。あれはウソだったな。今日それが証明された。今日はガッツリやられたんでもう一回。40にしてもう一回。再修業だ。再修業して俺は……しつこいぞ。世界ジュニア、狙い続けるからな。取るまで。取るまで終わらないぞ、全日本ジュニアの諸君」


青木篤志
――タイトル防衛、おめでとうございます。リーグ戦では敗れた近藤選手にリベンジを果たしました
「まぁリベンジはリベンジかもしれないけど、まだまだでしょう」

――さきほど近藤選手は「全日本ジュニアが一番弱いというのは撤回する」と言っていました
「ベルトを持っている俺が負けて、リーグ戦も優勝されてしまったわけだから、そういうことを言うのは当然のことかも知れない。もちろん俺が『そんなことはないよ』って偉そうに言える立場じゃなかったからさ。だけど、だからこそこれを守らなきゃいけなかったし、別にアレを撤回してほしいという気持ちじゃない。
 リング上でも言ったけど、全日本ジュニアはまだまだ発展途上だと思う。若い選手とか、俺だってもう40越えてるわけで、俺がベルトを持ってて、まだまだ負けないと思っている時点で他の人間にはもっと奮起してもらわないといけないわけだし。だから本当に発展途上ですよ。だから俺はそこをもっと誰にも恥じないで、自慢できる全日本ジュニアを作りたいんですよ。
 そのためにも俺は簡単にこのベルトを渡すわけにはいかないし、その使命があると勝手に思っているし、勝手に自分の目標を作っているわけで。だからあえて言いますよ。全日本ジュニアの人間にはもっと奮起してほしい。そんな感じかな」

第8試合


 ゼウス、ディランが先発で出てくるとディランはゼウスに握手を求め、ゼウスがしっかりその手を握り返してからゴング。
 ディランは手4つを仕掛け、ゼウスもこれに応じて正面から純粋なパワー比べ。さらに互いに一歩も動かずのチョップ合戦、これが互角と見るやロープに走って交互にショルダータックルでぶつかり合う。これも互角と見るや、両者タッチ。
 ボディガーと崔はロックアップで組み合うが、崔が即座に飛びついて三角絞めに移行し速攻を狙う。これをカットに来たゼウスをディランが捕縛しコブラツイストで共演するも、ゼウスはヒップトスで、ボディガーはパワーボムでこれをはねのける。そしてビッグガンズはそれぞれの相手をバウンスの形で持ち上げるが、これは不発。崔とディランが場外に逃れるとビッグガンズも場外へ追撃。ゼウスはディランを場外でブレーンバスター、ゼウスはエプロンからジャンプしてブレーンチョップと優勢に進め、崔をリングに戻してビッグガンズの二人でダブルのショルダータックル。ボディガーは崔をコーナーに振って串刺しのマシンガンラリアット。これを抜け出した崔がボディガーをブレーンバスターで投げ捨て、ディランにタッチ。
 ディランはボディガーに串刺しラリアットを連発してブレーンバスター、エルボードロップからフォールも2。さらにパワーボムを狙うが、ボディガーがこれを堪えて水車落とし。尚もラリアットで向かってくるディランにカウンターのスピアーを突き刺してゼウスにタッチ。
 ゼウスはフライングラリアット、串刺しラリアットからのフロントスープレックス。さらに客を煽りながらチョークスラムを狙うが、首を掴まれたディランが逆にゼウスにチョークスラムをかけようとし、互いに喉輪絞め。これを制したディランがラリアットで一矢報いて崔にタッチ。
 崔はゼウスに正面からエルボー、ゼウスも逆水平で迎え撃つ。崔が劣勢も武器をミドルキックに切り替えると一転崔が優勢に。ここから崔がブレーンバスターも、互いにクラッチを外すこと無く交互にブレーンバスターを打ち合う意地の張り合いに。ゼウスは崔をコーナーに上げて雪崩式ブレーンバスターからボディガーにタッチ。

 ビッグガンズは崔をコーナーに振ってトレイン攻撃も、ここにディランが救出にきて二人をショルダータックルで吹き飛ばすと、崔とともにボディガーにダブルのブレーンバスター。しかしボディガーも起き上がり、ラリアット、ハイキック一歩も引かず崔を怯ませ、ロープに走ってラリアットを狙う。しかしここでディランが飛び出してきてカウンターのラリアットをぶちかまして崔を救出。雄叫びを上げて立ち上がったボディガーはディランと崔をラリアットでなぎ倒し、ゼウスを呼び込み崔へダブルのチョークスラム。ゼウスはコーナーに上るが、起き上がった崔がコーナー上のゼウスの腹部へジャンピングニー。続けてトップロープからの雪崩式ブレーンバスターで排除。ディランもボディガーにチョークスラム、ここに崔がランニングニー、これを2で返されるとトドメの那智の滝が降り注ぎ、これでカウント3。

