岡見勇信が公開練習で「格闘技の本質」を語る!

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 7月1日夕、都内渋谷区のGOLD’S GYM原宿東京にて、岡見勇信(和術慧舟會東京本部)が公開練習をおこなった。岡見は「PANCRASE 279」(7月24日、ディファ有明)で鈴木槙吾(ALLINCE/前ウェルター級キング・オブ・パンクラス)と対戦する。

 公開練習では安西信昌をパートナーに5分1ラウンドのスパーリングを披露。キレとスピードのある動きを見せ、最後には安西を大きくリフトし、叩き付けるパフォーマンスで好調をアピールした。
 岡見は2002年9月、DEMOLITIONの佐々木恭介戦でプロデビュー。その後はパンクラス、PRIDE、DOGなどを経て2006年からUFCに参戦、18戦している。2011年にはUFC世界ミドル級タイトルマッチにも挑戦、タイトルに手は届かなかったものの、日本人選手の強さを見せ、多くのファンや選手に希望を与えた。が、2013年9月のホナウド・ジャカレイ戦を最後にUFCをリリース。2014年からWSOFで3戦した。今年から日本マットに舞台を移し、2月にはDEEPで桜井隆多にTKO勝ちを収めている。パンクラスには約12年ぶりの参戦。古巣に戻ってきた岡見に話を聞いた。

2016-07-01_岡見公開練習2
——12年ぶりのパンクラス参戦となります。
岡見「12年なんて、もうそんなにたったのかと思いますね。石川(英司)さんとの試合(2004年10月)は今でもよく覚えています。本当に、もうそんなにたったんだなと感慨深いですね。12年なんて、あっという間でした。1つ1つやってきたら、またパンクラスに巡り会ったという感じですね。UFCをリリースされて、WSOFでは自分なりの動きを模索中という中で、日本の舞台に上がれるというのは縁を感じますし、母国でもあるので嬉しいです」

——外国での試合と、日本で闘うのは違いますか?
岡見「どこがというと難しいですけど、やはり違いますね。闘うということに違いはないですけど。日本でやるなら日本人選手と闘いたいという気持ちがあったので、日本でこういう舞台を用意していただいて、嬉しいです」

——ウェルターに転向しましたが、体調はいかがでしょうか。
岡見「だんだん慣れてきましたね。ストレスもないです。WSOFのジョン・フォッチ戦(2015年10月)とか、DEEPの桜井隆多戦(2016年2月)のときはまだ調整が難しかったですけど、今は順調です。ペースとかコンディションが自分の中で掴めてきています」

——減量はいかがですか。
岡見「苦しんではいないですね。前回くらいから、いい感じになってきています。ミドル級のときは食べることが重要だったので、試合が近づいてきて練習がきつくなって、しかも食べなくてはいけなくて。でも、ウェルターにしてみて、これが減量か、とわかりました。とにかくミドル級のときは食って食って、最後は水で調整するくらいで、お腹がすいたことがなかったんです。ウェルター級にしてみて、お腹がすくのが初めてです(笑)。これが減量だというのが掴めてきました」

——相手の鈴木選手の印象はいかがですか。
岡見「勢いがあって、瞬発力がありますね。一発で倒すパワーも持っている。何試合か見ましたけど、とにかくよく動いて、いい選手だなと感じていました。なかなかいないタイプじゃないでしょうか。パンチを振り回して来るという点ではヘクター・ロンバートに似ているかも知れませんね」

——警戒すべき点はどこでしょうか。
岡見「鈴木選手は気持ちが切れないですよね。どんなに劣勢になっても、必ず勝つという気持ちが切れない。彼のそういう気持ち、精神力が素晴らしいと思いますね」

——前大会であいさつがありましたね。
岡見「彼は若いですし、勢いもある。ガンガン来てほしいですね。彼の「倒します」という言葉で、僕も闘志に火がつきました」

——どんな試合になりそうでしょうか。
岡見「この試合では、原点に戻ることがテーマです。相手を倒すこと、1本取ること。判定で勝つことも大事ですけど、格闘技の本質とは何かと考えたときに、それは相手を倒すことだと。それを日本の舞台でもう一度植え込もうと思っています」

——「格闘技の本質」とは?
岡見「どんな組み技でも打撃でも、まず相手にダメージを与えなくてはいけない。どんな局面でも相手にプレッシャーを与えなくてはいけないと思うんです。見合っていても何も消耗しないですし。そういった部分ですね。格闘技の本質を考えるようになって、練習でも考えるようになりました。UFCやWSOFのときは、勝つことで精一杯で、ポイントを取りに行かなくては、という感じでしたから。格闘技の本質とは、倒すこと、1本取ること。それが格闘技の魅力だと思うんです。自分はそこから離れて、勝つためという意識が強過ぎて、勝っても心の底からの喜びがありませんでした。今の自分は伸びている自覚はありますけど、年齢(大会3日前の21日で35歳になる)やケガもあるし、何が起きるかわかりませんから、いつまで出来るのかわからない。だから、格闘技の本質を突き詰めていきたいんです。勝つのが一番だということは分かっています。その上で、何かがなくてはいけない。今まで激しい練習をやってきましたけど、なかなか脱皮できませんでした。自分との勝負、何かを変えられる力と言うか。進化というのは難しいですけど、闘うことの本質を突き詰めていきたいです」

——練習はどなたとされているのでしょうか。
岡見「三浦広光選手、福田力選手、水野竜也選手、そして安西信昌選手など、重量級ばかりですね。練習には不足はないです」

——さて、この試合の先に見えるものは何でしょうか。
岡見「先のことは、そんなに考えないようにしていますけど、この試合で何かが変えられれば先が見えてくるんじゃないかと思います。ですから、まずこの試合ですね。自分が何かを変えられるか、どのくらい変えられるのか、そこが勝負です。もちろん、勝たなくてはいけないのが大前提ですけど」

——さて、12年の間にパンクラスも様変わりしました。今のパンクラスをどう思いますか?
岡見「素晴らしいです。会場で試合を見させていただいている時にも感じましたが、波が来ているという雰囲気をすごく感じます。大会を見ながら、ここに帰ってきて、また勝負したいなと思っていました」

——大会はUFCファイトパスでも流れます。
岡見「やはり意識しますね。世界じゅうの人が見られるので、普段ファンレターをくれるような、僕のことを気にしてくれている人のためにも、見せるチャンスだと思います。格闘家ならば、世界のナンバーワンを目指すべきだと思います。格闘技を続けていく限りは、世界のナンバーワンを目指していきます」

 以前パンクラスに参戦していた頃は、まだあどけなさも残る23歳だった岡見。年月は流れても、格闘技への情熱は衰えていない。前大会のあいさつでは「今が一番強いと思っています」と話した。格闘技の本質を見直し、さらに磨きをかけた岡見がパンクラスに凱旋する。鈴木との試合はバチバチになること必至。元UFCファイターが華麗に勝つか。前KOPが意地を見せるか。見逃せない!

(写真・文/佐佐木 澪)

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