<試合後コメント>

崔領二&ディラン・ジェイムス
――タイトル奪取、おめでとうございます。全日本プロレスでは初めてのベルトになるかと思いますが?
崔「2年かかりましたけれど、時間じゃないと思っているのと、常々言ってきたことですけど、ベルトを持ってどう勝負していくか。相手じゃないですよ?相手だけじゃないですよ。プロレスという業界にいて、もっとこの業界を反映させていきたい。俺が常々言っていることだけれど、他のレスラーと俺が見ているものは全く違う。このベルトと一緒に俺はどんどん世界に出ていきたい。発展途上国とかプロレス見たことない子たちのところへどんどん持っていきたいし。
 これは俺は最高の栄誉であり、印籠となるものだと思っています。このベルトの価値で世界中のいろんなところを切り拓いていけるというか。今回ディランと一緒にベルトを取れて。これもタイミングというものでしょう。2年前には思いもしなかったタッグですけど、本当に尊敬するレスラーのひとりでスーパーアスリートだと思っています。彼なら変えられると思っていたし、こうして成功例がどんどん現れてほしいし。みんなが見たことが無いような怪物が出てくるのが、全日本のリングやと思うんで。
 自分のことよりも紆余曲折あっても腐らず、頑張ってきた人間がこういう舞台に上がれる。僕は何よりも自分のことを差し置いてうれしく思います。そして困っているヤツがいたら、俺は助けたいと思っています。
 人を潰すのは簡単。そうじゃないやろ。困っている人間、頑張っている人間に助ける手を差し伸べてあげる。それが大人じゃない?よう聞いとけよ、お前ら。俺はそう思う」

――今回の勝利についていかがですか?
ディラン「まず崔、秋山さん、全日本のスタッフに感謝したい。そしていい試合ができた対戦相手のゼウス、ボディガー組にも。彼らは強くてハードだったけれど、僕たちがベストだってことが証明できた。そしてこのベルトがここにあるのさ」

――次の目標は何になりますか?
ディラン「次?まずは三冠王座への道を切り拓いていくこと。毎日毎日ハードに戦い、このベルトを守るためにベストを尽くすよ」

――全日本マットについての印象は?
ディラン「ニュー・レベルにあるね。とてもプロフェッショナルな場で、自分が求めていたものだ。そしてオールドスクールなスタイルもあり、トラディショナルなレスリングが受け継がれているね」

※ザ・ビッグガンズはノーコメント

第9試合


 ゴングが鳴るとジョーと宮原はにらみ合い、ロックアップで組み合うが宮原はこれをほどいてロープに走りフロントハイキックを狙う。ジョーはこれをショルダータックルで迎撃し、宮原を場外に出すと何度も鉄柵に打ち付けていく。宮原もこれをスイッチして逆にジョーを鉄柵に叩きつけると、エプロンから飛びついてフェイスクラッシャーでジョーの顔面を鉄柵に打ち付ける。さらに宮原はエプロンからジャンプしてのブラックアウトを狙うが、これをキャッチしたジョーがコーナーポストに宮原を叩きつけ、ショルダータックルでなぎ倒した後にリングに戻して逆エビ固め。
 これをブレイクした宮原はエルボーで突っ張っていくが、ジョーはラリアットで反撃し、さらにエルボードロップ。カウントは2。ジョーは滞空ブレーンバスターから宮原をロープに振ってドロップキック。続けてラリアットを狙うが、宮原はこれを前転してかわしジョーの足に低空ドロップキック、ヒザをついたジョーの顔面にドロップキックを放ち一転攻勢。ブレーンバスターからコーナーに振っての串刺しジャンピングニーと畳み掛け、エプロンに逃れたジョーを追って即座にフロントハイキック、ブラックアウトと攻撃の手を緩めない。さらに宮原は弾劾式のジャーマン・スープレックスを狙うが、ロープに捕まって耐えたジョーがバックエルボーで宮原を場外に落とし、リング下で投げ捨て式パワーボム。ダウンが取られ、ダウンカウントが19まで進むとジョーは自ら宮原をリングに入れ、あくまでリング上での決着にこだわる姿勢を見せた。
 リング上でフォールも2。宮原をロープに振ってスカイハイボムも2。ならばとレボリューションボムで担ぎ上げるジョーだったが、宮原が暴れてDDTで切り返し、ブラックアウト、ジャーマン・スープレックスホールドで追撃。これを返されるとシャットダウンスープレックスホールドを狙うが、これを腕力で外したジョーがロープに走ってランニングクロスボディ。再びレボリューションボムを狙うも、宮原は回転エビ固めで切り返し、ジョーの後頭部にブラックアウト。お互いリング上で大の字になり、ダブルダウン。

 起き上がった二人は正面からエルボーで打ち合い、これが劣勢と見た宮原はヘッドバッドを連発してランニングエルボーを狙う。ジョーはカウンターのエルボーで迎撃するとパイルドライバー、デスバレーボム、腕を離さずそのままショートレンジラリアットと攻撃の手を緩めない。満を持してレボリューションボムを狙うジョーだったが、宮原が着地してブラックアウトを連発。これを耐えたジョーはロープに走ってランニングクロスボディを狙うが、これに合わせて宮原がジョーの腹にジャンピングニー。悶絶するジョーの後頭部にブラックアウトを叩き込み、最後はトドメのシャットダウンスープレックスホールドでカウント3を奪った。 

エンディング


 試合後、大の字になって動かない宮原に対してジョーは余力を残した様子で宮原と自身を交互に指差し「試合に勝ったのは宮原なのに、今こうして立っているのは自分だ」と言わんばかりのジェスチャー。しかし、宮原が起き上がるとジョーは握手を求め、宮原もその手をしっかりと握り返した。
 ベルトを受け取った宮原はそのまま退場しようとするが、観客の「健斗」コールに応えてリングに戻りマイクを取る。

宮原「チャンピオンベルトが!宮原健斗に返ってきたぞぉおおお!!今日はさいたまスーパーアリーナ大会、最後までご声援本当にありがとうございました!……久しぶりだねぇ、この感触。三冠チャンピオンになったからには、このプロレス界、もっともっとこの俺が盛り上げるからな!オンリーワンも好きだけど、ナンバーワンの方がもっと好きです。今俺がナンバーワンだ!そこで!!そこでだ。埼玉の皆さんに聞きたい。今プロレス界で最も最高の男、並びに、これからプロレス界を盛り上げるプロレスラーは誰だと思いますか。埼玉の皆さんのショーージキな声を聞かせてくれ!!×3 ……満場一致で宮原健斗でーす!!次、4月からチャンピオン・カーニバルが始まります。そこで三冠ヘビー級王者として優勝するのはこの俺、宮原健斗しかいないでしょう。皆さん、次は3月31日、東京・新木場1stRINGでお会いしましょう!」

 ここで宮原はマイクを置いて退場しようとするが、声援を欲しがり、健斗コールに応えて再びリング上へ。

宮原「埼玉の皆さんに聞きたい!全日本プロレス、最高ですか!!……聞こえないなぁ。全日本プロレス、最高ですか!!オッケー、ラスト!!全日本プロレス、最高ですか!!さいたまスーパーアリーナ……最高ッ!」

<試合後コメント>

宮原健斗
――タイトル奪取、おめでとうございます。今日は宮原選手の心の強さをファンは感じたのではないでしょうか?
「それは今日来てくれたファンの皆さんの声援があるから、俺は今日このベルトが取れた。それ以外のなんでもない」

――前半は短期決着もあるのでは?というほど圧倒されていたように思います
「ジョー・ドーリングは間違いなくナンバーワン外国人選手だし、彼はおそらくプロレス界の流れに乗らないぞっていうプライドを持ってやっているし、そのプライドに彼のプロレスラーとしての商品価値があるんだと思います。俺はそれに負けたくなかった。俺のプライドがあるから」

――その強いジョー選手に勝ったということで、またそのベルトの価値が上がったんじゃないかと思います
「三度目ですか?もっと離れていたような気がする。感触を忘れている。まだ違和感がある。久し振りだ」

――これでチャンピオン・カーニバルにチャンピオンとして臨むことになります
「この2018年のチャンピオン・カーニバルは俺にとっても大きいし、全日本プロレスにとっても非常に大きなポイントになると思っているから。ここで優勝するかしないかによっては全く今後のプロレス人生が変わってくる。全日本プロレスも、いま乗りに乗ってる全日本プロレスがチャンピオン・カーニバルを皮切りにさらに乗りに乗る。それはもう間違いない。
 俺の力がなくても乗りに乗る。だけどその乗りに乗る全日本プロレスの最前線に立ちたい。それはプロレスラーとして当たり前のことで、言った通りオンリーワンも好きだけど、ナンバ-ワンがもっと好きだから」

――ここ数年のチャンピオン・カーニバルでも最高のメンバーが集まっていると言われています。そこでチャンピオンとして勝ち残ると、まさにナンバーワンと……
「いや、今のナンバーワンは俺だから。みんなかかってこいよ。俺がチャンピオンとして優勝するからね。かかってこいよ。俺がチャンピオンとしてどしっと全日本プロレスにはいるからな。プロレス業界、いま以上に面白くできるのは俺しかいないって本当に思っているから。今の当たり前を崩すのは俺だ。見てろよ、この野郎!
 俺はハッピーハッピーと思われてるけど、心の奥では反骨心の塊なんだよ。とにかくチャンピオン・カーニバル、三冠王者として優勝する」

※ジョー・ドーリングはノーコメント

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